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※問題の引用:厚生労働省より
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【OT/共通】脊髄小脳変性症についての問題「まとめ・解説」
45回 午後31
31.自律神経障害を伴う脊髄小脳変性症において発症4年目で考えられる病態はどれか。
1.タンデム歩行は可能である。
2.独歩は可能である。
3.支持なしでの立ち上がりは可能である。
4.介助歩行は可能である。
5.寝たきりの状態である。
解答4
解説
脊髄小脳変性症は、自律神経験害、小脳失調、パーキンソニズムを3主徴とし、病変部位によっていくつかの病型に分けられる。本症例の場合、「自律神経障害を伴う脊髄小脳変性症」である。自律神経症状を伴うものは、脊髄小脳変性症の中でも自律神経症状が無いか比較的軽いものに比べて予後が悪く、発症から数年で歩行不能となり、数年~10年で合併症により死亡ないし、心伝導系、血圧の異常変動などにより突然死することもある。
1.× タンデム歩行(継ぎ足歩行)は可能であるとは一概に言えない。むしろ困難であることが多い。なぜなら、脊髄小脳変性症は、小脳失調も伴うため。ちなみに、タンデム歩行(継ぎ足歩行)とは、片側のつま先に反対側の踵をつけて一直線上を歩くことである。
2~3.× 独歩/支持なしでの立ち上がりは可能であるとは一概に言えない。むしろ困難であることが多い。なぜなら、脊髄小脳変性症は、①自律神経障害による起立性低血圧、②小脳症状による歩行障害、③パーキンソン症状による姿勢反射障害などをきたすため。
4.〇 正しい。介助歩行は可能である。発症から数年で歩行不能になるため、本症例(4年目)の歩行介助量は多いが介助歩行可能と考えられる。5~10年で寝たきりになるといわれている。
5.× 寝たきりの状態である可能性は低い。なぜなら、5~10年で寝たきりになるといわれているため。本症例(4年目)は、まだ寝たきりになっている可能性は低い。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
46回 午後13
13. 46歳の男性。脊髄小脳変性症。最近、歩行が不安定となり、壁を伝うことが多くなってきた。片脚起立は困難。複視と眼振が強く、日常生活でも気分不良となる。
理学療法として適切なのはどれか。
1.継ぎ足歩行
2.Frenkel体操
3.号令を用いた歩行
4.バランスボードを用いた起立訓練
5.リズミック・スタビリゼーション
解答5
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
1.× 継ぎ足歩行(タンデム歩行)は、症例には優先度が低い。なぜなら、転倒の危険性が高いため。設問から本症例は、「歩行が不安定となり、壁を伝うことが多い。片脚起立は困難」である。ちなみに、継ぎ足歩行(タンデム歩行)とは、踵とつま先を交互に接触させて直線上を歩行することである。
2.× Frenkel体操は、症例には優先度が低い。なぜなら、本症例は複視と眼振が強いため。Frenkel体操は、脊髄癆性運動失調などに適応となるが、視覚で代償して運動制御を促通する運動療法である。
3.× 号令を用いた歩行は、本症例には優先度が低い。なぜなら、パーキンソニズムは認められていないため。号令(例:いち、にぃなどの数字の声がけ)を用いた歩行はパーキンソン病に適用する。
4.× バランスボードを用いた起立訓練は、本症例には優先度が低い。なぜなら、本症例は「複視と眼振が強く、日常生活でも気分不良となる」ため。これを自律神経症状のことと判断できないが、起立訓練のように視野や視点が変化する運動は控えたほうが良いと考えられる。
5.〇 正しい。リズミック・スタビリゼーション(PNF)は、理学療法として適切である。なぜなら、一定の肢位を保持し、外乱刺激を交互に律動的に与えることができるため。リズミック・スタビリゼーション(PNF)は、主動筋と拮抗筋の交互の等尺性収縮を繰り返すもので、関節固定筋群の同時収縮を促通し協調性を改善するのに有効な治療手技である。
47回 午後14
14 45歳の女性。脊髄小脳変性症。ADLは自立している。独歩は可能で、会社へは電車で通勤している。最近ふらつきが多くなり、時に転倒することがあるという。
この患者に指導する内容として適切なのはどれか。
1.杖歩行
2.片脚起立訓練
3.下肢のスクワット訓練
4.職場での車椅子の使用
5.リズムに合わせた歩行訓練
解答3
解説
・45歳の女性(脊髄小脳変性症)
・ADL:自立。
・独歩:可能(最近ふらつきが多くなり、ときに転倒することがある)
・会社への通勤:電車
→本症例は、脊髄小脳変性症の初期である。歩行補助具として、脊髄小脳変性症ではT字杖、ロフストランド杖、抑速ブレーキ付き歩行器もしくは重錘バンドを巻いた歩行器などが使用されている(※一部抜粋:「脊髄小脳変性症理学療法ガイドライン 」より)。
1.× T字杖を使用した応用歩行よりも優先度が高い選択肢が他にある。本症例は、「ときに転倒」レベルである。国語の授業のようになってしまうが、頻度を表現する言葉には「よく、ときおり、ほとんど」などが用いられる。「ときに」は、頻度を含む「時々、たまに」という意味も含まれているが、一番よくつかわれるのは「場合によっては」という意味であり、「条件」の意味が大きい。場合によった条件下での転倒であるので、T字杖を使用した場合でも防ぐことができるかは疑問が残り、また、臨機応変の環境変化にも対応すべく「T字杖」ではなく両側四点杖を使用した応用歩行を行うことが多い。ただし、本症例は、会社へは電車で通勤しており、荷物を持つことも想定に入れるため、両側の四点杖の使用も現実的ではない。仮に安全に会社通勤を行うのであれば、電車ではなくタクシーなどに変更するよう指導する。※T字杖の使用自体が間違いといったことではない。”歩行補助具として、脊髄小脳変性症ではT字杖、ロフストランド杖、抑速ブレーキ付き歩行器もしくは重錘バンドを巻いた歩行器などが使用されている”(※一部抜粋:「脊髄小脳変性症理学療法ガイドライン 」より)。
2.× 片脚起立訓練は優先度が低い。なぜなら、片足での起立訓練は転倒の危険性が高いため。バランス練習・下肢筋力トレーニングにせよ安全な環境下で実施する。
3.〇 正しい。下肢のスクワット訓練を実施する。小脳失調を主体とする脊髄小脳変性症に対して、バランスや歩行に対する理学療法を集中的に行うと、小脳失調や歩行が改善する(グレード1B)(※引用:「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018」)
4.× 職場での車椅子の使用は時期尚早である。なぜなら、本症例は時折転倒することがあるが独歩可能で、会社へは電車で通勤しているため。転倒に至った原因を探り、その原因に適した解決策を提案する。
5.× リズムに合わせた歩行訓練は優先度が低い。なぜなら、パーキンソン病にみられるすくみ足に対するアプローチであるため。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
47回 午後44
44 脊髄小脳変性症患者で、運動範囲が小さく動作が緩慢な状態に対する運動療法として適切なのはどれか。
1.Frenkel体操
2.重錘負荷を用いたバランス練習
3.外的リズム刺激による歩行練習
4.弾性緊迫帯を装着した協調運動
5.PNF を用いた同時筋収縮の促通
解答3
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
本症例の場合、「運動範囲が小さく動作が緩慢状態(パーキンソニズム)」であるため、線条体黒質変性症と考えられる。パーキンソニズムに対する運動療法を選択する。
1.× Frenkel体操は、脊髄癆性運動失調などに適応となる。視覚で代償して運動制御を促通する運動療法である。
2.× 重錘負荷を用いたバランス練習(重錘負荷法)は、小脳性運動失調患者に対する協調運動障害の改善を目的として行われる。長時間の持続効果は期待できない。
3.〇 正しい。外的リズム刺激による歩行練習は、最も優先度が高い。なぜなら、本症例は、パーキンソニズムが主症状として現れる線条体黒質変性症と考えられるため。外的リズム刺激は、メトロノームなどで聴覚を利用する。
4.× 弾性緊迫帯を装着した協調運動は、小脳性運動失調患者に対する協調運動障害の改善を目的として行われる。固有感覚への感覚入力を強化し、運動や動作の学習を図る方法である。
5.× PNF(固有受容性神経筋促通法)を用いた同時筋収縮の促通より優先度が高いものが選択肢の中に他にある。PNF(固有受容性神経筋促通法)を用いた同時筋収縮の促通は、脊髄性の疾病だけでなく、中枢神経疾患・末梢神経疾患・スポーツ傷害(外傷・障害)なども対象となる。主に固有受容器を刺激することによって、神経・筋の反応を促通することを目的とした神経生理学的アプローチする。
48回 午前36
36 伝い歩きが可能なレベルの脊髄小脳変性症患者で姿勢バランスを崩す危険性が高いのはどれか。
1.閉脚立位
2.片膝立ち位
3.四つ這い位
4.タンデム肢位
5.踵接地でのしゃがみ位
解答4
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
支持基底面の広さを考えると、選択肢3.四つ這い位>選択肢2.片膝立ち位>選択肢5.踵接地でのしゃがみ位>選択肢1.閉脚立位>選択肢4.タンデム肢位である。
また、Berg Balance Scale(バーグバランススケール)の評価方法から、バランスの難易度が分かる。①椅子からの立ち上がり、②立位保持、③座位保持、④着座、⑤移乗、⑥閉眼立位保持、⑦閉脚立位保持、⑧フェンクショナルリーチ、⑨拾い上げ、⑩振り返り、⑪360°の方向転換、⑫踏み台昇降、⑬タンデム立位、⑭片脚立位である。つまり、選択肢4.タンデム肢位は13番目であるためバランスを崩す危険性が高い。
49回 午前8
8 45歳の女性。脊髄小脳変性症。ADLは自立している。独歩は可能で、会社へは電車で通勤している。最近ふらつきが多くなり、ときに転倒することがあるという。
この患者に指導する内容として適切なのはどれか。
1. 背臥位でのストレッチ
2. 眼球運動による前庭刺激運動
3. 立位での下肢筋力増強
4. 外的リズムに合わせた平地歩行
5. T字杖を使用した応用歩行
解答3
解説
・45歳の女性(脊髄小脳変性症)
・ADL:自立。
・独歩:可能(最近ふらつきが多くなり、ときに転倒することがある)
・会社への通勤:電車
→本症例は、脊髄小脳変性症の初期である。
1.× 背臥位でのストレッチは優先度は低い。なぜなら、ストレッチは脊髄小脳変性症の主症状である運動失調(協調性運動)改善が見込めないため。ちなみに、ストレッチは、軟部組織の伸張や体を温める効果があげられる。
2.× 眼球運動による前庭刺激運動は、前庭機能低下による平衡機能障害に対する運動療法である。
3.〇 正しい。立位での下肢筋力増強である。小脳失調を主体とする脊髄小脳変性症に対して、バランスや歩行に対する理学療法を集中的に行うと、小脳失調や歩行が改善する(グレード1B)(※引用:「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018」)
4.× 外的リズムに合わせた平地歩行は、パーキンソン病に対する理学療法である。
5.× T字杖を使用した応用歩行よりも優先度が高い選択肢が他にある。本症例は、「ときに転倒」レベルである。国語の授業のようになってしまうが、頻度を表現する言葉には「よく、ときおり、ほとんど」などが用いられる。「ときに」は、頻度を含む「時々、たまに」という意味も含まれているが、一番よくつかわれるのは「場合によっては」という意味であり、「条件」の意味が大きい。場合によった条件下での転倒であるので、T字杖を使用した場合でも防ぐことができるかは疑問が残り、また、臨機応変の環境変化にも対応すべく「T字杖」ではなく両側四点杖を使用した応用歩行を行うことが多い。ただし、本症例は、会社へは電車で通勤しており、荷物を持つことも想定に入れるため、両側の四点杖の使用も現実的ではなく、仮に安全に会社通勤を行うのであれば、電車ではなくタクシーなどに変更するよう指導する。※T字杖の使用自体が間違いといったことではない。”歩行補助具として、脊髄小脳変性症ではT字杖、ロフストランド杖、抑速ブレーキ付き歩行器もしくは重錘バンドを巻いた歩行器などが使用されている”(※一部抜粋:「脊髄小脳変性症理学療法ガイドライン 」より)。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
50回 午前8
8 62歳の男性。5年前に脊髄小脳変性症と診断され、徐々に歩行障害が進行している。体幹失調が顕著で、下肢には協調運動障害があるが筋力は保たれている。歩隔をやや広くすることで左右方向は安定しているが、前後方向への振り子様の歩容がみられる。最近になって自力歩行が困難となり、理学療法で歩行器を用いた歩行を練習している。
この患者の歩行器に工夫すべき点で適切なのはどれか。
1. サドル付型を用いる。
2. ピックアップ型を用いる。
3. 歩行器は軽量のものを選ぶ。
4. 上肢支持面の側方に重錘を装着する。
5. 上肢支持面は前腕部で支持できる高さにする。
解答5
解説
・62歳の男性(5年前、脊髄小脳変性症)
・歩行障害(歩隔をやや広くすることで左右方向は安定しているが、前後方向への振り子様の歩容がみられる)
・体幹失調が顕著で、下肢には協調運動障害があるが筋力は保たれている。
・最近:自力歩行が困難、歩行器を用いた歩行を練習中。
→適切な歩行補助具の選択には、①支持基底面、②免荷、③重心移動の代償手段の要素を加味して決定する。
1.× サドル付型を用いる優先度は低い。なぜなら、本症例は、下肢の筋力は保たれているため。サドル付型歩行器とは、四輪の歩行器に自転車のサドルのような座面が付属するものである。目的として、下肢への免荷であったり、下肢筋力を代償することである。
2.× ピックアップ型を用いる優先度は低い。なぜなら、本症例は体幹失調が顕著であるため。ピックアップ型とは、固定型(交互型)歩行器ともよばれ、使用にあたっては持ち上げて移動する必要がある。そのため、体幹失調や立位バランスが低下している症例は転倒のリスクが高くなる。
3.× 歩行器は「軽量のもの」ではなくある程度重量のあるものを選ぶ。なぜなら、本症例は体幹失調が顕著であるため。ただし、何gの歩行器から「軽量のもの」という規定はないが、歩行器自体にある程度重量がある方が安定するため、臨床現場では歩行器の足に重錘をつけて代償する方法もある。
4.× 上肢支持面の「側方」に重錘を装着する優先度は低い。なぜなら、本症例は、側方は安定しているため。設問から「歩隔をやや広くすることで左右方向は安定しているが、前後方向への振り子様の歩容がみられる」と記載されている。
5.〇 正しい。上肢支持面は前腕部で支持できる高さにする。前腕支持することで、体幹失調の代償ができ安定しやすい。他のアプローチとしては、重錘負荷法、弾性緊縛帯装着、固有受容性神経筋促通法などもある。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
50回 午前24
24 脊髄小脳変性症に比べて多発性硬化症に特徴的なのはどれか。
1. 痙縮
2. 運動失調
3. 嚥下障害
4. 構音障害
5. 有痛性けいれん
解答5
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
よって、選択肢5有痛性けいれんである。
1.× 痙縮は、どちらでも起こりうる。脊髄小脳変性症は、小脳症状のみが目立つ純粋小脳型と、小脳以外の症状が目立つ非純粋小脳型に大別され、後者では脳幹の症状をしばしば合併するため痙縮が起こる。多発性硬化症は、大脳白質病変や脊髄病変による錐体路障害で痙縮が起こる。
2.× 運動失調は、どちらでも起こりうる。運動失調は脊髄小脳変性症の主症状であり、多発性硬化症は頻度は少ないが小脳に病変が及べば起こる。
3.4.× 嚥下障害/構音障害は、どちらでも起こりうる。脊髄小脳変性症の非純粋小脳型は、脳幹(特に延髄)に変性が及ぶため、しばしば球麻痺を来し、嚥下障害を起こす。多発性硬化症は、脳幹病変による球麻痺や大脳の多発病変による仮性球麻痺によって嚥下障害を起こす。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
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【PT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」
53回 午前41
41.脊髄小脳変性症の患者で、歩行可能であるが伝い歩きが主であり、方向転換時に不安定となってしまう場合の歩行補助具として適切なのはどれか。
1.T字杖
2.歩行車
3.交互型歩行器
4.ウォーカーケイン
5.ロフストランド杖
解答:2
解説
- 下肢への免荷
- 歩行バランスの向上
- 重心移動の代償
1.5.× T字杖/ロフストランド杖の適応は、失調症が初期の患者である。本症例は、伝え歩きが主であり初期とはいいにくい。また、小脳系の障害がある患者に対し、方向転換時の杖をつくのタイミングや操作が逆に不安定性を招く場合もある。
2.〇 正しい。歩行車は、前腕をつき体重をかけることができ、他の歩行器と比較し使用時の操作も容易である。
3.× 交互型歩行器は、他の歩行器と比較しても操作がやや難しく、失調症の患者には方向転換にさらに難渋する場合があるため不適切である。
4.× ウォーカーケインは、側方に置き歩行補助に使う四点杖の一種である。片麻痺患者が非麻痺側でこれを使用する。立ち上がりなどにも非常に有効である。
55回 午前16
16 60歳の女性。脊髄小脳変性症。四肢体幹の運動失調で座位保持が困難であったが、2週間の座位保持練習を行い、端座位は上肢で支持しなくても保持できるようになった。
今後行うバランス能力改善の運動療法として最も適切なのはどれか。
解答3
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
脊髄小脳変性症は、自律神経障害、小脳失調、パーキンソニズムを3徴候とする脳脊髄変性症の総称である。本症例の端座位は、「上肢で支持しなくても保持可能」レベルである。つまり、端坐位での支持基底面内に重心を保持するレベルから、移動するレベルへとステップアップしていく必要がある。したがって、バランス能力改善の運動療法として、選択肢1~2、4~5は、難易度が高いと言える。また、選択肢3.端坐位での重心移動練習は、端坐位での支持基底面内に重心を保持するレベルから、移動するレベルへとステップアップできているといえる。
【バランス練習の流れ】
①支持基底面内に重心を保持する(静的)。
②支持基底面内なら重心を移動できる(動的)。
③支持基底面内から逸脱しても新たに支持基底面を形成できる(立ち直り)。
【協調性運動の運動学習における課題難易度調整】
・動作速度:速い→遅い
・動作方向:単一→多方向
・支持基底面:広い→狭い
・重心移動:保持→移動→新たに形成する(ステップやパラシュート反応など)
57回 午前34
34 脊髄小脳変性症で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.Frenkel体操は無効である。
2.視覚障害を伴うことが多い。
3.包括的な評価指標にSARAがある。
4.患者数は非遺伝性に比べて遺伝性が多い。
5.自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない。
解答3・5
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
1.× Frenkel体操は、「無効」であると断言できず、むしろ治療として用いられることもある。Frenkel体操は主に、脊髄障害に対する協調運動改善のための理学療法である(小脳性協調障害にも使用されることもある)。脊髄性運動失調など固有感覚低下による協調運動障害においては、視覚代償などを用い、はじめはゆっくり正確に運動を行い、徐々にスピードを速めていくことが一般的である。
2.× 視覚障害は伴わない。脊髄小脳変性症の主な症状として、①自律神経症状、②小脳失調、③パーキンソニズムである。ちなみに、視覚障害は、多発性硬化症(MS)にみられ球後視神経炎を初発症状として呈することが多い。
3.〇 正しい。包括的な評価指標にSARAがある。SARA(scale for the assessment and rating of Ataxia)は、脊髄小脳変性による失調症の定量的な評価法である。全8項目(歩行、立位、座位、言語障害、指追い試験、鼻指試験、手の回内・回外運動、踵脛試験)の評価セットである。四肢の運動失調の他、歩行障害、構音障害、眼球運動障害を簡便に評価できる。
4.× 逆である。患者数は遺伝性に比べて非遺伝性が多い。脊髄小脳変性症の約2/3の方が非遺伝性である。
5.〇 正しい。自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない。脊髄小脳変性症の主な症状として、①自律神経症状、②小脳失調、③パーキンソニズムである。選択肢4.でも述べたように、患者数は遺伝性に比べて非遺伝性が多い。脊髄小脳変性症の約2/3の方が非遺伝性である。
57回 午後14
14 60歳の男性。7年前から歩行時にふらつきを自覚し、6年前から話し方が単調で途切れ途切れとなり膀胱直腸障害と起立性低血圧を認めた。四肢の固縮や振戦が徐々に進行し、2年前から車椅子で移動するようになった。最近、声が小さくなり呼吸困難感を訴えるようになった。頭部 MRIのFLAIR 画像で水平断(A)及び矢状断(B)を下に示す。
この疾患で合併する可能性が高いのはどれか。
1.失語
2.拮抗失行
3.声帯麻痺
4.下方注視麻痺
5.他人の手徴候
解答3
解説
・60歳の男性。
・7年前:ふらつきを自覚。
・6年前:断綴性発語や膀胱直腸障害、起立性低血圧。
・2年前:車椅子で移動。
・最近:声が小さくなり呼吸困難感。
→脊髄小脳変性症を疑える。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
1.× 失語は、基本的に大脳の言語中枢の損傷により起こる。 言語中枢が損傷される原因の90%以上が、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中である。
2.× 拮抗失行は、脳梁幹障害でみられる。拮抗失行とは、右手の行動に対して左手が不随意に反対目的の行動をとるという特異な異常行動がみられる左手のことをいう。
3.〇 正しい。声帯麻痺は、合併する可能性が高い。声帯麻痺とは、声帯をコントロールする筋肉を動かせない状態である。典型的な症状は、声の変化のほか、ときに呼吸困難などがみられる。原因は腫瘍や外傷のほか、神経損傷などがある。
4.× 下方注視麻痺は、進行性核上性麻痺で起こる。進行性核上性麻痺は、淡蒼球、視床下核、中脳、小脳にある神経細胞が脱落することに起因する疾患である。中年期以降の男性(特に50~70歳)に多く発症し、易転倒性、注視麻痺、パーキンソニズム、認知症(前頭側頭型認知症)などの特徴的な症状を有する。診断にはパーキンソン病、多系統萎縮症、末梢神経障害、大脳基底核変性症など他疾患の除外が必要である。ちなみに、核上性とは、眼球運動を直接支配する神経細胞群(脳神経核)より上位ということを意味している。
5.× 他人の手徴候は、大脳皮質基底核変性症や脳梗塞などでみられる。責任病変は、脳梁前部と右前頭葉内側部である。ちなみに、他人の手徴候とは、手が本人の意思とは関係なく他人の手のように勝手に動く現象である。また、進行性核上性麻痺の特徴として、垂直性核上性注視麻痺・転倒・頸部後屈・パーキンソニズムが特徴である。
注視麻痺とは、水平方向または垂直方向のいずれかに両眼を動かすことができない状態である。水平注視の障害が最も多く、中脳病変、水平注視中枢および第Ⅵ神経核を侵す橋病変に起因する。
58回 午前32
32.脊髄小脳変性症の運動失調を評価するのはどれか。
1.BADS
2.EDSS(Expanded Disability Status Scale)
3.QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score)
4.SARA
5.UPDRS
解答4
解説
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
1.× BADS(Behavioral Assessment of the Dysexecutive Syndrome:遂行機能障害症候群の行動評価)は、カードや道具を用いた6種類の下位検査と1つの質問紙で構成されている。質問紙には合計20の質問があり、①感情・人格、②動機付け、③行動、④認知の4カテゴリーが5段階で評価される。検査項目は、【6種類の下位検査】①規則変換カード検査、②行為計画検査、③鍵探し検査、④時間判断検査、⑤動物園地図検査、⑥修正6要素検査である。下位検査は0~4点の5段階で点数化し24点満点で評価する。合計点数が88点以上で車の運転が可能となる。
2.× EDSS(Expanded Disability Status Scale:総合障害度評価尺度)は、多発性硬化症(MS)のような神経学的疾患の進行を評価するために使用される尺度である。このスケールは、0から10までの数字で評価され、障害の度合いを表す。0は、症状がない状態であり、10は最も重度の状態で、完全な身体機能喪失を示す。
3.× QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score:定量重症筋無力症スコア)は、重症筋無力症の症状の重さを評価するための尺度である。評価は、患者の筋力(握力)、疲労度、%FVC(努力肺活量/予測肺活量×100)、その他の症状に基づいて行われる。
4.〇 正しい。SARAは、脊髄小脳変性症の運動失調を評価する。SARA(scale for the assessment and rating of Ataxia)は、脊髄小脳変性による失調症の定量的な評価法である。全8項目(歩行、立位、座位、言語障害、指追い試験、鼻指試験、手の回内・回外運動、踵脛試験)の評価セットである。四肢の運動失調の他、歩行障害、構音障害、眼球運動障害を簡便に評価できる。
5.× UPDRS(Unified Parkin-son’s Disease Rating Scale:パーキンソン病統一スケール)は、1987年にパーキンソン病の方の病態把握のための評価尺度としてFahnらにより開発された。評価項目はⅣ部に分けられ、Ⅰ部:認知・情動状態(知的機能)、Ⅱ部:ADL(歩行)、Ⅲ部:運動機能(姿勢)、Ⅳ部:薬剤の副作用の項目(ジスキネジア)を評価する。全42項目を0~4の5段階で行い、評価尺度は順序尺度である。
※図:QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score:定量重症筋無力症スコア)
58回 午後44
44.脊髄小脳変性症患者の四つ這いでのバランス練習で最も難易度が高いのはどれか。
1.一側下肢挙上
2.一側上肢挙上
3.対側上下肢挙上
4.同側上下肢挙上
5.四つ這い位保持
解答4
解説
ボディメカニクスとは、「body=身体」と「mechanics=機械学」の造語で、人間が動作するときに骨や筋肉、関節が相互にどのように作用するかといった力学的関係を活用したものである。介護を行うときには、介護者の負担の軽減のためにも身につけておきたい。
①重心の高さは、低い方が安定する。
②支持基底面の広さは、広い方が安定する。
③摩擦抵抗の有無は、有った方が踏ん張りが効き安定する。
④支持基底面と重心の距離は、短い方が足腰への負担は少ない。
1~2.× 一側下肢挙上/一側上肢挙上より難易度が高いものが他にある。なぜなら、選択肢は3点保持となり、支持基底面は上・下肢を挙上するより広範囲に保たれるため。脊髄小脳変性症の主症状として、運動失調があり、支持基底面が狭いほど重心は逸脱しやすく難易度が高くなる。
3.× 対側上下肢挙上より難易度が高いものが他にある。対側上下肢挙上の支持基底面は、①手部、②膝から足部にかけての範囲である。同側上下肢挙上と比べ、対側の手部であると、膝から下腿、足部の分、支持基底面が広く使える。
4.〇 正しい。同側上下肢挙上が選択肢の中で最も難易度が高い。なぜなら、同側上下肢の挙上となると、一直線上の支持基底面となり、選択肢の中で最も支持基底面が狭いため。対側上下肢挙上と比較すると、下腿から足部の支持基底面分が少ない。
5.× 四つ這い位保持の難易度は、選択肢の中で最も容易である。なぜなら、支持基底面が選択肢の中で最も広いため。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
59回 午前48
48 脊髄小脳変性症で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.Frenkel体操が有効である。
2.視野障害を伴うことが多い。
3.包括的な評価指標にSARAがある。
4.有病率は人口10万人あたり100人である。
5.自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が多い。
解答1・3
解説
1.〇 正しい。Frenkel体操が有効である。Frenkel体操(フランクル体操)は、視覚で代償して運動制御を促通する運動療法であり、脊髄性運動失調などに対して行われる。多発性硬化症(MS)による視覚障害は、球後視神経炎を初発症状として呈することが多い。
2.× 視野障害を伴うことが多いのは、「多発性硬化症」である。多発性硬化症とは、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
3.〇 正しい。包括的な評価指標にSARAがある。SARA(scale for the assessment and rating of Ataxia)は、脊髄小脳変性による失調症の定量的な評価法である。全8項目(歩行、立位、座位、言語障害、指追い試験、鼻指試験、手の回内・回外運動、踵脛試験)の評価セットである。四肢の運動失調の他、歩行障害、構音障害、眼球運動障害を簡便に評価できる。
4.× 有病率は人口10万人あたり「100人」ではなく18人程度である。生涯有病率とは、一生のうちに一度はその病気にかかる人の割合をいう。
5.× 自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が「多い」ではなく少ない。脊髄小脳変性症の自律神経障害を呈しやすいのは、多系統障害型である。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である(67.2%)。孤発性とは、病気が散発的に起こること。 家族には遺伝しないということを意味する。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
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