第51回(H28) 作業療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

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36 エビデンスレベルの高い順に左から並べたのはどれか。

1. 症例検討→前後比較研究→メタアナリシス
2. 症例検討→メタアナリシス→前後比較研究
3. 前後比較研究→症例検討→メタアナリシス
4. メタアナリシス→症例検討→前後比較研究
5. メタアナリシス→前後比較研究→症例検討

解答5

解説

● 図:Minds診療ガイドライン作成の手引き2014に記載されている「エビデンスのレベル分類」

5.〇 正しい。メタアナリシス→前後比較研究→症例検討がエビデンスレベルの高い順である。メタアナリシスとは、複数の研究結果を定量的に統合し、まとめ上げる解析方法である。エビデンスレベルは最も高い。次に、前後比較研究はある介入を加えた前後での結果を比較する方法である。症例検討は、ある症例についてのみの検討であるためエビデンスレベルが低い。

 

 

 

 

 

 

 

37 介護保険で購入ではなく貸与の適応となるのはどれか。

1. 移動式リフトの吊り具
2. 簡易浴槽
3. 腰掛便座
4. 体位変換器
5. 入浴補助用具

解答4

解説
1~3.5.× 移動式リフトの吊り具/簡易浴槽/腰掛便座/入浴補助用具は、特定福祉用具として購入対象である。
4.〇 正しい。体位変換器は、介護保険で貸与の適応となる。介護保険制度を利用して福祉用具を使用する際には、原則貸与支給となるが、再利用の心理的な抵抗感の大きいものや使用とともに形態・品質が変化するものは、特定福祉用具として厚生労働省に指定されており、購入対象になる。

貸与の対象

①車椅子
②車椅子付属品
③特殊寝台
④特殊寝台付属品
⑤床ずれ防止用具
⑥体位変換器
⑦手すり
⑧スロープ
⑨歩行器
⑩歩行補助杖
⑪認知症老人徘徊感知機器
⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)
⑬自動排泄処理装置

購入の対象

①腰掛け便座
②自動排泄処理装置の交換可能部分
③入浴補助用具
④簡易浴槽
⑤移動用リフトの吊り具の部分

 

 

 

 

 

 

38 作業療法における標準感染予防策として適切なのはどれか。

1. 手洗い後は共用の布タオルで水気を取る。
2. 外気が入らないように部屋を閉めきる。
3. 手は水に5〜10秒程度浸して洗う。
4. 部屋は40〜50 %の湿度を保つ。
5. 患者に触れる前後に手を洗う。

解答5

解説

感染予防策とは?

感染予防策は、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有・無にかかわらず患者と医療スタッフすべてに適応される予防対策である。患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして対応・行動する方法である。

1.× 手洗い後は、「共用の布タオル」ではなく、ペーパータオルなどの使い捨ての備品で水気を取る。なぜなら、共用の布タオルでは、せっかく手洗いをしても、その後に布タオルを介して感染が広がるおそれがあるため。
2.× 外気が入らないように部屋を「閉めきる」のではなく、外気を取り込み換気を十分に行う。しかし、換気については標準感染予防策には含まれていない。
3.× 手は、「水に5〜10秒程度浸して洗う」のではなく、手は石鹸を用いて流水で全行程40~60秒以上洗う。
4.× 部屋の湿度は、「40〜50%」ではなく60~70%を保つ。なぜなら、粘膜が乾燥すると、細菌やウイルスの感染リスクが増すため。しかし、湿度管理は標準感染予防策には含まれていない。
5.〇 正しい。患者に触れる前後に手を洗う。手洗いは最も基本的な標準感染予防策であり、医療処置の前後に行う。

 

 

 

 

 

 

 

39 評価尺度について正しいのはどれか。

1. 妥当性の検討法の1つとして再検査法がある。
2. 信頼性の検討には他の標準的尺度との相関関係をみる。
3. 名義尺度で用いられる代表値に中央値がある。
4. 順序尺度で用いられる代表値に平均値がある。
5. 間隔尺度で測定された2群の平均値の差の検定法にt 検定がある。

解答5

解説

・妥当性とは、測定値のばらつきとは関わりなく、一定方向への偏りを示す系統誤差を評価する概念である。

・信頼性とは、同じ対象を繰り返し測定した場合の測定値のばらつき、いわば測定の再現性に関わる概念である。偶然誤差を評価する指標となる。誤差はランダムに生ずる。つまり、真値との相関はない。

 

1.× 再検査法は、「妥当性」ではなく、信頼性の検討法の1つである。信頼性の検討法は、他にも折半法、クロンバックのα係数などがある。ちなみに、再検査法は、いつやっても同じかどうか(再現性)を検討する方法である。
2.× 他の標準的尺度との相関関係をみるのは、「信頼性の検討」ではなく、妥当性の検討である。妥当性の検討法の1つである併存的妥当性の検討は、他の標準的尺度との相関関係をみる。例えば、スポーツのフォームに対して、自分のフォームをプロのフォームに近づけようとすることなどである。
3.× 名義尺度は、中央値で表せない。なぜなら、名義尺度とは、性別・血液型などの質的な違いに対して数値や名前を割り振ったものであるため。数値同士の計算はできないので、中央値を求められない。代表値の一つである中央値とは、有限個のデータを小さい順に並べたとき中央に位置する値のことである。
4.× 順序尺度は、平均値で表せない。なぜなら、順序尺度とは、成績や順位、MMTなどの順序づけができるものであるため。数値同士の計算はできないので、平均値は表せない。平均値とは、複数の数値に対して、個々を全て足し合わせた後、数値の個数で割った値のことである。
5.〇 正しい。間隔尺度で測定された2群の平均値の差の検定法に、t検定がある。間隔尺度とは、気温・知能指数のように等間隔の目盛りづけができるものである。数値同士の和や差は計算できるので、2群のデータの平均値の差をみるt検定が利用できる。

 

 

 

 

 

 

 

40 てんかんについて正しいのはどれか。

1. 単純部分発作では意識障害を伴う。
2. 複雑部分発作では自動症がみられる。
3. 高齢になるとてんかんの発症率は低下する。
4. 症候性てんかんは特発性てんかんに比べ予後が良い。
5. 認知症をきたす変性疾患がてんかんの原因となることはない。

解答2

解説

1.× 意識障害を伴うのは、「単純部分発作」ではなく、複雑部分発作である。単純部分発作は、大脳半球の局所的な過剰興奮により、焦点部位に応じて様々な症状を呈するてんかんである。複雑部分発作は、側頭葉から前頭葉にかけての局所的な過剰興奮によることが多いてんかんである。
2.〇 正しい。複雑部分発作では、自動症がみられる。複雑部分発作は、側頭葉から前頭葉にかけての局所的な過剰興奮によることが多いてんかんで、発作中の意識は消失し、自動症(口をもぐもぐさせる、舌なめずりをする、ボタンや衣類をいじるなど)の症状を呈する。
3.× 高齢になるとてんかんの発症率は、「低下する」のではなく増加する。てんかんの大半は、20歳までに発症する(ピークは乳児期と思春期)が、加齢伴い脳血管障害などによる晩発性てんかんが増加する。
4.× 症候性てんかんは特発性てんかんに比べ予後が、「良い」のではなく悪い。なぜなら、症候性てんかんとは、脳腫瘍や脳血管障害などが原因となって起こるものであるため。
5.× 認知症をきたす変性疾患がてんかんの原因となることもある。なぜなら、神経変性疾患によるてんかんは、高齢者において発生するてんかんの原因として脳卒中に次いで多いとされるため。

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