第49回(H26) 理学療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

36 末神経障害における症状で正しい組合せはどれか。 2つ選べ。

1. 顔面神経 ― 開眼障害
2. 副神経 ― 肩甲骨挙上障害
3. 橈骨神経 ― 前腕回内障害
4. 閉鎖神経 ― 股関節外転障害
5. 脛骨神経 ― 足関節底屈障害

解答2/5

解説

1.× 顔面神経は、「開眼障害」ではなく閉眼障害が起こる。開眼障害は、動眼神経麻痺で起こる。
2.〇 正しい。副神経は、肩甲骨挙上障害が起こる。なぜなら、副神経は胸鎖乳突筋僧帽筋を支配しているため。
3.× 橈骨神経は、「前腕回内障害」ではなく前腕回外障害(回外筋を支配しているため)が起こる。前腕回内障害は、正中神経障害で起こる。
4.× 閉鎖神経は、「股関節外転障害」ではなく股関節内転障害(股関節内転筋群を支配しているため)が起こる。
5.〇 正しい。脛骨神経は、足関節底屈障害が起こる。なぜなら、脛骨神経は下腿三頭筋などを支配しているため。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】下肢筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

37 骨盤底筋体操の効果が最も期待される病態はどれか。

1. 溢流性尿失禁
2. 過活動膀胱
3. 機能性尿失禁
4. 切迫性尿失禁
5. 腹圧性尿失禁

解答5

解説

過活動膀胱とは?

過活動膀胱とは、膀胱の蓄尿期において尿意切迫感があり、頻尿や尿失禁をきたす疾患である(切迫性尿失禁)。明らかな神経学的異常に起因する神経因性過活動膀胱と、原因を特定できない非神経因性過活動膀胱に分けられる。原因として、①加齢、②骨盤底筋の低下、③生活習慣病、④肥満などと関連するといわれている。有病率は高齢になるほど高くなる。過活動膀胱では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練など機能訓練を行い、薬物療法で治療を行う。

骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。仰臥位が基本的な姿勢であるが、伏臥位や座位など日常生活の中でどんな姿勢で行ってもよい。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。

膀胱訓練とは、排尿の間隔を徐々に延長し、膀胱にためることができる尿量を徐々に増やしていくものである。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。

1.× 溢流性尿失禁(奇異性尿失禁:自分では排尿ができないのに不随意的に尿が漏れて出てくる状態)は、前立腺肥大症や前立腺癌などの下部尿路通過障害や、神経因性膀胱などでみられる。薬物療法が主である。
2.× 過活動膀胱(蓄尿障害の一種:尿を溜めるべき蓄尿期に膀胱の排尿筋が不随意に収縮(排尿筋過活動)してしまう状態)は、尿意切迫、頻尿、および切迫性尿失禁などの症状が出現する。薬物療法が主である。
3.× 機能性尿失禁(尿の膀胱内保持可能で正常な排尿も可能であるが、傷病者や高齢者など体動が不自由な人が尿意を感じてからトイレにたどり着くのが間に合わずに失禁してしまう状態)は、ポータブルトイレの設置などの環境調整衣類の変更などで対応することが多い。
4.× 切迫性尿失禁(激しい尿意によって排尿筋が収縮し,抑制できずに尿が尿道から漏れてしまう状態)は、過活動膀胱や神経因性膀胱、高度な急性膀胱炎、前立腺炎などがある。薬物療法が主である。
5.〇 正しい。腹圧性尿失禁(咳、くしゃみ、歩行、スポーツ、重いものを持ち上げるなどのごく日常的な動作で腹圧が上昇することにより、膀胱に腹圧がかかって不随意に尿が漏れる状態)は、膀胱頚部と近位尿道を支える骨盤底筋障害が最も関係している。そのため、骨盤底筋体操の効果が最も期待されると考えられる。

 

 

 

 

38 電気刺激療法の適応とならないのはどれか。

1. 脳卒中片麻痺患者の歩行における足背屈補助
2. 変形性膝関節症による疼痛の軽減
3. 末性顔面神経麻痺の機能回復
4. 脊髄損傷の起立動作補助
5. 褥瘡の組織修復の促進

解答3

解説

1.〇 脳卒中片麻痺患者の歩行における足背屈補助は、FES(機能的電気刺激療法)で行える。FES(機能的電気刺激療法)は、筋の活動を促すため、末梢神経を刺激し麻痺筋の収縮を補助するのに有効である。
2.〇 変形性膝関節症による疼痛の軽減は、TENS(経皮的電気刺激法)IF(干渉電流療法)が行える。なぜなら、それらはゲートコントロール理論(疼痛抑制に関する理論)を利用したものであるため。
3.× 末性顔面神経麻痺の機能回復に対し、電気療法は行わない。なぜなら、”筋を無理に動かすことでひきつれ(瘢痕拘縮)を増強してしまい、後遺症が重くなることが危倶されるため”。(※顔面神経麻痺のトータルケア)治療で、一般的なものにボツリヌス療法がある。
4.〇 脊髄損傷の起立動作補助は、FES(機能的電気刺激療法)が行える。FES(機能的電気刺激療法)は、筋の活動を促すため、末梢神経を刺激し麻痺筋の収縮を補助するのに有効である。
5.〇 褥瘡の組織修復の促進は、MENS(微小電流電気神経刺激)高電圧パルス波電流などが行える。

 

 

 

 

 

39 Syme切断で正しいのはどれか。

1. 足根間関節の切断である。
2. 断端の外観が良い。
3. 断端荷重はできない。
4. 義足懸垂は下腿義足に比べて困難である。
5. 義足装着時の歩行能力は健常者とほぼ同等である。

解答5

解説

Syme(サイム)切断

足関節部の切断である。

荷重ができるように踵部の移植も行われる。

そのため、荷重に強く正常に近い歩行能力が期待できる。

また断端が膨隆しており、ソケットの懸垂も良好である。

1.× 「足根間関節」ではなく、足関節部の切断である。足根間関節の切断は、ショパール離断である。
2.× 断端の外観が悪い。なぜなら、断端末端部が膨隆しているため。
3.× 断端荷重はできる。なぜなら、断端の状態が安定しているため、断端の荷重に強い。
4.× 義足懸垂は下腿義足に比べて容易である。なぜなら、断端末端部が膨隆しているため。ソケットの懸垂が下腿義足に比べて容易である。
5.〇 正しい。義足装着時の歩行能力は健常者とほぼ同等である。

 

 

 

 

 

40 両側金属支柱付き長下肢装具の適合判定で正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 外側支柱の高さは上前腸骨棘から2~3cm下方とする。
2. 内側支柱の高さは会陰部から2~3cm下方とする。
3. 膝継手の高さは膝関節の関節裂隙に合わせる。
4. 下腿半月上縁の高さは腓骨頭から2~3cm下方とする。
5. 足継手の高さは外果下端に合わせる。

解答2/4

解説

1.× 外側支柱の高さは、「上前腸骨棘」ではなく大転子から2~3cm下方とする。
2.〇 正しい。内側支柱の高さは、会陰部から2~3cm下方とする。
3.× 膝継手の高さは、「膝関節の関節裂隙」ではなく、大腿骨下部の最も幅の厚いところ(内転筋結節と膝関節裂隙の中間点に相当)で床面と並行に合わせる。
4.〇 正しい。下腿半月上縁の高さは、腓骨頭から2~3cm下方とする。
5.× 足継手の高さは、「外果下端」ではなく、外果中央と内果下端を通り、床面と平行となるように合わせる。

 

2 COMMENTS

匿名

骨盤底筋運動の説明の中の
「座位や膝立て背臥位などで、状態の力を抜いて〜」のところで
「上体」が「状態」になっています。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)