第45回(H22) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題81~85】

 

81.心理療法で正しいのはどれか。

1.陽性転移の出現を目標とする。
2.逆転移を認識したときは治療を中止する。
3.自律訓練法では不安階層表を作成させる。
4.絵画療法は統合失調症急性期に有効である。
5.バイオフィードバックはオペラント条件付けを用いた手法である。

解答5

解説

転移とは?

転移とは、患者が今までの生活史における重要人物に示してきた感情や態度を治療者に向けることを言い、一方、逆転移とは治療者が患者に向けることである。

1.× 陽性転移の出現自体が目標とはならない。なぜなら、陽性・陰性転移の出現についての理由を明確化して、洞察を深めていくように導くのが洞察的心理療法の目的であるため。ちなみに、陽性転移は治療者に対する好ましい感情である。
2.× 逆転移を認識したときは治療を中止する必要はない。転移・逆転移は心理治療中で容易に起こり得ることで、逆転移を認識したら、治療者自身で解決するか、別の治療者に相談するのが良い。
3.× 律訓練法は、不安階層表を作成するものではない。自律訓練法は、シェルツによって開発されたもので自己催眠法の手続きの一つで、事故に暗示をかけてリラックスを促し心身を整える方法である。不安階層表を作成させるのは、ウォルピによって創始された系統的脱感作である。徐々に不安を感じる刺激を与えて慣れさせる方法をとる。
4.× 絵画療法は、統合失調症の急性期ではなく、慢性期に有効である。絵画療法は、患者に絵を描いてもらい言語化できない患者の精神内界を表現させ、それについて患者と言語的あるいは非言語的に交流することにより症状の改善をはかるものである。「禁忌はない」といわれるほど多くの疾患に適応があるが、統合失調症では慢性期の治療に有効である。
5.〇 正しい。バイオフィードバックはオペラント条件付けを用いた手法である。バイオフィードバック法は、精神生理学に関連した方法で、生理現象を計測しながら良い状態であれば対象者に信号を出して、良い状態を保つよう訓練する方法で、オペラント条件付けを用いた手法である。

 

 

 

 

 

82.国際生活機能分類(ICF)で正しいのはどれか。

1.対象範囲を障害者としている。
2.参加制約という用語は使用しない。
3.環境因子は生活機能に大きく影響する。
4.活動とは生活へのかかわりあいを指す。
5.病因論的な枠組みから健康状態を分類している。

解答3

解説

 ICFは、障害者のみならず、すべての人を対象として、障害を「生活機能」というプラス面からみるように視点を転換した分類法である。この「生活機能」は、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3レベルに分類されたうえで、さらに「個人因子」「環境因子」の観点が加えられる。

1.× 対象範囲は、障害者ではなく、すべての人としている。
2.× 参加制約という用語も使用する。「心身機能・身体構造」「活動」「参加」を否定的側面で捉えると、「機能障害」「活動制限」「参加制約」と表現される。決して障害・制限・制約といった用語を使用してはいけないわけではない。
3.〇 正しい。環境因子は生活機能に大きく影響する。環境因子とは、人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子である。
4.× 活動とは、「生活へのかかわりあい」ではなく、課題や行為の個人による遂行のことを指す。ちなみに、「生活へのかかわりあい」は参加である。
5.× 病因論的な枠組みから健康状態を分類しているのは、国際生活機能分類(ICF)ではなくICD(国際疾病分類)である。国際生活機能分類(ICF)は、目標指向的アプローチに用いられ、大きく「生活機能と障害」と「背景因子」の2つの要素からなっている。

 

 

 

 

83.痙縮が出現するのはどれか。

1.多発筋炎
2.多発性硬化症
3.腕神経叢麻痺
4.急性灰白髄炎(ポリオ)
5.Guillain-Barré症候群

解答2

解説

痙縮とは?

痙縮は、錐体路の上位運動ニューロン障害による損傷高位以下の脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)の活動性が亢進し、麻痺筋の筋紡錘からの求心性刺激が増強することによって生じる。その結果、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態となる。このため、前角細胞以下の障害では痙縮は出現しない。脳卒中の後遺症として起こる痙縮の治療にはボツリヌス毒素が用いられる。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。

1.× 多発筋炎は、自己免疫学的機序によって骨格筋に炎症を生じる疾患である。多発筋炎/皮膚筋炎は、筋炎を中心に、皮膚症状、関節炎、間質性肺炎などを併発するが、すべての症状が起こるわけではなく、一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の種類や程度が異なる(筋肉の症状すらない、皮膚症状だけのかたもいる)。
2.〇 正しい。多発性硬化症は、痙縮が出現する。発性硬化症は、中枢神経に時間的(多発性)・空間的(多巣性)に病変を生じる脱髄疾患である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。
3.× 腕神経叢麻痺は、下位運動ニューロンの障害であるため、痙縮は出現せず、筋緊張は低下する。
4.× 急性灰白髄炎(ポリオ)は、ポリオウイルスによる感染症であり、痛みは伴いにくい。感染者の90~95%は症状がでないのが特徴である。1%以下の確率で、ウイルスに関連した左右対称性の弛緩麻痺を呈する。なぜなら、ポリオウイルスの感染により脳脊髄炎を来たし、主に脊髄前角細胞が侵されるため。前角細胞は下位運動ニューロンなので痙縮は出現しない。
5.× Guillain-Barré症候群は、多発性末梢神経障害の代表疾患である。末梢神経障害のため、麻痺は四肢の遠位部から起こり、徐々に近位部へ進行する。麻痺の回復経過はその逆で、近位部から遠位部に向けて回復する。重症例では、麻痺が体幹にも及び呼吸筋も侵すため呼吸障害を生じる。発症の1~3週前に感冒症状・下痢・腹痛などが見られ、その1~2週間で急逝に神経症状が発症して弛緩性四肢麻痺や呼吸筋麻痺、脳神経障害などの症状がみられる。症状は、1か月で完成し、その後3か月から1年で徐々に近位部から遠位部にむけて回復する。

 

 

 

 

 

84.筋疾患で正しいのはどれか。

1.Duchenne型ジストロフィーは中枢神経系形態異常を伴う。
2.Becker型ジストロフィーは5歳までに発症する。
3.顔面肩甲型ジストロフィーは腰臀部の筋から発症する。
4.筋強直性ジストロフィーはミオトニアがみられる。
5.肢帯型ジストロフィーはミオパシー顔貌がみられる。

解答4

解説
1.× 中枢神経系形態異常を伴うのは、Duchenne型ジストロフィーではなく福山型である。Duchenne型ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で①幼児期から始まる筋力低下、②動揺性歩行、③登攀性起立(Gowers徴候:ガワーズ徴候)、④腓腹筋などの仮性肥大を特徴とする。
2.× 5歳までに発症するのは、Becker型ジストロフィーではなくDuchenne型ジストロフィーである。ちなみに、Becker型ジストロフィーの発症は、5~20歳と遅いのが特徴である。
3.× 顔面肩甲型ジストロフィーは、腰臀部の筋ではなく顔面肩甲帯の筋から発症する。
4.〇 正しい。筋強直性ジストロフィーはミオトニアがみられる。ミオトニアとは、骨格筋を収縮させた後、刺激がなくなれば、正常な筋は即座に弛緩するが、ここで筋の収縮(筋強直)が一定時間続くことである。
5.× ミオパシー顔貌がみられるのは、肢帯型ジストロフィーではなく筋強直性ジストロフィーである。ミオパチー顔貌とは、浅頭筋の障害によって眼輪筋・口輪筋の麻痺のために起こる一連の徴候である。 閉眼できず、兎眼となり、笑うときに口角が上がらないので水平の口となる。また、口笛が吹けない、ストローで水が飲めないなどの症状を呈する。

筋強直性ジストロフィーとは?

筋強直性(筋緊張性)ジストロフィーとは、進行性筋ジストロフィー内の一種で、常染色体優性遺伝(男女比ほぼ1:1)で大人で最も頻度の高い筋ジストロフィーである。そもそも進行性筋ジストロフィーとは、骨格筋の変性及び壊死を主病変とし、進行性の筋力低下や萎縮をきたす遺伝性疾患である。

【筋強直性ジストロフィーの特徴】
①中枢神経症状(認知症状、性格変化、傾眠)
②顔面筋の筋萎縮により西洋斧様顔貌(顔の幅が狭くなった顔貌)、嚥下障害、構音障害
③前頭部若禿(前頭部の脱毛)
④遠位優位の筋委縮
⑤ミオトニア(舌の叩打・母指球・把握)
⑥心伝導障害(房室ブロックなど)
⑦軽症例:糖尿病(耐糖能異常)、白内障がみられる。

(参考:「筋疾患分野|筋強直性ジストロフィー」難病情報センター様HPより)

 

 

 

 

 

85.膝関節疾患の症状とその説明との組合せで誤っているのはどれか。

1.キャッチング:運動時に膝に引っかかりを感じる。
2.膝くずれ:荷重時に膝がガクッと折れそうになる。
3.ロッキング:膝が一定の角度で屈伸不能になる。
4.伸展不全:自動的な完全伸展が不能となる。
5.弾発現象:膝の中でものが動く感じがする。

解答5

解説
1.〇 キャッチング(棚障害とも)は、運動時に膝に引っかかりを感じることである。原因として、滑膜ヒダが膝蓋・大腿関節に挟まれるために生じる。
2.〇 膝くずれは、荷重時に膝がガクッと折れそうになることである。原因として、前十字靭帯損傷や半月板損傷などでみられる。
3.〇 ロッキングは、膝が一定の角度で屈伸不能(特に完全伸展不能)になることである。原因として、半月板損傷後や関節遊離体などが断裂し、顆間窩に挟まれることによって生じる。
4.〇 伸展不全(Extension lag)は、自動的な完全伸展が不能となることである。ただし、他動運動では完全伸展可能な状態である。原因として、筋力低下や関節水症によって生じやすい。
5.× 弾発現象は、「膝の中でものが動く感じがする」のではなく、関節の可動に伴って「ポキッ」「クリッ」などの音がしたり、バネのようにひっかかる現象である。ばね指でみられる。

 

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