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41.非侵襲的陽圧換気(NPPV:non-invasive positive pressure ventilation)療法で正しいのはどれか。
1.重度の咽喉頭機能障害の症例に適応がある。
2.胸郭可動性の制限があると効果は低下する。
3.呼吸管理後は口頭での会話はできない。
4.咳嗽力がない症例に適応がある。
5.気管切開が禁忌の場合に行う。
解答2
解説
非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法は、気管切開することなくマスクを介して換気を行う治療法である。高二酸化炭素血漿を伴う呼吸不全(Ⅱ型呼吸不全)が対象となる。非侵襲的陽圧換気は、挿管をせずに鼻・口にマスクを使用した陽圧換気法で、患者にとって負担の少ない補助換気法である。気管内挿管が不要であるため患者は、苦痛が少ないが、挿管をして換気を行う侵襲的陽圧換気法の方が気道確保や換気は確実である。
【睡眠時のNPPVの適応】
①慢性肺胞低換気(肺活量が60%以下の場合はハイリスク)
②昼間に酸素飽和度以下(94%以下)または高二酸化炭素血症(45mmHg以下)
③睡眠時SpO2モニターで、apnea-hypopnea index(AHI)が10/時間以上、SpO2が92%未満になることが4回以上か、全睡眠時間の4%以上
【睡眠時に加えて覚醒時のNPPVの適応】
①呼吸困難に起因する嚥下困難
②ひと息に長い文章を話せない
③慢性肺胞低換気症状を認め、昼間に酸素飽和度以下(94%以下)または高二酸化炭素血症(45mmHg以上)
(引用:NPPVガイドライン改訂第2版より)
1.× 「重度の咽喉頭機能障害」ではなく、高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全(Ⅱ型呼吸不全)の症例に適応がある。つまり、咽喉頭機能が誤嚥なしに嚥下できるレベルで適応がある。主に、COPDや筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、脳幹・脊髄・横隔神経の障害などである。
2.〇 正しい。胸郭可動性の制限があると効果は低下する。なぜなら、胸郭可動性が制限されていると十分に換気できないため。
3.× 呼吸管理後も口頭での会話は行える。なぜなら、非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法は、気管切開することなくマスクを介して換気を行う治療法であるため。気管内挿管が不要であるため患者は、苦痛が少ないが、挿管をして換気を行う侵襲的陽圧換気法の方が気道確保や換気は確実である。
4.× 「咳嗽力がない」ではなく「咳嗽力がある」症例に適応がある。咳の流速が160ℓ/分以上ある症例で適応となる。
5.× 気管切開が禁忌の場合は、非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法ではなく、経鼻(口)挿管を用いる。ちなみに、気管切開が禁忌の場合は、①緊急気道確保(緊急時は合併症が多く時間も要するため、気管切開ではなく輪状甲状靱帯切開や穿刺を行う)、②甲状腺肥大、③短頸肥満、④気管切開部の手術歴、⑤穿刺部の感染・膿瘍などがあげられる。また、気管切開は他の方法で人工呼吸を行えず、空息の危険が迫っている場合に用いられる。
42.電気刺激療法を行うときに筋収縮が強くなるのはどれか。2つ選べ。
1.周波数が一定ならば電流強度とパルス幅の積が小さい刺激を用いる。
2.陰性パルスではなく陽性パルスで刺激する。
3.波形の立ち上がりが急峻な刺激を用いる。
4.刺激部位の皮膚温を下げてから刺激する。
5.運動点以外よりも運動点を刺激する。
解答3.5
解説
1.× 周波数が一定ならば電流強度とパルス幅の積が、「小さい」ではなく大きい刺激を用いる方が筋収縮が強くなる。つまり、電流強度が強いほど、パルス幅が広いほど筋収縮は強くなる。
2.× 「陰性パルス」ではなく陽性パルスで刺激するなどで、筋収縮に変化は見られない。電流の極性は、単相性波形の電流刺激を選択することができる。経皮的電気刺激(TENS)、干渉波、神経筋電気刺激療法などが二相性であるのに対し、高電圧電気刺激療法、微弱電流刺激療法、直流電気刺激療法などは単相性であり、治療促進に用いることができる。電気刺激療法を行うとき通常は、陰性パルス波が用いられる。
3.〇 正しい。波形の立ち上がりが急峻(きゅうしゅん:傾斜が急)な刺激を用いる方が筋収縮が強くなる。なぜなら、波形の立ち上がりが急峻な程、閾値は低く、筋収縮しやすいため。ちなみに、波形の緩やかな三角波や台形波を用いるのは変性筋に用いる。
4.× 刺激部位の皮膚温を「下げてから」ではなく「上げてから」刺激する方が筋収縮が強くなる。なぜなら、患部を冷やすと、電気抵抗は大きくなるため。ちなみに、皮膚は、直流や低周波刺激に対する電気抵抗が大きく、交流や高周波に対する電気抵抗は小さい。
5.〇 正しい。運動点以外よりも運動点を刺激する方が筋収縮が強くなる。運動点を刺激することで最小限の電流でより効果的な筋の治療が可能となる。運動テントは、表面電極を用いて筋を刺激する場合、筋ごとに電気刺激に対してもっとも反応しやすい部位のことをいう。
43.寒冷療法の作用はどれか。2つ選べ。
1.痙縮の減少
2.代謝率の上昇
3.痛覚閾値の上昇
4.初期の血流増加
5.軟部組織の伸展性増加
解答1.3
解説
寒冷療法の生理作用には、局所新陳代謝の低下、毛細血管浸透圧の減少、血管収縮とその後の拡張、感覚受容器の閾値の上昇、刺激伝達遅延による中枢への感覚インパルス減少、筋紡錘活動の低下等がある。これらの作用により、炎症や浮腫の抑制、血液循環の改善、鎮痛作用、筋スパズムの軽減が期待される。
(引用:「寒冷療法」物理療法系専門領域研究部会 著:加賀谷善教)
1.〇 正しい。痙縮の減少は寒冷療法の作用である。
2.× 代謝率は、「上昇」ではなく低下する。
3.〇 正しい。痛覚閾値の上昇は寒冷療法の作用である。したがって、痛みを感じにくくなる。
4.× 初期の血流は、「増加」ではなく減少する。
5.× 軟部組織の伸展性は、「増加」ではなく減少する。
44.特発性側弯症の装具で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.アンダーアームプレイス
2.Knight型装具
3.Milwaukee装具
4.Steindler型装具
5.Williams型装具
解答1.3
解説
(※図引用:大阪発達総合療育センター 南大阪小児リハビリテーション病院様HPより)
①TLSO装具:胸椎・腰椎の変形を制御する。①アンダーアームプレース、②ボストンプレースがある。
②CTLSO装具:頸椎・胸椎・腰椎の変形を制御する。ミルウォーキープレースがある。
1.〇 正しい。アンダーアームプレイスは、第7胸椎以上の特発性側弯症の装具である。ちなみに、アンダーアームブレイスの適応は、第8胸椎以下が適応となる。
2.× Knight型装具(ナイト型装具:腰仙椎装具)は、腰椎後屈の制限を目的とする。ちなみに、前屈も制限される。後方に胸椎バンドと骨盤帯があり、後方・側方支柱と腹部のパッドで固定している。腰椎骨折や腰部椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などで用いられる。
3.〇 正しい。Milwaukee装具(ミルウォーキー装具)は、胸~腰椎の特発性側弯症の装具である。
4.× Steindler型装具(スタインドラー型装具:胸腰仙椎装具)は、胸腰椎の全方向への運動を制限する。椎体圧迫骨折や円背などに適応となる。体幹装具の中で脊柱の運動を最も制限する装具である。
5.× Williams型装具(ウィリアムス型装具)は、腰仙部の後屈と側屈を制限する。脊椎分離症や脊椎すべり症などに適応となる。
45.靴の補正と目的との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.舟状骨パッド:足根骨部横アーチの支持
2.SACHヒール:踵接地時のショック吸収
3.Thomasヒール:外側縦アーチの支持
4.メタタルザルバー:中足骨頭の免荷
5.外側ソールウェッジ:母指球の免荷
解答2.4
解説
1.× 舟状骨パッドは、「足根骨部横アーチ」ではなく内側縦アーチの支持である。主に外反偏平足に適応となる。ちなみに、内側縦アーチは踵骨・距骨舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨よりなる。
2.〇 正しい。SACHヒール(サッチヒール)は、踵接地時のショック吸収を目的とする。踵部のクッションがたわむことで衝撃を吸収する。踵部分がクッション性の高い材質になっており、踵接地時の足部進行方向の安定化とヒールロッカー機能を持たせ、距骨下関節や距腿関節の強直・拘縮や距骨粘液嚢腫、踵骨骨棘に適応となる。
3.× Thomasヒールは、「外側縦アーチ」ではなく内側縦アーチの支持である。主に扁平足や外反偏平足に適応となる。ちなみに、逆トーマス・ヒールは、踵立方関節・立方中足関節を支持し内反尖足に用いる。
4.〇 正しい。メタタルザルバーは、中足骨頭の免荷をする。開張足に用いる。
5.× 外側ソールウェッジは、「母指球の免荷」ではなく内反尖足・凹足に用いる。