第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題86~90】

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86.変形性膝関節症で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.二次性が多い。
2.女性よりも男性に好発する。
3.外反変形を生じやすい。
4.運動開始時に疼痛がある。
5.大腿四頭筋の萎縮を認める。

解答4/5

解説

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。

1.× 「二次性」ではなく一次性が多い。一次性は、明らかな原因の無い場合である。二次性は、代謝性疾患・外傷・先天異常など明確な原因のある場合である。
2.× 逆である。男性よりも女性(中年期以降の肥満女性)に好発する。
3.× 「外反変形(X脚)」ではなく内反変形(O脚)を生じやすい。
4.〇 正しい。運動開始時に疼痛がある。したがって、日常生活の指導では、歩行前に座位で足踏みなど軽く運動するよう伝えることが多い。
5.〇 正しい。大腿四頭筋の萎縮を認める。原因としては、膝関節の疼痛・不活動によるためと考えられている。

 

参考にどうぞ↓

【共通のみ】膝関節の構造についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

87.原発性骨粗鬆症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.海綿骨の減少を伴う。
3.喫煙は危険因子である。
4.低カルシウム血症を伴う。
5.骨折好発部位は尺骨である。

解答2/3

解説

骨粗鬆症について

①原発性骨粗鬆症とは、閉経後や高齢者にみられる骨粗鬆症のことである。

②続発性骨粗鬆症とは、結果として二次的な骨量喪失が起こる骨粗鬆症のことをいう。例えば、骨代謝に影響を及ぼすホルモンやサイトカイン異常、不動など骨への力学的負荷の減少、骨構成細胞や物質の異常、全身的および血管障害などの局所的栄養障害などによって起こる。これら骨粗鬆症は原疾患に基づいて発症する続発性骨粗鬆症であるため、原疾患の適切な治療により正常化することが期待しうるが、骨代謝の正常化を期待するには不十分であることが多く、また先天性異常では改善は望めず、多くの症例で骨量喪失に対する治療を要することが多い。

1.× 「男性」ではなく女性に多い。閉経後の女性が、約8割を占める。
2.〇 正しい。海綿骨の減少を伴う。なぜなら、閉経後のエストロゲンの減少により骨吸収が骨形成を上回るため。骨には、①外側(皮質骨)と②内側(海綿骨)がある。骨粗鬆症では、まず初めに骨の内側(海綿骨)がもろく弱くなっていく特徴がある。 
3.〇 正しい。喫煙は危険因子である。危険因子とされている理由として、タバコは胃腸の働きを抑え、食欲をなくし、カルシウムの吸収を妨げるため。また、女性では骨から血液中へのカルシウムの流出を防ぐ女性ホルモンの分泌を防ぐなどといった機序を持つ。したがって、喫煙の他にも、生活習慣(食事、運動、アルコールなど)が発症に大きく影響する。
4.× 低カルシウム血症は伴わない。なぜなら、骨吸収が促進され、骨から血中にカルシウムが移動するため。つまり、血中のカルシウム濃度が上昇する。
5.× 骨折好発部位は、「尺骨」ではなく椎体(圧迫骨折)である。骨折好発部位は、女性は椎体が多いが、男性は長管骨(特に大腿骨頸部骨折や橈骨)である。

 

 

 

 

88.中枢神経系の感染症と病原体との組合せで誤っているのはどれか。

1.エイズ脳症:ウイルス
2.Creutzfeldt-Jakob(クロイッフェルト・ヤコブ)病:プリオン
3.進行麻痺:スピロへータ
4.日本脳炎:ウイルス
5.急性灰白髄炎(ポリオ):細菌

解答5

解説

1.〇 正しい。エイズ脳症は、HIVウイルスによる後天性免疫不全症である。エイズ脳症(HIV脳症)とは、HIVウイルスによって引き起こされる中枢神経領域の合併症を指す。具体的には、記憶力や集中力の低下などの症状がみられる。
2.〇 正しい。Creutzfeldt-Jakob(クロイッフェルト・ヤコブ)病は、異常なプリオン蛋白が脳に蓄積する致死性神経感染症である。
3.〇 正しい。進行麻痺は、スピロへータ感染である。梅毒は、スピロヘータの一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。
4.〇 正しい。日本脳炎は、日本脳炎ウイルスで起こる。日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染する。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気である。初期症状として、突然の高熱・頭痛・嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもある。
5.× 急性灰白髄炎(ポリオ)は、「細菌」ではなくポリオウイルスで起こる。

 

 

 

 

 

 

89.外傷性脳損傷後にみられやすい症状はどれか。

1.運動失語
2.着衣失行
3.相貌失認
4.全般性注意障害
5.左半側空間無視

解答4

解説

外傷性脳損傷後にみられやすい症状

①覚醒度低下、②脱抑制、③自発性の低下、④注意力の低下、⑤記憶障害、⑥遂行機能障害、⑦病識の欠如がある。
他にも、失調や振戦、排尿障害などもみられやすい。

1.× 運動失語(Broca失語)は、前頭葉のBroca野の障害でみられる。
によりみられる。
2.5.× 着衣失行/左半側空間無視は、劣位 (右) の頭頂葉の障害でみられる。
3.× 相貌失認(人の顔が認識できなくなるが声を聞くとわかる状態)は、右後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけて(腹側視覚路)の障害で生じる。
4.〇 正しい。全般性注意障害は、外傷性脳損傷後にみられやすい。全般性注意障害は、5つの注意性が全般的に障害されている状態である。①持続性:注意を一定時間の状態に保つことが困難になる。②選択性:多数の刺激の中から必要な情報や物事に注意を向けられない。③転換(導)性:必要に応じて注意の方向性を切り替えることが困難になる。④配分性(多方向性):2つ以上の課題を同時に遂行したり、順序立てて行ったりすることが困難になる。⑤容量性(感度):ある情報に関する注意の閾値が適度に保つことが困難である。

 

 

 

 

 

 

90.肘部管症候群の症状で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.猿手変形
2.鉤爪手変形
3.ボタン穴変形
4.Tinel徴候
5.前腕近位尺側の感覚障害

解答2/4

解説

肘部管症候群とは?

肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。

1.× 猿手変形は、正中神経麻痺で起こる。
2.〇 正しい。鉤爪手変形(鷲手)/Tinel徴候は、肘部管症候群の症状である。Tinel徴候とは、手根部や肘部の神経圧迫部位を叩打すると支配領域に放散痛が生じる現象をいう。
3.× ボタン穴変形は、関節リウマチで起こる。ちなみに、ボタン穴変形(ホール変形)は、MP関節過伸展、PIP関節屈曲、DIP過伸展、中央索の伸長・断裂が起こる。
5.× 前腕近位尺側の感覚障害は、内側前腕皮神経支配である。ちなみに、肘部管症候群(尺骨神経麻痺)の場合、感覚障害は環指尺側1/2と小指、手背尺側に起こる。

 

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