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76 肝臓の機能不全によって起こる病態でないのはどれか。
1. 黄疸
2. 腹水
3. 出血傾向
4. 意識障害
5. 高コレステロール血症
解答5
解説
1.〇 黄疸は、ビリルビンが血中に増加している状態をいう。肝臓は血中のビリルビンを代謝して、胆汁として排泄しているため、黄疸を生じる。
2.〇 腹水の原因は、①腹腔内の浸透圧が上昇して起こる場合と、②血漿浸透圧が下がることによって、腹腔内に漏出する場合がある。肝臓は血漿中にあるアルブミン(主な働き:①水分を保持し、血液を正常に循環させるための浸透圧の維持、②体内のいろいろな物と結合し、これを目的地に運ぶ運搬)を合成している。そのため肝臓の機能不全では、その合成能力が低下するため、血漿浸透圧低下を介して腹水が生じる。
3.〇 出血傾向をきたす。なぜなら、肝臓の機能不全によって血小板が減少するため。その機序は、①門脈圧増加に伴う脾臓機能亢進による血小板寿命の短縮、②トロンボポエチン(血小板合成を促す)の肝臓での合成低下である。
4.〇 意識障害をきたす。なぜなら、肝臓の機能不全(肝臓には血中のアンモニアを尿素に変える解毒作用)によって、解毒の機能低下を介してアンモニアが高濃度になるため。
5.× 高コレステロール血症は起こらない。なぜなら、肝臓ではコレステロールの合成をしているため。肝臓機能不全では、コレステロールが低下する。
77 移植後の拒絶反応について正しいのはどれか。
1. 自家移植で生じる。
2. T細胞が活性化される。
3. Ⅰ型アレルギー反応である。
4. 抗体が移植片の細胞を損傷する。
5. 宿主と移植片のHLAが一致すると起こりやすい。
解答2
解説
1.× 自家移植(ある個体の組織を同一の個体に移植すること)では、移植後の拒絶反応は起こりにくい。移植免疫は、遺伝子が異なるものに対して起きるものである。HLA(ヒトの主要組織適合遺伝子複合体)が同一の場合、移植後の拒絶反応が起きにくい特徴をもつ。つまり、自家移植は移植組織の遺伝子は完全一致しているため、拒絶反応は起きにくい。
2.〇 正しい。T細胞が活性化される。移植後の拒絶反応は、T細胞(活性型T細胞)によるⅣ型アレルギー(遅延型アレルギー)である。
3.× 「Ⅰ型アレルギー」ではなくⅣ型アレルギー反応である。
4.× 「抗体」ではなく、細胞傷害性T細胞が移植片の細胞を損傷する。移植後の拒絶反応は、細胞免疫によって起こる現象である。
5.× 宿主と移植片のHLA(ヒトの主要組織適合遺伝子複合体)が一致すると起こりにくい。
アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellularimmunity)と大別される。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
78 弟や妹が生まれたときに、子供が指しゃぶりを再び始めるのはどれか。
1. 解離
2. 退行
3. 代償
4. 否認
5. 同一化
解答2
解説
1.× 解離とは、苦悩を避けるために、統合的な自己同一感・身体運動のコントロール感・直接的感覚の意識などを部分的あるいは完全に失うことをいう。
2.〇 正しい。退行は、いわゆる”子供かえり”である。ある程度の発達を遂げた者が、ストレスに対し未熟な行動をとり当面の困難を回避しようとすること。
3.× 代償とは、代わりのもので欲求を満たすことである。
4.× 否認とは、容認したくない感情・経験を実際には存在しなかったかのように振舞うことである。
5.× 同一化とは、自分にとって好ましい人・理想とする人の特性を真似をし、欲求を満たすことである。
79 「治る見込みがないのにリハビリテーションを続けるのはとても苦しいです」という訴えへの共感的な対応はどれか。
1. 「それは誤った考えですね」
2. 「もう少し頑張りましょう」
3. 「つらく感じているのですね」
4. 「なぜそのように思うのですか」
5. 「続けることにより効果が現れてきます」
解答3
解説
1.× 「それは誤った考えですね」は、否認である。
2.× 「もう少し頑張りましょう」は、励ましである。
3.〇 正しい。「つらく感じているのですね」は、共感的対応である。
4.× 「なぜそのように思うのですか」は、傾聴である。
5.× 「続けることにより効果が現れてきます」は、保証である。
80 「 1本の実のなる木を描いてください」と指示する検査はどれか。
1. バウムテスト
2. P-Fスタディ
3. Rorschachテスト
4. Trail making test(TMT)
5. Behavioral inattention test(BIT)
解答1
解説
1.〇 正しい。バウムテストとは、「実のなる木」を1本自由に描いてもらう描画検査(投影法の人格検査)である。コッホによって開発された。「バウム(Baum)」がドイツ語で「木」という意味である。
2.× P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)は、欲求不満の場面の絵を24枚見せ、場面を想定して文章を書かせる投影法のテストである。欲求不満をどのように解決する傾向があるかをみる。
3.× Rorschachテスト(ロールシャッハ)テストは、10枚の図版(いわゆるインクのシミ)を被験者に見せて、どのように見えるかを答えさせ、そこから患者の人格面を調べる検査である。
4.× Trail making test(TMT)は、注意検査の一つである。視覚による探索能力と、注意の持続の有無を測定できる。紙面にランダムに並べられた数字を順番にたどり、線で結んでいく。
5.× Behavioral inattention test(BIT:行動性無視検査)は、半側空聞無視検査である。