第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題81~85】

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81.「全般的な知能に大きな低下がなく、文字を読めば分かるが書くことができない」のはどれか。

1.学習障害
2.Rett症候群
3.Tourette症候群
4.広汎性発達障害
5.注意欠陥多動性障害

解答1

解説

問題文の「全般的な知能に大きな低下はなく、文字を読めば分かるが書くことができない」という症状は、「特異的書字障害」に当たる。同じ年齢、同等の知的能力の子どもに期待されるよりも、著しく文字を書くことが困難な障害である。

1.〇 正しい。学習障害は、全般的な知能発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算するまたは推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す障害を指す。ただし、学習機会が欠如した場合や知的障害、後天性の脳疾患は除かれる。
2.× Rett症候群(レット症候群)は、自閉症やてんかん・失調性歩行・特有の手もみ動作(常同運動)を主徴とする進行性の精神・神経疾患である。女児のみに発症し、初期には一見正常な発達をするが、その後それまで獲得していた手先の技能や言葉が喪失する。7か月~2歳に発症し、頭部発育が阻害され小頭症となる。
3.× Tourette症候群(トゥレット障害)とは、複数の運動チックと音声チックが同時に存在し、1年以上継続する状態を指す。汚言症がみられることがある。汚言症とは、卑猥語や罵倒語(汚言、醜語、糞語、猥言、猥語)を不随意的に発する症状である。
4.× 広汎性発達障害は、生後5年以内に明らかとなるコミユニケーションの質的な障害、および限局・常同・反復した関心や活動の幅によって特徴づけされる障害である。例として、小児自閉性障害・アスペルガー症候群・Rett症候群などが挙げられる。
5.× 注意欠陥多動性障害は、不注意・多動性・衝動性が主要症状である。

広汎性発達障害とは?

広汎性発達障害とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴づけられる一群をいう。現在の分類では「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」に含まれている。

広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。

 

 

 

 

 

 

82.頸髄完全損傷の機能残存レベルと課題との組合せで誤っているのはどれか。

1.C4:電動車椅子の操作
2.C5:ベッドへの横移乗
3.C6:長便座への移乗
4.C7:自動車への車椅子の積み込み
5.C8:高床浴槽への出入り

解答2

解説
1.〇 C4は、電動車椅子の操作が可能である。C4:下顎コントロールにより電動車椅子、C5:電動車椅子、C6以降:自走式車椅子を使用する。
2.× ベッドへの横移乗は、「C5」ではなくC7以降で可能となる。C5は肘関節屈曲が可能なレベルである。
3.〇 C6は、長便座への移乗が可能である。C6は手関節背屈が可能なレベルである。
4.〇 C7は、自動車への車椅子の積み込みが可能である。C7は、肘関節伸展が可能なレベルである。
5.〇 C8は、高床浴槽への出入りが可能である。C8は、手指伸展が可能なレベルである。

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83.前方脱臼よりも後方脱臼の頻度が高いのはどれか。2つ選べ。

1.顎関節
2.環軸椎関節
3.肩関節
4.肘関節
5.股関節

解答4/5

解説

脱臼

前方脱臼:近位関節面に対して遠位関節面が前方に転位した場合。
後方脱臼:近位関節面に対して遠位関節面が後方に転位した場合。

1.× 顎関節は、前方脱臼が多い。なぜなら、開口時、前下方に移動するため。
2.× 環軸椎関節は、約9割が前方脱臼である。ちなみに、環軸椎亜脱臼は、関節リウマチに多くみられる。
3.× 肩関節は、前方脱臼が多い。ちなみに、外傷性脱臼の中では肩関節脱臼が最も頻度が高く、約50%を占める。外傷性脱臼の特徴として、捻挫や亜脱臼より高度な関節包や靭帯の損傷を伴う。
4.〇 正しい。肘関節は、約9割が後方脱臼である。なぜなら、肘関節の構造上、前・後方向の力に対する抵抗性は、後方の肘頭よりも前方の鉤状突起の方が弱いため。
5.〇 正しい。股関節は、後方脱臼が多い。股関節脱臼は車の乗車中が最も多く、ダッシュボードに打ちつけられる損傷される。

 

 

 

 

 

 

84.ノーマライゼーションとして誤っているのはどれか。

1.大規模収容施設の建設
2.交通機関のバリアフリー化
3.ユニバーサルデザインの導入
4.市民への障害についての啓発活動
5.職業訓練センターの障害者用プログラム策定

解答1

解説

ノーマライゼーションとは?

ノーマライゼーションとは、「障害者が一般市民と同じ環境で、同じ条件で家庭や地域で共に生活すること」を目指す概念である。障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営めるように、当該社会から物心両面において改善しようという社会的志向である。

1.× 大規模収容施設の建設すると、障害者を施設に収容し地域から隔離・分断が起こる。これをプロテクショニズム(収容保護主義)という。ノーマライゼーションは、地域に受け入れ、統合していこうという概念である。
2.〇 交通機関のバリアフリー化は、ノーマライゼーションの理念である。バリアフリーとなれば、障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営める。
3.〇 ユニバーサルデザインの導入は、ノーマライゼーションの理念である。ユニバーサルデザインとは、障害の有無だけでなく、老若男女・能力・言語の違いを問わず、誰でも利用可能な製品・設計・情報のデザインのことである。ユニバーサルデザイン7原則として、①公平、②柔軟、③簡単、④理解、⑤安全、⑥省力、⑦空間があげられる。
4.〇 市民への障害についての啓発活動は、ノーマライゼーションの理念である。心理的なバリアを取り除けることができれば、障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営める。
5.〇 職業訓練センターの障害者用プログラム策定は、ノーマライゼーションの理念である。職業訓練を行うことにより、障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営める。

 

 

 

 

 

 

85.ウイルス感染症に比べ細菌感染症に認められやすい特徴はどれか。

1.高熱
2.発疹
3.蛋白尿
4.好中球増多
5.無痛性リンパ節腫脹

解答4

解説

感染時の血液の変化

①細菌感染の場合:白血球・CRP増加(特に好中球が働く)

②ウイルス感染の場合:白血球・CRPわずかに増加(特にリンパ球が働く)

1.× 高熱は、ウイルス感染症と細菌感染症どちらもみられる。
2.× 発疹は、様々な原因があり、特にヘルペスなどのウイルス感染症でもみられる。
3.× 蛋白尿の原因としては、①腎臓に限局した病気(急性腎炎や慢性腎炎など)と、②全身の病気(糖尿病、膠原病、高血圧など)の一部として腎臓に障害が起きる場合があげられる。
4.〇 正しい。好中球増多は、ウイルス感染症に比べ細菌感染症に認められやすい。なぜなら、好中球の働きとして細菌感染症では細菌を食食するため。
5.× 無痛性リンパ節腫脹は、細菌感染症に特異的な症状ではない。リンパ節腫脹は、数日のうちに急速に腫脹し有痛性の場合はウイルス性感染症などの急性炎症の場合が多い。一方で、数週から数カ月かけて進行し、無痛性の場合は悪性疾患を疑う。ただし、悪性リンパ腫および急性白血病でも急速に増大する場合は有痛性の腫脹をきたすことがあるため注意が必要である。

 

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