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26 関節リウマチの検査所見で正しいのはどれか。
1.CRP陽性
2.血清鉄増加
3.赤沈値低値
4.白血球数減少
5.赤血球数増加
解答1
解説
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。CRP陽性は、関節リウマチの検査所見である。関節リウマチの炎症反応によりCRPは上昇する。ちなみに、他にも結核などの感染症、膠原病、心筋梗塞、肝硬変、敗血症、悪性腫瘍などが考えられる。炎症性マーカー(赤沈やCRPなど)の他に、IgG-RFや関節病変で特異的に上昇するMMP-3のマーカーもある。
2.× 血清鉄は増加しない。血清鉄とは、血清中に含まれる鉄分のことである。鉄欠乏性貧血の時に低値となり、溶血性貧血などの赤血球が壊れた際に増加する。
3.× 赤沈値は、低値ではなく高値となる。赤沈は、炎症反応があると亢進する。ちなみに、赤沈(せきちん)とは、赤血球沈降速度のことで、赤血球が試薬内を沈んでいく速度をみる血液検査の1つである。
4.× 白血球数は、減少ではなく増加する。白血球は、体内に侵入してきた異物の侵入を防御する免疫機能を担っている。したがって、炎症があると白血球は上昇する。
5.× 赤血球数は、増加ではなく減少しやすい。なぜなら、関節リウマチでは、しばしば貧血がみられるため。
27 de Quervain(ドケルバン)病で腱鞘炎を起こすのはどれか。2つ選べ。
1.長母指伸筋腱
2.短母指伸筋腱
3.長母指外転筋腱
4.長橈側手根伸筋腱
5.短橈側手根伸筋腱
解答2/3
解説
de Quervain(ドケルバン)病は、狭窄性の腱鞘炎である。長母指外転筋腱と短母指伸筋腱は同じ腱鞘を走行しているために、腱鞘内に炎症が起こり、橈骨茎状突起部を中心に、疼痛や腫脹がみられる疾患である。中年女性に多くみられる。アイヒホッフテスト(フィンケルシュタインテストとも)で陽性となる。ちなみに、アイヒホッフテスト(フィンケルシュタインテスト)とは、母指を握り込ませて手関節尺屈すると、陽性の場合手関節橈側の疼痛が増強する。
1.4.5.× 長母指伸筋腱/長橈側手根伸筋腱/短橈側手根伸筋腱にはde Quervain(ドケルバン)病で腱鞘炎を起こさない。
2~3.〇 正しい。短母指伸筋腱/長母指外転筋腱に腱鞘炎を起こす。
28 中心性頸髄損傷で正しいのはどれか。
1.感覚障害はない。
2.頸部過伸展によって生じる。
3.重度の膀胱直腸障害が残存する。
4.上肢より下肢の障害が強い。
5.椎骨の損傷を合併する。
解答2
解説
中心性頚髄損傷とは、転倒などの頸椎の過伸展により発生する。したがって高齢者に多い。中心性とは脊髄の中心が主に受傷される。そのため、下肢よりも上肢の障害が優位となる。四肢麻痺、手指の巧緻性低下などの運動障害、強いしびれなどの感覚障害、膀胱直腸障害を呈する。
1.× 感覚障害を呈する。
2.〇 正しい。頸部過伸展によって生じる。受傷のメカニズムは、脊柱管の狭小化が元々存在していたところに、転倒などにより頚部の過伸展とういう外力が加わり生じる。したがって高齢者に多い。
3.× 重度の膀胱直腸障害が残存するとは言い難い。なぜなら、事故やスポーツなどの外傷による頸髄損傷に比べて、外力は比較的小さいため。また、一般的に予後は良好といわれている。
4.× 逆である。下肢より上肢の障害が強い。
5.× 椎骨の損傷は伴わないことが多い。
29 臨床所見と末梢神経障害の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.環指橈側の掌側の触覚低下:正中神経麻痺
2.母指指腹の痛覚低下:後骨間神経麻痺
3.Froment 徴候陽性:尺骨神経麻痺
4.Phalen徴候陽性:橈骨神経麻痺
5.手関節伸展不能:前骨間神経麻痺
解答1/3
解説
1.〇 正しい。環指橈側の掌側の触覚低下は、正中神経麻痺により生じる。ちなみに、正中神経領域の疼痛やしびれの検査として、ファーレンテスト(Phalen test)がある。1分間手関節掌屈位を保持してもらう。
2.× 母指指腹の痛覚低下は、後骨間神経麻痺ではなく、正中神経麻痺により生じる。ちなみに、後骨間神経麻痺では、感覚障害は伴わないが、下垂指が起こる。
3.〇 正しい。Froment (フロマン)徴候陽性は、尺骨神経麻痺により生じる。Froment徴候は、尺骨神経麻痺の検査である。方法は、両手の母指と示指で紙をつまみ、反対方向に引っ張る時に母指のIP関節が曲がれば陽性となる。
4.× Phalen徴候陽性は、橈骨神経麻痺ではなく、正中神経麻痺により生じる。Phalen徴候は、手関節屈曲位保持を1分持続することによる正中神経支配領域における疼痛やしびれの増悪をみる。正中神経麻痺で起こる手根管症候群で陽性となる。
5.× 手関節伸展不能(下垂手)は、前骨間神経麻痺ではなく、橈骨神経麻痺で起こる。前骨間神経は正中神経支配であり、後骨間神経は橈骨神経支配である。前骨間神経麻痺では、感覚障害は伴わず、母指IP関節と示指のDIP関節の屈曲ができなくなり、ティアドロップサイン陽性となる。
30 姿勢保持障害の原因で痙直型脳性麻痺児の特徴はどれか。
1.注意集中困難による多動
2.身近な感覚遊びによる常同行動
3.全身の低緊張による耐久性低下
4.身体接触面から受ける触覚の異常
5.全身の不随意運動による調節困難
解答4
解説
痙直型脳性まひは、上位運動ニューロンの障害により、四肢体幹の筋緊張の亢進を特徴とする。これに対して、①両麻痺、②アテトーゼ型脳性まひ、③失調型脳性麻痺などは、新生児期には筋緊張の亢進は認められず、徐々に運動発達が遅れ、それぞれの特有の症状を示すようになる。新生児期より筋緊張が著明に低下した状態を、フロッピーインファント(floppy infant)という。scarf(スカーフ)徴候:患児の上肢が、首にぴったり巻きつく現象やfrog position(蛙様肢位):背臥位で、四肢を挙上できないのはその所見である。
1.× 注意集中困難による多動は、注意欠如・多動症(ADHD)にみられる。
2.× 身近な感覚遊びによる常同行動は、自閉症にみられる。
3.× 全身の低緊張による耐久性低下は、痙直型脳性麻痺ではなく、低緊張型脳性麻痺にみられる。ちなみに、痙直型脳性麻痺では、動筋と拮抗筋が同時に過剰収縮を起こすため、筋緊張は亢進していることが多い。
4.〇 正しい。身体接触面から受ける触覚の異常は、姿勢保持障害の原因で痙直型脳性麻痺児の特徴である。触覚など皮膚感覚に異常をきたすことで、四肢の筋緊張が亢進し、姿勢保害の原因となる。
5.× 全身の不随意運動による調節困難は、痙直型脳性麻痺ではなく、アテトーゼ型脳性麻痺にみられる。
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