第50回(H27) 作業療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

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36 熱傷患者に対する作業療法で誤っているのはどれか。

1.肥厚性瘢痕部は圧迫する。
2.急性期から装具で良肢位に保持する。
3.急性期はゆっくりとした運動を行う。
4.皮膚移植部は生着してから伸張する。
5.体幹の熱傷では肩関節は内転位とする。

解答5

解説
1.〇 正しい。肥厚性瘢痕部は圧迫する(スポンジや弾性包帯などでの圧迫法)。肥厚性疲痕が顔面や関節部にかかる場合、しばしば拘縮を来し、機能障害の原因となるため予防が必要である。
2.〇 正しい。急性期から装具で良肢位に保持する。なぜなら、拘縮予防のため行う。
3.〇 正しい。急性期はゆっくりとした運動を行う。なぜなら、強度の高い運動は、皮膚の急激な伸張により、組織の傷害をきたすため。
4.〇 正しい。皮膚移植部は生着してから伸張する。植皮術後の安静期間は、採皮部で1~2日、植皮部で7~10日である。
5.× 体幹の熱傷での肩関節は、「内転位」ではなく外転・外旋位とする。なぜなら、体幹の熱傷において肩関節は、内転・内旋に拘縮しやすいため。また、熱傷の二次症状として癒着・疲痕拘縮が起こりやすいため、熱傷部位が伸展されるような肢位をとることが基本である。

 

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理学療法士国家試験 熱傷についての問題7選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

37 がん患者の遺族が行うのはどれか。

1.Assertion(アサーション)
2.Grief work(グリーフワーク)
3.Validation(バリデーション)
4.Living will(リビングウィル)
5.Narrative approach(ナラティブアプローチ)

解答2

解説
1.× Assertion(アサーション)は、がん患者の遺族に特定して行うものではない。Assertion(アサーション)とは、自分の考えや意見を主張することをいう。
2.〇 正しい。Grief work(グリーフワーク)は、がん患者の遺族に行う。Grief work(グリーフワーク)とは、「喪の作業」と訳されるフロイトの言葉で「家族や友人を亡くしたことを嘆き悲しみ、その後回復していく過程」のことである。ちなみに、Grief(グリーフ)とは、大切な対象(人・もの・関係性)を失った時に体験する心身の反応のことである。家族や友人など、非常に関わりの深かった人物を失うことを、精神分析では特に「対象喪失」と呼ぶ。グリーフワークが正常に行われないと、慢性的な悲しみの持続や、数年後に危機的な状況に陥るなど、病的悲嘆(ひたん)に移行することがある。
3.× Validation(バリデーション)は、がん患者の遺族に特定して行うものではない。Validation(バリデーション)とは、元来は「承認」の意味であるが、認知症患者に対して尊敬と共感をもって関わり、患者の自尊心を高めるような支援をするといった方法で使われる。
4.× Living will(リビングウィル)は、がん患者の遺族に特定して行うものではない。Living will(リビングウィル)とは、「生きている間に効力を発揮する遺言」のことである。意思決定能力を失った場合に備えて、患者本人が希望する医療内容を事前に意思表示するものである。
5.× Narrative approach(ナラティブアプローチ)は、がん患者の遺族に特定して行うものではない。Narrative approach(ナラティブアプローチ)とは、患者の主観を含めた「語り(物語)」を重視し、そのうえで医療者側の考えも伝え、患者と医療者が一体となって医療を進めていく方法をいう。

 

 

 

 

 

38 通所リハビリテーションについて正しいのはどれか。

1.個別訓練は提供できない。
2.医療保険での利用はできない。
3.3か月以内の短期的利用に限られる。
4.通所リハビリテーション専用の設備基準はない。
5.利用者20名に対する作業療法士の配置基準は1名である。

解答2

解説

通所リハビリテーションとは?

通所リハビリテーションは、利用者が老人保健施設・病院・診療所などに通い、日常生活上の支援や、生活機能訓練を受け、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするものである。

1.× 個別訓練も提供できる。
2.〇 正しい。医療保険での利用も行われることがある。原則、介護保険が適用されるが、重度の患者に対して医療保険適用の医療行為が行われることもある。
3.× 3か月以内の短期的利用に限られるのは、短期入所(ショートステイ)である。通所リハビリテーションは、長期利用も可能である。
4.× 通所リハビリテーション専用の設備基準がある。利用者数に応じて必要な専有面積などが規定されている。
5.× 「利用者20名に対する」ではなく、利用者100名に対する作業療法士の配置基準は1名である。

 

 

 

 

 

 

39 評価基準の一部を図に示す。
 評価法はどれか。

1.SMSF(inventory scale for mood and sense of fatigue)
2.精神障害者ケアアセスメント(日本作業療法士協会版)
3.BACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版)
4.Rehab(精神科リハビリテーション行動評価尺度)
5.LASMI(精神障害者社会生活評価尺度)

解答5

解説
1.× SMSF(inventory scale for mood and sense of fatigue:気分と疲労のチェックリスト)とは、統合失調症患者の気分と疲労感に関する13項目からなる自記式尺度である。各尺度について被検者は、「感じない」と「強く感じる」を両端とする線分上のどのあたりに今の状態が当てはまるかをチェックするようになっている。
2.× 精神障害者ケアアセスメント(日本作業療法士協会版)とは、①主訴、②健康管理、③生活エピソード、④人的支援状況、⑤経済面、⑥生活習慣および介護状況、⑦住宅環境・福祉機器、⑧身体・日常生活能力、⑨精神機能活動の各項目について、ケア必要度尺度と社会的不利尺度により、地域生活維持に必要な能力を評定するものである。
3.× BACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版)とは、①言語性記憶と学習、②ワーキングメモリー(作動記憶)、③運動機能、④注意と情報処理速度、⑤言語流暢性(意味流暢性、文字流暢性)、⑥遂行機能の6つの認知機能領域を評価する7つの検査で構成される。
4.× Rehab(精神科リハビリテーション行動評価尺度)とは、病棟・デイケア・社会復帰施設などで観察した行動を評定するものである。23項目で簡便で繰り返し使用できるのが特徴である。
5.〇 正しい。LASMI(精神障害者社会生活評価尺度)とは、社会生活能力を評価するものである。①日常生活、②対人関係、③労働または課題遂行能力、④持続性・安定性⑤自己認識の5つの大項目からなる評価尺度である。過去1か月間の行動について、0~4点の5段階で評価する。

 

 

 

 

 

 

40 うつ状態の患者の作業療法中にみられる訴えはどれか。

1.「考えが次々に浮かんできます」
2.「考えが声になって聴こえます」
3.「考えが他人に知られます」
4.「考えが全く浮かびません」
5.「考えが急に止められます」

解答4

解説
1.× 考えが次々に浮かんでくる(観念奔逸)は、繰病に特徴的な訴えである。
2.× 考えが声になって聴こえる(考想化声)は、統合失調症に特徴的な訴えである。
3.× 考えが他人に知られる(考想伝播)は、統合失調症に特徴的な訴えである。
4.〇 正しい。考えが全く浮かばない(思考制止)は、うつ病に特徴的な訴えである。
5.× 考えが急に止められる(思考途絶)は、統合失調症などに特徴的な訴えである。

うつ病の症状について

感情面:抑うつ、不安、焦燥。

意欲面:意欲低下(日内変動があり特に朝が悪い)、自殺念慮。

思考面:微小妄想(罪業、貧困、心気)、思考抑止、離人。

身体面:不眠(早期覚醒が多い)、頭重感、めまい、倦怠感。

 

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