第51回(H28) 作業療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

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41 職業能力の評価基準の一部を図に示す。
 評価法はどれか。

1. GATB
2. LASMI
3. VPI 職業興味検査
4. 職業レディネステスト
5. ワークサンプル法

解答1

解説

 GATE(厚生労働省編一般職業適性検査)で評価される能力は、①知的能力、②言語能力、③数理能力、④書記的知覚、⑤空間的判断、⑥形態知覚、⑦運動共応、⑧指先の器用さ、⑨手腕の器用さの9つである。多くの職業で必要とされる9つの能力(適性能)を評価することにより、望ましい職業選択を行うための情報を提供することを目的として作成されたものである。したがって、選択肢1.〇 正しい。GATBが正しい。

2.× LASMI(Life Assessment Scale for the Mentally ill:精神障害者社会生活評価尺度)は、統合失調症患者に対して実施され、5領域(日常生活、対人関係、労働または課題遂行能力、持続性・安定性、自己認識)、40項目について質問し、各項目5段階で評価する。 
3.× VPI 職業興味検査(Vocational Preference Inventory)は、160項目の具体的な職業に対する興味・関心の有無の回答から、6つの興味領域(現実的・研究的・芸術的・社会的・企業的・慣習的)に対する興味の程度と、5つの傾向尺度(自己統制・男性ー女性傾向・地位志向・稀有反応・黙従反応)に対する個人の特性を測定するものである。
4.× 職業レディネステストとは、VPI職業興味検査と同じ6つの興味領域について興味の強さと職業遂行の自信度を測ることにより、職業に関する自分のイメージをチェックしたり、進路選択への動機づけを促したりするものである。
5.× ワークサンプル法(職業見本法、職業標本法)は職業能力適性の評価に用いられる。タワー法、マイクロタワー法、モダプツ法、ワーカビリティテスト(障害者用職業能力テスト)などに大別される。

 

 

 

 

 

 

42 胸が締めつけられる感じ、死んでしまうのではないかという強い不安、動悸、息苦しさなどが突然起こると訴える患者に対する症状軽減を目的としたプログラムとして最も適切なのはどれか。

1.SST
2.散歩
3.絵画
4.レクリエーション
5.リラクセーション

解答5

解説

 症状よりパニック障害と考えられる。パニック障害(不安障害)の症状は、めまい、過呼吸、死ぬのではないかと思うほどの恐怖、発汗、身震い、手足の震えなどである。作業療法の目的は、不安を緩和させ、日常生活への支障を徐々に改善していくことである。パニック障害のプログラムでは、自律訓練法や筋弛緩訓練法、腹式呼吸法などのリラクセーション法により、不安や緊張感の軽減を図ることが有効である。

1.× SST(Social Skills Training:生活技能訓練)とは、「人が地域社会で自立して円滑に生活できる」ように対人関係技能を習得することを目的としたものである。主に統合失調症で用いられる。
2.× 散歩は、気晴らしや不安の軽減に有効ではあるが、選択肢によりパニック障害に対する優先度の高いプログラムがある。
3~4.× 絵画/レクリエーションは、不安に支配されない時間を過ごすことができ有効ではあるが、選択肢によりパニック障害に対する優先度の高いプログラムがある。
5.〇 正しい。パニック障害のプログラムでは、自律訓練法や筋弛緩訓練法、腹式呼吸法などのリラクセーション法により、不安や緊張感の軽減を図ることが有効である。

 

 

 

 

 

43 前頭側頭型認知症に比べAlzheimer 型認知症でみられやすい生活上の特徴はどれか。

1. 万引きしても悪びれない。
2. 同じものばかり食べ続ける。
3. 物を盗られたと家族を疑う。
4. 挨拶もなくふっと去っていく。
5. 眼についた文字を次々読み上げる。

解答3

解説

1.× 万引きしても悪びれない(抑制の効かない反社会的な行動)は、前頭側頭型認知症で見られやすい。
2.× 同じものばかり食べ続ける(食行動の異常、食欲の異常亢進)は、前頭側頭型認知症で見られやすい。
3.〇 正しい。物を盗られたと家族を疑う(物とられ妄想)は、アルツハイマー型認知症で見られやすい。エピソード記憶の障害であり、「自分で財布をしまったこと」自体を忘れ、欠落した記憶の穴を埋めるように「物とられ妄想」が起こる。
4.× 挨拶もなくふっと去っていく(立ち去り行動)は、前頭側頭型認知症で見られやすい。
5.× 眼についた文字を次々読み上げるは、前頭側頭型認知症で見られやすい。なぜなら、前頭側頭型認知症は、見たものに影響されることが多くなるため。

 

 

 

 

 

 

44 SST の目的として最も適切なのはどれか。

1. 病識の獲得
2. 精神症状の改善
3. 自動思考の修正
4. ストレス対処技能の強化
5. 対人関係パターンの自己洞察

解答4

解説

SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)

 SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)は、生活技能を向上させることによって、ストレスのかかる状況をうまくコントロールし、自らの役割が果たせるようになることを目的としている。

1.× 病識の獲得は、主に心理教育で行う。心理教育とは、症状の理解や服薬の必要性の理解など、病識の獲得と治療方法への理解が中心に行われる。ちなみに、SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)も心理教育の要素もあるが、病識の獲得が最も適切な目的ではない。
2.× 精神症状の改善は、主に薬物療法で行う。ちなみに、SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)は、生活技能の改善を目的としており、結果として精神症状の改善があるとても、それを直接の目的としないため不適切である。
3.× 自動思考の修正は、主に認知行動療法で行う。自動思考とは、嫌な場面に直面したときにすぐに浮かんでくるものの見方や考え方である。その偏りや歪みに気づかせて修正させる手法が認知行動療法である。
4.〇 正しい。ストレス対処技能の強化は、SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)の目的である。SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)は、生活技能を向上させることによって、ストレスのかかる状況をうまくコントロールし、自らの役割が果たせるようになることを目的としている。
5.× 対人関係パターンの自己洞察は、主に精神分析療法で行う。フロイトが創始した精神分析である。

 

 

 

 

 

 

45 統合失調症患者が「自分は不老不死の薬を開発して人類を救うと突然わかった」と述べた。
 この症状はどれか。2つ選べ。

1. 誇大妄想
2. 作為体験
3. 妄想気分
4. 妄想知覚
5. 妄想着想

解答1/5

解説

 本症例は、自分を過大評価する内容が突然頭に浮かび、そのまま確信している。過大評価という「妄想の内容」と、突然脈絡なく出現するという「妄想の生じ方」に注目する。

1.〇 正しい。誇大妄想とは、自分を過大評価する妄想のことである。素晴らしい発明をしたという内容の発明妄想であり、誇大妄想の一つである。ほかにも、血統妄想、恋愛妄想などがある。
2.× 作為体験とは、自分の思考・感情・行動が外部の力により支配されていると体験する症状である。
3.× 妄想気分とは、特に誘因なく嫌なことが起こりそうだと感じることをいう。
4.× 妄想知覚とは、知覚したことに特別の意味が感じられることをいう。例えば、猫が通ったのを見て「母親が死んだ」と確信する。
5.〇 正しい。妄想着想とは、突然頭に浮かんだことをそのまま確信することをいう。例えば、「自分は世界を変える運命にある」などと確信する。

 

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