第50回(H27) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題86~90】

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86 病原体と主な感染経路の組合せで正しいのはどれか。

1. 結核 — 経口感染
2. MRSA — 接触感染
3. 破傷風 — 媒介動物による感染
4. A型肝炎 — 血液による感染
5. 帯状疱疹 — 飛沫感染

解答2

解説

1.× 結核は、「経口感染」ではなく空気感染である。
2.〇 正しい。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、接触感染である。
3.× 破傷風は、「媒介動物による感染」ではなく、外傷などにより組織に入り増殖を始める。媒介動物による感染は、マラリアや狂犬病などがある。
4.× A型肝炎は、「血液による感染」ではなく経口感染である。血液による感染は、B・C型肝炎である。
5.× 帯状疱疹は、「飛沫感染」ではなく、水痘帯状疱疹ウイルスが原因であり、水痘の回帰感染(免疫抑制・ストレスなどを契機に再活性化し、皮膚に症状を起こす)による。水痘自体は空気感染である。

感染経路と感染症

感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。

①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。

②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。

③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。

(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

87 痙縮を生じにくい疾患はどれか。

1. 脳梗塞
2. 外傷性脳損傷
3. 中心性頸髄損傷
4. 胸椎黄色靱帯骨化症
5. 腰椎椎間板ヘルニア

解答5

解説

1~4.〇 脳梗塞/外傷性脳損傷/中心性頸髄損傷/胸椎黄色靱帯骨化症は、痙縮を生じやすい。なぜなら、錐体路が損傷されると上位運動ニューロンの障害が起こるため。
5.× 痙縮を生じにくい。なぜなら、腰椎椎間板ヘルニアは、上位運動ニューロンの障害が起こらないため。脊髄はL1~2のあたりで終わっており。以降、馬尾神経が走行している。腰椎椎間板ヘルニアの好発部位は、L4/L5L5/S1である。

 

 

 

 

88 物につかまらず立てる乳児においてみられるのはどれか。

1. 自動歩行
2. Moro反射
3. 手掌把握反射
4. パラシュート反応
5. 非対称性緊張性頸反射

解答4

解説

「物につかまらずに立てる」のは、約1歳である。

 

1.× 自動歩行は、1~2か月前後で消失する。自動歩行とは、脊髄の原始反射の一つであり、乳児を垂直に保持し足底を床につけ、その後、体を前に倒すとリズムよく足踏みする反射のこと。
2.× Moro反射(モロー反射)は、4~6か月前後に消失する。Moro反射とは、原始反射の一つであり、頭を落下すると、手指を開き上肢を広げる。その後、上肢屈曲位に戻る反射のこと。
3.× 手掌把握反射は、生後1~2か月前後で消失する。
4.〇 正しい。パラシュート反応は、生後7~9か月頃出現し、生涯続く。パラシュート反応とは、転倒するときに手が出るように、四肢伸展してけがを最小限にする反射である。
5.× 非対称性緊張性頸反射(ATNR)は、新生児期からみられ、4~6か月前後に消失する。頚部を回旋すると、顔面を向けた方の上・下肢が伸展、反対側の上・下肢が屈曲する。

 

 

 

 

 

89 変形性関節症について正しいのはどれか。

1. 若年者に好発する。
2. 滑膜炎から軟骨の変性に至る。
3. 股関節では二次性股関節症が多い。
4. 膝関節では女性に比べ男性の有病率が高い。
5. 発症要因として遺伝的素因は認められない。

解答3

解説

1.× 好発する年齢は、「若年者」ではなく中年期以降である。
2.× 軟骨の変性滑膜炎からに至るのは、関節リウマチである。変形性関節症は、関節軟骨・軟骨下骨層の変性により、疼痛・可動域制限・関節の破壊・変形、拘縮を来す。
3.〇 正しい。股関節では二次性股関節症(発育性股関節形成不全、先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全)が多い。欧米は、一次性股関節症(原因不明)の方が多い。
4.× 膝関節では、女性に比べ男性の有病率が低い。中年期以降(40歳以上)の肥満女性に好発する。
5.× 発症要因として、遺伝的素因も含め、加齢・肥満・性別・荷重・外傷・力学的ストレスなどがあげられる。

 

 

 

 

 

 

90 骨折後に偽関節を生じやすいのはどれか。

1. 手の舟状骨
2. 鎖骨遠位部
3. 橈骨遠位部
4. 中手骨骨幹部
5. 上腕骨近位部

解答1

解説

 偽関節とは、骨折部の癒合機転が止まって異常可動性を示す状態である。

 偽関節が生じやすい部位は、上腕骨解剖頸手の舟状骨大腿骨頸部骨折脛骨中下1/3距骨である。

 よって、選択肢1.手の舟状骨が正しい。

 

2 COMMENTS

匿名

お世話になっております。
些細な部分で申し訳ありませんが
87の解答の所で、1~2.〇 になっているんですが、1~4.〇だと思われます。
よろしくお願い致します。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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