第46回(H23) 作業療法士国家試験 解説【午前問題16~20】

 

次の文により16、17の問いに答えよ。
 19歳の男性。統合失調症。大学入学後、授業中に突然大声で叫ぶようになり、幻聴と被害妄想とが認められたため入院となった。治療開始後1か月経過し症状が改善したため自宅へ退院したが、疲労感が強く半年間引きこもっていた。このため、復学を目標として外来作業療法が開始された。

16 この時期の患者の状態はどれか。

1.要安静期
2.亜急性期
3.回復期前期
4.回復期後期
5.社会内維持期

解答

解説

本症例のポイント

・19歳の男性(統合失調症)。
・復学を目標として外来作業療法が開始された。
→これから社会に向けて回復する時期である。

1.× 要安静期(急性期)は、幻聴や被害妄想などの症状が活発である。本症例は、設問から「治療開始後1か月経過し症状が改善したため自宅へ退院したが、疲労感が強く半年間引きこもっていた」という記載からも急性期は過ぎていることが分かる。
2.× 亜急性期は、生活リズムが確立しているが、多少の精神状態は残存と疲労感が強い時期である。本症例は、設問から「復学を目標」とされ、疲労感などの記載はないため亜急性期は過ぎていることが分かる。
3.〇 正しい。回復期前期は、この時期の患者の状態である。回復期前期は、疲労感が軽減してこれから社会復帰の準備を始めようとする時期である。ただし、活動をすると疲れやすく、また些細な刺激で症状が再燃しやすい時期でもある。負担の少ない環境の提供を第一に考える。
4.× 回復期後期は、服薬や金銭の自己管理を支援し、学校や職場との連携を図る時期である。
5.× 社会内維持期は、デイケア通所から就業まで、様々なレベルで社会復帰をしている患者の、生活の質の維持や向上を図る時期である。

 

 

 

 

 

 

次の文により16、17の問いに答えよ。
 19歳の男性。統合失調症。大学入学後、授業中に突然大声で叫ぶようになり、幻聴と被害妄想とが認められたため入院となった。治療開始後1か月経過し症状が改善したため自宅へ退院したが、疲労感が強く半年間引きこもっていた。このため、復学を目標として外来作業療法が開始された。

17 この時期の作業療法の役割はどれか。

1.休息援助
2.仲間づくり
3.余暇の利用
4.社会性の獲得
5.生活リズムの獲得

解答

解説
1.× 休息援助は、主に要安静期(急性期)の目標である。
2.4.× 仲間づくり/社会性の獲得は、主に回復後期の目標である。
3.× 余暇の利用は、主に社会内維持期の目標である。
5.〇 正しい。生活リズムの獲得は、この時期(回復前期)の作業療法の役割である。

 

 

 

 

 

 

18 48歳の女性。20歳代で夫が亡くなり1人で子どもを育てた。子どもが就職し家を離れたころから意欲が低下し、気分が落ち込むようになった。精神科外来に通院していたが、今回、食欲不振が続いたため入院となった。入院後3週経過し作業療法が開始された。
 この患者の作業療法実施上の留意点で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.楽しみを見つける。
2.早期の就労を促す。
3.自殺企図に注意する。
4.身辺処理能力を高める。
5.過去の生活課題を振り返る。

解答1・3

解説

本症例のポイント

・48歳の女性。
・20歳代で夫が亡くなり1人で子どもを育てた。
・子どもの家出を機に、意欲・気分・食欲低下。
・入院後3週経過し作業療法が開始。
うつ病と考えらえる。急性期を終えて、ようやく作業療法ができるようになった時期である。

1.〇 正しい。楽しみを見つける。なぜなら、うつ病では喜びの喪失がみられるため。
2.4.× 早期の就労を促す/身辺処理能力を高める優先度は低い。なぜなら、疲労感が強い場合が多く、心理的な負担となるため。無理をしないことを伝え、激励したり重要な判断をさせない。
3.〇 正しい。自殺企図に注意する。特にうつ病の自殺企図は回復期に多い。
5.× 過去の生活課題を振り返る優先度は低い。なぜなら、本症例は急性期を終えたばかりであるため。この時期に発症の契機となった生活課題を取り扱うのは時期尚早であり、症状の悪化を招くおそれがある。空の巣症候群(からすのすしょうこうぐん)…子どもが家を出たり結婚したりしたときに、多くの女性が感じる憂うつで不安になる苦しみの一般的な信念を表す言葉である。壮年期の課題である。

うつ病患者に積極的に説明するべき事項

かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。

うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。

①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。

【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)

【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。

 

 

 

 

 

 

19 55歳の男性。うつ病。職場で苦手なパソコン操作を行う業務を担当するようになり、不眠、意欲低下および抑うつ気分がみられるようになった。希死念慮も認められたため入院となった。入院後1か月経過し、作業療法が開始された。
 初回評価で優先度が高いのはどれか。2つ選べ。

1.家族関係
2.睡眠障害
3.思考障害
4.作業能力
5.職場環境

解答2・3

解説

本症例のポイント

・55歳の男性(うつ病)。
・不眠、意欲低下および抑うつ気分がみられた。
・希死念慮も認められたため入院。
・入院後1か月経過し、作業療法が開始。

1.× 家族関係は、初回評価の優先度が低い。なぜなら、本症例の入院のきっかけは、家族関係が問題ではないため。
2.〇 正しい。睡眠障害は初回評価で優先度が高い。なぜなら、入院前より不眠を訴えており、さらには、生活リズムをつくる上での睡眠の役割は大きいため。
3.〇 正しい。思考障害は初回評価で優先度が高い。なぜなら、本症例の入院のきっかけの一つとして、希死念慮であったため。
4~5.× 作業能力/職場環境は、初回評価の優先度が低い。なぜなら、本症例は現在急性期を終えたばかりの時期であるため。かえって、患者の自信を喪失させる恐れがある。作業能力は回復期後期(社会復帰の準備)に評価を行う。

うつ病患者に積極的に説明するべき事項

かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。

うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。

①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。

【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)

【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。

 

 

 

 

 

 

20 19歳の女性。大学に人学したころから体型を気にするようになった。身長152㎝。食事制限をするようになり、体重は48kgから32kgに減少した。期末試験中に倒れたため搬入された。
 この疾患の特徴でないのはどれか。

1.肥満恐怖
2.抑うつ症状
3.自己誘発性嘔吐
4.身体感覚の失調
5.ボデイイメージの障害

解答

解説

本症例のポイント

・19歳の女性。
・大学に人学したころから体型を気にするようになった。
・身長152㎝。食事制限をするようになり、体重は48kgから32kgに減少した。
→摂食障害(神経性無食欲症)と考えらえる。

摂食障害には、①神経性無食症、②神経性大食症がある。共通して肥満恐怖、自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤の使用抑うつの症状がみられる。作業療法場面での特徴として、過活動、強迫的なこだわり、抑うつ、対人交流の希薄さ、表面的な対応がみられる。

1.〇 肥満恐怖がみられる。神経性無食欲症の患者は、肥満への病的な恐怖がみられ、カロリー制限を厳しく設定して拒食傾向となり、食べ過ぎたと考えた場合は、自己誘発性嘔吐や下痢、利尿剤の使用により体重を制限する。
2.〇 抑うつ症状がみられる。なぜなら、自己評価が低く、目標を高く設定しがちであるため。
3.〇 自己誘発性嘔吐がみられる。なぜなら、厳しい体重制限・管理をするため。
4.× 身体感覚の失調はこの疾患の特徴でない。身体感覚ではなくボディイメージのゆがみがみられる。身体感覚の失調の症状として、身体的違和感、曖昧な身体感覚、だるさ、身体バランスの悪さがあげられる。主に解離性障害でみられる。
5.〇 ボデイイメージの障害がみられる。神経性無食欲症では、痩せているのに太っていると考えるボディイメージのゆがみが特徴である。

 

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