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46 パニック障害の患者に対する作業療法の目的で適切なのはどれか。
1.病識の獲得
2.身辺処理能力の向上
3.対人交流技能の向上
4.不安対処能力の向上
5.現実感喪失からの回復
解答4
解説
パニック障害とは、突然前触れもなく(誘因なく)、動悸・息苦しさ・めまいなどの症状が出現するパニック発作を繰り返し、そのため「またあの発作が起きたらどうしよう」と過度に心配になって、外出などが制限される病気である。
1.× 病識の獲得は、作業療法の目的で優先度は低い。なぜなら、パニック障害患者の病識は保たれているため。したがって、むしろ自ら治療を求めて来院されることが多い。
2~3.× 身辺処理能力の向上は、作業療法の目的で優先度は低い。なぜなら、パニックの心配による外出などが制限されることはあっても身辺処理能力/対人交流技能の低下はないため。
4.〇 正しい。不安対処能力の向上は、作業療法の目的で優先度が高い。不安が生じても、作業に集中してそれにとらわれない時間を過ごすことにより、症状の改善を図ることが目的となる。
5.× 現実感喪失からの回復は、作業療法の目的で優先度は低い。なぜなら、主に解離性障害に起こるものであるため。他には、精神的な疲労、不安障害、うつ病性障害、統合失調症などで起こる。また、現実感喪失が生じているパニック障害の場合、不安対処能力の向上に伴い、現実感喪失からも自然に回復してくる可能性が高い。
47 作業療法中に簡単な作業であっても頻回に助言を求めるのはどれか。
1.依存性パーソナリティ障害
2.演技性パーソナリティ障害
3.妄想性パーソナリティ障害
4.非社会性パーソナリティ障害
5.自己愛性パーソナリティ障害
解答1
解説
1.〇 正しい。依存性パーソナリティ障害は、簡単な作業であっても頻回に助言を求める行為がみられる。世話されたいという欲求過剰のために生まれる行為である。他人に強く依存し、自信に欠けている傾向をもつ。
2.× 演技性パーソナリティ障害は、自己の感情を誇張して表出し、過度に人の注意を引こうとする特徴を持つ。役者を演じているような大げさな立ち振る舞い自分が場の中心になっていないと、不快になりやすい。
3.× 妄想性パーソナリティ障害は、他人に対して常に疑いをもち、その行動を悪い方に解釈する傾向をもつ。疑い深さが強い。
4.× 非社会性パーソナリティ障害は、他人への配慮がなく、他人の権利を無視し、それを侵害する特徴を持つ。衝動的な反社会的行動の傾向を持つ。
5.× 自己愛性パーソナリティ障害は、特権意識(自分が素晴らしいと誇大に思うこと)をもち、尊大で倣慢な態度(自己中心的な態度)をとる。賞賛されたいという欲求が強く、また他者への共感の感情が欠如する傾向を持つ。
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【OT専門のみ】パーソナリティ障害についての問題「まとめ・解説」
48 Asperger症候群患者の作業療法にみられる特徴はどれか。
1.コミュニケーションが得意である。
2.流動的状況を好む。
3.独自の手順がある。
4.曖昧条件を好む。
5.臨機応変である。
解答3
解説
Asperger症候群(アスペルガー症候群)の特徴(小児自閉性障害と異なる点)
①言語発達の遅れはない、②知能は正常であることが多い、③対人接触に無関心というよりはむしろ常軌を逸し一方的に接近しようとする、などのことが挙げられる。
また、興味・関心の幅が狭いので新たな作業の導入には抵抗が強く、その一方で同じ作業を続ける力はもともと(こだわり)がある。作業や通所が続かなくなる理由には、対人関係技能が低下しているために、困っていても援助を求める方法を知らないため、本人の無理のない範囲でコミュニケーション能力をつけていく作業療法が必要である。
1.× コミュニケーションは、「得意」ではなく障害をきたしている。困っていても援助を求める方法を知らないため、本人の無理のない範囲でコミュニケーション能力をつけていく作業療法が必要である。
2.× 流動的状況を「好む」のではなく、苦手である。生活のパターンを守ろうとし、予定外のことへの対応が苦手である。
3.〇 正しい。独自の手順(こだわり)がある。
4.× 曖昧条件は好まない。暖味な条件が苦手であるため、作業療法時は具体的で明確な指示をする。
5.× 臨機応変に対応するのは困難である。特定の分野へのこだわりや、独自の手段があるため。
49 心因性のけいれん発作を繰り返す患者への対応で適切なのはどれか。
1.叱咤激励する。
2.心理検査を提案する。
3.作業療法への参加を中止する。
4.その都度プログラムを変更する。
5.ストレス状況について話し合う。
解答5
解説
心因性のけいれん(ヒステリー発作)は、転換性障害の一つである。①随意運動障害、または②感覚機能障害に先立って、心理的葛藤やストレス要因が見出され、心理的要因が関連していると判断されるものである。いわゆる「意識が飛ぶ」という意味に近い。治療は、①要因と考えられる心理的ストレスの軽減、②本人への支持的な精神療法があげられる。
1.× 叱咤激励する必要はない。なぜなら、心因性のけいれん発作は、わざとやっているのではないため。
2.× 心理検査を提案する必要はない。なぜなら、自己の不安感や直面している困難を意識しないようにするために症状を呈しているからである。つまり、心理検査を実施し心理的意味を解釈しても患者は身体疾患であると確信しているため結果に受け入れられない可能性が高い。
3.× 作業療法への参加を中止する必要はない。なぜなら、まずはどういう状況で症状が繰り返すのか患者に聞いて、その理由を共に考えていくことが必要であるため。
4.× その都度プログラムを変更する必要はない。なぜなら、心因性のけいれん発作を繰り返す原因が、プログラムの影響であるとは一概に言えず、またプログラムを変更すれば、けいれん発作を抑制できるとは限らないため。治療は、①要因と考えられる心理的ストレスの軽減、②本人への支持的な精神療法があげられる。したがって、症状と向き合いながらプログラムを提供する必要がある。
5.〇 正しい。ストレス状況について話し合う。解決困難なストレスにさらされ、一時的であっても休息の時間と場所いるときに身体化症状が起こりやすい。ストレス状況の改善を一緒に取り組んでいくことで、身体化(この場合はけいれん)が軽減していく。
50 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(心神喪失者等医療観察法)について正しいのはどれか。(※採点対象から除外)
1.対象者の行動管理が目的である。
2.入退院の処遇は簡易裁判所で判断される。
3.鑑定入院時の評価に作業療法士が関与する。
4.指定入院医療機関には社会復帰調整官が配置される。
5.社会復帰調整官は指定入院医療機関の退院決定から対象者と関わる。
解答 なし(※採点対象から除外)
理由:選択肢に正解がないため。
解説
医療観察法とは、重大な他害行為を行った精神障害者に医療を受けさせ、犯罪の再発を防ぎ社会復帰の促進が目的である。平成15年に制定され、平成17年施行した。「重大な他害行為」とは、①殺人、②放火、③強盗、④強姦、⑤強制わいせつ、⑥傷害の6つである。鑑定入院の後で、裁判官と精神保健審判員からなる合議体(裁判官と精神保健審判員からなる)が処罰の審判を下す。
1.× 目的は、「対象者の行動管理」ではなく、対象者への適切な医療の提供(再発防止)と社会復帰の促進である。
2.× 入退院の処遇は、「簡易裁判所」ではなく、地方裁判所で判断される。まず、検察官が地方裁判所に申し立てを行う必要がある。
3.× 鑑定入院時の評価は、「作業療法士」ではなく、鑑定医(精神科医)が関与(評価)する。しかし、鑑定入院中に作業が行われた場合は作業療法士の意見も鑑定に盛り込まれることがある。したがって、確実に作業療法士が関与するものではないため不適切である。ちなみに、鑑定入院時には、①精神障害者の疾病性、②対象行為との関係、③治療反応性、④社会復帰阻害要因などが評価される。
4.× 指定入院医療機関には、「社会復帰調整官」ではなく、常勤精神保健指定医や医師、看護師、臨床心理技術者、作業療法士、精神保健福祉士が配置される。指定医療機関では、専任の作業療法士の配置を義務付けるなど多職種がかかわり、普通の精神科病院よりも手厚いチーム医療を行う。社会復帰調整官は、法務省管轄の保護観察所に配属されている。ちなみに、指定入院医療機関とは、触法精神障害者に対する心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による入院処遇を担当させるため、厚生労働大臣が指定した医療機関である。
5.× 社会復帰調整官は、指定入院医療機関の「退院決定から」ではなく、鑑定入院時から対象者と関わる。対象者(精神障害者)の生活環境調査を行う。指定入院医療機関の退院決定からは、対象者の社会復帰に向けてのケア会議を開催するなど、本法での中心的な役割をもつ。