第45回(H22) 作業療法士国家試験 解説【午後問題46~50】

 

46 小児自閉症の特徴でないのはどれか。

1.限られた対象に執着する。
2.精神遅滞を合併しやすい。
3.対人関係の障害が目立つ。
4.反復行動がみられる。
5.女児に多い。

解答

解説

①人間関係の樹立が困難、②意思伝達の障害、③常同的な反復行動、④男子に多い。

1.3.4.〇 限られた対象に執着する/対人関係の障害が目立つ/反復行動がみられる。1~3歳は、ある一つのおもちゃに注目すると永遠とそれで遊び続け、決まりに従って行動することが多い。また、同世代の子供に無関心で、呼びかけに反応しないことが多い。
2.〇 精神遅滞を合併しやすい。約80%に合併する。障害されているのは、言語の発達遅滞とコミュニケーションの障害である。
5.× 女児ではなく「男児」に多い。男女比は3~4:1といわれている。

広汎性発達障害とは?

広汎性発達障害(自閉スペクトラム障害)とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンの障害、および限局・常同・反復的な行動パターンがあげられる。生後5年以内に明らかとなる一群の障害である。通常は精神遅滞を伴う。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。

【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。

 

 

 

 

 

 

47 知的障害児の作業療法で適切でないのはどれか。

1.遊びの種類を減らす。
2.内発的に動機付ける。
3.作業は細かく段階付ける。
4.精神年齢相応の作業を用いる。
5.障害の特性を家族に説明する。

解答

解説

知的障害の障害像

知的障害の定義:「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」

1.情緒障害:不安・興奮・過度の緊張・注意力の欠如などの情緒障害が認められる。
2.認知障害:短期記憶が弱いため、判断能力においても表面的である。
3.学習障害:抽象的概念の形成が困難であり、言語概念の形成も遅れる。
4.運動障害:左右の協調的な運動や微細運動が不得意で、身体のバランス能力も低い。

1.× 遊びの種類を減らす優先度は低い。なぜなら、いろんな遊びを通して、情緒・認知・学習・運動障害に対しアプローチできるため。また、興味の幅も広げられる。
2.〇 内発的に動機付ける。知的障害児が興味を示す作業から導入する。
3.〇 作業は細かく段階付ける。なぜなら、段階付けを細かく設定した方が児の達成感が得られやすい。
4.〇 精神年齢相応の作業を用いる。なぜなら、暦年齢指標に基づいての作業療法は行えないことが多く有効ではないため。
5.〇 障害の特性を家族に説明する。なぜなら、障害児の対応に家族は苦慮や悩みを抱えていることが多いため。

 

 

 

 

 

 

48 治療者を操作しようとしたり、独占しようとしたりする可能性が最も高い疾患はどれか。

1.アルコール依存症
2.双極性感情障害
3.境界性人格障害
4.広汎性発達障害
5.統合失調症

解答

解説
1.× アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。回復初期のアルコール依存症の特有の心理として、「名誉挽回のために過剰に頑張る」というものもある。
2.× 双極性感情障害とは、躁状態うつ状態を交互に繰り返す疾患である。うつ病より遺伝的素因の関与が強い。障害有病率約1%で、うつ病よりも若い時期に発症しやすく、性差は認められていない。遺伝素因はうつ病よりも2倍以上の関与が考えられている。
3.〇 正しい。境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、治療者を操作しようとしたり、独占しようとしたりする可能性が最も高い。また、患者が周囲の人を巻き込まないようにするための明確な態度をとる姿勢が重要で、また患者の自傷行為の背景を知るための面接が必要である。ちなみに、境界性パーソナリティ障害では、感情の不安定性と自己の空虚感が目立つ。こうした空虚感や抑うつを伴う感情・情緒不安定の中で突然の自殺企図、あるいは性的逸脱、薬物乱用、過食といった情動的な行動が出現する。このような衝動的な行動や表出される言動の激しさによって、対人関係が極めて不安定である。見捨てられ不安があり、特定の人物に対して依存的な態度が目立ち、他者との適切な距離が取れないなどといった特徴がある。
4.× 広汎性発達障害とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴づけられる一群をいう。現在の分類では「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」に含まれている。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
5.× 統合失調症とは、思考・知覚・感情・意欲・自我意識の障害が起こる病気のことである。作業療法場面では、①柔軟性がない、②計画性がない、③慣れがない、④同時並行できない、⑤作業量に変動がある。特徴として、思い込みが激しく、不合理な訴えを行う患者本人は自分が不合理であるということには気づかないことが多い。治療者を操作しようとしたり、独占しようとしたりする可能性もなくはないが、今回は設問の中に最も優先度が高いものがあるため除外される。

 

 

 

 

 

 

49 精神障害者の社会機能を検査する評価法で正しいのはどれか。

1.BPRS
2.GATB
3.LASMI
4.MMPI
5.WAIS-Ⅲ

解答

解説
1.× BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale:簡易精神症状評価尺度)は、記載された事項についての質問を行い、精神障害者全体を対象とした18の項目を7段階で評価する。臨床医がうつ病、不安、幻覚、異常な行動などの精神症状を測定するために使用する評価尺度である。
2.× GATB(General Aptitude Test Battery:厚生労働省編一般職業適性検査)は、多くの職業で必要とされる9つの能力=適性能(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さ)を評価することにより、望ましい職業選択を行うための情報を提供することを目的として作成されたものである。
3.〇 正しい。LASMI(Life Assessment Scale for the Mentally Ill:精神障害者社会生活評価尺度)は、精神障害者の社会機能を検査する評価法である。精神障害のある人の生活を包括的に評価するための尺度である。5つの大項目(①日常生活、②対人関係、③労働または課題遂行能力、④持続性・安定性、⑤自己認識)からなる。
4.× MMPI(Minnesota Multiple Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の質問に対して「あてはまる」「あてはまらない」「どちらでもない」を選択する3件法が用いられている。
5.× WAIS-Ⅲ(Wechsler Adult Intelligence Scale:ウェクスラー成人知能検査)は、質問やイラスト、積み木などの検査キットを用いて、言語性知能尺度・動作性知能尺度から総合の知能指数(IQ)を測定する。16~89歳までが対象となる。

 

 

 

 

 

 

50 社会生活技能訓練(SST)の説明で適切なのはどれか。

1.ロールプレイは自由に行う。
2.正のフィードバックを行う。
3.モデリングは最小限にとどめる。
4.ストレスはかからない技法である。
5.モジュールは経験を積んでから行う。

解答

解説

社会生活技能訓練とは?

社会生活技能訓練(SST:Social Skills Training)は、社会生活を送るうえでの技能を身につけ、ストレス状況に対処できるようにする集団療法の一つ(認知行動療法の一つ)である。精神科における強力な心理社会的介入方法である。患者が習得すべき行動パターンを治療者(リーダー)が手本として示し、患者がそれを模倣して適応的な行動パターンを学ぶという学習理論に基づいたモデリング(模倣する)という技法が用いられる。

1.× ロールプレイは自由に行うことはしない。具体的な場面を設定し、治療者(リーダー)が手本として示しそれぞれ与えられた役柄を演じる。自由度は低いといえる。
2.〇 正しい。正のフィードバックを行う。正のフィードバック(ポジティブフィードバック、正帰還とも呼ぶ)とは、被評価者の意欲や能力が良い方向へ増幅されるフィードバックのことをいう。社会生活技能訓練(SST)は、よかった点を必ずフィードバックする.
3.× モデリングは最小限ではなく、「できるだけ多く」の機会を作る。モデリング(模倣する)とは、リーダーの行動を適応的な行動パターンを学習することをいう。きるだけ多くモデリングの機会を作る。
4.× 一概にストレスがかからない技法とはいえない。なぜなら宿題が出されたり、課題を行ったりするためである。ある程度のストレスはかかる技法といえる。
5.× モジュール(直訳:基本単位、システムを構成する機能的にまとまった部分)は、経験を積んでから行う必要はない。社会生活技能訓練のモジュールとは、課題領域別の自立生活技能プログラムのことである。このなかには服薬自己管理モジュール、症状自己管理モジュール、基本会話モジュールなどがある。社会生活技能訓練(SST)は、参加するメンバー個人の生活に即して多岐に行われる。ある程度の練習は必要であるが、特に経験が必要なわけではない。

 

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