第50回(H27) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題96~100】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

96 アルコール依存症に関連が少ないのはどれか。

1. ペラグラ脳症
2. Cotard症候群
3. Wernicke脳症
4. Liepmann現象
5. Korsakoff症候群

解答2

解説

1.〇 ペラグラ脳症は、アルコール依存症による低栄養状態などが原因となる。皮膚症状、下痢、それに加えて多彩な神経症状(錯乱・幻覚など)がみられる。
2.× Cotard症候群(コタール症候群)は、アルコール依存症と関連が少ない。初老期の重症のうつ病に伴う妄想である。臓器を含めた自身の存在の一切がなくなり、死ぬこともできないと否定妄想である。
3.〇 Wernicke脳症(ウェルニッケ脳症)は、アルコール依存症患者のビタミンB1欠乏(偏食、過度の少食)が原因である。特に、離脱期に出現し、せん妄・健忘・発熱・傾眠などがみられ、急性に経過して予後不良である。
4.〇 Liepmann現象(リープマン現象)は、アルコール離脱症候群の振戦せん妄で認められる現象の一つである。アルコール依存から離脱による振戦せん妄状態にある患者を、閉眼させて眼球を圧迫すると、検者が暗示するものが見える現象のことをいう。
5.〇 Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)は、アルコール依存症によるビタミンB1欠乏(偏食、過度の少食)による脳障害が原因であり、Wernicke脳症(ウェルニッケ脳症)の慢性期における病態である。症状は、①記銘力障害、②見当識障害、③作話がみられる健忘症候群である。

 

 

 

 

 

97 自我の障害はどれか。

1. アンヘドニア
2. 観念奔逸
3. 妄想気分
4. 離人症
5. 連合弛緩

解答4

解説

自我意識とは、自己に対する意識である。

 

1.× アンヘドニア(無快楽症)は、感情の障害である。アンヘドニア(無快楽症)とは、喜びや楽しみを感じられないこと。統合失調症やうつ病、PTSDなどにみられる症状の一つである。
2.× 観念奔逸は、思考の異常である。観念奔逸とは、考えが次々と浮かびあがって勝手に展開していき、全体として思考の流れが逸れていく状態である。繰状態にみられる。
3.× 妄想気分は、思考の異常である。妄想気分とは、周囲がなんとなく変わってきたようで不気味であり、何か悪いことが起こりそうで不安に感じられる状態をいう。
4.〇 正しい。離人症(解離状態)は、自我の障害である。離人症(解離状態)とは、自己・外界について生き生きとした実感が持てず、現実感が失われた状態である。解離性障害、統合失調症の初期、うつ病などにみられる。
5.× 連合弛緩は、思考の異常である。連合弛緩とは、個々の話の間の関連性が弱く、話のまとまりが悪い状態をいう。

 

 

 

 

 

98 家族がすぐにでも病気になるのではないか、という心配を繰り返し訴えるのはどれか。

1. 解離性障害
2. 強迫性障害
3. 社交(社会)不安障害
4. 全般性不安障害
5. 広場恐怖

解答4

解説

1.× 解離性障害とは、症状の原因となる身体的障害がなく、ストレスの多い出来事などの心理的要因があることを前提条件として、統合的な自己同一感、身体運動のコントロール感、直感的感覚の意識などが、部分的あるいは完全に失われた状態をいう。
2.× 強迫性障害とは、自らは不合理だと思っている考えが繰り返し浮かび(強迫観念)、それを打ち消すためにやはり不合理な行為を繰り返してしまうこと(強迫行為)をいう。
3.× 社交(社会)不安障害とは、比較的少人数の集団内(社交場面)で、他の人々から注視をされたり、低い評価を受けたり、辱められたりすることに対する強い恐れを主な症状として、そのような場所をできるだけ避けようとするものである。
4.〇 正しい。全般性不安障害は、多数の出来事や活動に対する過剰な不安および心配が、ほぼ毎日6か月以上続き、制御できないことをいう。症状は、自律神経症状(めまい・頭痛・肩こりなど)、緊張感(留年したらどうしよう・・・、地震が来たらどうしよう・・・)、疲労感など様々である。
5.× 広場恐怖とは、雑踏・公衆の場所・家から離れての一人旅など、不安が起こってもすぐには安全な場所(自宅など)に避難できない状況を恐れ、そのような状況になることを避けること。

 

 

 

 

 

99 パーソナリティ障害と特徴の組合せで正しいのはどれか。

1. 依存性パーソナリティ障害 — 嗜癖
2. 演技性パーソナリティ障害 — 被暗示性
3. 回避性パーソナリティ障害 — 冷淡
4. 統合失調質パーソナリティ障害 — 攻撃性
5. 非社会性パーソナリティ障害 — 几帳面

解答2

解説

1.× 依存性パーソナリティ障害とは、自分の信頼できる人に著しい依存をみせ、主体性のない振る舞いをする。嗜癖(しへき:ある特定の物質や行動、人間関係を特に好む性向)は、物質依存症摂食障害等で認められる。
2.〇 正しい。演技性パーソナリティ障害は、被暗示性(他人の影響を受けやすいこと)を認める。他にも、自己の感情を誇張して表出したり、絶えず自分が注目や称賛の的となるように振舞ったりすること特徴である.
3.× 回避性パーソナリティ障害は、内心は密接な対人関係を求めていながら、他者の批判や拒絶を気にするあまり、他者との関わりを避けることを特徴とする。冷淡(れいたん)とは、同情や熱意を持たない態度で、統合失調症性パーソナリティ障害(シゾイドパーソナリティ障害)に認められる。
4.× 統合失調質パーソナリティ障害(シゾイドパーソナリティ障害)とは、社会的関係への関心のなさ、人との関わりが苦手で孤独を選ぶ傾向、そして感情的な平板さを特徴とする障害である。攻撃性は、非社会性パーソナリティ障害の特徴である。
5.× 非社会性パーソナリティ障害は、他者の権利や感情を無神経に軽視し、モラルが欠如しており、人に対しては不誠実な行動をする傾向がある。凡帳面は、強迫性パーソナリティ障害の特徴である。

類似問題です↓
【共通のみ】パーソナリティ障害についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

100 小児の精神障害で正しいのはどれか。

1. 吃音は女児に多い。
2. 分離不安障害は学童期に多い。
3. 反応性愛着障害は過度に警戒的である。
4. 反抗挑戦性障害の症状は家庭内に限局する。
5. 注意欠陥/多動性障害では成長につれて多動よりも不注意が軽快しやすい。

解答3

解説

1.× 吃音(きつおん、どもり)は、「女児」ではなく男児(4:1)に多い。吃音とは、会話での流暢さを欠くものである。
2.× 分離不安障害は、「学童期」ではなく、幼児期(1歳~6歳)に多い。分離不安障害とは、強く愛着を持った人あるいは本人に突然災難が襲ってきて、引き離されてしまうのではないかという非現実的な不安をいう。
3.〇 正しい。反応性愛着障害は過度に警戒的である。反応性愛着障害とは、虐待やネグレクト(養育拒否)などを受けた子どもが、世話をしてくれる人を警戒して甘えられない、あるいは逆など、対人関係が未熟で障害されている状態をいう。
4.× 症状は家庭内に限局するのは、「反抗挑戦性障害」ではなく、家庭限局性行為障害である。反抗挑戦性障害とは、行為障害(反復し持続する反社会的、攻撃的あるいは反抗的な行動パターン)の基準を満たし、さらに、9~10歳未満の児童に認められ、怒りにもとづいた不服従、反抗、挑戦的行動の持続的様式と表現される児童期の精神障害である。
5.× 注意欠陥/多動性障害では成長につれて、不注意よりも多動が軽快しやすい。多動は、思春期までに改善することが多いが、不注意は成人後も残存することが多い。

 

 

※問題の引用:第50回理学療法士国家試験、第50回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)