第48回(H25) 作業療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

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41 症状や問題が少ないほど点数が高くなる評価尺度はどれか。

1.陰性症状評価尺度(SANS)
2.機能の全体的評定尺度(GAF)
3.簡易精神症状評価尺度(BPRS)
4.精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)
5.精神科リハビリテーション行動評価尺度(Rehab)

解答2

解説
1.× 陰性症状評価尺度(SANS)は、症状や問題が少ないほど点数が低くなる。ちなみに、陰性症状評価尺度(SANS)は、感情鈍麻・ 思考障害など、統合失調症の陰性症状を評価するために用いられる。5領域30項目より成り、各項目7段階で評価される。
2.〇 正しい。機能の全体的評定尺度(GAF)は、症状や問題が少ないほど点数が高くなる。ちなみに、機能の全体的評定尺度(GAF)は、精神障害がある、もしくは疑われる人に対し、心理・社会機能の評価に用いられる。0~100の数字で評価される。
3.× 簡易精神症状評価尺度(BPRS)は、症状や問題が少ないほど点数が低くなる。ちなみに、簡易精神症状評価尺度(BPRS)は、記載された事項についての質問を行い、18の項目を7段階で評価する。
4.× 精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)は、症状や問題が少ないほど点数が低くなる。ちなみに、精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)は、統合失調症患者に対して実施され、5領域、40項目について質問し、各項目5段階で評価する。
5.× 精神科リハビリテーション行動評価尺度(Rehab)は、症状や問題が少ないほど点数が低くなる。ちなみに、精神科リハビリテーション行動評価尺度(Rehab)は、病院や施設で生活する人を対象に、逸脱行動・全般的行動の2領域について質問を行い評価する。

 

 

 

 

 

 

42 Alzheimer型認知症の作業療法場面で特徴的なのはどれか。

1.多動傾向
2.固執傾向
3.模倣行動
4.感情失禁
5.構成失行

解答5

解説
1.× 多動傾向は、主に注意欠陥多動性障害(ADHD)でみられる。
2.× 固執傾向は、主に自閉症でみられる。
3.× 模倣行動は、主に前頭側頭型認知症にみられる。ちなみに、模倣行動とは、指示がないのに他者のジェスチャーを真似してしまうことである。
4.× 感情失禁は、主に血管性認知症にみられる。
5.〇 正しい。構成失行は、Alzheimer型認知症の作業療法場面で特徴的である。ちなみに、構成失行とは、図形や立体を構成することができなくなることで、頭頂葉の傷害が原因である。他にも記憶障害や見当識障害、物とられ妄想などが主体である。

 

 

 

 

 

43 統合失調症の回復期後期に行う作業療法の目的で適切なのはどれか。

1.休息援助
2.対人交流
3.衝動発散
4.欲求充足
5.鎮静と賦活

解答2

解説

1.3.5.× 休息援助/衝動発散/鎮静と賦活は、急性期に行う作業療法の目的である。
2.〇 正しい。対人交流は、回復期後期に行う作業療法の目的である。回復期後期には社会復帰のための第一歩として対人交流技能の改善・習得を目指し、コミュニケーション能力の向上を図る。
4.× 欲求充足は、基本的な生活リズムが回復しつつある亜急性期の課題である。

”統合失調症とは?”

統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。
(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)

 

 

 

 

 

 

44 統合失調症患者の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.合理的な理由付け
2.作業能率の低下
3.持続性の維持
4.社交性の高さ
5.認知のゆがみ

解答2/5

解説

統合失調症とは?

統合失調症は、思考・知覚・感情・意欲・自我意識の障害が起こる。
作業療法場面では、①柔軟性がない、②計画性がない、③慣れがない、④同時並行できない、⑤作業量に変動がある。

1.× 合理的ではなく、不合理な理由付けが多い。統合失調症の特徴として、思い込みが激しく、不合理な訴えを行う患者本人は自分が不合理であるということには気づかないことが多い。
2.〇 正しい。作業能率の低下は、統合失調症患者の特徴である。なぜなら、統合失調症患者は思考や行動のまとまりが悪いため。
3.× 持続性の維持は苦手である。そのため、作業療法においても長時間の作業は避ける必要がある。
4.× 社交性は、高くなくむしろ低い。なぜなら、柔軟性が低くなり嫌煙する人が増えることが多いため。
5.〇 正しい。認知のゆがみは、統合失調症患者の特徴である。判断力・計画性などの認知機能が障害される。

 

 

 

 

 

 

45 うつ病患者の作業療法でみられやすい特徴はどれか。

1.頻回の休息
2.手順の省略
3.学習性低下
4.約束の遵守
5.他者への依存

解答4

解説

うつ病患者

うつ病患者は、真面目で責任感が強く、社会秩序に重きを置く性格の人が多い。

1.× 頻回ではなく、あまり休息をとらないことが多い。なぜなら、責任感が強く、勤勉な性格が多いため。したがって、疲労を感じたら休息を取れるようにすることが大切である。
2.× 手順は、省略することなく、すべてきちんと遂行しようとする。なぜなら、完璧を求める傾向にあるため。
3.× 学習性は低下しない。低下するのは、精神運動(意欲)である。作業療法において手順や段取りに時間がかかるが、直接的気に学習性の低下は起こらない。
4.〇 正しい。約束の遵守は、うつ病患者の作業療法でみられやすい。なぜなら、責任感が強く真面目であるため。
5.× 他者への依存ではなく、むしろ他人に頼ろうとせず、自分ですべて解決しようとする。なぜなら、責任感が強く真面目であるため。

 

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