第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

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41 心疾患に対する運動療法の効果として誤っているのはどれか。

1. 安静時の心拍数が低下する。
2. 同一運動負荷時の血圧が低下する。
3. 同一運動負荷時の心拍数が低下する。
4. 同一運動負荷時の自覚的強度が低下する。
5. 最大運動負荷時の心拍数が低下する。

解答5

解説

心臓リハビリテーションの効果は、①虚血徴候の軽減、②運動耐容能の改善③血圧低下④心拍数減少、⑤HDLコレステロール増加、⑥中性脂肪の減少、⑦肥満の改善などである。

 

よって、選択肢1~4.安静時の心拍数が低下する。/同一運動負荷時の血圧が低下する。/同一運動負荷時の心拍数が低下する。/同一運動負荷時の自覚的強度が低下する。
5.× 最大運動負荷時の心拍数は変化しない。なぜなら、最大運動負荷時の心拍数(最大心拍数)は、「220 - 年齢」で示されるため。

 

 

 

 

 

42 慢性腎臓病患者に対する生活指導で制限する必要がないのはどれか。

1. 飲酒量(アルコール量)
2. 水分摂取量
3. 食塩摂取量
4. 蛋白摂取量
5. 日常の身体活動量

解答5

解説

1.〇 飲酒量(アルコール量)は、制限する必要がある。一般的な適性飲酒量(アルコール量として男性20~30mL/日以下、女性は10~20mL/日以下)とされている。
2.〇 水分摂取量は、制限する必要がある。低ナトリウム血症を呈している場合は、水分摂取量(mL/日)を尿量 + 不感蒸泄以下に制限する。
3.〇 食塩摂取量は、制限する必要がある。基本的に6.0g/日未満とする。
4.〇 蛋白摂取量は、制限する必要がある。低蛋白食を中心とした食事とする。
5.× 日常の身体活動量は、特に制限する必要はない。体調管理目的のラジオ体操やウォーキング、負荷の軽い運動(有酸素運動)が適している。

 

 

 

 

43 全身持久力トレーニングを主体とした運動療法を中止すべき状態はどれか。

1. 心拍数が100/分以上となる。
2. 収縮期血圧が150mmHg以上となる。
3. 心拍数が安静時から20/分以上増加する。
4. 拡張期血圧が安静時から20mmHg以上増加する。
5. 収縮期血圧が安静時から30mmHg以上増加する。

解答4

解説

1.× 心拍数が、「100/分以上」ではなく120/分以上のとき「いったんリハビリテーションを中止し、回復を待って再開」となる。
2.× 収縮期血圧が、「150mmHg以上」ではなく200mmHg以上のとき「積極的なリハビリテーションを実施しない場合」となる。
3.× 心拍数が、「安静時から20/分以上増加」ではなく、運動前の30%を超えた場合「いったんリハビリテーションを中止し、回復を待って再開」する。
4.〇 正しい。拡張期血圧が安静時から20mmHg以上増加した場合、「途中でリハビリテーションを中止する場合」となる。
5.× 収縮期血圧が安静時から、「30mmHg以上」ではなく、40mmHg以上増加した場合「途中でリハビリテーションを中止する場合」となる。

1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下

2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化

3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合

4. その他の注意が必要な場合
[1] 血尿の出現
[2] 喀痰量が増加している場合
[3] 体重増加している場合
[4] 倦怠感がある場合
[5] 食欲不振時・空腹時
[6] 下肢の浮腫が増加している場合

(一部抜粋:「リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン2006」)

 

 

 

 

 

44 健常者に対する血圧測定について誤っているのはどれか。(※不適切問題:解答2つ)

1. 背臥位は立位と比べて脈圧が小さい。
2. 足部は上腕部と比べて収縮期血圧が高くなる。
3. 聴診器をマンシェットと腕の間に挟んで固定する。
4. 座位での測定はマンシェットと心臓の高さを合わせる。
5. Korotkoff音が聞こえ始めた点(第1点)を収縮期血圧とする。

解答1/3

解説

1.× 立位背臥位と比べて脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が小さい。臥位から立位になると、筋収縮のため血流が阻害され、立位数分後には収縮期血圧および拡張期血圧とも増加する。筋収縮の影響は、拡張期血圧の方が受けやすいため、拡張期血圧の方が立位による増加割合が大きい。
2.〇 正しい。足部は上腕部と比べて収縮期血圧が高くなる。
3.× 聴診器をマンシェットと腕の間に挟まない。なぜなら、挟んだ場合、動脈が聴診器で圧迫され、正確な値を記録できなくなるため。聴診器は、カフの下縁から少し離し、上腕動脈上に置くようにする。
4.〇 正しい。座位での測定はマンシェットと心臓の高さを合わせる。心臓とほぼ同じ高さにある動脈が、上腕動脈である。
5.〇 正しい。Korotkoff音(聴診法で減圧時に血管音)が聞こえ始めた点(第1点)を収縮期血圧とする。

 

 

 

 

 

45 両下肢ともに体重の1/2まで荷重が許可されている場合、病院内の実用的移動手段として適切なのはどれか。

1. 車椅子
2. 四輪付歩行器
3. 交互型歩行器
4. 片側の松葉杖
5. 両側のLofstrand杖

解答1

解説

 ポイントは、「両下肢とも1/2荷重制限」「実用的移動手段」である。片側のみの荷重制限がある場合、杖や補助具を使用することが考えられる。だが、本症例は両下肢であり、杖や補助具で行うのは難易度が高く困難である。また、実用的な移動手段であるため、患者ができ得る最大限の能力ではなく、リスクが少なく過度の努力なしに継続的に行える手段を選択する。よって、選択肢1.車椅子が正しい。

2~5.× 四輪付歩行器/交互型歩行器/片側の松葉杖/両側のLofstrand杖は、1/2荷重を超える可能性が高い。ちなみに、片松葉杖歩行では、患側に体重の2/3の荷重量が掛かる。ロフストランド杖の免荷率は、50〜80%である。

 

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