第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午後問題6~10】

 

6 10歳の男児。なわ跳びの練習後から踵部の圧痛と逃避性跛行がみられた。単純エックス線写真(下図)を別に示す。
 疼痛緩和を目的に行う物理療法で誤っているのはどれか。

1.赤外線
2.超音波
3.ホットパック
4.パラフィン浴
5.運動後のアイシング

解答2

解説

本症例は、踵骨骨折している。小児の踵骨に起こる骨端症をSever病(セーバー病)という。本症例は、10歳で骨端線が閉鎖前であることに注意する。

 

1.3~5.〇 正しい。赤外線/ホットパック/パラフィン浴/運動後のアイシングは、発育期の骨折線周囲に対しても適応となり、疼痛緩和に寄与する。
2.× 超音波は禁忌である。なぜなら、振動刺激を加えるため。

 

 

 

 

 

7 測定筋の電気刺激特性を図に示す。
 図中の番号の説明で正しいのはどれか。

1.①刺激の頻度
2.②刺激の持続時間
3.③基電流
4.④時値
5.⑤時定数

解答2

解説

図は、SD(strength-duration)曲線である。
縦軸:筋収縮を起こす必要最小限の刺激の電流
横軸:刺激時間である。
神経損傷の状態に応じて形状が変化し、脱髄神経になると右にシフトする。

1.× ①(縦軸)は、刺激の頻度ではなく、筋収縮を起こす必要最小限の刺激の電流である。
2.〇 正しい。②(横軸)は、刺激の持続時間である。
3.× ③は、基電流ではなく、クロナキシー(時値)である。クロナキシーとは、基電流の2倍の強さの刺激に対応する刺激時間である。
4.× ④は、時値(クロナキシー)ではなく、基電流である。
5.× ⑤は、時定数ではなく、基電流の2倍(時値を求めるための電流)を示している。

 

 

 

 

 

8 義足装着側の立脚期に図のようなアライメント異常がみられた。
 異常の改善のために義足装着者に行う必要があるのはどれか。

1.脊柱起立筋群の強化
2.右股関節屈曲可動域の増大
3.右股関節伸筋群の強化
4.左股関節外転筋群の強化
5.左膝伸筋群の強化

解答3

解説

 本症例の立位時は正常で、立脚期の動的アライメントに異常(右股関節伸展時に過度の腰椎前弯)がみられる。アライメント異常には、①義足側の問題、②義足装着者の問題が考えられる。①義足側の問題の場合、静的アライメントも異常(ソケットの初期屈曲角度が少ないなど)となることが多い。②義足装着者の問題の場合、義足装着者の股関節屈曲拘縮(伸展制限)股関節伸展筋力低下腹筋筋力低下などが考えられる。

 

1.× 脊柱起立筋群の強化は優先度は低い。なぜなら、立位時の姿勢が正常に保たれているため。
2.× 右股関節屈曲可動域の増大は優先度は低い。右股関節伸展制限にて右股関節伸展時に過度の腰椎前弯がみられるため、右股関節伸展可動域の増大を行う必要がある。
3.〇 正しい。右股関節伸筋群の強化を行う。なぜなら、右股関節伸展筋群が弱化し、義足を後方へ振り出せないと考えられるため。
4.× 左股関節外転筋群の強化は優先度は低い。なぜなら、左股関節外転筋群が低下して起こるのは、立脚期の体幹側屈であるため。
5.× 左膝伸筋群の強化は優先度は低い。なぜなら、左膝伸展筋力が低下して起こるのは、立脚期の膝折れであるため。

 

 

 

 

 

9 図に示す装具で反張膝に対する制動効果がないのはどれか。

解答4

解説

1.〇 ダイヤルロック付き継手である。膝折れ・反張膝防止に用いられる。
2.〇 スウェーデン式膝装具である。反張膝防止に用いられる。
3.〇 デローテーション膝装具である。ACL損傷に用いられ、伸展制限をつけられるため正しい。
4.× 反張膝に対する制動効果がない。PTB免荷装具である。下腿骨折などで下腿部および足部の免荷を目的として使用させれる。
5.〇 プラスチック短下肢装具である。下腿が後傾するのを防ぐため正しい。

 

 

 

 

 

10 65歳の男性。脳梗塞。急性心不全の合併のため発症後14日目から訓練を開始することになった。訓練開始翌日の歩行訓練中に突然胸痛を訴え、SpO2経皮的酸素飽和度が97%から88%まで低下した。
 病態で最も考えられるのはどれか。

1.胃痙攣
2.肺塞栓
3.喘息発作
4.低血糖発作
5.起立性低血圧

解答2

解説

 本症例は、脳血管障害発症後、14日間臥床している。その後、訓練開始後に突然胸痛を訴え、酸素飽和度が下がっている。このことからも典型的な肺塞栓症と予想できる。肺塞栓症が起こる機序として、長期臥床や長時間の座位による静脈系のうっ滞血液粘稠度の上昇で起こりやすくなる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで、下肢の静脈から遊離した血栓が肺動脈に詰まる肺塞栓(肺血栓塞栓症)を発症するリスクが高くなるため注意が必要である。よって、選択肢2.肺塞栓が正しい。

肺塞栓症

腸骨静脈血栓症によることが最も多い。左腸骨静脈が右腸骨動脈と交叉するため、腸骨静脈血栓症は左側に多い。術後の臥床、肥満者、腰部骨盤部手術、悪性腫瘍患者などで生じる。

 

 

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