第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題76~80】

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76.急性炎症が主な病態であるのはどれか。

1.肩関節周囲炎
2.痛風性関節炎
3.結核性膝関節炎
4.肘離断性骨軟骨炎
5.上腕骨外側上顆炎

解答2

解説

炎症の特徴

炎症5大徴候:①腫脹、②発赤、③熱感、④疼痛、⑤機能障害。
急性炎症(数分~3週間まで):血管外への血漿成分浸出、 好中球主体の遊走がみられる。
慢性炎症(4週間以上経過後):リンパ球・大食細胞の増加、血管増生、線維化がみられる。

1.× 肩関節周囲炎(五十肩)は、慢性炎症に分類される。肩関節周囲炎(五十肩)は、肩関節とその周辺組織(肩峰下滑液包や腱板など)の退行性変性が原因となり肩関節の痛みと運動の制限を伴うものである。
2.〇 正しい。痛風性関節炎は、急性炎症が主な病態である。痛風性関節炎は、尿酸カルシウムが関節の中で針状に結晶化を起こし、これを貪食した白血球が関節陸に浸潤して急性炎症が生じる。 母趾に好発する。
3.× 結核性膝関節炎は、慢性炎症に分類される。結核性膝関節炎は、肺結核の原因である結核菌によって、関節に炎症を引き起こす病気である。
4.× 肘離断性骨軟骨炎(野球肘、関節ねずみ)は、慢性炎症に分類される。肘離断性骨軟骨炎(野球肘、関節ねずみ)は、肘への反復する負荷が原因となるスポーツ障害である。上腕骨小頭に好発する。
5.× 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は、慢性炎症に分類される。上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は、前腕伸筋群に反復してかかる負荷によって疼痛が生じる。

痛風とは?

 痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。

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77.骨格筋の病理組織標本を下図に示す。
 矢印で示すのはどれか。

1.核
2.赤血球
3.リンパ球
4.末梢神経
5.毛細血管

解答1

解説

骨格筋の脂肪核

骨格筋は多核の細胞である。したがって、1つの筋細胞の周囲に、粒状の細胞核が点在する。
ちなみに、平滑筋や心筋は単核細胞である。細胞質の中心に1つの細胞核が存在する。

1.〇 正しい。である。骨格筋は多核の細胞である。したがって、1つの筋細胞の周囲に、粒状の細胞核が点在する。ちなみに、平滑筋や心筋は単核細胞である。細胞質の中心に1つの細胞核が存在する。
2.4.× 赤血球/末梢神経は、ピンク色で染まる。一般的な組織標本は、好塩基性(細胞核、リンパ球など)は紫色、好酸性(細胞質など)はピンク色で染まる。
3.× リンパ球は、筋組織への炎症や破壊・浸潤の所見でみられる。
5.× 毛細血管は、内腔にみられる。

 

 

 

 

78.血圧降下薬としての作用機序で適切なのはどれか。

1.利尿
2.心拍数増加
3.心拍出量増大
4.血管平滑筋収縮
5.ナトリウム貯留

解答1

解説

血圧降下薬の作用

血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗の積によって決定される(血圧 = 心拍出量 × 末梢血管抵抗)。 

①利尿作用:血中の水分を尿で排出することにより、循環血漿量を減少させ心拍出量を低下させる。
②神経抑制作用:心臓・末梢血管の働きを調節している神経に直接働きかけ、心収縮力や脈拍を低下させ心臓自体をおとなしくさせる。
③血管拡張作用:平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させ後負荷を減少させる。

1.〇 正しい。利尿は、血圧降下薬としての作用機序である。血中の水分を尿で排出することにより、循環血漿量を減少させ心拍出量を低下させる。血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗の積によって決定される(血圧 = 心拍出量 × 末梢血管抵抗)ため、心拍出量が低下すると血圧も低下する。
2~3.× 心拍数/心拍出量は、「増加」ではなく低下する。なぜなら、血圧降下薬の②神経抑制作用であるため。心臓・末梢血管の働きを調節している神経に直接働きかけ、心収縮力や脈拍を低下させ心臓自体をおとなしくさせる。
4.× 血管平滑筋は、「収縮」ではなく弛緩する。なぜなら、血圧降下薬の③血管拡張作用であるため。平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させ後負荷を減少させる。
5.× ナトリウムは、「貯留」ではなく排泄する。ナトリウムが貯留すると体液も貯留され、循環血液量が増加する。

 

 

 

 

 

 

79.正しい組合せはどれか。

1.Piaget(ピアジェ):性格類型
2.Frcud(フロイト):認知発達
3.Rogers(ロジャーズ):来談者中心
4.Erikson(エリクソン):無意識
5.Kretschmer(クレッチマー):発達課題

解答3

解説
1.× Piaget(ピアジェ)は、「性格類型」ではなく、認知機能の発達についての理論である。ちなみに、性格類型は、選択肢5.Kretschmer(クレッチマー)が唱えた。
2.× Frcud(フロイト)は、「認知発達」ではなく、精神・性的な発達理論無意識である。ちなみに、認知発達は、選択肢1.Piaget(ピアジェ)が唱えた。
3.〇 正しい。Rogers(ロジャーズ)は、来談者中心である。C.Rogers(ロジャース)は、クライエント(来談者)中心療法の創始者で、非指示的態度(パターン・センター・アプローチ)などである。これは、治療者が来談者の話に関心を持って傾聴し、共感していくことによって、来談者自身が自ら気づき、成長していけるとするものである。
4.× Erikson(エリクソン)は、「無意識(選択肢2)」ではなく、社会的発達の理論発達課題青年期の課題としての自我同一性(アイデンティティ)の形成である。ちなみに、無意識は、選択肢2.Frcud(フロイト)が唱えた。
5.× Kretschmer(クレッチマー)は、「発達課題(選択肢4)」ではなく、性格類型(ヒトの気質(性格)を研究し、体型により分類)である。ちなみに、発達課題は、選択肢4.Erikson(エリクソン)が唱えた。

 

 

 

 

 

 

80.不安を伴う事柄を思い出さないようになることはどれか。

1.昇華
2.投射
3.抑圧
4.合理化
5.知性化

解答3

解説
1.× 昇華とは、性欲や支配欲などの基本的欲求を社会的に容認された方法で解消することである。例:性欲を勉学にいそしむことで紛らわす。
2.× 投射(投影)は、自己の欠点や攻撃性を他人の中に見出し、他人を攻撃することで自己の劣等感、攻撃性をないものとすることである。例:「父を嫌っている」という自分の感情を抑えて、「父が自分を嫌っている」と思い込む。
3.〇 正しい。抑圧は、不安を伴う事柄を思い出さないようになることである。抑圧とは、容認し難い自分の欲求を無意識のうちに抑えつけてしまうことである。例:性的欲求、攻撃性などを無意識のうちに抑える。
4.× 合理化とは、欲求が満たされないとき、その耐え難い感情をかなり強引な理屈づけを行って処理しようとすることである。例:異性に振られたとき、「あんな奴と付き合わない方が自分のためになる」などと思い込む。
5.× 知性化は、欲動や感情を論理的あるいは抽象的に考えたり、それらに関する知識を得たりなどしてコントロールすることである。例:性衝動を、性に関する知識で統制する態度。

 

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