第49回(H26) 作業療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

 

1 Danielsらの徒手筋力テスト(段階5及び4)で、検査者が抵抗を与える位置で正しいのはどれか。

1.肩甲骨挙上
2.肩甲骨内転
3.肩関節屈曲
4.肩関節内旋
5.肩関節外転

解答2

解説
1.× 肩甲骨挙上の段階5,4のテストでは、両肩の上から抵抗を加える。
2.〇 正しい。肩甲骨内転の抵抗は、肩関節の上か肘直上で上腕骨遠位端に加える。
3.× 肩関節屈曲の5,4のテストでは、肘の直上で上腕骨下端の上から抵抗を加える。
4.× 肩関節内旋の段階5,4のテストでは、患者の手首のすぐ上で前腕の掌側に抵抗を加える。
5.× 肩関節外転の5,4のテストでは、肘の直上で上腕骨下端の上から抵抗を加える。

 

 

 

 

 

 

2 把持機能の発達の段階を図に示す。
 正常な把持機能の発達の順序で正しいのはどれか。

1.A→B→D→C
2.B→A→D→C
3.C→A→D→B
4.C→B→A→D
5.D→B→A→C

解答4

解説

手の把握機能の発達は、
4か月頃:尺側握りが可能となる(図C)。
7か月頃:手掌把握が可能となる(図B)。
10か月頃:指腹つまみが可能となる(図A)。
12か月頃:指尖つまみが可能となる(図D)。

したがって、選択肢4.C→B→A→Dの順序で把握機能の発達となる。

 

 

 

 

 

 

3 腹臥位で患者の一側の膝を他動的に最大域まで屈曲させたところ、図のように同側の股関節が屈曲し殿部が垂直方向に挙上した。
 短縮を疑う筋はどれか。

1.大腿筋膜張筋
2.大腿二頭筋
3.大腿直筋
4.腓腹筋
5.腸腰筋

解答3

解説
 図は、大腿直筋の短縮を調べるEly test(エリーテスト:尻上がりテスト)である。したがって、選択肢3.大腿直筋が短縮を疑う筋である。短縮がある場合、図のように腹臥位で膝関節を屈曲して大腿直筋を伸張すると、股関節が屈曲位となり臀部が挙上する。

1.× 大腿筋膜張筋の短縮検査としてOber test(オーバーテスト)などがある。
2.× 大腿二頭筋の短縮検査としてSLR(下肢伸展挙上テスト)などがある。
4.× 腓腹筋の短縮は、足関節背屈を実施する。腓腹筋は、膝関節と足関節にまたがる2関節筋である。
5.× 腸腰筋の短縮検査としてThomas test(トーマステスト)などがある。

 

 

 

 

 

 

4 50代の女性。脳出血による右片麻痺。発症後8か月が経過した。右利きであったが利き手交換を実施した。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅳ、手指Ⅳ、下肢Ⅴ、感覚機能は表在・深部とも軽度鈍麻で、握力は右2kg、左28kg、立位バランスは良好である。
 この患者が実施可能な動作はどれか。

1.タオルを干す
2.リンゴの皮をむく
3.左手の爪を切る
4.茶碗を持つ
5.手掌で風船を打つ

解答3

解説
 上肢のステージⅣ:共同運動からの分離が始まる段階である。
 手指のステージⅣ:横つまみが可能で随意的な指の伸展がわずかに可能な段階である。

1.× タオルを干すこと(上肢の完全挙上)が可能になるにはステージⅤからである。上肢ステージⅣでは、上肢の挙上は水平位程度であるため、図のように肩より上にタオルを干すのは困難である。
2.× リンゴの皮をむくこと(上肢・手指巧緻機能)が円滑に行うためにはステージⅥ以上が必要である。
3.〇 正しい。左手の爪を切ること(台付き爪切り使用)は、実施可能な動作である。台付き爪切りは、麻痺側上肢をわずかに上下させるだけで、麻痺側手指の爪を切ることが可能である。
4.× 茶碗を持つ動作(上肢・手指巧緻機能)は、ステージⅤ以上を必要とする。ちなみに、ステージⅤは肘関節伸展位のまま上肢を横水平へ挙上、または前方頭上へ挙上、肘伸展位での前腕回内・回外ができる。
5.× 手掌で風船を打つような動作はステージⅤ以上で可能となる。

 

 

 

 

 

 

 5 70歳の男性。2年前に脳卒中による左片麻痺を発症した。Brunnstrom法ステージは上肢と手指はⅡで、下肢はⅢである。左半側空間無視を認める。FIMでは、セルフケアの6項目と移乗の3項目は4点で、車椅子での移動項目は3点である。
 自宅でのリハビリテーションに際し優先されるべき目標はどれか。

1.移乗動作の向上
2.屋内杖歩行の自立
3.左手指機能の向上
4.車椅子駆動操作の自立
5.左半側空間無視の改善

解答1

解説

1.〇 正しい。移乗動作の向上は、自宅でのリハビリテーションに際し優先されるべき目標である。なぜなら、移乗動作が向上することで、生活範囲の拡大や自宅での介助者の負担軽減、車椅子移動やトイレ動作能力向上も期待できているため。また、ADL動作の中では介助量が最も少なく、改善しやすいと考えられる。
2.× 屋内杖歩行の自立は優先度は低い。なぜなら、本症例の移動の能力は、車椅子移動に中等度介助が必要なレベルであり、現時点では屋内杖歩行は実用的ではないため。
3.× 左手指機能の向上は優先度は低い。なぜなら、本症例は発症からの経過も長いため。
4.× 車椅子駆動操作の自立は優先度は低い。なぜなら、本症例の移乗項目に介助が必要であるため。
5.× 左半側空間無視の改善は優先度は低い。なぜなら、左半側空間無視の改善より、機能面(在宅ADL)の改善促し介助量軽減が優先されるため。

 

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