第46回(H23) 理学療法士国家試験 解説【午前問題16~20】

 

16.35歳の男性。急性心筋梗塞で入院中。合併症はなく、現在、室内で2分程度ゆっくり歩くことを許可されている。
 この時期の患者の活動で適切でないのはどれか。

1.入浴する。
2.室内便器を利用する。
3.立位で体重測定を行う。
4.ソファーで新聞を読む。
5.近親者と短時間面会する。

解答1

解説

本症例のポイント

運動許可:室内で2分程度ゆっくり歩くこと。

歩行(時速1~2km)は、1~2METsである。歩行(時速3km)は、2~3METsである。3~4METsにおいて、歩行(時速4km)・シャワーが同等の運動強度である。

1.× 入浴することは、この時期の患者の活動で適切でない。なぜなら、入浴の運動強度は、4〜5METsであり運動強度が強すぎるため。本症例の場合、入浴は行わず清拭によって、身体の清潔を保つ。
2〜5.〇 室内便器を利用する。/立位で体重測定を行う。/ソファーで新聞を読む。/近親者と短時間面会することは、この時期の患者の活動で正しい。なぜなら、それらの運動強度は、いずれも1〜2METs程度の運動強度であるため。

(※参考:『身体活動のメッツ(METs)表』国立健康・栄養研究所様HPより)

 

 

 

 

 

 

17.装具の適応で正しいのはどれか。

1.正中神経麻痺
2.橈骨神経麻痺
3.脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)
4.腱板断裂術後
5.上腕骨骨幹部骨折

解答3

解説
1.× コックアップスプリントである。適応は、正中神経麻痺ではなく橈骨神経麻痺である。
2.× Rancho型(ランチョ型)長対立装具である。適応は、橈骨神経麻痺ではなく、正中神経(高位)麻痺である。
3.〇 正しい。脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)に対し、手関節駆動式把持装具(Engen型把持装具)を用いる。脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)のピンチ動作が困難な症例に用いる。
4.× 上腕ファンクショナルブレースである。適応は、腱板断裂術後ではなく、上腕骨骨幹部骨折である。上腕骨の支持性を向上する。
5.× 肩関節外転装具である。適応は、上腕骨骨幹部骨折ではなく、腱板断裂術後腕神経叢麻痺肩関節部骨折などである。肩関節内転を制限する。

 

 

 

 

 

 

18.姿勢保持練習とそれによって強化しようとしている筋で誤っているのはどれか。

1.下腿三頭筋
2.ハムストリングス
3.大腿四頭筋
4.中殿筋
5.腹直筋

解答5

解説

姿勢保持練習とは?

姿勢保持練習とは、目的とした筋に対する等尺性筋収縮による筋力トレーニングである。

例:座位保持練習
座位保持装置の最初は、支えた姿勢から徐々に身体を慣らす。座ったまま手を伸ばして物をとる訓練や、身体を捻って周囲を見渡すような訓練を重ねることで安定した姿勢を保つための筋力を鍛える。

1.〇 下腿三頭筋が強化される。立位姿勢で、体幹を屈曲位で保持すると、重心線が足関節よりも前方に位置する。したがって、下腿三頭筋が収縮し筋力トレーニングの効果をもたらす。
2〜3.〇 ハムストリングス/大腿四頭筋が強化される。立位姿勢で、膝関節を屈曲位で保持している。選択肢2の場合は、重心線が膝関節より前方に位置し、選択肢3の場合は、重心線が膝関節より前方に位置している。したがって、ハムストリングス/大腿四頭筋が等尺性収縮し筋力トレーニングの効果をもたらす。体幹の前傾角度で、重心位置が異なるためそれぞれの筋の負荷量は変化する。
4.〇 中殿筋が強化される。立位姿勢で、体幹を左へ側屈し、右股関節は内転位で保持すると、重心線が右股関節より大きく左側に位置する。したがって、体幹が左へ側屈し続けないように、右中殿筋が等尺性収縮し筋力トレーニングの効果をもたらす。
5.× 腹直筋は強化されない。立位姿勢で、左足を台の上に乗せている。体幹は前傾の姿勢であるため、重心線は体幹の前方に位置する。したがって、脊柱起立筋よりの筋力トレーニングであると考えられる。

 

 

 

 

 

 

19.100人の高齢者に対して、バランス検査を行った結果と実際の転倒経験との関係を四分表に示す。
 このバランス検査の特異度で正しいのはどれか。

1. 0.2
2. 0.4
3. 0.5
4. 0.6
5. 0.8

解答4

解説

覚えておきたい用語

・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。

・検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
・検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率)」という。

・疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合を「偽陽性率」という。
・疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合を「偽陰性率」という。

特異度:疾病を有さないもの(転倒経験無)を正しく疾病なしと診断する確率。
転倒経験のない50人(20+30人)を分母とし、実際にバランス検査で陰性であった30人を分子として計算する。

【特異度】
30÷(20+30)
=0.6

したがって選択肢4. 0.6が正しい。

 

 

 

 

 

 

20. 70歳の女性。上腕骨近位端骨折の治療後に肩関節拘縮を生じたために理学療法を開始した。理学療法を開始した翌日に「昨夜は肩が痛くて眠れませんでした」と訴えた。
 理学療法士の対応で共感的態度はどれか。

1.「私の治療法が悪かったとお考えなのですか」
2.「肩の炎症が痛みの原因であると考えられますね」
3.「昨日が理学療法初日だったから痛かったのでしよう」
4.「痛みで眠れないということは大変つらかったでしようね」
5.「痛み止めの薬を出してもらえるよう医師に相談しますね」

解答4

解説

1.× 「私の治療法が悪かったとお考えなのですか」は、共感的態度とはいえず、高圧的な態度である印象も受ける。共感とは、「それはさぞ心配でしょう」など患者の感情についての理解を伝えることである。感情とは、ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのことで、喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖などがある。
2〜3.× 「肩の炎症が痛みの原因であると考えられますね」「昨日が理学療法初日だったから痛かったのでしよう」は、共感ではなく解釈に当てはまる。解釈とは、医療者が患者の言葉をわかりやすく言い直したり、確認したりすることをいう。しかし、あまり解釈を急ぐと重要な情報を見落とす可能性もあるため注意が必要である。
4.〇 正しい。「痛みで眠れないということは大変つらかったでしようね」は、理学療法士の対応で共感的態度といえる。共感とは、「それはさぞ心配でしょう」など患者の感情についての理解を伝えることである。感情とは、ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのことで、喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖などがある。
5.× 「痛み止めの薬を出してもらえるよう医師に相談しますね」は、共感的態度とはいえず、逃避的な態度である印象を受ける。医師に放り投げてしまうのではなく、まずは自分で痛みの原因を探ることが必要である。

 

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