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11 脳卒中片麻痺で利き手が廃用手の患者に対する入浴指導で、洗体のために図のような自助具の使用を促した。
身体部位で洗い残しが多いのはどれか。
1.麻痺側上肢
2.非麻痺側上肢
3.体幹
4.麻痺側下肢
5.非麻痺側下肢
解答2
解説
廃用手とは、自分でうまく動かせない麻痺が重度の手のことである。臨床では、麻痺手を日常生活にほとんど参加することができないことを廃用手ということがある。
1.3~5.× 麻痺側上肢/体幹/麻痺側下肢/非麻痺側下肢/は、非麻痺側上肢を使って洗うことができる。
2.〇 正しい。非麻痺側上肢は、麻痺側上肢(本症例は廃用手であるため)を使えず、うまく洗えず洗い残しやすいと考えられる。
次の文により12、13の問いに答えよ。
66歳の女性。右利き。階段から転落。転落直後は意識消失していたが、数分後に意識回復。しばらくの間、意識は清明であったが、1時間後に手足の麻痺が出現し、再び意識が低下して昏睡になった。救急搬送時の頭部CTを下図に示す。
12 最も考えられるのはどれか。
1.髄膜腫
2.皮質下出血
3.くも膜下出血
4.脳動静脈奇形
5.急性硬膜下血腫
解答5
解説
1.× 髄膜腫は、可能性が低い。なぜなら、本症例は階段から転落が原因と考えられるため。
2.× 皮質下出血は、可能性が低い。皮質下出血は、大脳皮質の中でも頭頂葉や側頭葉、前頭葉などの皮質下から出血することが多く、症状として、痙攣(けいれん)や片麻痺、構音障害、片眼または両眼の視野の左半分や右半分が欠損する半盲などが起こる。
3.× くも膜下出血は、可能性が低い。くも膜下出血は、CTにて約90%で鞍上部周囲のくも膜下腔にヒトデ型(ペンタゴンともいわれる)の高吸収域を認める。
4.× 脳動静脈奇形は、可能性が低い。動静脈奇形は、CTやMRI・MRAなどの画像検査で診断できるが、画像所見は流入動脈・病巣・流出静脈より変化する。
5.〇 正しい。急性硬膜下血腫である。CT画像から、急性硬膜下血腫に特徴的な①三日月状の高吸収域、②左側脳室体部の圧排変形、③midlineの右方偏位がみられる。
次の文により12、13の問いに答えよ。
66歳の女性。右利き。階段から転落。転落直後は意識消失していたが、数分後に意識回復。しばらくの間、意識は清明であったが、1時間後に手足の麻痺が出現し、再び意識が低下して昏睡になった。救急搬送時の頭部CTを下図に示す。
13 外科的手術が行われたが、片麻痺を伴う左大脳半球障害を残した。出現しやすい症状はどれか。
1.右の方ばかりを見る。
2.家族の顔が認識できない。
3.服の裏表を間違えて着る。
4.自分の右手足は動くと言う。
5.スプーンを逆さまに持って使う。
解答5
解説
1.× 半側空間無視(右の方ばかりを見る。)は、右頭頂葉の障害で起こる。本症例の場合は、病側(左)をにらむ共同偏視がみられる。
2.× 相貌失認(家族の顔が認識できない。)は、右後頭葉の障害で起こる。
3.× 着衣失行(服の裏表を間違えて着る。)は、右頭頂葉の障害で起こる。
4.× 病態失認(自分の右手足は動くと言う。)は、右頭頂葉の障害で起こる。
5.〇 正しい。失行(スプーンを逆さまに持って使う。)は、左頭頂葉の障害で起こる。
14 15歳の男子。6歳時に転倒して左上腕骨外顆骨折の診断で骨接合術を受けた。最近左手のしびれを訴えるようになり受診した。両肘の伸展を行わせたところ、両側とも完全伸展が可能であったが左肘に図の様な変形を認めた。
この患者で最も考えられるのはどれか。
1.腋窩神経障害
2.筋皮神経障害
3.正中神経障害
4.尺骨神経障害
5.橈骨神経障害
解答4
解説
・15歳の男子。
・6歳時:転倒して左上腕骨外顆骨折の診断で骨接合術を受けた。
・最近:左手のしびれを訴える。
・両側とも完全伸展が可能。
→上腕骨外顆骨折後は、外反肘変形を伴い、遅発性尺骨神経麻痺を生じやすい。尺骨神経麻痺の症状として、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。
上腕骨顆上骨折後は、内反肘変形を伴い、フォルクマン拘縮(正中神経麻痺や橈骨神経麻痺)を生じやすい。
1.× 腋窩神経障害は、肩関節脱臼で生じやすい。
2.× 筋皮神経障害は、肩関節脱臼や上肢の外転外旋で側副から分かれた部位で圧迫、または牽引されることにより生じる。
3.5.× 正中神経障害/橈骨神経は、上腕骨顆上骨折後に伴いやすい。
4.〇 正しい。尺骨神経障害である。上腕骨外顆骨折後は、外反肘変形が進行し、尺骨神経が相対的に伸びストレスがかかり、結果的に遅発性尺骨神経麻痺を生じやすい。
外反肘とは、上腕の軸に対して前腕の軸が、正常(10~15°程度外反)より外側を向いている状態(手部が外側に開く状態)である。逆に内側に向いているのが内反肘である。原因として、先天性では先天性橈骨頭脱臼など、後天性では上腕骨外顆骨折後の偽関節や変形治癒で生じる。外反肘では、肘の内側にある尺骨神経が肘関節伸展位において伸ばされるため、数年から数十年経過して徐々に麻痺が出現する、遅発性尺骨神経麻痺となりやすい。
15 46歳の女性。BMIは29である。両側の変形性股関節症で、股関節周囲の筋力低下と荷重時の股関節痛がある。
理学療法で適切でないのはどれか。
1.杖を用いた歩行訓練
2.水中歩行による有酸素運動
3.階段昇降による筋力増強訓練
4.背臥位での下肢筋のストレッチ
5.自転車エルゴメーターでの筋持久性訓練
解答3
解説
BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)は、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数である。本症例のBMIは、29であり、肥満Ⅰ度である。つまり、なるべく関節に負担をかけないで行える理学療法を計画する。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
1.〇 杖を用いた歩行訓練は、免荷となり股関節にかかる負担を軽減できる。
2.〇 水中歩行による有酸素運動は、浮力により股関節にかかる負担を軽減できる。また、水の抵抗により適度な運動負荷で筋肉を鍛えられる。
3.× 適切ではない。階段昇降による筋力増強訓練は、股関節に負担がかかるため。
4.〇 背臥位では、下肢筋のストレッチや筋力トレーニングを組み合わせながら行うとよい。変形性股関節症の進行を遅らせる効果がある。
5.〇 自転車エルゴメーターでの筋持久性訓練は、股関節の免荷を行いながら、股関節周囲の筋力強化と有酸素運動としての体重減少などの効果が期待できる。