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66 ヒトの免疫機構で正しいのはどれか。(※不適切問題:解答2つ)
1. B細胞は抗体を産生する。
2. 好中球はサイトカインを産生する。
3. キラーT細胞は他の免疫細胞を破壊する。
4. ヘルパーT細胞は免疫反応の抑制に働く。
5. 副腎皮質ホルモンは免疫機能を亢進させる。
解答1/2
解説
1.〇 正しい。B細胞は抗体を産生する。B細胞は体液性免疫を担当し、B細胞から活性化して形質細胞となり抗体を産生する。
2.〇 正しい。好中球はサイトカインを産生する。サイトカインとは、主に免疫系細胞から分泌されるタンパク質である。他にも、マクロファージが産生する。※従来、好中球は貪食を中心的な機能とする細胞で、免疫機能を調節するサイトカインを分泌する能力はあまりないと考えられてきました。しかし近年の研究では、多数のサイトカイン(TNFとかIL-1を含め)を分泌する能力を持っているという報告が多数出ている。ちなみに、第43回の国試では「×」となっているため注意する。現時点では、好中球はサイトカインを産生・分泌している。
3.× キラーT細胞は、抗原を攻撃する。他の免疫細胞を破壊した場合、自己免疫疾患の疑いがある。
4.× ヘルパーT細胞は免疫反応の、「抑制」ではなく亢進(抗原提示細胞からの情報を受け、B細胞やマクロファージなどを活性化する)に働く。
5.× 副腎皮質ホルモンは免疫機能を、「亢進」ではなく抑制させる。副腎皮質ホルモン(ステロイドの副作用)に易感染性(炎症の制御)がある。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
67 腎臓の機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 体温の調節
2. 尿量の調節
3. 血漿量の調節
4. 白血球数の調節
5. 概日リズムの調節
解答2/3
解説
腎臓の主な機能は、体液の恒常性を保つことである。つまり、①水分・電解質の調節、②酸塩基平衡の調節、③代謝産物の排泄、④ホルモン産生・調節などがあげられる。
1.× 体温の調節は、視床下部が行う。
2.〇 正しい。尿量の調節は、腎臓が行う。尿細管や集合管での水の再吸収によって尿量を調節する。
3.〇 正しい。血漿量の調節は、腎臓から放出されるレニンが行う。レニンは、血管収縮の作用を持ち、アンジオテンシンⅡの産生やアルドステロンの分泌を促し、これらは循環血梁量を増加させる。
4.× 白血球数の調節は、炎症部から種々のコロニー刺激因子が放出され、それが骨髄に運ばれて顆粒球や単球の産生が促進される。腎臓が担うのは、エリスロポエチンによる赤血球数の調整である。
5.× 概日リズムの調節は、松果体から放出されるメラトニンが担う。
68 下垂体後葉から分泌されるホルモンはどれか。2つ選べ。
1. グレリン
2. エストロゲン
3. オキシトシン
4. バソプレシン
5. アルドステロン
解答3/4
解説
下垂体後葉から分泌されるホルモンは、オキシトシンとバソプレシンである。
1.× グレリンは、【産生場所】胃腸管(胃内分泌細胞)、【分泌場所】胃、【作用】下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促し、また視床下部に働き、摂食行動を亢進する。
2.× エストロゲン(卵胞ホルモン)は、【産生・分泌場所】卵巣および副腎と末梢(主に脂肪組織)である。
3.〇 正しい。オキシトシンは、【産生場所】視床下部の視策上核と室傍核、【分泌場所】下垂体後葉で、【作用】射乳の促し、分娩の促進である。
4.〇 正しい。バソプレシンは、【産生場所】背側視床下部、【分泌場所】下垂体後葉、【作用】水の再吸収を促進である。
5.× アルドステロンは、【合成・産生場所】副腎皮質で、【作用】Naの再吸収である。
類似問題です↓
【共通のみ】ホルモンについての問題「まとめ・解説」
69 質量mの物体を傾斜角度θの斜面に沿って距離 Lだけ引き上げ、高さHまで持ち上げた。
このときの仕事量Wで正しいのはどれか。
ただし、摩擦は無視できるものとし、重力加速度をgとする。
1. m・L
2. m・g・H
3. m・g・L
4. m・g・sin ・H
5. m・g・cos ・H・L・sin
解答2
解説
本問は、摩擦がなく、物体にかかる力が重力のみである。そのため、仕事量も垂直軸で求められる。
つまり、重力gがかかっている質量mの物体を高さHだけ持ち上げた仕事量W(位置エネルギー)を計算すれば済む。
よって、選択肢2,仕事量W=m・g・Hとなる。
70 肩甲上腕関節の外旋筋はどれか。
1. 大胸筋
2. 肩甲下筋
3. 大円筋
4. 小円筋
5. 広背筋
解答4
解説
1.× 大胸筋の作用は、肩関節内転、内旋。鎖骨部:肩甲骨屈曲。腹部:肩関節下制。(なお、手を壁につけているときのように上肢が固定されているとき、または腕を前にあげて深呼吸するときなどに胸郭を上げて吸息を補助)である。
2.× 肩甲下筋の作用は、肩関節内旋である。
3.× 大円筋の作用は、肩関節内転、内旋、伸展である。
4.〇 正しい。小円筋の作用は、肩関節外旋である。
5.× 広背筋の作用は、肩関節内転、伸展、多少内旋である。
苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓
68番について
バソプレシンの分泌は下垂体後葉ですが、産生場所は背側視床下部かと思います。
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
66 サイトカインは免疫細胞なら免疫反応の情報伝達のために大抵産生します。ただ、好中球やマクロファージよりTリンパ球が教科書的にはよく取り上げられてますね。2は「好中球はリンホカインを産生する」なら明らかに誤りで、不適切ではなかったのにと思います。
コメントありがとうございます。
解答を修正しました。
43回の国試では「× 好中球はサイトカインを産生する。」となっていますので、混乱を招いているようです。現時点では、「好中球はサイトカインを産生・分泌している」という報告が上がっております。国家試験の勉強で同じ選択肢の文章で、解答が異なる場合は新しい方の答えを参考にした方が良いです。
当HPでも極力そういったことがないように心がけておりますが、MMTなどの変更点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
68回の
エストロゲンの分泌器官は卵巣ではないのですか?
どこを探しても、下垂体前葉と書いてある文献や教科書が見つけられないので、どこからの引用かを教えて頂きたいです。
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認お願い致します。