第50回(H27) 作業療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

 

26 FIMの評定で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.浴槽移乗7点:浴槽の縁に腰掛けて浴槽をまたぐ。浴槽内でしゃがみ、立てる。
2.食事6点:ホルダー付きスプーンを介助者に装着してもらい、食事動作は自立している。
3.記憶5点:メモリーノートを用いて自立し、問題を生じていない。
4.トイレ動作4点:服を上げるのが不十分で介助者の口頭指示を必要とする。
5.更衣(上半身)2点:前開きシャツで非麻痺側の袖通しはできるが、他は介助を要する。

解答1/5

解説
1.〇 正しい。浴槽の縁に腰掛けて浴槽をまたいだり、浴槽内でしゃがみ、立てることができるということは、介助なしで自立していることとなる。つまり、浴槽移乗7点(完全自立)である。
2.× :ホルダー付きスプーンを介助者に装着してもらい、食事動作は自立しているのは、食事6点(修正自立)ではなく、5点(監視または準備)である。6点は補助具を用いて自力で可能なレベル、5点は介助者が身体に触れないで可能なレベルである。食事動作自体は自立しているものの、事前に装具を介助者に装着してもらうため5点である。
3.× メモリーノートを用いて自立し、問題を生じていないのは、記憶5点(監視または準備)ではなく、6点(修正自立)である。
4.× 服を上げるのが不十分で介助者の口頭指示を必要とするのは、トイレ動作4点(最小介助)ではなく、5点(監視または準備)である。なぜなら、口頭指示のみで患者には触れていないため。
5.〇 正しい。前開きシャツで非麻痺側の袖通しはできるが、他は介助を要するのは、更衣(上半身)2点である。最大介助の2点は、25%~50%の自立である。更衣動作では、患者は押し入れや引き出しから衣服を取り出すといった準備の動作や、どの服から順番に身に着けるべきかといった部分も評価される。前開きシャツを着る際には、①大まかには服の準備、②麻痺側の袖通し、③非麻痺側の袖通し、④ボタンをかけたりやファスナーを上げるといった少なくとも4つの動作があり、これらのうち非麻痺側の袖通ししかできていないというのであれば、4動作中1動作なので25%ということになる。

 

 

 

 

 

 

27 Parkinson病に比し脳血管性パーキンソニズムで特徴的な症状はどれか。

1.無動
2.固縮
3.安静時振戦
4.錐体路障害
5.Myerson徴候

解答4

解説

 脳血管性パーキンソニズムとは、大脳基底核から中脳に至る部分の血管の病変(脳梗塞または脳出血)によって筋肉の固縮、緩慢動作、小刻み歩行(小歩)、姿勢保持反射障害などのParkinson病に似た症状が発現すること。一方で、脳血管性パーキンソニズムでは、安静時振戦は現れにくく、錐体路徴候が現れやすい。したがって、選択肢4.錐体路障害が脳血管性パーキンソニズムで特徴的な症状である。

1.× 無動は、どちらでもみられる。
2.× 固縮は、どちらでもみられる。脳血管性パーキンソニズムでは、歯車様固縮よりも鉛管様固縮を呈する例が多い。
3.× 安静時振戦は、Parkinson病に特徴的である。脳血管性パーキンソニズムでは現れにくい
5.× Myerson徴候(マイヤーソン徴候)は、どちらでもみられる。

Myerson徴候(マイヤーソン徴候)とは?

 眉間をハンマーや指で軽く叩くと、正常では両側眼輪筋の収縮すなわち瞬目(しゅんもく、まばたきのこと)が起こる。これを眉間反射という。これを何度も行ううちに眼輪筋の収縮は弱くなり、数回のうちに収縮しなくなるのが正常の反応である。しかし、パーキンソン症候群などの場合この反射が亢進し、何度叩いても瞬目が起こるようになる。これをMyerson徴候(マイヤーソン徴候)と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

28 多発性硬化症で正しいのはどれか。

1.男性に多い。
2.再発は少ない。
3.灰白質が病変となる。
4.60歳前後の発症が多い。
5.Uhthoff徴候が認められる。

解答5

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経に時間的(多発性)・空間的(多巣性)に病変を生じる脱髄疾患である。女性に多く、15~50歳で発症するが、20~30歳代が発症のピークである。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。

1.× 男性ではなく、女性に多い。15~50歳で発症するが、20~30歳代が発症のピークである。
2.× 再発することが診断基準に含まれている。多発性硬化症は、中枢神経に時間的(多発性)・空間的(多巣性)に病変を生じる脱髄疾患である。
3.× 灰白質ではなく、白質が主体の病変となる。なぜなら、白質は髄鞘に富むため。脱髄とは髄鞘の脱落である。
4.× 60歳前後ではなく、20~30歳代の発症が多い。
5.〇 正しい。Uhthoff徴候(ユートホフ現象)が認められる。Uhthoff徴候(ユートホフ現象)とは、体温上昇によって症状悪化することである。したがって、温熱療法は禁忌である。

 

 

 

 

 

 

29 Down症候群について正しいのはどれか。

1.転座型に次いで21トリソミーが多い。
2.発症リスクに高齢出産がある。
3.言語表出に問題はない。
4.筋緊張は高い。
5.男子に多い。

解答2

解説
1.× 逆である。21トリソミー(93%)に次いで、転座型(5%)が多い。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。
2.〇 正しい。発症リスクに高齢出産がある。一般的なDown症候群の発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる
3.× 言語表出に問題がある。なぜなら、精神発達遅滞を示し、発語は1歳半~2歳、二語文発語は遅延するため。ちなみに、精神遅滞者の10~15%を占める。
4.× 筋緊張は高いのではなく低い。floppy infant(フロッピー・インファント)とは、全身の筋緊張が極度に低下し、やわらかで、だらりとしている乳幼児をさす。
5.× 男子に多いなどの性差はない

 

 

 

 

 

 

30 感染予防策と用いられる方法の組合せで正しいのはどれか。

1.接触感染予防策:手袋の使用
2.接触感染予防策:サージカルキャップの使用
3.空気感染予防策:ガウンの使用
4.空気感染予防策:サージカルマスクの使用
5.標準予防策:N95マスクの使用

解答1

解説

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

1.〇 正しい。接触感染予防策として、手袋の使用は有用である。
2.× サージカルキャップの使用は、接触感染予防策ではなく、飛沫感染予防に有用である。
3.× ガウンの使用は、空気感染予防策ではなく、接触感染予防に有用である。
4.× サージカルマスクの使用は、空気感染予防策ではなく、飛沫感染予防に有用である。なぜなら、小さな病原体(ウイルスや結核菌など)は、サージカルマスクの隙間から通り抜けてしまうため。
5.× N95マスクの使用は、標準予防策ではなく、空気感染予防に有用である。標準予防策(standard precaution)は、全患者・医療従事者に対して実施される感染予防策である。手洗い、個人防護用具の使用などに基づく医療器具や周辺環境における感染対策である。

 

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