第45回(H22) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題61~65】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

61.末梢神経で正しいのはどれか。

1.節後性交感神経線維は有髄線維である。
2.大径の運動神経線維は無髄線維である。
3.無髄線維はSchwann細胞に覆われている。
4.有髄線維は直径が大きいほど伝導速度が遅い。
5.神経筋接合部にはノルアドレナリンが含まれている。

解答3

解説
1.× 節後性交感神経線維(C)は、「有髄線維」ではなく無髄線維である。ちなみに、節前線維(B)は有髄線維である。
2.× 大径の運動神経線維(Aα)は、「無髄線維」ではなく有髄神経ある。
3.〇 正しい。無髄線維は、Schwann細胞(シュワン細胞)に覆われている。無髄神経のSchwann細胞(シュワン細胞)は髄鞘を作らず、軸索の周囲を取り囲む(覆う)のみである。これが「神経鞘」を形成している。
4.× 有髄線維は直径が大きいほど伝導速度が、「遅い」のではなく速い。なぜなら、直径が大きいほうが抵抗は小さくなるため。ちなみに、無髄神経よりも有髄神経のほうに跳躍伝導がおきる分、伝導が速くなる。
5.× 神経筋接合部には、「ノルアドレナリン」ではなくアセチルコリンが含まれている。神経筋接合部の神経伝達物質はアセチルコリンである。

MEMO

髄鞘は、①中枢神経系ではオリゴデンドロサイト、②末梢神経系ではシュワン細胞と呼ばれるグリア細胞が作る。軸索に何重にも巻きついているグリア細胞の鞘のことである。神経鞘は、上記髄鞘の巻きついた部分以外のグリア細胞の細胞体の部分のことである。無髄神経には軸索に巻きつく髄鞘は無いが、無髄神経を取り囲むように神経鞘は存在している。

 

 

 

 

 

62.図の名称で誤っているのはどれか。

1.拡散
2.収束
3.シナプス後抑制
4.反回抑制
5.側方抑制

解答3

解説
1.〇 正しい。拡散(発散)である。一つのニューロンの軸索が、多数のニューロンにシナプス結合している。
2.〇 正しい。収束である。数多くのシナプス前細胞が一つのニューロンにシナプス結合している。
3.× 「シナプス後抑制」ではなく、シナプス前抑制である。シナプス前抑制というのは、標的細胞にシナプス結合する入力線維の終末にシナプスを作り、入力線維の伝達物質の放出量を減少させることにより抑制効果を及ぼすものである。ちなみに、シナプス後抑制とは、シナプス伝達によってシナプス後細胞を過分極させ、活動電位の発生を抑制するシナプス結合のことである。
4.〇 〇 正しい。反回抑制である。特徴としてフィードバック抑制している。
5.〇 正しい。側方抑制である。入力を受けた中心の細胞が興奮して信号を伝達し、周囲の細胞が抑制性介在ニューロンの活動によって一斉に抑制されることである。

 

 

 

 

63.正しいのはどれか。

1.コルチ器官には有毛細胞がある。
2.耳小骨は鼓膜の音振動を減弱させる。
3.耳小骨に付着する筋が収縮すると音の伝達は増幅される。
4.音に対する蝸牛の基底膜の反応は周波数によらず一定である。
5.有毛細胞の不動毛はどの方向に動いても有毛細胞を脱分極させる。

解答1

解説
1.〇 正しい。コルチ器官には、有毛細胞がある。有毛細胞は、音の振動に対して有毛細胞が動くことで音を感知する。コルチ器官は、聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成される。
2.× 耳小骨は鼓膜の音振動を、「減弱」ではなく増幅させる。耳小骨は中耳にあり鼓膜側から、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と連続している。外界からの音は外耳道を通り鼓膜を振動させ、耳小骨を介して内耳に届き、その後を過牛管から蝸牛神経を通じて、中枢に伝えられる。
3.× 耳小骨に付着する筋が収縮すると音の伝達は、「増幅」ではなく減衰される。これは、大きな音に対して防御する働きである。中耳腔には鼓膜張筋およびアブミ骨筋の2本の耳小骨筋がある。共に収縮することによって鼓膜および内耳腔の振動を減衰させ中耳における音の伝達特性をさげる。
4.× 音に対する蝸牛の基底膜の反応は、周波数により不定である。高音で蝸牛底部(前庭窓に近い部分のコルチ器)が興奮し、低音で過牛頂の付近(深部におけるコルチ器)が興奮する。
5.× 有毛細胞の不動毛は、「どの方向に動いても」ではなく、外側に屈曲すると有毛細胞を脱分極(興奮)させる。不動毛は、アクチン線維が内部に束になって詰まっており硬く、背の低い不動毛から背の高いものへと順序よく並んでいる。不動毛を背の高い方向へと曲げる機械刺激が、膜電位を正の方向に変化させる脱分極性の電気信号を有毛細胞に生じさせる。

 

 

 

 

 

64.へモグロビンが酸素を離しにくくなる状態はどれか。

1.体温の上昇
2.PaCO2の低下
3.血液pHの低下
4.血中ケトン体の増加
5.血中2,3-DPG(ジフォスフォグリセリン酸)の増加

解答2

解説

ヘモグロビン酸素解離曲線の曲線が右方向に動くということは、ヘモグロビン酸素親和性が低下(ヘモグロビンが酸素を離しやすい状態=組織への酸素供給の増加)していることを表す。つまり、組織での代謝が高まり、酸素需要度が高くなっているときに曲線の偏位が起こる。

酸素需要度が高い状態

①PaCO2の上昇(pHの低下)
②血中2,3-DPGXの上昇
③H+の上昇(pHの低下)
④血液温度上昇

1.× 体温の上昇は、へモグロビンが酸素を離しやすくなる。なぜなら、体温が下降すると組織での酸素需要は減少するため。
2.〇 正しい。PaCO2の低下は、へモグロビンが酸素を離しにくくなる。なぜなら、PaCO2の低下は、組織での酸素需要は下がっていることを示唆するため。活動時(激しい運動時)にPaCO2は増加する。
3.× 血液pHの低下は、へモグロビンが酸素を離しやすくなる。活動時(激しい運動時)すると代謝が高まり、CO2濃度が上昇する。 その結果、PaCO2の上昇(pHの低下)起こる。代謝性アシドーシスの状態といえる。
4.× 血中ケトン体の増加は、へモグロビンが酸素を離しやすくなる。なぜなら、血中ケトン体の増加は、活動時(激しい運動時)すると、脂肪酸がエネルギーとして使われることで起こるため。
5.× 血中2,3-DPG(ジフォスフォグリセリン酸)の増加は、へモグロビンが酸素を離しやすくなる。血中2,3-DPG(ジフォスフォグリセリン酸)は、解糖時(活動時)に出てくる物質である。ヘモグロビンと結合し、ヘモグロビンの酸素親和性を低下させ、酸素を放出しやすくなる。

 

 

 

 

 

65.ヒトの免疫機構で正しいのはどれか。

1.B細胞は細胞性免疫を担当する。
2.T細胞は活性化して形質細胞となる。
3.マクロファージはT細胞から分化する。
4.ナチュラルキラー細胞は体液性免疫を担当する。
5.ヘルバーT細胞はB細胞を活性化する。

解答5

解説

1.× B細胞は、「細胞性免疫」ではなく体液性免疫を担当する。T細胞が細胞性免疫を担当する。B細胞は、抗原刺激とヘルパーT細胞からの刺激を受けて活性化し形質細胞となる。形質細胞は粗面小胞体が著しく発達し、ここで抗体を合成して細胞外に分泌する。活性化B細胞の一部は記憶細胞となり、抗原に再遭遇すると急速に増殖し免疫応答に働く。
2.× 活性化して形質細胞となるのは、「T細胞」ではなくB細胞である。B細胞は活性化して形質細胞となり、その形質細胞は抗体を産生する。
3.× マクロファージは、「T細胞」ではなく単球から分化する。マクロファージは、体内に侵入した微生物を捕らえ貪食し、抗原提示する。そして、T細胞に認識され、T細胞受容体となる。キラーT細胞は、標的細胞を破壊する。
4.× ナチュラルキラー細胞は、液性免疫でも細胞性免疫でもない。ナチュラルキラー細胞は、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の傷害に働く。ナチュラルキラー細胞は、抗原を認識するための受容体をもたず、標的細胞を直接攻撃する。また、免疫グロブリンすなわち抗体は、B細胞により作られる。
5.〇 正しい。ヘルバーT細胞はB細胞を活性化する。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞からの情報を受け、B細胞やマクロファージなどを活性化する。免疫反応の亢進に働く。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)