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36 慢性呼吸不全患者の在宅ADL・IADL指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.整髪は、両手で結う。
2.洗髪では、吸気のときに洗う。
3.上衣は、前開き服を選択する。
4.排便では、息を止めて腹圧をかける。
5.物干しは、さおを肩の高さに下ろして洗濯物をかける。
解答3・5
解説
(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集様HPより)
① 排便(息を止めるため、呼吸のコントロールを行う)
② 肩まで湯船につかる(胸部が圧迫されるため、動作環境や方法を工夫する)
③ 洗髪、上衣更衣、洗体など(上肢を使うため、上肢挙上は片腕のみで、呼吸のコントロールを行う。)
④ズボンや靴下を履く(体を前屈して行うため、動作のスピードや方法を調整する。)
※入浴の生活指導:息切れがある場合は全身入浴を控え、半身浴やシャンプーハットを使用したシャワーなどで対応する。入浴中は酸素吸入を行わない場合が多いため、入浴時間は短めにする。
1.× 整髪は、「両手」ではなく「片手」で結う。なぜなら、両手で行うと胸郭の動きを制限し、呼吸苦が増してしまうため。
2.× 洗髪では、「吸気」ではなく「呼気」のときに洗う。呼吸法としては、①腹式呼吸、②口すぼめ呼吸を行う。
3.5.〇 正しい。上衣は前開き服を選択する/物干しはさおを肩の高さに下ろして洗濯物をかける。なぜなら、上肢をあげる動作を伴わないため。つまり、呼吸の乱れが少なく行える。
4.× 排便では、「息を止めて」ではなく「ゆっくりとした呼気」で腹圧をかけながら行う。排便に限らず息を止める動作は、呼吸苦が増すため指導しない。
37 立位をとることは可能だが、移動は車椅子を要する片麻痺患者のための家屋改造について正しいのはどれか。
1.ドアは開き戸にする。
2.浴槽は洋式タイプにする。
3.廊下幅は70 cm を確保する。
4.スロープの勾配は1/7 にする。
5.トイレにL字型の手すりを設置する。
解答5
解説
数値:【建築物移動等円滑化基準】(建築物移動等円滑化誘導基準)
玄関出入口の幅:【80cm】(120cm)
居室などの出入口:【80cm】(90cm)
廊下幅:【120cm】(180cm)※車椅子同士のすれちがいには180cm
スロープ幅:【120cm】(150cm)
スロープ勾配:【1/12以下】(1/12以下、屋外は1/15)
通路の幅:【120cm】(180cm)
出入口の幅:【80cm】(90cm)
かごの奥行:【135cm】(135cm)
かごの幅(一定の建物の場合):【140cm】(160cm)
乗降ロビー:【150cm】(180cm)
(※参考:「バリアフリー法」国土交通省HPより)
(※参考:「主要寸法の基本的な考え方」国土交通省様HPより)
(※画像引用:LIXIL様HPより「浴槽の形状」)
1.× ドアは、「開き戸」ではなく「引き戸」にする。なぜなら、開き戸の開閉に、方向転換が必要になり転倒のリスクがあるため。また、開き戸では開けた後、扉が進路をふさいでしまう。
2.× 浴槽は、「洋式タイプ」ではなく「和洋折衷式タイプ」にする。洋式タイプは滑りやすく立ち上がりにくい。
3.× 廊下幅は、「70cm」ではなく「85cm」を確保する。なぜなら、直角に曲がることも考える必要があるため。
4.× スロープの勾配は、「1/7」ではなく「1/12~ 1/15」にする。
5.〇 正しい。トイレにL字型の手すりを設置する。L字型の手すりを設置することで立ち上がりや移乗動作が行いやすい。
縦手すり:出入り口の動作安定などのその場での動作に使用。
横手すり:移動や座位安定に機能する。
L字手すり:縦・横手すりの機能を持つ。座位からの立ち上がりに機能する。
38 理学療法士及び作業療法士法の規定内容について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.作業療法士は業務独占資格である。
2.作業療法士は都道府県知事の免許を受ける。
3.国家試験に合格した日から業を行うことができる。
4.業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。
5.作業療法は社会的適応能力の回復を図るために行われる。
解答4・5
解説
1.× 作業療法士は、「業務独占」ではなく「名称独占」資格である。名称独占資格とは、資格がなくてもその業務に従事する事はできるが、資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していない者が法律に定める特定の名称を名乗ることができない資格のことをいう。つまり、作業療法士の仕事は、資格を無くても行うことができるが、「私は作業療法士です」と名乗ることはできないということである。一方、業務独占とは、国家資格を持たないものが、その名称を用いて当該業務に従事することはできないこと。(例:医者など)
2.× 作業療法士は、「都道府県知事」ではなく「厚生労働大臣」の免許を受ける。基本的に国家資格は厚生労働大臣が交付している。
3.× 国家試験に合格した日でも「業を行うことができない」。正しくは、国家試験合格後に免許申請を行い、名簿登録を行わなければ免許は交付されない。それまで作業療法士と名乗っての業務は行えない。
4.〇 正しい。業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。それは守秘義務である。退職後も継続的であり、違反した場合は50万円以下の罰金となる。
5.〇 正しい。作業療法は社会的適応能力の回復を図るために行われる。作業療法士の定義は「身体又は精神の障害のあるものに対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応の能力の回復を図るため、手芸、後索その他の作業を行わせることをいう」と定められている。
39 転換性障害患者の作業療法の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.集団活動が適している。
2.依存関係が形成されやすい。
3.症状の心理的意味を解釈する。
4.要求が増えた場合は休止する。
5.身体化症状に対しては対症療法を併用する。
解答2・5
解説
転換性障害は、無意識領域下に抑圧されたストレスや葛藤が、知覚あるいは随意運動系の身体症状に変換された反応である。①演技性、②自己愛性、③依存性などの特徴的な性格がみられることも多く、性格の未熟性が身体症状の出現の原因になりうる。
1.× 集団活動が適していない。なぜなら、①演技性であれば集団活動では必要以上に他者の自分への関心を引こうとするため。周囲の関心を引くような誇張もみられる。
2.〇 正しい。依存関係が形成されやすい。③依存性などの特徴的な性格がみられることも多い。患者は強いストレス、不安を抱えていることが多く、依存関係が形成されやすい状態にある。
3.× 症状の心理的意味を解釈する必要はない。なぜなら、患者は身体疾患であることを確信しているため。すぐには受け入れられないことが多い。
4.× 要求が増えた場合でも休止する必要はない。むしろ、要求に応じているとさらに要求がエスカレートする可能性がある。まずはどうして訴えが多くなったのかを患者に聞いて、その理由を考えていくことが必要である。誇張的・演技的態度は、解決困難なストレスにさらされ、一時的であっても休息の時間と場所を欲しているときになりやすい。
5.〇 正しい。身体化症状に対しては対症療法を併用する。身体化症状に対応していくことは、演技的な症状化を防ぐために有効である。
40 回復期の摂食障害患者に対する作業療法で適切でないのはどれか。
1.他者との関わりを促す。
2.活動を楽しむ機会を作る。
3.作業では細部への注意を促す。
4.失敗から学ぶ経験を重視する。
5.道具の準備や片付けを行わせる。
解答3
解説
摂食障害には、①神経性無食症、②神経性大食症がある。共通して肥満恐怖、自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤の使用抑うつの症状がみられる。作業療法場面での特徴として、過活動、強迫的なこだわり、抑うつ、対人交流の希薄さ、表面的な対応がみられる。患者の性格として、細かい数値へのこだわり(①体重のグラム単位での増減、②この食べ物はあの食べ物より〇カロリー多いなど)がみられる。
【摂食障害の作業療法のポイント】
①ストレス解消、②食べ物以外へ関心を向ける、③自信の回復(自己表出、他者からの共感、自己管理)、④過度の活動をさせない、⑤身体症状、行動化に注意する。
【性格的特徴】
①強情、②負けず嫌い、③執着心が強い、③極端な行動に及びやすい。
1.〇 正しい。他者との関わりを促すのは、回復期の摂食障害患者に対する作業療法である。他者と関わることで自分を表現し理解を得る体験は症状の改善に有効である。一方で、作業療法の導入時(症状が安定せずうつ症状が強い時期)に他者とのかかわりを促すのは、他の患者と細かい数値で競ったり、隠れて嘔吐をしたりと症状が悪化する。
2.5.〇 正しい。活動を楽しむ機会を作る/道具の準備や片付けを行わせるのは、回復期の摂食障害患者に対する作業療法である。なぜなら、食べ物以外へ関心を向けることに寄与するため。
3.× 作業では細部への注意を促す必要はない。なぜなら、もともと摂食障害患者は、こだわりがあり、不安になる傾向があるため。さらに症状の悪化につながる。
4.〇 正しい。失敗から学ぶ経験を重視するのは、回復期の摂食障害患者に対する作業療法である。摂食障害患者は、負けず嫌い、完璧主義で学校の成績は優秀なことが多い。比較的知的レベルが高く、競争心も強いため、失敗から学ぶことができる。
まず患者に対する動機づけが重要。適切な動機づけによって治療に導入し、身体合併症に対しては栄養輸液などを行い、支持的精神療法、家族療法、集団精神療法、認知行動療法、薬物療法などから適宜選択し、組み合わせて治療を行う。
精神療法では、患者との面接を通して、まずは共感的態度をとりながら患者の語ることを受容し、やがて体重や食事に対する誤った認識のあることを自覚してもらい、身体イメージの障害を徐々に修正していく。
また、発症には家族内の葛藤が関与していることも多く、家族関係や食生活に治療者が介入する家族療法も有効。このほか、自分の摂食行動と情動の動きについてグループで話し合う集団精神療法、体重・体型についての歪んだ認識を改善するための認知行動療法、SSRIによる薬物療法も有効であるとされる。