第51回(H28) 作業療法士国家試験 解説【午後問題31~35】

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31 手指の血行障害による皮膚の潰瘍を合併しやすいのはどれか。

1. Guillain-Barré 症候群
2. Sjögren 症候群
3. Basedow病
4. Behçet 病
5. 強皮症

解答5

解説
1.× Guillain-Barré症候群(ギランバレー症候群)は、免疫・炎症性ニューロパチーの代表的疾患である。症状は、運動麻痺や感覚障害であるが、血行障害は関与していない。急性の運動麻痺を主徴とする多発根ニューロパチーをきたし、多くは自然回復するが、一部重篤化することがある。ほかにも、感冒様症状(発熱、頭痛、鼻汁、咳・痰、咽頭痛)や腹部症状(腹痛、下痢)から1~3週間後に四肢の筋力低下をきたし、運動神経障害を主症状とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。
2.× Sjögren症候群(シューグレン症候群)は、口腔内や眼の乾燥症状を主症状とする自己免疫疾患である。血行障害は関与しない。
3.× Basedow病(バセドウ病)は、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。また、甲状腺中毒症状も出現するが、血行障害は関与しない。
4.× Behçet病(ベーチェット病)は、自己免疫疾患である。四徴として、①口腔粘膜のアフタ性潰瘍、②ぶどう膜炎、③皮膚症状(結節性紅斑や皮下硬結)、④外陰部潰瘍である。皮膚症状として、下腿に後発する。発赤や皮下結節を伴う結節性紅斑、圧痛を伴う皮下の遊走性血栓性静脈炎、顔面・頚部・背部などにみられる毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹などが出現する。
5.〇 正しい。強皮症は、手指の血行障害による皮膚の潰瘍を合併しやすい。強皮症は、皮膚・内臓の線維化やRaynaud現象(レイノー現象)が主な症状である。Raynaud現象(レイノー現象)とは、寒冷刺激や精神的緊張などによって誘発される血管れん縮による手指などの皮膚の色調変化であり、典型的には蒼白、紫色、発赤の順に3相性の色調変化を認める。

強皮症とは?

 全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどである。

 

 

 

 

 

 

32 前交通動脈の動脈瘤塞栓術後に両側前脳基底部の梗塞で生じやすい症状はどれか。

1. 構成障害
2. 視覚失認
3. 相貌失認
4. 感覚性失語
5. 健忘症候群

解答5

解説

(※画像引用:Akira Magazine様HPより)

1.× 構成障害は、頭頂連合野の障害で生じる。構成障害は「まとまりのある形態を形成する能力に障害をきたし、空間的に配置する行為が困難になった状態」と定義されている。
2.× 視覚失認(物体失認)は、左後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての障害で生じる。視覚で認識した物体がなんであるか分からない状態である。
3.× 相貌失認は、右後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての障害で生じることが多い。顔を見ただけではその人が誰であるかわからないが、服装・声・髪形などの特徴を手掛かりにすれば誰なのか判断できる状態である。
4.× 感覚性失語(Wernicke)失語は、左半球(優位半球)側頭葉の障害で生じる。
5.〇 正しい。健忘症候群は、前脳基底部の障害で起こる。前脳基底部は、記憶・認知・睡眠をつかさどる。

 

 

 

 

 

33 切断肢における断端管理で弾力包帯法がギプスソケット法に比べて優れている点はどれか。

1. 義肢の装着が早い。
2. 断端の成熟が早い。
3. 創部の観察が容易。
4. 断端の浮腫が少ない。
5. 断端の疼痛が少ない。

解答3

解説
1.× 弾力包帯法のほうが、義肢の装着が「早い」のではなく遅い。なぜなら、ギプスソケット法はギプスソケットに直接義肢をつけることもでき、また断端成熟を早めることができるため。
2.× 弾力包帯法のほうが、断端の成熟が「早い」のではなく遅い。なぜなら、ギプスソケット法の方が、浮腫が起きにくく、断端を強く圧迫できるため。
3.〇 正しい。弾力包帯法のほうが、創部の観察が容易である。したがって、著しい感染を伴った糖尿病性足壊疽のように、感染再発リスクのある状態の断端では適応とならない。
4.× 弾力包帯法のほうが、断端の浮腫が「少ない」ではなく多い。なぜなら、ギプスソケット法の方が、強い圧迫をかけられ、浮腫が少ないため。
5.× 弾力包帯法のほうが、断端の疼痛が「少ない」ではなく多い。なぜなら、ギプスソケットに直接義肢をつける方法もあるため。早期から義肢を装着することでボディ・イメージがつきやすく、幻肢痛を来しにくくする効果もある。

 

 

 

 

 

 

34 廃用症候群が原因となるのはどれか。

1. 脳梗塞
2. 糖尿病
3. 心筋梗塞
4. 沈下性肺炎
5. 閉塞性動脈硬化症

解答4

解説

 廃用症候群とは、長期臥床や安静によって生じる全身の機能低下、臓器の退行性の変化や臨床症状をきたしている状態である。

1.× 脳梗塞が起こるとはいえない。なぜなら、脳梗塞は動脈硬化・脱水・心房細動などが原因で起こるため。また、脳梗塞によって寝たきり(廃用症候群)にはなっても、廃用症候群が原因で脳梗塞にはならない。
2.× 糖尿病が起こるとはいえない。なぜなら、糖尿病にも2つのタイプがあるため。糖尿病は遺伝的素因が関わるⅠ型と、食生活や運動習慣・家族歴など多因子が関わるⅡ型がある。いずれにしても廃用症候群は糖尿病の原因とは考えられない。
3.× 心筋梗塞が起こるとはいえない。なぜなら、心筋梗塞は、冠動脈の動脈硬化や攣縮などによってプラークや血栓が冠動脈に詰まり、心筋への血流が完全に途絶えることによって生じるため。
4.〇 正しい。沈下性肺炎が起こる。沈下性肺炎とは、長期臥床によって重カが同一方向にかかり、痰や唾液などの体液が肺の下面、つまり背側に溜まった結果、細菌感染を起こし、肺炎に至ったものである。廃用症候群により、筋力低下や臓下障害などを来すことが誤嚥につながり、沈下性肺炎を発症させやすくする。
5.× 閉塞性動脈硬化症が起こるとはいえない。なぜなら、閉塞性動脈硬化症(ASO)は、動脈硬化が原因で起こるため。閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったりして、充分な血流が保てなくなる病気である。そのため、血液の流れが悪くなり、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じる。

 

 

 

 

 

 

35 後期高齢者の介護予防事業で行った体力測定の結果の中で、転倒リスクが高いと解釈されるのはどれか。

1. 握力:35 kg
2. 10 m 歩行時間:7秒
3. 開眼片脚立ち持続時間:25秒
4. ファンクショナルリーチ:40 cm
5. Timed Up and Go Test<TUG>:20秒

解答5

解説

バランス能力を評価する指標
  1. ファンクショナルリーチ
  2. Timed Up and Go Test(TUG)
  3. 開眼片脚立ち持続時間など。

1.× 握力は、全身の筋力・体力を反映している。握力35kgは、年齢にして十分な結果である。
2.× 10m歩行時間とは、助走路を含めた直線歩行路約16mを至適速度または最高速度で歩行し、定常歩行とみなせる中間の10mの所要時間をストップウォッチにて計測するものである。一般的に、屋外歩行のカットオフが11秒程度である。7秒は、年齢にして十分な結果である。
3.× 開眼片脚立ち持続時間は、15秒未満を運動器不安定症の基準(日本整形外科学会)としている。25秒は、年齢にして十分な結果である。
4.× ファンクショナルリーチは、バランスの評価に用いられる。立位で、足が前に出たり浮いたりせず、水平方向に上肢をできるだけ伸ばす。平均25~30cmであり、30cm以上では転倒リスクは低い。
5.〇 正しい。Timed Up and Go Test<TUG>の20秒は、転倒リスクが高いと解釈される。Timed Up and Go Test<TUG>は、椅子から3m離れたところにコーンなどを置き、被検者が椅子から立ち上がりコーンを回って戻り再び椅子に座るまでの時間を測定する。転倒予測(運動器不安定症)のカットオフは、11秒程度である。したがって、20秒は転倒リスクが高い。

 

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