第48回(H25) 作業療法士国家試験 解説【午前問題1~5】

 

1 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.頸部側屈
2.肩甲帯屈曲
3.肩関節屈曲
4.手関節伸展
5.母指尺側内転

解答1/3

解説
1.〇 正しい。頸部側屈は、【基本軸】第7頚椎棘突起と第1仙骨棘突起を結ぶ線、【移動軸】頭頂と第7頚椎棘突起を結ぶ線である。
2.× 肩甲帯屈曲は、【基本軸】両側の肩峰を結ぶ線、【移動軸】頭頂と肩峰を結ぶ線である。図では基本軸が体幹の背面に接する線になっている。
3.〇 正しい。肩関節屈曲は、【基本軸】肩峰を通る床絵の垂直線、【移動軸】上腕骨である。
4.× 手関節伸展は、前腕を中間位とし、【基本軸】橈骨、【移動軸】第2中手骨である。図では、基本軸が第5中手骨になっている。
5.× 母指尺側内転は、【基本軸】示指(橈骨の延長上)、【移動軸】母指である。図では、基本軸が中指になっている。

一通り確認したい方はこちら↓

【理学療法評価】関節可動域表示ならびに測定法(ROM)の一覧表。国家試験を乗り越えよう。

 

 

 

 

 

 

2 脳血管障害患者にネット手芸を作業活動として選択した。下から6段目までを作業療法士が手本として見せた後、色を変えて患者が実施した作品の途中経過を下図に示す。
 最も考えられる障害はどれか。

1.観念失行
2.拮抗失行
3.構成障害
4.視覚失認
5.手指失認

解答3

解説
1.× 観念失行とは、はさみや歯ブラシなど使慣れているはずの道具を使った一連の動作ができなくなる症状である。左頭頂葉の障害による。
2.× 拮抗失行とは、本人の意思に基づいて右手が動作を始めると、左手がそれを妨げてしまう症状である。脳梁が広範囲に損傷されて起こる。
3.〇 正しい。構成障害とは、細部を明確に知覚し、対象部位の関係を把握して正しく合成を要する活動の障害である。どちらか一側の半球障害で生じ、前頭葉障害で生じることはまれである。
4.× 視覚失認とは、視覚を介して対象を認知することができなくなる症状である。聴覚や触覚など、別の感覚様式からの情報では認知することは可能である。
5.× 手指失認とは、指示された手指を正しく選び出し動かすことができない、または、その手指を呼称することができなくなる症状である。

 

 

 

 

 

 

3 58歳の男性。脳腫瘍と診断された。頭部MRIを下に示す。
 最も考えられる症状はどれか。

1.体幹失調
2.視野障害
3.注意障害
4.感覚性失語
5.左半側空間無視

解答3

解説


 頭部MRIで左前頭葉に腫瘍病変を認める。前頭葉機能は、主に判断・思考・計画・企画・注意・抑制等である。

1.× 体幹失調とは、随意運動遂行時に働く筋群に協調性が失われ、そのため運動が円滑に行われず開脚歩行などを呈する症状である。小脳虫部の損傷によって起こる。
2.× 視野障害とは、代償(眼鏡やコンタクトレンズなど)を用いても、視力や視野狭窄が一定以上改善されない状態のことである。網膜視神経視放線後頭葉の損傷によって起こる。
3.〇 正しい。注意障害とは、必要に応じて特定の刺激に意識を向けることや、集中し続けることなどができなくなる障害である。前頭葉の損傷によって起こる。
4.× 感覚性失語(Wernicke失語)とは、流暢に言葉は出てくるが、話し言葉を理解することが困難になる障害である。左半球(優位半球)側頭葉の損傷によって起こる。
5.× 左半側空間無視とは、左の空間への認知が低下し、身体や空間が見落としがちになる障害である。右半球(劣位半球)頭頂葉の損傷によって起こる。

 

 

 

 

 

 

4 70歳の男性。慢性閉塞性肺疾患による慢性呼吸不全。安静時も酸素吸入が必要である。処方に従って作業療法時に酸素流量を上げ、休息中に下げようとしたところ、呼吸が浅くなり意識障害が出現した。
 最も考えられるのはどれか。

1.呼吸性アルカローシス
2.代謝性アシドーシス
3.CO2ナルコーシス
4.天幕上脳梗塞
5.低血糖発作

解答3

解説
1.× 呼吸性アルカローシスは、激しい呼吸のために起こり、CO₂が過剰に排出され、酸塩基平衡が塩基性に傾く状態である。
2.× 代謝性アシドーシスは、HCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。
3.〇 正しい。CO₂ナルコーシスは、慢性閉塞性肺疾患の患者に高濃度O₂投与を行うと発症する。
4.× 天幕とは、大脳と小脳を区切る骨の壁のことであり、天幕上脳梗塞は「大脳半球の脳梗塞」を意味する。
5.× 低血糖発作では、発汗(冷汗)、動悸(頻脈)、手の震え、顔面蒼白、強い空腹感などの症状が出る。悪化すると意識障害などを起こすが、酸素量は発症と関連がなく、インスリン過剰により、血糖値が極端に低下したときに起こる。

 

 

 

 

 

 

5 88歳の女性。自営の商店や家事は息子夫婦に譲り、たまに店番をして過ごしていた。3か月前に転倒し、右大腿骨頸部骨折で入院した。人工骨頭置換術後のADLは、見守りによるT字杖歩行と入浴の介助以外は自立して自宅退院した。退院時のHDS-R は22点と見当識と記憶障害を認めたが、日常の生活で問題行動はみられなかった。要支援2と認定され、通所リハビリテーションを利用することとなった。興味チェックリスト(高齢者版)の結果を示す。
 この対象者の作業療法目標として適切なのはどれか。

1.園芸・野菜づくりを導入してできた野菜で料理を行う。
2.グループの中で裁縫をしながら仲間づくりを促す。
3.掃除・洗濯を含めた主婦の役割を再獲得する。
4.カラオケなどへの参加を促して趣味を広げる。
5.旅行などの外出で応用歩行を習得する。

解答2

解説
1.× 園芸・野菜づくりを導入してできた野菜で料理を行う優先順位は低い。なぜなら、園芸・野菜づくりに「興味がなし」であるため不適切である。
2.〇 正しい。グループの中で裁縫をしながら仲間づくりを促す。なぜなら、裁縫、婦人会・老人会、おしゃべりに「興味あり」を示しているため。
3.× 掃除・洗濯を含めた主婦の役割の再獲得より選択肢の中に優先度が高いものがほかにある。なぜなら、掃除・洗濯に少し興味はあるようであるが、料理や婦人会・老人会への興味の方が強いため。
4.× カラオケなどへの参加を促して趣味を広げる優先順位は低い。なぜなら、歌を歌うことに「興味がなし」であるため不適切である。
5.× 旅行などの外出で応用歩行を習得する優先順位は低い。なぜなら、旅行をすることに「興味がなし」であるため。

 

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