第48回(H25) 作業療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

 

31 能動義手の手先具操作で電動義手より困難なのはどれか。

1.茶碗を持つ。
2.自動車を運転する。
3.爪切りで残存指の爪を切る。
4.義手と残存肢で靴ひもを結ぶ。
5.ズボンのポケットから硬貨を取り出す。

解答3

解説

義手の種類

・能動義手:切断者が上肢や体幹の動きを利用することで手先具や継手などを動かし、手としての機能を与えることのできる義手である。
・電動義手:駆動のためのケーブルは不要で把持力が強いことが特徴である。

1.× 茶碗を持つ動作は、能動義手で十分可能な動作である。
2.× 自動車の運転動作は、能動義手でも電動義手に劣らず行える
3.〇 正しい。爪切りで残存指の爪を切る動作は、能動義手の手先具操作で電動義手より困難である。なぜなら、爪切りという板バネの作用を持つ道具を、能動義手の開閉ゴムなどの力でコントロールすることが巧緻動作と相まって、非常に難しい動作になっているため。
4.× 義手と残存肢で靴ひもを結ぶ動作は、能動義手の把持力で十分可能である。なぜなら、残存肢のサポートがあるため。
5.× ズボンのポケットから硬貨を取り出す動作は、どちらも困難となる。なぜなら、義手では感覚的フィードバックがないため。視覚による確認が必要であり、操作時には視覚的フィードバックを頼りに操作や力の調整を行う。

 

 

 

 

 

 

32 失行症がみられる患者にある動作を指示したところ、指示したとおりに可能であった。その後、別の動作を指示したところ前回に指示した動作を繰り返した。
 この誤反応はどれか。

1.保続
2.錯行為
3.修正行為
4.無定型反応
5.Body Parts as Object(BPO)

解答1

解説
1.〇 正しい。保続とは、前の課題の動作が次の課題を行う時に繰り返されるものである。ある動作を指示通りに遂行可能であったが、別の動作を指示しても同じ動作をすることから、これは保続の概念と一致する。
2.× 錯行為とは、狭義の錯行為や明らかに他の行為と理解される行為への置き換えである。つまり、口頭命令や模倣において、ある動作を他の動作と取り違える誤りを示すことである。
3.× 修正行為とは、目的とする行為に対し、試行錯誤が認められることである。
4.× 無定型反応とは、何をしているのかわからない反応である。
5.× Body Parts as Object(BPO)とは、道具を使用する真似で、自分の股節を道具に置き換えて身振りをするものである。

 

 

 

 

 

 

33 頸髄損傷による完全四肢麻痺者の機能残存レベルと自立可能な動作の組合せで正しいのはどれか。

1.C4:天井走行式リフターを使用した移乗
2.C5:自己導尿による排尿
3.C6:トランスファーボードなしでの自動車運転席への移乗
4.C7:車椅子から床への移乗
5.C8:手動装置なしでの自動車運転

解答4

解説
1.× 天井走行式リフターを使用した移乗は、自立可能な動作ではない。他者からの援助・介助で天井走行式リフターや床走行式リフター等を用いて移乗を行う。
2.× 自己導尿による排尿は、C5ではなく、C7以上の機能残存で可能である。
3.× トランスファーボードなしでの自動車運転席への移乗は、C6ではなく、トランスファーボードありではC6B2レベル以上で、トランスファーボードなしではC7~8以上で可能となる。
4.〇 正しい。車椅子から床への移乗は、C7以上で可能となる。C7レベルで可能となるのは、車椅子から床への移乗、車椅子からベッドへの移乗である。
5.× 手動装置なしでの自動車運転は、C8ではなくT12で可能となる。なぜなら、体幹の安定は不可欠であるため。

 

 

 

 

 

 

34 作業療法で正しいのはどれか。

1.テニス肘では90°以上の肘屈曲を避ける。
2.切断指再接着直後の浮腫には寒冷療法を用いる。
3.肩関節腱板断裂では肩甲骨の回旋運動を制限する。
4.Zone Ⅱの屈筋腱損傷の術直後は手関節を屈曲位に保つ。
5.上腕骨骨幹部骨折では肩関節内外旋訓練を早期に開始する。

解答4

解説
1.× テニス肘(上腕骨外側上顆炎)では、90°以上の肘屈曲を避ける必要はない。手関節・手指伸筋群の使い過ぎで起こるため、炎症が助長しない程度に安静にする必要はあるが、関節運動を制限するほどではない。また、手根伸筋群は外側上顆を起始部としているため、手根伸筋群(手・肘関節を同時に伸展しない)を使わないよう指導する。
2.× 切断指再接着直後の浮腫は、寒冷療法に用いない。なぜなら、切断指再接着直後に寒冷療法を行うと、血管が攣縮し血流障害をきたす恐れがあるため。
3.× 肩関節腱板断裂は、肩甲骨の回旋運動を制限する必要はない。肩関節の動きは制限することが多いが、肩甲骨の動きは肩甲上腕リズムの維持のため徒手的に動かすことがある。
4.〇 正しい。Zone Ⅱの屈筋腱損傷の術直後は、手関節を屈曲位に保つ。ZoneⅡは、no man’s land(手術をすべきでない場所)で手術をしても腱癒着が起こりやすい場所である。屈筋腱縫合術後に行われるKleinert法・変法は、手指伸展を保護するスプリントとゴムを用いる。爪上にゴムを引っかけて引っ張ることで、屈曲をアシスト、伸展は抵抗運動となるように調整する。
5.× 上腕骨骨幹部骨折では、肩関節内外旋訓練を早期ではなく、炎症後に開始する。まずは安静にする。なぜなら、肩関節内外旋訓練はねじり方向の力が加わり骨癒合の遅延・痛みを助長するため。

 

 

 

 

 

 

35 Duchenne 型筋ジストロフィーのステージ5(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による)のときのADLアプローチで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.食器は体幹を動かさずに届く範囲に配置する。
2.万能カフでブラシを把持して整髪する。
3.ズボンの着脱は立位で行う。
4.便器への移乗にトランスファーボードを用いる。
5.洗体時に座位保持椅子を導入する。

解答1/4

解説
1.〇 正しい。食器は体幹を動かさずに届く範囲に配置する。なぜなら、ステージ5では座位保持状態での移動が可能であり、体幹の筋力は低下していると考えられ、食事の自立に配慮すると、食器を体幹を動かさずに届く範囲に配置することは本人への負担も軽減されるため。食事動作は末期まで残存するADL動作のーつである。
2.× 万能カフでブラシを把持して整髪するのは、ステージ4までが可能である。なぜなら、ブラシを把持して整髪するには上肢の挙上が必要であるため。
3.× ズボンの着脱は立位で行うのは、ステージ4までが可能である。なぜなら、ステージ5では立位は不可能であるため。ズボンの着脱は座位で行う。
4.〇 正しい。便器への移乗にトランスファーボードを用いる。なぜなら、ステージ5は、座位を保てるのでトランスファーボードを用いれば便器への移乗は可能であるため。
5.× 洗体時に座位保持椅子を導入する必要はない。座位保持はステージ7まで可能である。

厚生省「筋萎縮症」対策研究会による障害段階分類

ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立上がり不能
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助

 

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