第46回(H23) 作業療法士国家試験 解説【午前問題36~40】

 

36 がん患者に対する作業療法で適切なのはどれか。

1.疼痛ケアを優先する。
2.手術前には開始しない。
3.余命3か月で終了とする。
4.化学療法実施時は中止する。
5.骨転移があれば安静とする。

解答

解説

緩和ケアにおける理学療法の目的

緩和ケアにおける理学療法は,回復を目的としたトレーニングとは異なる。回復が望めない中にあってその苦痛の緩和に努め,残された機能を最大限に生かし,安全な生活を支えることが必要である。また,残された機能を生かし支えることは,ひいては患者や家族の実際的ニーズや希望を支えることにもなる。さらに,その過程においてさまざまな患者の訴えに心を傾け,患者に寄り添うことは,理学療法士が提供できる大切な心のケアと考える。

①疼痛・苦痛の緩和:リハにおいてもまず取り組む課題である。(安楽死位、リラクゼーション、物理療法、補装具の検討、電動ベッドなどの検討)
②ADL 能力維持・援助:特に排泄動作に関する要望が多い。(移動能力維持、環境設定、ADL訓練、介助法の指導)
③精神面の援助:死を受け入れていくうえでも「どのように生きるか」が重要である。
④家族への援助:家族から要望があれば介助方法や援助方法(マッサージの方法など)を伝達する。
⑤廃用性変化の予防・全身機能維持:リハが日常生活にリズムをつくる。
※(参考:「緩和ケアにおけるコメディカルの役割と人材の育成」著:下稲葉 主一(栄光病院リハビリテーション科))

1.〇 正しい。疼痛ケアを優先する。なぜなら、疼痛によりQOLの低下を招くため。疼痛によって睡眠を妨げられる原因となるため症状緩和(楽に休めるように疼痛や苦痛を緩和すること)を優先することが多い。
2.× 手術前には開始しないと決まっていることはなく、手術前から関わって、信頼関係を築き、精神的なケアを行う。患者の不安軽減につながる。
3.× 「余命3か月で終了とする」と決まっているわけではない。むしろ、最期までより良い生活を送れるように、支援することが重要である。
4.× 「化学療法実施時は中止する」と決まっているわけではない。化学療法実施時は、その時の患者の体調に合わせて、負担の少ない訓練を行う。身体的な活動ができなくても作業療法を通して、心理支持(まだ治療が続けられているという精神的な援助を行うこと)も大切である。
5.× 「骨転移があれば安静とする」と決まっているわけではない。骨転移がある場合、病的骨折や神経障害(脊椎の圧迫骨折などによる)が起こりやすい。したがって、身体的な活動に対しては、整形外科医から評価を得たうえで、骨折のリスクについて患者や家族にも説明し、訓練プログラムを組み立てる。身体的な活動ができなくても作業療法を通して、心理支持(まだ治療が続けられているという精神的な援助を行うこと)も大切である。

 

 

 

 

 

 

37 障害老人の日常生活自立度判定基準の内容とランクとの組合せで正しいのはどれか。

1.介助があれば外出する。:ランクJ1
2.座位を保つことができる。:ランクC1
3.交通機関を利用して外出する。:ランクJ2
4.ベッド上の生活が主体である。:ランクA1
5.介助によって車椅子に移乗する。:ランクB2

解答

解説

障害老人の日常生活自立度判定基準とは?

障害老人の日常生活自立度判定基準の自立度は、ADLの評価で、①生活自立(ランクJ)、②準寝たきり(ランクA)、③寝たきり(ランクB、C )に分けて評価する。全介助の場合はランクCである。

1.× 介助があれば外出する場合「ランクJ1」ではなく「ランクA1」である。
2.× 座位を保つことができる場合「ランクC1」ではなく「ランクB」である。その他詳しい内容が記述されていないためB1かB2かは判断できない。
3.× 交通機関を利用して外出する場合「ランクJ2」ではなく「ランクJ1」である。
4.× ベッド上の生活が主体である場合「ランクA1」ではなく「ランクC」である。
5.〇 正しい。介助によって車椅子に移乗する場合、「ランクB2」である。

 

 

 

 

 

 

38 立位訓練中に転倒した患者が倒れたまま痛みを訴えている。
 作業療法士の対応で適切でないのはどれか。

1.車椅子に乗せる。
2.血圧を測定する。
3.SpO2を測定する。
4.主治医に連絡する。
5.痛みの部位を確認する。

解答

解説
1.× 車椅子に乗せることは、作業療法士の対応で適切でない。なぜなら、仮に骨折していた場合、車椅子に乗せたことで骨が偏位したり、より重症化しかねないため。現在「立位訓練中に転倒した患者が倒れたまま痛みを訴えている」状態であるため、まずはバイタルサイン、意識状態、痛みの部位の確認、主治医への連絡を優先して行う。
2~3.〇 血圧/SpO2を測定する。現在「立位訓練中に転倒した患者が倒れたまま痛みを訴えている」状態であるため、まずはバイタルサイン、意識状態、痛みの部位の確認、主治医への連絡を優先して行う。
4.〇 主治医に連絡する。現状を主治医に連絡し、患部に腫れや変形がある場合には受診を受けるまで応急処置をする。
5.〇 痛みの部位を確認する。バイタルサインや意識状態の確認を優先してから、痛みの部位を確認することが適切である。

 

 

 

 

 

 

39 認知症患者に対する作業療法の目標で適切でないのはどれか。

1.場に慣れる。
2.作業を継続する。
3.作業工程を覚える。
4.生活リズムをつくる。
5.自己のペースを維持する。

解答

解説

中等度以上の進行した認知症患者の作業療法の目的

①心身機能を維持すること
②日中活動することで生活リズムをつけること
③患者の不安や混乱を軽減することなど

1.5.〇 場に慣れる/自己のペースを維持することは目標の一つである。なぜなら、患者が安心して過ごせる場にすることへつながるため。
2.4.〇 作業を継続する/生活リズムをつくることは目標の一つである。なぜなら、日中活動することで生活リズムをつけることにつながるため。
3.× 作業工程を覚えるのは優先度が低い。なぜなら、認知症患者は記銘力の低下により、作業工程が覚えにくいため。覚えられず自信喪失につながる恐れもある。慣れ親しんだ活動や作業を提供することが望ましい。

 

 

 

 

 

 

40 認知症の知的・認知機能評価で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale)
2.MMSE(Mini-Mental State Examination)
3.HDS-R(改訂版長谷川式知能評価スケール)
4.HRS(Hamilton Rating Scale for Depression)
5.MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)

解答2・3

解説
1.× BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale:簡易精神症状評価尺度)は、記載された事項についての質問を行い、精神障害者全体を対象とした18の項目を7段階で評価する。臨床医がうつ病、不安、幻覚、異常な行動などの精神症状を測定するために使用する評価尺度である。
2.〇 正しい。MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知症の知的・認知機能評価である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
3.〇 正しい。HDS-R(改訂版長谷川式知能評価スケール)は、認知症の知的・認知機能評価である。簡便に知能を検査する方法である。見当識、記銘・再生、計算、言語の流暢性の各項目により、30点満点中20点以下を、軽度以上の認知症があるとする。
4.× HRS(Hamilton Rating Scale for Depression:ハミルトンうつ病評価尺度)は、うつ病にみられる17の項目についてその重症度を医療者が評価するものである。
5.× MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の質問に対して「あてはまる」「あてはまらない」「どちらでもない」を選択する3件法が用いられている。

 

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