第50回(H27) 理学療法士国家試験 解説【午前問題1~5】

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※問題の引用:第50回理学療法士国家試験、第50回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

 

1 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2 つ選べ。(※解3つ)

1. 股屈曲
2. 足背屈
3. 股内転
4. 足部内転
5. 股内旋

解答1/5(2?:2022年改定)

解説

1.〇 正しい。股屈曲は、【基本軸】体幹と平行な線、【 移動軸】大腿骨(大転子と大腿骨外果の中心を結ぶ線)、【測定部位及び注意点】骨盤と脊柱を十分に固定する。屈曲は背臥位(膝屈曲位で行う)。
2.〇 正しい。足背屈は、【基本軸】矢状面における腓骨長軸への垂直線、【移動軸】足底面、【測定部位及び注意点】 膝関節を屈曲位で行う。2022年改定前は、足背屈の移動軸は第5中足骨であった。
3.× 股内転は、 【基本軸】両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線、【 移動軸】大腿中央線(膝蓋骨中心を結ぶ線)、【測定部位及び注意点】背臥位で骨盤を固定する。下肢は外旋しないようにする。内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる。図では、股関節外旋を伴っている。
4.× 足部内転は、【基本軸・移動軸】第2中足骨長軸(2022年改定)、【測定部位及び注意点】膝関節を屈曲位, 足関節を0度で行なう。図では、基本軸・移動軸が、第2、第3中足骨の間の中央線となっている。
5.〇 正しい。股内旋は、【基本軸】膝蓋骨より下した垂直線、【 移動軸】下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果中央線)、【測定部位及び注意点】背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う。骨盤の代償を少なくする。

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2 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で誤っているのはどれか。


1. 頸部伸展
2. 頸部回旋
3. 頸部側屈
4. 胸腰部回旋
5. 胸腰部側屈

解答5

解説

1.〇 正しい。頸部伸展は、【基本軸】肩峰を通る床への垂直線、【移動軸】外耳孔と頭頂を結ぶ線、【測定部位及び注意点】頭部体幹の側面で行う原則として腰かけ座位とする。
2.〇 正しい。頸部回旋は、【基本軸】両側の肩峰を結ぶ線への垂直線、【移動軸】鼻梁と後頭結節を結ぶ線、【測定部位及び注意点】腰かけ座位で行う
3.〇 正しい。頸部側屈は、【基本軸】第7頸椎棘突起と第一仙椎の棘突起を結ぶ線、【移動軸】頭頂と第7頸椎棘突起を結ぶ線、【測定部位及び注意点】体幹の背面で行う。腰かけ座位とする。
4.〇 正しい。胸腰部回旋は、【基本軸】両側の後上腸骨棘を結ぶ線、【移動軸】両側の肩峰を結ぶ線、【測定部位及び注意点】坐位で骨盤を固定して行う
5.× 胸腰部側屈は、【基本軸】ヤコピー線の中点に立てた垂直線、【移動軸】第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線、【測定部位及び注意点】体幹の背面で行う。腰かけ座位または立位で行う。図では、基本軸・移動軸が座面から脊柱軸への垂直線で不適切である。

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3 Daniels らの徒手筋力テスト(股関節伸展の検査)を図に示す。正しいのはどれか。2 つ選べ。


 
1. 図1の肢位で段階2を検査できる。
2. 図1は大殿筋のみを分離して伸展力を検査している。
3. 図1は股関節屈曲拘縮がある場合のための変法である。
4. 図2の方法では両側同時に検査する。
5. 図2の方法では段階5〜段階2まで検査できる。

解答3/5

解説

1.× 図1の肢位で段階2検査はできず、段階3~5の検査である。段階2検査は側臥位にて行う。
2.× 図1は、大殿筋のみを分離して伸展力を検査しているのではなく、大殿筋とハムストリングスの両方を検査している。
3.〇 正しい。図1は股関節屈曲拘縮がある場合のための変法である。
4.× 図2の方法では両側同時ではなく、片方ずつ検査する。
5.〇 正しい。図2の方法では段階5〜段階2まで検査できる。段階2は、検査者が下肢の自重を超えてごくわずかに抵抗を感じる場合である。

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4 Danielsらの徒手筋力テストで右外腹斜筋と左内腹斜筋の検査を図に示す。右の肩甲骨下角を台から離すことができた。
 判断できる最も低い段階はどれか。


1. 段階1
2. 段階2
3. 段階3
4. 段階4
5. 段階5

解答3

解説

1.× 段階1は、背臥位で股関節屈曲位とし、上肢を体幹に沿わせた状態で始め、検査者が内・外腹斜筋の収縮を視認または触知できた場合。ちなみに、段階0は、検査者が内・外腹斜筋の収縮がみられない場合である。
2.× 段階2は、上肢を身体の上で伸展した状態で始め、右側の肩甲骨下角が検査台から離れない場合である。
3.〇 正しい。段階3は、上肢を身体の上で伸展させた状態で始め、右側の肩甲骨下角が検査台から離れた場合である。
4.× 段階4は、上肢を胸の前で組んだ状態で行う。
5.× 段階5は、上肢を頭の後ろで組んだ状態で行う。

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次の文により5 、6 の問いに答えよ。
 65歳の男性。右利き。脳梗塞による片麻痺。Brunnstrom 法ステージは上肢、手指、下肢ともにⅢ。回復期リハビリテーション病棟では車椅子で移動している。発症後3か月の頭部MRI (下図)を別に示す。

5 出現しやすい症状はどれか。

1. 観念失行
2. 左右障害
3. 純粋失読
4. 半側空間無視
5. 非流暢性失語

解答4

解説

本症例のポイント

・65歳の男性(右利き、脳梗塞、片麻痺)
・上肢Ⅲ:座位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展
・手指Ⅲ:全指同時握り、鈎型握り(握りだけ)、伸展は反射だけで、随意的な伸展不能
・下肢Ⅲ:座位・立位での股・膝・足の同時屈曲
・車椅子で移動。
・MRI画像)側脳室レベルのスライスで劣位半球の右頭頂葉から側頭葉にかけて梗塞が疑える(右大脳梗塞)。

1.× 観念失行は、主に優位半球の頭頂葉(角回)の障害で起こりやすい。観念失行とは、複合的な運動の障害であり、日常使用する物品が正当に使用できない失行のことである。例えば、タバコに火をつける、お茶を入れる、歯磨きをするなどの手順が困難になる。
2.× 左右障害は、主に優位半球の頭頂葉(角回)の障害でみられる。Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)の症状の1つで、他にも、手指失認、失書、失算がみられる。
3.× 純粋失読は、主に優位半球の後頭葉と脳梁膨大部や角回付近の障害でみられる。純粋失読(失書を伴わない失読とも呼ぶ)とは、自発書字や書取りがほぼ保たれているにもかかわらず、著しい失読を示すことが大きな特徴で、自筆の文章でも後では読みかえすことが困難である。
4.〇 正しい。半側空間無視は、出現しやすい症状である。なぜなら、半側空間無視は劣位半球頭頂葉の障害でみられやすいため。
5.× 非流暢性失語(Broca失語)は、主に優位半球前頭葉の障害でみられる。簡単な言葉は理解できるが、言いたい言葉が出てこないのが特徴である。他にも前頭葉障害の症状として、遂行機能障害、易疲労性、意欲・発動性の低下、脱抑制・易怒性、注意障害などがあげられる。

 

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