第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

 

41.FIMの得点で5点以下となるのはどれか。

1.食事:配膳、下膳は手伝ってもらうが、あとは一人で食事できる。
2.清拭:首から下のみすべて一人で洗える。
3.下半身更衣:装具の着脱は介助が必要だが、ズボン、パンツ、靴下は一人でできる。
4.トイレ移乗:ベッドサイドのポータブルトイレで自立している。
5.歩行:50mまでは、杖がなくても一人で歩ける。

解答3

解説

1.× 配膳、下膳は手伝ってもらうが、あとは一人で食事できるのは、食事6点以上である。なぜなら、食事の配膳・下膳は採点に含まないため。FIMにおける食事の評価は、食事が適切に用意された状態で①適切な食器・道具を使って、②食べ物を口に運ぶ動作から、③咀嚼し、嚥下するまでの3つの工程を評価する。
2.× 首から下のみすべて一人で洗えるのは、清拭6点以上である。なぜなら、清拭部位の頭と背中は採点に含まないため。 FIMにおける清拭の評価は、身体を①胸部、②右上肢、③左上肢、④腹部、⑤右大腿部、⑥左大腿部、⑦右下腿部、⑧左下腿部、⑨陰部、⑩お尻の10箇所に別けて、身体を洗う、すすぐ、乾かす(拭く)で評価する。
3.〇 正しい。装具の着脱は介助が必要だが、ズボン、パンツ、靴下は一人でできるのは、下半身更衣4点となる。下肢装具が必要な方は、装具の着脱も下半身の更衣の評価対象となる。また、弾性ストッキングも装具と同様である。
4.× ベッドサイドのポータブルトイレで自立しているのは、トイレ移乗6点である。なぜなら、ポータブルトイレは補助具になるため。
5.× 50mまでは、杖がなくても一人で歩けるのは、歩行7点である。7点の場合、介助者なしで自立
していることである。6点の場合は、杖などの歩行補助具を使用していれば50mの移動が自立していることとなる。5点の場合は、監視または準備、助言があれば50mの移動が可能な場合である。

 

 

 

 

 

 

42.大腿義足使用者のADL指導で正しいのはどれか。2つ選べ。(不適切問題:解4つ)

1.椅子から立ち上がるときは、非義足側を前方に出す。
2.床上のものを拾うときは、非義足側を前方に出す。
3.30cmの溝をまたぐときは、義足側からまたぐ。
4.ズボンを履くときは、義足側から履く。
5.階段を上るときは、非義足側から上る。

解答2/3/4/5
対応:複数の選択肢を正解とする。

解説
1.× 椅子から立ち上がるときは、「非義足側」ではなく「義足」を前方に出す。なぜなら、非義足側に荷重して立ち上がる方が安全に行えるため。
2.〇 正しい。床上のものを拾うときは、非義足側を前方に出す。なぜなら、非義足側に荷重して行う方が安全に行えるため。
3.〇(?) 正しい。30cmの溝をまたぐときは、義足側からまたぐ。基本的には非義足側からまたぎ、次に義足側でまたぐ。ただし、溝の幅によっては義足側からまたぐ方が良い場合もある。30cmは患者の身体機能によって異なるため安全に行うためには非義足側の方が良いと考えられる。
4~5.〇 正しい。ズボンを履くときは、義足側から履く/階段を上るときは、非義足側から上る。一方で、階段を降りるときは義足から降りる。

 

 

 

 

 

 

43.超音波療法について正しいのはどれか。

1.生体内では摩擦熱は発生しない。
2.治療導子の移動速度は7~8cm/sがよい。
3.周波数が高いほど深部組織が加熱される。
4.逆圧電効果によるエネルギー変換を用いている。
5.媒介物質(カップリング剤)は1mm程度に塗る。

解答4

解説

1.× 生体内で摩擦熱が発生する。超音波の仕組みは、超音波による振動が生体内に伝播されることにより熱エネルギーに変換される。この際の変換熱が摩擦熱である。
2.× 治療導子の移動速度は「7~8cm/s」と一定ではなく、ビーム不均等率によって異なる。ビーム不均等率が5以下は1cm/s、6以上であれば4cm/sとする。ちなみに、ビーム不均等率(BNR)とは、超音波の平均強度(W/cm2)に対する最大強度の比である。ビーム不均等率は、1~5がよいとされ、6以上では最大ビーム付近に熱点が生じ、組織損傷する可能性がある。これを空洞化現象という。
3.× 周波数が「高いほど」ではなく低いほど深部組織が加熱される。1MHzの超音波では主に深部組織を、3MHzでは浅部組織を加熱する。
4.〇 正しい。逆圧電効果によるエネルギー変換を用いている。逆圧電効果(逆ピエゾ効果)とは、高周波電流が結晶体の形態的変化を起こし、連続的な振動により超音波を発生させることである。一方、圧電効果(水晶や特定の種類のセラミックなどに圧力を加えることで生じるひずみに応じて、電圧が発生する現象)によるエネルギー変換を用いている身近なものとしては、ライターの着火剤などである。
5.× 媒介物質(カップリング剤)は、「1mm程度」という厳密な規定はないが、1mm程度では薄すぎる。媒介物質(カップリング剤)は、①超音波を効率よく(減衰することなく)生体内に照射するため、②皮膚表面と治療導子との摩擦を軽減するために塗る。薄すぎる場合は、さらに治療部に空気の層ができてしまう恐れがある。患部によって量を変え、少し多めに塗布する。ちなみに、水中法では0.5mm〜1.0cmあけて照射していることも参考できる。

 

 

 

 

 

44.内反尖足がある下肢にプラスチックAFOを装着した際の麻痺肢への影響について誤っているのはどれか。
ただし、AFOは足底部の長さが足先まであり、足継手のないタイプとする。

1.立脚初期の踵接地を促す。
2.立脚中期の反張膝を軽減する。
3.立脚後期の股関節伸展を促す。
4.遊脚初期のクリアランスを高める。
5.遊脚後期の足底屈を防止する。

解答3

解説

(※画像引用:有限会社須田義肢製作所様HPより)

1〜2.〇 立脚初期の踵接地を促す/立脚中期の反張膝を軽減する。なぜなら、AFOを装着することで内反尖足が軽減されるため。
3.× 立脚後期の股関節伸展を促すには、足関節背屈作用がある装具が望ましい。例えば、ゲイトソリューション(油圧式制御)の継ぎ手のある装具など。プラスチックAFOは、足関節や足部の動きの制御や矯正を行う装具で、立脚後期に麻痺肢での支持性向上に役立つ。
4〜5.〇 遊脚初期のクリアランスを高める/遊脚後期の足底屈を防止する。なぜなら、AFOを装着することで内反尖足が軽減されるため。

 

 

 

 

 

 

45.靴べら型プラスチック短下肢装具について正しいのはどれか。

1.熱硬化性の素材で形成する。
2.装具の上縁は腓骨頭上縁の高さに合わせる。
3.固定性を良くするためには装具の足関節部のトリミングを浅くする。
4.装具の踵部をくりぬくと靴が履きにくくなる。
5.槌指がある場合は装具の前足部をMP関節部まで切除する。

解答3

解説

(※画像引用:有限会社須田義肢製作所様HPより)

1.× 「熱硬化性」ではなく、熱可塑性の素材で形成する。熱硬化性は、熱を加えると硬くなる素材である。一方、熱可塑性とは、熱を加えると軟化し、冷えると硬化する素材である。
2.× 装具の上縁は、「腓骨頭上縁」ではなく「腓骨頭の2〜3cm下まで」の高さに合わせる。なぜなら、腓骨頭上縁の高さでは、腓骨神経麻痺のリスクがあるため。
3.〇 正しい。固定性を良くするためには、装具の足関節部のトリミング(切り取り)を浅くする。プラスチック製であるため、足関節部が深い(細い)としなりやすい(固定性が低い)。一方、足関節部が浅い(太い)としなりにくい(固定性が良い)。
4.× 装具の踵部をくりぬくと靴が履きやすくなる。なぜなら、踵部くりぬいた厚さ分、踵部が薄くなるため。
5.× 槌指がある場合は、装具の前足部をMP関節部まで切除する必要はない。むしろ、装具の前足部をMP関節部まで切除すると、よりDIP関節が屈曲状態となってしまうため有効とはいえない。ちなみに、槌指とは、DIP関節の伸展が不可能(伸筋腱の断裂)となることである。

 

2 COMMENTS

46p-41の問題で5の選択肢の解で50m歩行が可能な場合の自立した歩行は6点以上になるのではないでしょうか。また、この解なら5の選択肢が歩行5点ならこの問題の解は2つあることになってしまうと思います。
間違っていたら申し訳ないですが、少し引っかかったのでコメントさせて頂きました。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘どおり間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後とも何卒よろしくお願い致します。

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