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6 10歳の男児。なわ跳びの練習後から踵部の圧痛と逃避性跛行がみられた。単純エックス線写真(下図)を別に示す。
疼痛緩和を目的に行う物理療法で誤っているのはどれか。
1.赤外線
2.超音波
3.ホットパック
4.パラフィン浴
5.運動後のアイシング
解答2
解説
・10歳の男児。
・なわ跳びの練習後から踵部の圧痛と逃避性跛行がみられた。
→本症例は、踵骨骨折が疑われる。小児の踵骨に起こる骨端症をSever病(セーバー病)という。本症例は、10歳で骨端線が閉鎖前であることに注意する。
1.3~5.〇 正しい。赤外線/ホットパック/パラフィン浴/運動後のアイシングは、発育期の骨折線周囲に対しても適応となり、疼痛緩和に寄与する。
2.× 超音波は禁忌である。なぜなら、振動刺激を加えるため。ちなみに、超音波療法の禁忌として、①眼への照射(眼に超音波を照射すると組織の空洞化を起こす)、②成長時の骨端、③心臓、生殖器官、内分泌器官、④良性または悪性腫瘍、麻痺部、⑤ペースメーカーの入っている部位(ペースメーカーを損傷する可能性)、⑥脊髄疾患(多発性硬化症、脊髄灰白質炎、脊髄空洞症)があげられる。また、悪性腫瘍の場合は腫瘍の助長を促す温熱療法は、緩和ケアなどを除いて禁忌である。
7 測定筋の電気刺激特性を図に示す。
図中の番号の説明で正しいのはどれか。
1.①刺激の頻度
2.②刺激の持続時間
3.③基電流
4.④時値
5.⑤時定数
解答2
解説
図は、SD(strength-duration)曲線である。変性筋(ワーラー変性)の電気診断に用いる検査である。
縦軸:筋収縮を起こす必要最小限の刺激の電流
横軸:刺激時間である。
神経損傷の状態に応じて形状が変化し、脱髄神経になると右にシフトする。
1.× ①(縦軸)は、刺激の頻度ではなく、電流(筋収縮を起こす必要最小限の刺激の電流)である。
2.〇 正しい。②(横軸)は、時間(刺激の持続時間)である。
3.× ③は、基電流ではなく、クロナキシー(時値)である。クロナキシーとは、基電流の2倍の強さの刺激に対応する刺激時間である。
4.× ④は、時値(クロナキシー)ではなく、基電流である。
5.× ⑤は、時定数ではなく、基電流の2倍(時値を求めるための電流)を示している。
8 義足装着側の立脚期に図のようなアライメント異常がみられた。
異常の改善のために義足装着者に行う必要があるのはどれか。
1.脊柱起立筋群の強化
2.右股関節屈曲可動域の増大
3.右股関節伸筋群の強化
4.左股関節外転筋群の強化
5.左膝伸筋群の強化
解答3
解説
本症例の立位時は正常で、立脚期の動的アライメントに異常(右股関節伸展時に過度の腰椎前弯)がみられる。アライメント異常には、①義足側の問題、②義足装着者の問題が考えられる。①義足側の問題の場合、静的アライメントも異常(ソケットの初期屈曲角度が少ないなど)となることが多い。②義足装着者の問題の場合、義足装着者の股関節屈曲拘縮(伸展制限)、股関節伸展筋力低下、腹筋筋力低下などが考えられる。
1.× 脊柱起立筋群の強化の優先度は低い。なぜなら、立位時の姿勢が正常に保たれているため。
2.× 右股関節屈曲可動域の増大の優先度は低い。右股関節伸展制限にて右股関節伸展時に過度の腰椎前弯がみられるため、右股関節伸展可動域の増大を行う必要がある。
3.〇 正しい。右股関節伸筋群の強化を行う。なぜなら、右股関節伸展筋群が弱化し、義足を後方へ振り出せないと考えられるため。
4.× 左股関節外転筋群の強化の優先度は低い。なぜなら、左股関節外転筋群が低下して起こるのは、立脚期の体幹側屈であるため。
5.× 左膝伸筋群の強化の優先度は低い。なぜなら、左膝伸展筋力が低下して起こるのは、立脚期の膝折れであるため。
9 図に示す装具で反張膝に対する制動効果がないのはどれか。
解答4
解説
1.〇 ダイヤルロック付き継手である。膝折れ・反張膝防止に用いられる。
2.〇 スウェーデン式膝装具である。反張膝防止に用いられる。
3.〇 デローテーション膝装具である。ACL損傷に用いられ、伸展制限をつけられるため正しい。
4.× 反張膝に対する制動効果がない。PTB免荷装具である。下腿骨折などで下腿部および足部の免荷を目的として使用できる。
5.〇 プラスチック短下肢装具である。下腿が後傾するのを防ぐため正しい。
10 65歳の男性。脳梗塞。急性心不全の合併のため発症後14日目から訓練を開始することになった。訓練開始翌日の歩行訓練中に突然胸痛を訴え、SpO2経皮的酸素飽和度が97%から88%まで低下した。
病態で最も考えられるのはどれか。
1.胃痙攣
2.肺塞栓
3.喘息発作
4.低血糖発作
5.起立性低血圧
解答2
解説
・65歳の男性(脳梗塞)
・発症後14日間臥床(急性心不全の合併のため)
・訓練開始翌日の歩行訓練中:突然胸痛を訴え、SpO2経皮的酸素飽和度が97%から88%まで低下。
→典型的な肺塞栓症と予想できる。肺塞栓症が起こる機序として、長期臥床や長時間の座位による静脈系のうっ滞と血液粘稠度の上昇で起こりやすくなる。離床(車椅子乗車や立位訓練、歩行訓練など)を開始したタイミングで、下肢の静脈から遊離した血栓が肺動脈に詰まる肺塞栓(肺血栓塞栓症)を発症するリスクが高くなるため注意が必要である。よって、選択肢2.肺塞栓が正しい。
1.胃痙攣の関連性は薄い。胃痙攣とは、急激に胃壁の筋肉層が過緊張を起こして、痙攣を起こしたような強い胃痛、吐き気・嘔吐を起こしている状態である。胃痙攣の原因は、そのなかでも最も多いとされているのが精神的なストレスである。他にも、胃の他の病気と合併し、胃炎、胃潰瘍、胃がん、十二指腸潰瘍、胆石症、膵炎などの病気が原因で胃が痙攣を起こす。
3.喘息発作の関連性は薄い。喘息発作の原因は、風邪、運動、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)、たばこ、気温や気圧の変化など、さまざまな刺激によって起こる。したがって、こうした刺激をできるだけ避けることが、発作の予防につながる。
4.低血糖発作の関連性は薄い。低血糖症状は、【自律神経症状】①冷汗、②顔面蒼白、③頻脈、④動悸、⑤発汗、⑥手の震え、⑦空腹感など、【中枢神経症状】①頭痛、②集中力低下、③視力低下、④痙攣、⑤昏睡などである。
5.起立性低血圧の関連性は薄い。起立性低血圧とは、寝た姿勢や座った姿勢から急に起き上がったり、立ち上がった際に血圧が低下し、めまいが起こる症状である。症例は運動時に症状が生じている。起立性低血圧は、原因として①自律神経障害、②薬剤性、③加齢、④飲酒、⑤出血や脱水などの循環血漿量の低下が挙げられる。
腸骨静脈血栓症によることが最も多い。左腸骨静脈が右腸骨動脈と交叉するため、腸骨静脈血栓症は左側に多い。術後の臥床、肥満者、腰部骨盤部手術、悪性腫瘍患者などで生じる。