第45回(H22) 理学療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

 

36.姿勢反射と中枢との組合せで誤っているのはどれか。

1.交叉性伸展反射:脊髄レベル
2.陽性支持反射:脊髄レベル
3.緊張性迷路反射:中脳レベル
4.上肢パラシュート反応:中脳レベル
5.ホッピング反応:大脳皮質レベル

解答3

解説
1.〇 交叉性伸展反射は、脊髄レベルである。検者が一側下肢を伸展させ、同側の足底を刺激すると反対側の下肢が屈曲し、その後に刺激を与えている検者の手を払いのけるように伸展・交差する。胎児期後期から出現し、生後1~2ヵ月までに消失する。
2.〇 陽性支持反射は、脊髄レベルである。新生児の腋窩を支えて抱き上げて足底を床につけると下肢、体幹が伸展し、起立する反応である。これに対し新生児を同姿勢で空中に抱き上げると下肢を逆に屈曲する反応を陰性支持反射という。胎児期後期から、生後3~8ヵ月まで。
3.× 緊張性迷路反射は、中脳レベルではなく脳幹レベル(脊髄~橋)である。背臥位では伸展緊張が促通され、腹臥位では屈曲緊張が促通される。胎児期後期から、5~6ヵ月まで。
4.〇 上肢パラシュート反応(保護伸展反応)は、中脳レベルである。防御的に四肢を伸展して頭部を保護したり、支持して姿勢を安定させようと働く反応。抱き上げた子どもの体を支えて下方に落下させる、もしくは座位で前方・側方・後方に倒すと、両手を伸ばし、手を開いて体を支える。下方:6 ヵ月、前方:6~7 ヵ月、側方:7~8ヵ月、後方:9~10ヵ月で発現し、生涯継続する。
5.〇 ホッピング反応(ホップ反応)は、大脳皮質レベルである。立位における傾斜反応である。立位で、側方・前方・後方の子どもを倒すと足を出して体重を支える。約15~18ヵ月で発現し、その後継続する。

参考にどうぞ↓

【暗記用】姿勢反射を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

37.改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査(DDST)で90%通過率が13~14か月なのはどれか。2つ選べ。

1.階段をのぼる。
2.じょうずに歩く。
3.後ずさりして歩く。
4.家具につかまって歩く。
5.ひとりでじょうずに立っている。

解答2.5

解説

1.× 階段をのぼることは、14~22ヵ月で可能である。
2.〇 じょうずに歩くことは、11~14ヵ月で可能である。
3.× 後ずさりして歩くことは、12~22ヵ月で可能である。
4.× 家具につかまって歩くことは、7~12ヵ月で可能である。すでに100%に近い児が獲得していると考えられる。
5.〇 ひとりでじょうずに立っていることは、10~14ヵ月で可能である。

 

 

 

 

 

38.Duchenne型筋ジストロフィーで初期から筋短縮が起こりやすい筋はどれか。2つ選べ。

1.腰方形筋
2.股関節内転筋群
3.大腿筋膜張筋
4.ハムストリングス
5.前脛骨筋

解答3.4

解説

MEMO

筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主徴とする遺伝性の疾患総称である。そのうちのDuchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。病状が進行していくと①腰椎の前弯、①股関節・膝関節の屈曲拘縮、③足部の尖足・内反変形が起こる。したがって、短縮しやすい筋としては、腸腰筋大腿筋膜張筋ハムストリングス下腿三頭筋(腓腹筋)である。

1.× 腰方形筋は、初期からの筋短縮は起こりにくい。症状が進行(車いす生活中心:10歳頃)し、脊椎側弯がみられるころには腰方形筋の短縮を認めることも多い。ちなみに、腰方形筋の【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起、【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起、【作用】腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)である。
2.× 股関節内転筋群は、初期からの筋短縮は起こりにくい。症状が進行(車いす生活中心:10歳頃)し、股関節内転位がみられるころには股関節内転筋群の短縮を認めることも多い。
3.〇 正しい。大腿筋膜張筋は、初期からの筋短縮は起こりやすい。ちなみに、【起始】上前腸骨棘と大腿筋膜の内側、【停止】腸脛靭帯、脛骨外側顆前面の粗面、【作用】股関節屈曲・内旋・外転、膝関節伸展である。
4.〇 正しい。ハムストリングスは、初期からの筋短縮は起こりやすい。なぜなら、初期から股関節・膝関節の屈曲拘縮がおこるため。ちなみに、ハムストリングスは、大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋の総称である。
5.× 前脛骨筋は、初期からの筋短縮は起こりやすい。むしろ仮性肥大や足部の尖足・内反変形が起こる下腿三頭筋の短縮を認める。

参考にどうぞ↓

【暗記用】下肢筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

39.虚血性心疾患における運動負荷試験の中止基準はどれか。

1.顔面紅潮
2.収縮期血圧低下
3.Ⅰ度房室プロック
4.心電図部1mm低下
5.発作性上室性不整脈の散発

解答2

解説

虚血性心疾患とは?

虚血性心疾患(冠動脈疾患)とは、心筋組織に虚血を生じた状態(血流が途絶した状態)である。心筋虚血は、心筋の酸素需要と供給の不均衡によって生じ、冠動脈の血流障害が起こる。ほとんどは冠動脈硬化による。

1.× 顔面紅潮は該当しない。中止基準として、被験者が中止を要請したり、自覚症状(胸痛、呼吸困難、息切れ、動悸、めまい、ふらつき、下肢疲労感)を認めた場合が含まれている。
2.〇 正しい。収縮期血圧低下は運動負荷試験の中止基準である。⑤室内便器使用時までは20mmHg以上の収縮期血圧上昇・低下がないことがあげられている。
3.× Ⅰ度房室プロックは該当しない。危険な不整脈が出現した場合は中止となる。ちなみに、徐脈性不整脈では、Ⅰ度以上の房室ブロックが該当する。
4.× 心電図部1mm低下は該当しない。STの低下:心電図部1mm低下ではなく、2mm以上の低下で該当する。ちなみに、STの低下は1mmで中止基準に該当する。④心電図上1mm以上(0.2mV以上)の虚血性ST低下、または著明なST上昇がないこと。
5.× 発作性上室性不整脈の散発は該当しない。なぜなら、発作性上室性不整脈は運動負荷中に健常者でもみられるため。危険な不整脈(心室頻拍、上室頻拍など)が出現した場合は中止となる。

急性心筋梗塞に対する急性期リハビリテーション負荷試験の判定基準

①胸痛・動悸・呼吸困難などの自覚症状が出現しないこと。
②心拍数が120/分以上にならないこと。または40/分以上増加しないこと。
③危険な不整脈が出現しないこと。
④心電図上1mm以上(0.2mV以上)の虚血性ST低下、または著明なST上昇がないこと。
⑤室内便器使用時までは20mmHg以上の収縮期血圧上昇・低下がないこと。
(2週間以上経過した場合、血圧に関する基準は設けない)

 

 

 

 

 

40.肺音聴診で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.肺胞呼吸音は呼気で聴取される。
2.喘息発作時には吸気時間が延長する。
3.胸膜摩擦音が聴取されれば異常である。
4.気管支呼吸音が聴取されれば異常である。
5.痰貯留部では粗い断続性ラ音が聴取できる。

解答3.5

解説

1.× 肺胞呼吸音は、呼気ではなく呼気(初期)で聴取される。肺胞呼吸音とは、低調で柔らかい音である。
2.× 喘息発作時には、吸気時間ではなく呼気時間が延長する。なぜなら、喘息発作時は気道が狭窄するため。
3.〇 正しい。胸膜摩擦音が聴取されれば異常である。胸膜摩擦音とは、胸膜炎で胸膜面が粗くなったときに聴取できる靴底の軋む音、雪を握るような音(握雪音、ギュギュ) のことである。
4.× 気管支呼吸音が聴取されても、異常ではなく正常である。気管支呼吸音とは、高調な音で、吸気時・呼気時の持続時間が等しいことが特徴である。
5.〇 正しい。痰貯留部では粗い断続性ラ音が聴取できる。水泡音のことであり、呼気相~呼気相初期に聴かれる「ブツブツ」「ポコポコ」という音で低調で短いのが特徴である。

 

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