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36 上肢にシャントが造設されている人工透析患者に対する生活指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.手指のしびれの出現に留意する。
2.強い運動は透析日に実施する。
3.シャント側上肢で荷物を持つ。
4.水分摂取をできるだけ増やす。
5.野菜はゆでこぼして摂取する。
解答1/5
解説
1.〇 正しい。手指のしびれの出現に留意する。なぜなら、血液透析の合併症として末梢神経障害が起こることがあるため。
2.× 強い運動は、透析日ではなく非透析日に実施する。なぜなら、透析日は血圧が下がりやすく不安定であるため。廃用症候群を予防するためにも透析患者に適度な運動は必要である。しかし、強い運動自体は勧められない。
3.× シャント側上肢ではなく、非シャント側上肢で荷物を持つ。なぜなら、シャント側上肢で荷物を持つと、シャントが潰れ、使用できなくなる可能性があるため。
4.× 水分摂取をできるだけ増やす必要はない。なぜなら、血液透析患者の水分コントロールは極めて厳重に行われているため。血液透析患者における生活指導としては、水分量の管理が重要である。
5.〇 正しい。野菜はゆでこぼして摂取する。なぜなら、野菜をゆでこぼすことで、野菜に含まれるカリウムをゆで汁として捨てることができるため。透析患者は、高カリウム血症となっている場合が多く、カリウム制限する必要がある。
37 緩和ケア病棟で疼痛のある終末期癌患者に「痛みも強くなっているし、私はもう長くないのかなあ」と問いかけられた。
共感的な対応で適切なのはどれか。
1.「なぜそう思うのですか」
2.「そんなことを言わず、頑張りましょう」
3.「そんなことは心配しなくてもいいですよ」
4.「すみませんが、時間ができたらあとで来ます」
5.「これだけ痛みがあるとそんな気持ちになりますね」
解答5
解説
1.× 「なぜそう思うのですか」:「なぜ」と理由を問うのは、患者に具体的な答えを追い込むことにつながりかねず、共感的な対応とはいえない。
2.× 「そんなことを言わず、頑張りましょう」:患者の思いを軽視・否定している印象につながり、それをないものかのようにふるまうことを求めているため、共感的な対応とはいえない。
3.× 「そんなことは心配しなくてもいいですよ」:患者の思いを軽視・否定している印象につながり、それをないものかのようにふるまうことを求めているため、共感的な対応とはいえない。
4.× 「すみませんが、時間ができたらあとで来ます」:これは約束であり、共感的な対応とはいえない。また、細かなことになるが「あとで」という表現は、個人での解釈で異なるため控えたほうが良い。医療従事者にとって「あとで=1時間後」と受け取る場面でも、患者にとっては「あとで=10分後」に受け取り、病室に行ったときには患者は怒っているというケースが良くある。
5.〇 正しい。「これだけ痛みがあるとそんな気持ちになりますね」:患者の気持ちを受け止める共感的発言である。共感的態度で接することは苦しさを受け入れてくれるという安心感から、改善に寄与する。それによって孤独・不安や憂うつ気分などのうっ積している感情が表現されやすくなる。
緩和ケアにおける理学療法は,回復を目的としたトレーニングとは異なる。回復が望めない中にあってその苦痛の緩和に努め,残された機能を最大限に生かし,安全な生活を支えることが必要である。また,残された機能を生かし支えることは,ひいては患者や家族の実際的ニーズや希望を支えることにもなる。さらに,その過程においてさまざまな患者の訴えに心を傾け,患者に寄り添うことは,理学療法士が提供できる大切な心のケアと考える。
①疼痛・苦痛の緩和:リハにおいてもまず取り組む課題である。(安楽肢位、リラクゼーション、物理療法、補装具の検討、電動ベッドなどの検討)
②ADL 能力維持・援助:特に排泄動作に関する要望が多い。(移動能力維持、環境設定、ADL訓練、介助法の指導)
③精神面の援助:死を受け入れていくうえでも「どのように生きるか」が重要である。
④家族への援助:家族から要望があれば介助方法や援助方法(マッサージの方法など)を伝達する。
⑤廃用性変化の予防・全身機能維持:リハが日常生活にリズムをつくる。
※(参考:「緩和ケアにおけるコメディカルの役割と人材の育成」著:下稲葉 主一(栄光病院リハビリテーション科))
38 病院内における個人情報の保護で正しいのはどれか。
1.患者名を記した作業療法実施予定表を掲示した。
2.患者の上司から電話で病状を尋ねられたので説明した。
3.近隣病院との勉強会で、同意なく患者の写真を使用した。
4.依頼された患者について、他の診療科の診療録を参照した。
5.患者と職員が利用する食堂で、職員が他患者の病状について話をした。
解答4
解説
厚生労働省は、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」で病院等における個人情報の適正な取り扱いについて示している。医療者の守秘義務については、医師、歯科医師、薬剤師、助産師は刑法134条に、その他の職種ではそれぞれの身分法(資格法)で規定されている。
1.× 患者名は個人情報にあたる。したがって、患者名を記した作業療法実施予定表を掲示することは、個人情報の保護とはいえない。むしろ掲示してはならない。
2.× 病状は個人情報にあたる。したがって、患者の上司から電話で病状を尋ねられたので説明することは、個人情報の保護とはいえない。むしろ、患者本人の了承なしに他人に病状を話してはいけない。
3.× 患者の写真は個人情報にあたる。近隣病院との勉強会で、同意なく患者の写真を使用することは、個人情報の保護とはいえない。勉強会等で用いる場合にも必ず患者の同意が必要である。
4.〇 正しい。依頼された患者について、他の診療科の診療録を参照した。個人情報を他に漏出しているわけではなく、保護されているといえる。
5.× 他患者の病状は個人情報にあたる。患者と職員が利用する食堂で、職員が他患者の病状について話をすることは、個人情報の保護とはいえない。むしろ、患者の病状について、他の患者や職員が内容を聞きうる場で話すことは、個人情報の漏出である。
39 作業療法の歴史に関連する人物と治療・モデルの組合せで正しいのはどれか。
1.Simon, H. :芸術療法
2.Pinel, P. :精神分析
3.Conolly, J. :積極療法
4.Meyer, A. :精神生物学
5.Dunton, W. :モラルトリートメント
解答4
解説
1.× Simon, H. (ヘルマン・ジーモン)は、芸術療法ではなく、ドイツの精神科医で、患者の残存機能を賦活するものとしての精神科における作業療法を、1920年代に体系化した。
2.× Pinel, P. (フィリップ・ピネル)は、精神分析ではなく、フランスの精神科医で、人道的精神医学の創始者である。18世紀末に初めて閉鎖病棟から精神患者を開放した医師として知られる。
3.× Conolly, J. (ジョン・コノリー)は、積極療法ではなく、イギリスの精神科医で、19世紀に非拘束の原則を唱え、無拘束治療の運動などを行った。
4.〇 正しい。Meyer, A. (アドルフ・マイヤー)は、精神生物学を行った。スイス生まれの精神科医で、アメリカにおいて精神分析の思想を精神生物学として発展させた。
5.× Dunton, W. (ウィリアム‘ダントン)は、モラルトリートメントではなく、アメリカの精神科医で、20世紀初めに精神科領域における作業療法を提唱し、「アメリカ作業療法の父」と呼ばれる。ちなみに、モラルトリートメント(道徳療法)とは、 ピネルやイギリスのテュークやイタリアのキアルジ、ドイツのライル、アメリカのディックスなどによって精神科病院に導入された治療活動の総称である。
40 認知行動療法で正しいのはどれか。
1.入院中に行う治療法である。
2.主な対象疾患は認知症である。
3.考え方の癖に気付く練習をする。
4.グループミーティングを重視する。
5.評価には認知機能検査が用いられる。
解答3
解説
認知行動療法は、認知の歪みを自覚させることで行動の変容を促し、症状の軽快を図る方法である。うつ病や強迫性障害など様々な疾患で用いられる。
1.× 入院中ではなく、実際の社会生活で起こる出来事に関して行う治療法である。実際の社会生活で起こる出来事に関して認知の修正を図るため、主に外来で行う。しかし、入院中に行ってもかまわない。
2.× 主な対象疾患は、認知症ではなく、うつ病・神経症・強迫性障害などである。認知機能に障害があると、認知の歪みが自覚できないことが多い。
3.〇 正しい。考え方の癖(自らの考えの歪み)に気付く練習をする。
4.× グループミーティングより、カウンセラーと1対1で行うことが多い。
5.× 評価には、認知機能検査は用いられない。認知や行動が適応的なものに変容したかで評価する。ちなみに、認知機能検査は統合失調症や認知症で用いられている。