第50回(H27) 作業療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

 

41 復職を目指すうつ病患者の作業療法開始時の指導内容で適切なのはどれか。

1.仕事環境と同じ環境にする。
2.体力の回復を目指す。
3.関心の拡大を目指す。
4.時間厳守を目指す。
5.能力限界を試す。

解答2

解説

 本症例は、復職を目指しているが、復職の有無にかかわらずうつ病の作業療法開始時には、①負荷が小さく、②自信を回復させるような作業が適切である。

1.× 仕事環境と同じ環境にする必要はない。なぜなら、うつ病に至った環境と同じような環境にすると、病前の自分と今の自分を比較し自信を失う恐れがあるため。
2.〇 正しい。体力の回復を目指す。まずは、うつ病の作業療法開始時には、①負荷が小さく、②自信を回復させるような作業が適切である。
3.× 関心の拡大を目指すのは、時期尚早である。余暇を充実してもらえるよう回復期後期に行う。
4.× 時間厳守を目指す必要はない。なぜなら、もともとうつ病患者は責任感が強く真面目であるため。約束や時間は遵守しようとするため、むしろ過度な指導は病状を悪化させる可能性がある。
5.× 能力限界を試す必要はない。なぜなら、もともとうつ病患者は、頑張りすぎて疲労感を高める傾向にあるため。病前と比較し自己評価を低下させることも考えられる。

統合失調症の回復期の作業療法のポイント

①急性期後の身体的・精神的疲弊のため、休養を十分にとる。
②簡単な身辺処理の活動(洗面・入浴・更衣など)を促す。
③生活リズムの確立を図る。
④活動量を少しずつ増やす。
⑤少しずつ現実世界へ関心を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

42 Lewy小体型認知症患者の作業療法にみられる特徴はどれか。

1.活動にむらがある。
2.姿勢保持が良い。
3.多幸的である。
4.作話が多い。
5.歩き回る。

解答1

解説

Lewy小体型認知症の症状

①進行性の認知機能障害、②認知機能の変動・動揺、③反復する幻視(人,小動物,虫)、④パーキンソニズムなど。

1.〇 正しい。活動にむらがある(認知機能の変動・動揺)。日内あるいは数週~数か月に及ぶ変動がある。
2.× 姿勢保持は悪い傾向にある。なぜなら、パーキンソニズム(姿勢反射障害)が認められるため。
3.× 多幸的であるのは、Lewy小体型認知症ではなく、前頭側頭型認知症などの脳器質性疾患で認められる。
4.× 作話は、Lewy小体型認知症ではなく、Korsakoff症候群(コルサコフ症候群:アルコール性認知症)などでみられる。
5.× 歩き回る(徘徊)は、Lewy小体型認知症ではなく、アルツハイマー型認知症でみられる。Lewy小体型認知症では、パーキンソニズムにより動作緩慢となるため、比較的歩きまわることは少ない。

Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)とは?

Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)とは、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話が特徴的な症状である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

43 アルコールによる精神障害に関連が強いのはどれか。

1.解離
2.過食
3.健忘
4.強迫
5.離人

解答3

解説

アルコール依存症にみられる精神症状には、①離脱症状、②アルコール幻覚症、③アルコール性妄想障害(アルコール嫉妬妄想)、④健忘症候群(Korsakoff症候群、アルコール性健忘症候群)、⑤残遺性・遅発性精神病性障害があげられる。

1.× 解離は、主に解離性障害でみられる。解離とは、①ある時期の過去の記憶の脱落、②自己の同一性があいまい、③現実感がない、④身体運動がコントロールできないなどの症状をいう。
2.× 過食は、摂食障害の患者にみられることが多い。
3.〇 正しい。健忘は、アルコールによる精神障害に関連が強い。Korsakoff症候群(アルコール性認知症)にみられる.
4.× 強迫は、主に強迫性障害でみられる。強迫とは、ある思考や行為が本人にとって不合理と理解されているにも関わらず、それを制止することができない症状をいう。
5.× 離人は、①解離性障害、②パーソナリティ障害、③うつ病、④初期の統合失調症など広い範囲の疾患でみられる。離人感とは、自分の存在・身体感覚・行為に対する実感や、外界に対する現実感がなくなることをいう。「外の世界と自分との間にベールがあるような感じ」と表現されることが多い。

 

 

 

 

 

 

 

44 長期入院後の統合失調症患者の就労における作業内容として適切なのはどれか。

1.対人交流が多い。
2.精密な作業を含む。
3.勤務時間の変更が多い。
4.スピードを求められない。
5.自身の判断で手順を決められる。

解答4

解説
1.× 対人交流が多い作業内容ではなく、少ない方が良い。なぜなら、対人関係が苦手であることが多いため。対人交流の多い作業は負荷が大きい。
2.× 精密な作業を含む作業内容は避けた方が良い。なぜなら、精密な作業など集中力が必要な作業は負荷が大きいため。ちなみに、作業量が多いものも負担が大きいため避けた方が良い。
3.× 勤務時間の変更が多い作業内容は避けた方が良い。なぜなら、新しいことや変化への対応は苦手であるため。また、作業に慣れるのにも時間がかかるため、勤務時間の変更は少ないものがよい。
4.〇 正しい。スピードを求められない作業内容が良い。なぜなら、作業速度が遅く、日によってもむらがあるため。マイペースでできる作業が適している。
5.× 自身の判断で手順を決められる作業内容ではなく、枠組みや順番が決まっている作業が良い。なぜなら、遂行機能が低下しているため。

 

 

 

 

 

 

45 うつ病に特徴的な考え方でないのはどれか。

1.何でも自分のせいにする。
2.白か黒かはっきりさせたがる。
3.物事の悪い側面に注目してしまう。
4.予測を悪い方に増長させてしまう。
5.他人の言動の意図を悪い方にとらえる。

解答5

解説

うつ病の症状について

感情面:抑うつ、不安、焦燥。

意欲面:意欲低下(日内変動があり特に朝が悪い)、自殺念慮。

思考面:微小妄想(罪業、貧困、心気)、思考抑止、離人。

身体面:不眠(早期覚醒が多い)、頭重感、めまい、倦怠感。

1.〇 何でも自分のせいにすること(罪業妄想)は、うつ病に特徴的な考え方である。
2.〇 白か黒かはっきりさせたがるは、うつ病に特徴的な考え方である。完壁主義的な性格である(物事をすべて極端な考えで割り切ろうとする)うつ病患者に多い考え方である。
3~4.〇 物事の悪い側面に注目してしまう/予測を悪い方に増長させてしまうことは、うつ病に特徴的な考え方である。そのため、不安感を増大させ悪循環となる。
5.× 他人の言動の意図を悪い方にとらえる(被害妄想や関係妄想)は、うつ病ではなく、妄想性パーソナリティ障害や統合失調症にみられる考え方である。うつ病患者は自責的であり、何でも自分のせいにしてしまう傾向がみられる。

 

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