第47回(H24) 理学療法士国家試験 解説【午前問題16~20】

 

16 4歳の女児。脳性麻痺。座位保持姿勢を図に示す。
 姿勢の特徴で正しいのはどれか。

1.片麻痺が疑われる。
2.重心は前方に偏位している。
3.ハムストリングスの短縮が疑われる。
4.対称性緊張性頸反射の影響がみられる。
5.頸部の立ち直り反応の低下が疑われる。

解答3

解説

本症例のポイント

本症例の姿勢は、円背・骨盤後傾がみられ、両側の膝が軽度屈曲している状態である。問題文より、「骨盤後傾の修正」する筋を選択する。したがって、選択肢1.ハムストリングスが正しい。ちなみに、ハムストリングスは、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称で、股関節の伸展と膝関節の屈曲に関与する。短縮すると骨盤前傾・膝関節伸展の動きを妨げる。

【痙直型の特徴】
①機敏性の低下、筋力損失および脊髄反射の亢進など。
②脊髄レベルでの相反神経作用の障害(動筋と拮抗筋が同時に過剰収縮を起こす病的な同時収納や、痙直の強い拮抗筋からの過利な緊張性相反性抑制による動筋の機能不全)
③両麻痺は両下肢の麻痺に、軽~中等度の両上肢、体幹の麻痺を伴うことが多い。

1.× 片麻痺ではなく、両麻痺が疑われる。両下肢に伸展パターンがみられ、両下肢にも麻痺があると考えられるため。
2.× 重心は、前方ではなく後方に偏位している。なぜなら、バランスを保とうと円背・骨盤後傾がみられ、下肢の伸展パターンが出現しているため。
3.〇 正しい。ハムストリングスの短縮が疑われる。なぜなら、両側の膝が軽度屈曲している状態であるため。大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋をあわせてハムストリングスといい、股関節の伸展と膝関節の屈曲に関与する。ハムストリングスが慢性的に短縮すると膝関節屈曲制限が生じ、膝関節伸展の動きを妨げる。ただし、本症例の図だけでは、重力により膝関節軽度屈曲している可能性も考えられる。長坐位を指示し、同様の姿勢を取っていた場合は、ハムストリングスの短縮が疑われる。(※他の選択肢との消去法で考えると、優先的に最もこれが当てはまる)
4.× 対称性緊張性頸反射の影響がみられない。対称性緊張性頸反射は、腹臥位(水平抱き)で頭部を伸展させると、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、上肢は伸展、下肢は屈曲し、頭部を屈曲させると逆に上肢は屈曲、下肢は伸展する反射のことである。ただし、非対称性緊張性頸反射は、陽性である可能性が高い。なぜなら、問題文の図で、顔が向いた方の上肢は伸展位、反対側の上肢は屈曲位になっているように見えるため。非対称性緊張性頚反射は、通常では5か月頃で消失するが、脳性麻痺では長く持続する。非対称性緊張性頸反射(ATNR)とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後から出現し、生後4~6か月までに消失する。
5.× 頸部の立ち直り反応の低下は考えにくい。なぜなら、座位保持可能であるため。

 

詳しく勉強したい方はこちら↓

理学療法士国家試験 脳性麻痺についての問題9選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

17 心電図を(下図)に示す。
 STの上昇がみられるのはどれか。

1.Ⅰ誘導
2.Ⅲ誘導
3.aVL誘導
4.V2誘導
5.V6誘導

解答2

解説

心電図の見方

今回設問で提示された心電図は、第Ⅰ誘導、第Ⅱ誘導、第Ⅲ誘導、第aVR誘導、第aVL誘導、第aVF誘導である。
第Ⅰ誘導:左室の側壁を見ている。つまり、主に右室側から心臓を見る誘導である。
第Ⅱ誘導:心臓を心尖部から見ている。 つまり、右室と左室前壁側から心臓を見る誘導である。
第Ⅲ誘導:右室側面と左室下壁を見ている。つまり、心室中隔と左室前壁から心臓を見る誘導である。
第aVR誘導:右肩から心臓を見る誘導である。逆転した波形が見られる。
第aVL誘導:左肩から心臓を見る誘導である。
第aVF誘導:心臓を、ほぼ真下から見ている。

第Ⅱ誘導が四肢誘導で、波形が最も明瞭に描かれ、一般的によく見る心電図の波形となる。

1.3~5.× Ⅰ誘導/aVL誘導/V2誘導/V6誘導は正常である。
2.〇 正しい。Ⅲ誘導のほかにも、Ⅱ、aVFに軽度のST上昇がみられる。心臓の下壁梗塞が考えられる。

 

 

 

 

 

18 55歳の女性。COPDに対して在宅酸素療法(HOT)を行っている。MRCグレード3(Hugh-Jones分類Ⅳ相当)である。
 この患者に指導する運動として適切なのはどれか。

1.ジョギング
2.四肢体幹のストレッチ
3.速歩
4.ゴルフ
5.階段昇降

解答2

解説

Hugh-Jones分類とは?

Ⅰ:同年齢の健康者と同様の労作ができ、歩行、階段昇降も健康者並みにできる。
Ⅱ:同年齢の健康者と同様に歩行できるが、坂道・階段は健康者並みにはできない。
Ⅲ:平地でも健康者並みに歩けないが、自分のペースなら1マイル(1.6km)以上歩ける。
Ⅳ:休み休みでなければ50m以上歩けない。
Ⅴ:会話・着替えにも息切れがする。息切れのため外出できない。

1.3~5.× ジョギング/速歩/ゴルフ/階段昇降は、負荷量が大きすぎる。なぜなら、Hugh-Jones分類Ⅳは、休み休みでなければ50m以上歩けないレベルであるため。
2.〇 正しい。四肢体幹のストレッチは、この患者に指導する運動として適切である。近年、呼吸のリハビリテーションとしてエビデンスが高いのは、上下肢のトレーニングであり、呼吸筋トレーニングは徐々にエビデンスが低下している。

COPDに対する理学療法の推奨グレード

・リラクセーション:推奨グレードB
・横隔膜呼吸:推奨グレードC
・口すぼめ呼吸:推奨グレードB
・そのほかの呼吸法:推奨グレードB
・呼吸筋トレーニング:推奨グレードB
・胸郭可動域練習:推奨グレードC

【推奨グレード分類】
A:行うように勧められる強い科学的根拠がある
B:行うように勧められる科学的根拠がある
C1:行うように勧められる科学的根拠がない
C2:行わないように勧められる科学的根拠がない
D:無効性や害を示す科学的根拠がある

(※一部抜粋:慢性閉塞性肺疾患(COPD)理学療法診療ガイドラインより)

 

 

 

 

 

 

19 80歳の女性。5年前に発症した脳梗塞による右片麻痺がある。Brunnstrom法ステージは上肢、手指および下肢でⅢである。全失語を認める。FIMでは、ベッドへの移乗項目は3点で、車椅子での移動項目は3点である。
 訪問リハビリテーションを導入する際、目標として適切なのはどれか。

1.屋外杖歩行の自立
2.屋内杖なし歩行の獲得
3.移乗動作の安定性の改善
4.右手指機能の改善
5.失語症の改善

解答3

解説

本症例のポイント

・80歳女性(5年前:脳梗塞による右片麻痺)。
・Brs法:上肢Ⅲ(座位で肩・肘の同時屈曲、同時伸展)、手指Ⅲ(全指同時握り、鈎形握り(握りだけ)、伸展は反射だけで、随意的な手指伸展不能)、下肢Ⅲ(座位、立位での股・膝・足の同時屈曲
・全失語。
・FIM移乗・移動:3点
→訪問リハビリテーションは、医師の指示書に基づき、リハビリテーション専門職が、通院困難な在宅療養者の居宅を訪問して機能訓練や日常動作に関わる訓練を行い、患者の心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を目指すものである。

1~2.× 屋外杖歩行の自立/屋内杖なし歩行の獲得は優先度が低い。なぜなら、FIM移乗・移動3点は、一部介助(25~50%の介助量)であることから、車椅子での移動が基本である症例であるため。屋外杖歩行の自立や屋内杖なし歩行は難易度が高いと考えられる。
3.〇 正しい。移乗動作の安定性の改善は、訪問リハビリテーションを導入する際、目標として適切である。なぜなら、FIM移乗・移動3点は、一部介助(25~50%の介助量)であり、介助量軽減および自立を図るため。
4~5.× 右手指機能の改善/失語症の改善は優先度が低い。なぜなら、発症後5年経過しており。それらの著明な回復は望めないと考えられるため。急性期の目標である。

 

 

 

 

 

 

20 新人の理学療法士が「医療面接の際にはもっと焦点型質問(focused question)を増やすとよい」との助言を受けた。
 焦点型質問に相当するのはどれか。

1.「昨晩はよく眠れましたか」
2.「それはどのように痛むのですか」
3.「何か気になることはありませんか」
4.「装具で歩きやすくなりましたか」
5.「今の説明でわからない点はありますか」

解答2

解説

焦点型質問(focused question)とは?

焦点型質問(focused question)とは、特定のテーマに焦点を絞った質問で、開放型質問(open-ended question)よりは、自由度の低い質問である。つまり、1つの事柄を深く掘り下げる質問法であり、例として「頭痛についてもう少し詳しく教えてください。」といったものである。

1.× 「昨晩はよく眠れましたか」は、閉鎖型質問(closed question)である。なぜなら、答えが「はい」か「いいえ」で答える形となるため。
2.〇 正しい。「それはどのように痛むのですか」は、焦点型質問に相当する。なぜなら、患者の主訴に対して焦点をあて質問しているため。
3.× 「何か気になることはありませんか」は、開放型質問(open-ended question)である。なぜなら、答えの制約のほとんどないため。
4.× 「装具で歩きやすくなりましたか」は、閉鎖型質問(closed question)である。なぜなら、答えが「はい」か「いいえ」で答える形となるため。
5.× 「今の説明でわからない点はありますか」は、開放型質問(open-ended question)である。なぜなら、答えの制約のほとんどないため。

MEMO

open-ended question(開かれた質問)は、5W1HでいうWhen(なぜ)、How(どうやって・どのように)に該当する。したがって、患者が症状や来院理由を自由に話せるため、相手からより多くの情報を引き出したい場面で有効である。

closed-ended question(閉じられた質問)は、5W1Hでいう(When(いつ)、Where(どこで)、 Who(誰が)、What(何を)や、はい/いいえで答えられる限定された質問である。したがって、相手の考えや事実を明確にしたい場面などで有効である。

 

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