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86.骨壊死を起こしやすいのはどれか。
1.上腕骨外科頸骨折
2.肘頭骨折
3.中手骨骨折
4.大腿骨頸部内側骨折
5.踵骨骨折
解答4
解説
①上腕骨解剖頸骨折
②手の舟状骨骨折
③大腿骨頸部内側骨折
④距骨骨折
これらの部位の骨折は栄養血管損傷を起こしやすく、血流が障害されやすい。
1~3,5.× 上腕骨外科頸骨折/肘頭骨折/中手骨骨折/踵骨骨折は骨壊死を起こしやすいとはいえない。なぜなら、骨折後も血流が保たれることが多いため。
4.〇 正しい。大腿骨頸部内側骨折は骨壊死を起こしやすい。大腿骨頸部内側骨折は、栄養血管損傷により血行が絶たれるため骨癒合しにくく難治性である。したがって、人工骨頭置換術が施行される。
87.Osgood-Schlatter病で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.運動時痛がある。
2.女児の罹患率が高い。
3.大腿骨顆部に圧痛がある。
4.大腿四頭筋筋膜に部分断裂を生じる。
5.骨端線の閉鎖以降に症状は消失しやすい。
解答1.5
解説
Osgood-Schlatter病は、脛骨粗面(脛骨結節)の骨端症である。小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
1.〇 正しい。運動時痛がある。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。
2.× 「女児」ではなく男児の罹患率が高い。
3.× 「大腿骨顆部」ではなく、脛骨粗面(脛骨結節)に圧痛がある。
4.× 大腿四頭筋筋膜に部分断裂を生じない。大腿四頭筋の引っ張る力によって脛骨粗面(脛骨結節)が損傷する。ちなみに、筋線維の一部もしくは筋膜が断裂した状態を「筋損傷、筋膜断裂」という。一般的に肉離れと呼ばれるものである。
5.〇 正しい。骨端線の閉鎖以降に症状は消失しやすい。成長期の疾患である。
13~15才頃に、脛骨結節の表層は軟骨で覆われ始める。18才頃に、骨端線が閉鎖し脛骨粗面となる。つまり、同じ場所であるが、骨端線が閉鎖しているかしていないかで呼び名が変わる。
88.関節リウマチでみられないのはどれか。
1.関節の亜脱臼
2.腱鞘滑膜の炎症
3.関節軟骨の破壊
4.関節内の結晶析出
5.関節周囲の腱断裂
解答4
解説
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
1~3.5.〇 関節の亜脱臼/腱鞘滑膜の炎症/関節軟骨の破壊/関節周囲の腱断裂は、関節リウマチでみられる。関節リウマチの病態は、慢性に経過する非化膿性の多発性関節炎である。組織学的には、滑膜増殖、血管新生、炎症細胞の浸潤、骨・軟骨の破壊が特徴的である。
4.× 関節内の結晶析出は、「関節リウマチ」ではなく痛風でみられる。痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。尿酸はプリン体が体内で分解されてできる物質で、血液中の尿酸の濃度が高くなり、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症の状態となる。
痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
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89.中心性頸髄損傷の特徴はどれか。
1.20歳代に多い。
2.大きな外力によって生じる。
3.頸椎の脱臼骨折を伴う。
4.知覚麻痺は重度である。
5.下肢よりも上肢の運動障害が著しい。
解答5
解説
中心性頸髄損傷は、転倒などにより、脊髄全体に外力が加わり、中心に近い脊髄灰白質が障害されたものである。高齢者において、脊椎の変形あるいは後縦靭帯骨化症などを合併して脊柱管狭窄をきたしている場合に、中心性頸髄損傷が発生しやすい。交通事故などの頸髄損傷に比べ、機能予後はよいが、下肢より上肢の運動障害が顕著であり、上肢の障害は残存することが多い。
1.× 「20歳代」ではなく高齢者に多い。なぜなら、転倒による受傷が多いため。
2.× 大きな外力によって生じるとは一概にはいえない。高齢者が頸椎を過伸展されたような軽い外力(しりもちをつく、むち打ちをおこす)を加えられた時にも起こる。どこまでが小さい外力で、大きな外力はどこまでかは定義づけされていないため判断するのは難しい。
3.× 頸椎の脱臼骨折を伴わない。頸椎の脱臼骨折は、交通事故などから引き起こされる外傷性頸髄損傷で起こる。中心性頸髄損傷は、明らかな骨折を認めないことが多い。
4.× 知覚麻痺は運動麻痺より、「重度」ではなく軽度である。
5.〇 正しい。下肢よりも上肢の運動障害が著しい。なぜなら、下肢に比べ上肢の錐体路の方が、脊髄の中心近くを通るため。
90.神経筋接合部の障害が病態の中心である疾患はどれか。
1.ボツリヌス中毒症
2.筋萎縮性側索硬化症
3.急性散在性脳脊髄炎
4.Guillain-Barré症候群
5.Charcot-Marie-Tooth病
解答1
解説
①重症筋無力症
②ボツリヌス中毒
③ランバート・イートン症候群など。
1.〇 正しい。ボツリヌス中毒症は、神経筋接合部の障害が病態の中心である疾患である。ボツリヌス菌は外毒素を産生し、この外毒素が神経筋接合部や腺組織に作用し、そこでアセチルコリンの放出を阻害することによって、 多彩な臨床症状(口腔乾燥、かすみ目、複視、眼瞼下垂、嚥下困難)を引き起こす。
2.× 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄の側索と前角の障害である。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上・下位の運動ニューロンのみが障害される。四大陰性症状は、①他覚的感覚障害、②眼球運動障害、③膀胱直腸障害、④褥瘡である。
3.× 急性散在性脳脊髄炎は、中枢神経の炎症性脱髄疾患である。中枢神経系を散在性に急性かつ単相性に侵す。
4.× Guillain-Barré症候群は、感染後の遅延型アレルギー反応による末梢神経の急性脱髄疾患である。運動麻痺を主症状とし、感覚障害、脳神経麻痺をきたす。症状は1か月で完成し、その後3か月~1年で徐々に近位部から遠位部に向けて回復する。
5.× Charcot-Marie-Tooth病(シャルコー・マリー・トゥース病)は、多発性末梢神経障害を主徴とする遺伝性疾患である。遺伝子異常により、一般的に四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す疾患である。まれに、四肢近位部優位の筋力低下・筋萎縮を示す例もある。筋肉が緩徐進行性で萎縮し、同部位の感覚が少し鈍くなる。歩行は、下腿の筋萎縮により鶏歩(下垂足)となる。
ハム、 キャビア、小児ではハチミツなどが原因となる。潜伏期は12~36時間で、毒素型食中毒に属し、発熱は通常目立たない。神経毒により末梢神経障害をきたし、球麻痺(発語障害、嚥下障害)、 外眼筋麻痺(複視、眼瞼下垂)、呼吸筋麻痺などをきたす。
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