第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午前問題6~10】

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6 スポーツ傷害に対する超音波照射部位で正しいのはどれか。

1.ジャンパー膝
2.鵞足炎
3.腸脛靱帯炎
4.シンスプリント
5.足関節内反捻挫

解答1

解説

1.〇 正しい。ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)では、膝蓋骨遠位部に圧痛を認める。
2.× 鵞足炎の照射部位は、膝内側が多い。鵞足炎とは、膝下の内側にある鵞足部周辺が炎症を起こしている状態である。 鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。
3.× 腸脛靱帯炎(ランナー膝)の照射部位は、膝外側が多い。腸脛靱帯炎の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。 特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。
4.× シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の照射部位は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方前脛骨筋部骨間膜などである。シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)とは、脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。
5.× 足関節内反捻挫の照射部位は、外側の前距腓靭帯前脛腓靭帯である。なぜなら、それら靭帯が損傷しやすいため。ちなみに、内がえし(内反)とは、内転・回外・底屈が組み合わされている運動のことである。

 

 

 

 

 

 

7 82歳の女性。脳卒中後の右片麻痺。プラスチック製短下肢装具を装着してT字杖歩行が可能である。装具は足尖までの長さで足継手はない。Brunnstrom法ステージでは上肢Ⅳ、下肢Ⅴ。右立脚後期が歩行周期の中で極端に短く安定性も低下している。装具に修正を加えたところ歩容は改善した。
 装具に加えた修正はどれか。

1.装具の高さをヒラメ筋の起始部付近まで低くした。
2.足関節部の固定性を強化(コリュゲーション)した。
3.中足指節関節部から遠位を切除した。
4.アーチサポートを挿入した。
5.足部のベルクロの固定を緩めた。

解答3

解説

本症例のポイント

・82歳の女性(脳卒中後の右片麻痺)
・歩行:プラスチック製短下肢装具+T字杖歩行。
・装具:足尖までの長さ、足継手はない。
・Brs上肢Ⅳ(腰の後方へ手をつける。肘を伸展させて上肢を前方水平へ挙上。肘90°屈曲位での前腕回内・回外)、下肢Ⅴ(立位で股伸展位、またはそれに近い肢位、免荷した状態で膝屈曲分離運動。立位、膝伸展位で足を少し前に踏み出して足関節背屈分離運動)。
・歩行周期:右立脚後期が極端に短く安定性も低下している。
・装具に修正を加えたところ歩容は改善した。
→本症例の歩行の問題点は、「右立脚後期が極端に短く安定性も低下している」ことである。立脚後期は、振り出しの際の足関節底屈・足趾屈曲に働く相である。それらをサポートするよう装具に修正を加える。

1.× 装具の高さをヒラメ筋の起始部付近まで低くしても、立脚後期の延長の可能性は低い。なぜなら、一般にプラスチック製短下肢装具は、腓骨頭下部からやや遠位の高さが適切である。「装具の高さをヒラメ筋の起始部付近まで低くした」と選択肢にあるが、ヒラメ筋付着部は腓骨下部より遠位にあるため、下げることになっていない。
2.× 足関節部の固定性を強化(コリュゲーション)するのは逆効果である。立脚後期に背屈方向へたるみにくくなり、立脚後期はさらに短縮する。
3.〇 正しい。中足指節関節部から遠位を切除することにより、立脚後期に中足指節関節が伸展(フォアフットロッカーが機能)し、立脚後期が延長し安定性も向上する。
4.× アーチサポートを挿入しても、立脚後期の延長の可能性は低い。アーチサポートとは、アーチを補佐するためのパーツである。立脚中期の安定性の向上に寄与する。
5.× 足部のベルクロの固定を緩めた場合、安定性の向上しないため不適切である。足部のベルクロの固定を緩めた場合、足関節背屈が入りやすくなり、立脚後期を延長には働くが、安定性はさらに低下する。

 

 

 

 

 

8 3歳の男児。先天性の腰髄髄膜瘤による二分脊椎。この男児の足の写真(下図)を別に示す。
 この児の歩行改善に必要なのはどれか。

1.踵補高
2.外側ウェッジ
3.中足骨バー(metatarsal bar)
4.外側Tストラップ
5.背屈制動つき足継手

解答5

解説

MEMO

・3歳の男児(先天性の腰髄髄膜瘤による二分脊椎)
→二分脊椎とは、神経管閉鎖障害のうち腰仙部の脊髄・脊椎・皮膚などにみられる先天奇形であり、特に脊髄髄膜瘤では約90%に水頭症、ほぼ前例にChiariⅡ型奇形(小脳扁桃、小脳中部下部、延髄、第4脳室が大孔を通って頸椎管内へ下降変位したもの。第2頚髄を越えて陥入することが多い)を合併する。二分脊椎症には①開放性(表面からはっきりわかるもの)と②潜在性(わかりにくいもの)がある。前者には脊髄披裂あるいは脊髄髄膜瘤などが含まれる。

腰髄髄膜瘤による二分脊椎は、下肢の麻痺を伴い、踵足変形を起こしやすい。踵足変形とは、足のつま先が宙に浮いた状態で、踵だけが接地し、直立しながら歩行を行う状態である。

1.× 踵補高は、背屈制限脚長差に適応になる。
2.× 外側ウェッジは、膝関節内反に適応になる。
3.× 中足骨バー(metatarsal bar)は、痙縮に伴う足趾屈曲による痛み中足骨頭痛に適応になる。
4.× 外側Tストラップは、足部内反に適応になる。
5.〇 正しい。背屈制動つき足継手は、踵足変形(足関節背屈位)に適応になる。

 

 

 

 

 

次の文により9、10の問いに答えよ。
 65歳の男性。右利き。突然の意識消失のため救急搬入された。診察時のJCSⅢ-200、血圧210/120 mmHg、脈拍90/分であった。搬送時の頭部CT(下図)を別に示す。

9 意識を回復した際に認められるのはどれか。2つ選べ。

1.左半側空間無視
2.右上肢麻痺
3.左下肢失調
4.相貌失認
5.失語症

解答2/5

解説

本症例のポイント

・65歳の男性(右利き)
・診察時:JCSⅢ-200(痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる)、血圧210/120 mmHg、脈拍90/分。

1.× 左半側空間無視は、右頭頂葉の障害で生じる。
2.〇 正しい。右上肢麻痺は、左前頭葉(運動野)の障害で生じる。
3.× 左下肢失調は、小脳の障害で生じる。
4.× 相貌失認(人の顔が認識できなくなる状態)は、右後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけて(腹側視覚路)の障害で生じる。
5.〇 正しい。失語症(運動性失語)は、左前頭葉が障害で生じる。

 

 

 

 

 

 

次の文により9、10の問いに答えよ。
65歳の男性。右利き。突然の意識消失のため救急搬入された。診察時のJCSⅢ-200、血圧210/120 mmHg、脈拍90/分であった。搬送時の頭部CT(下図)を別に示す。

10 入院翌日に理学療法が依頼された。JCSⅡ-10、血圧150/100mmHg、脈拍90/分で、バイタルチェックを行いながら、理学療法を開始することになった。
 この日に行う訓練で適切なのはどれか。

1.ギャッジアップ訓練
2.車椅子座位訓練
3.健側下肢の筋力訓練
4.寝返り練習
5.下肢装具を装着しての立位訓練

解答1

解説

本症例のポイント

・入院翌日:JCSⅡ-10(普通の呼びかけで容易に開眼する。合目的的な運動をするし、言葉も出るが間違いが多い。)
・血圧150/100mmHg、脈拍90/分

1.〇 正しい。ギャッジアップ訓練から行っていく。なぜなら、本症例は現在発症2日目であり、JCS2桁であるため。安全に実施できる理学療法から実施していく。
2.5.× 車椅子座位訓練/下肢装具を装着しての立位訓練は、JCS1桁で開始可能である。本症例は、JCSⅡ-10(JCS2桁)であるため不適切である。
3.× 健側下肢の筋力訓練は優先度は低い。なぜなら、本症例は、JCSⅡ-10(JCS2桁)で指示が入りにくいことが予想され、加えて適切な負荷で行えないため。
4.× 寝返り練習は、ギャッジアップ訓練と比較して優先度が低い。なぜなら、本症例は、JCSⅡ-10(JCS2桁)で指示が入りにくいことが予想されるため。また、禁忌ではないが、本症例は現在発症2日目(JCS2桁)であり、指示なくバイタルサイン測定だけでも安全に実施できる理学療法から実施していく。頭部の位置が回転する寝返りは、気分不快になる可能性もある。

座位訓練の施行基準

【座位訓練の開始基準】
・意識レベルが JCS1桁である
・全身状態が安定している
・麻痺などの症状増悪がない

【座位訓練の施行基準】
・開始前,直後,5分後,15分後,30分後に血圧を測定
・ 30°,45°,60°,最高位(80°)の 4 段階
→ 30 分以上可能となったら次の段階へ
・1日2回施行,安定したら回数を増加
・最高位で30分以上可能→車椅子座位訓練開始

【座位訓練の中止基準】
・血圧の低下
10mmHg以上→5分後の回復や自覚症状で判断
30mmHg以上→中止
・脈拍
開始前の30%以上あるいは 120/分以上→中止
・起立性低血圧症状(気分不良など)→中止

 

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