【PT/OT/共通】多発性筋炎(皮膚筋炎)についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

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PT専門

46回 午前30

30.多発筋炎で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.筋痛に対しては温熱療法を行う。
2.急性期には車椅子自走で移動する。
3.急性期治療時から下肢筋力増強訓練が推奨される。
4.股関節部に疼痛が出現した時は大腿骨頭壊死の合併に注意する。
5.慢性期の運動負荷量の決定には血清CKの推移が参考となる。

解答4/5

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 筋痛に対して温熱療法は行えない場合がある。なぜなら、多発筋炎では悪性腫瘍を合併しやすく、悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるため。また、病初期の2~3週(急性期)の場合は、筋炎・筋痛の鎮静化のため安静をとる。したがって、温熱療法は症状が悪化する恐れもある。悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
2.× 急性期には車椅子自走で移動するといった決まりはない。治療開始時の日常生活は、安静が必要であるが、過度の運動は筋障害を悪化させる可能性もあり一定の見解はない。むしろ、車椅子自走は上肢の過用につながる。
3.× 下肢筋力増強訓練が推奨されるのは、「急性期治療時」ではなく回復期である。日常生活では、治療開始時は安静が必要である。回復が始まってからはリハビリが必要である。ただし、過度の運動は筋障害を悪化させる可能性もあり一定の見解はない。
4.〇 正しい。股関節部に疼痛が出現した時は大腿骨頭壊死の合併に注意する。大腿骨頭壊死は、多発筋炎などの膠原病にみられることがあり、治療に用いられるステロイドが原因と考えられている。
5.〇 正しい。慢性期の運動負荷量の決定には血清CKの推移が参考となる。血清CKは、筋肉に多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たす。 そのため、筋肉に障害があると、血清CKは高値になる。筋炎の鎮静化を確認する指標となる。

 

 

 

54回 午後44

44. 多発性筋炎で正しいのはどれか。

1. 男性に多い。
2. 心筋は障害されない。
3. 高い室温では筋力が低下する。
4. 四肢の遠位筋優位に障害される。
5. 間質性肺炎を合併すると予後が悪い。

解答

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1. ×:「男性」ではなく女性に多い。とくに中高年層の女性である。
2. ×:心筋の障害を伴いやすい。進行例では、心伝導障害・不整脈・心筋炎・心外膜炎・僧帽弁逸脱症・心不全など多彩な心病変の合併が報告されている。
3. ×:高い室温では筋力が低下するといったことはないが、多発性筋炎では悪性腫瘍を合併しやすい。症状に、四肢近位部・頚部筋を主体に筋力低下が認められるが、室温の影響に左右されない。また、悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
4. ×:四肢の「遠位筋」ではなく近位筋優位に障害される。また対称性に侵される。
5. 〇:正しい。間質性肺炎を合併すると予後が悪い。特に急速進行例には、そのまま進行して呼吸不全となって死に至る病型がある。また、進行例では、不整脈、心不全などがみられることがある。

 

 

 

 

55回 午前46

46 多発性筋炎の回復初期における理学療法で正しいのはどれか。

1.運動負荷量は血小板数を目安に設定する。
2.筋力トレーニングは四肢の遠位筋を中心に行う。
3.間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める。
4.手指の冷感に対して手部および手指へのホットパックを行う。
5.筋痛があれば抵抗を減らし、時間を延長して筋力トレーニングを継続する。

解答
解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 運動負荷量は、「血小板数」ではなく血中CK値を目安に設定する。CKはATPを生成するときに触媒作用をする酵素であり、CK値の上昇は症状の増悪とともにみられる。負荷前後のCK値を比較することで症状自体の増悪によるものか運動の影響によるものか区別する。
2.× 筋力トレーニングは、「四肢の遠位筋を中心に」というわけではなく、低負荷で筋持久力増強するような全身運動(四肢近位筋を主に)を行う。ちなみに、多発性筋炎は、対称性に下肢の近位筋を初発とする筋力低下から筋萎縮・筋圧痛が特徴的である。
3.〇 正しい。間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める必要がある。なぜなら、合併症として間質性肺炎があげられるため。多発性筋炎の他の特徴として、呼吸困難嚥下障害ゴットロン徴候ヘリオトロープ疹等がある。
4.× 手指の冷感に対して手部および手指へのホットパックなどの温熱療法を行う際には、注意点がある。それは、多発性筋炎では悪性腫瘍を合併しやすい点である。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえでのホットパックを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。多発性筋炎の冷感に対して行うものではない。
5.× 筋痛があれば、CK値の上昇を疑える。そのため抵抗を減らし、時間を延長して筋力トレーニングを継続するのではなく、自覚的疲労度の確認から入るのが正しいといえる。過用性筋力低下に注意する必要があり、抵抗を減らして時間を延長しても過負荷となる可能性が高い。

 

 

56回 午前45

45 悪性腫瘍の合併がない初発の皮膚筋炎で、死因となる頻度が最も高い合併症はどれか。

1.肝不全
2.腎不全
3.心筋梗塞
4.間質性肺炎
5.ステロイドミオパチー

解答

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1~2.× 肝不全/腎不全は、まれである。腎不全に至っては、他の自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス:SLEなど)ではよく合併する。
3.× 心筋梗塞は、まれである。心筋障害の合併は、10~30%で認められるが、心不全、不整脈、心筋炎、心筋梗塞など合わさった数字である。死因となることもあるが、間質性肺炎のほうが圧倒的に多い。
4.〇 正しい。間質性肺炎は、悪性腫瘍の合併がない初発の皮膚筋炎で、死因となる頻度が最も高い。特に筋炎症状が乏しいのに皮膚症状が強い皮膚筋炎に合併する場合は、急速に間質性肺炎が進行する事があるため、出来るだけ早く治療する必要がある。ちなみに、他に多い死因として、悪性腫瘍(3割)、感染症である。
5.× ステロイドミオパチーは、皮膚筋炎治療中に合併することがある。ステロイドミオパチーとは、グルココルチコイドによって誘発されるミオパチー(筋疾患)である。あらゆるグルココルチコイド療法において発生し得る副作用である。特に高齢者、栄養不良の患者、担がん患者において発生しやすいが、死因とはなりにくい

 

 

 

 

 

57回 午後43

43 温熱療法を避けるべき疾患はどれか。

1.多発性筋炎
2.Parkinson病
3.視神経脊髄炎
4.亜急性連合性脊髄変性症
5.Charcot-Marie-Tooth病

解答

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 多発性筋炎(皮膚筋炎)とは、膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と40~60歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
2.× Parkinson病は、①振戦、②筋固縮、③無動、④姿勢反射障害を四大徴候として出現する。自律神経異常として便秘を生じる。温熱療法により筋緊張の緩和や便秘改善も期待できるため、温熱療法を用いることができる。
3.〇 正しい。視神経脊髄炎は、温熱療法を避けるべき疾患である。なぜなら、体温が高くなると調子が悪くなるUhthoff(ウートフ)徴候が出ることがあるため。視神経脊髄炎とは、神経の中でも主に視神経と脊髄を繰り返し障害する病気のことである。以前は多発性硬化症の一部と考えられているほど症状の特徴が似ている。血液中のアクアポリン4抗体が病気の原因と考えられていて、主に女性に発症することが多い。しつこいしゃっくりや吐き気などが病気の始まりだとされており、症状は視神経や脊髄の炎症が何度も出現する。視神経脊髄炎は、視神経炎による急性の視野障害(両耳側半盲や水平性半盲)、急性横断性脊髄炎(対麻痺、分節性感覚脱失、膀胱直腸障害、自律神経障害など)が起こる。
4.× 亜急性連合性脊髄変性症は、ビタミンB12欠乏により脊髄が変性する進行性疾患である。両手足にチクチク感と痺れを生じ、振動覚や位置覚を障害される。場合によっては上下肢筋にこわばりを生じ、動作がぎこちなくなることもある。筋緊張緩和を目的に温熱療法を用いることができる。
5.× Charcot-Marie-Tooth病(シャルコー・マリー・トゥース病)とは、遺伝子異常により、一般的に四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す疾患である。まれに、四肢近位部優位の筋力低下・筋萎縮を示す例もある。筋肉が緩徐進行性で萎縮し、同部位の感覚が少し鈍くなる。歩行は、下腿の筋萎縮により鶏歩(下垂足)となる。

 

 

 

OT専門

52回 午前11

11 49歳の女性。多発性筋炎で入院中である。ステロイドによる寛解を認め、ベッドサイドでのリハビリテーションが開始された。
 この患者の運動負荷を調節する際に指標となる血液検査はどれか。

1. 総ビリルビン
2. クレアチニン
3. 血中尿素窒素
4. クレアチンキナーゼ
5. アルカリフォスファターゼ

解答4

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 総ビリルビンは、肝機能の指標となり、高値で急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝癌などが疑われる。総ビリルビンとは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。
2.× クレアチニンは、腎機能の指標となり、高値で急性腎臓病・慢性腎臓病・心不全などが疑われる。血清クレアチニン(Cr)は、筋肉に含まれているタンパク質の老廃物である。本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まる。腎臓の機能の低下とともに、血清クレアチニンの値は高くなる。基準値:男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下である。
3.× 血中尿素窒素は、腎機能の指標となり、高値で急性腎臓病・慢性腎臓病・心不全などが疑われる。尿素窒素は、たんぱく質の代謝によって生じる老廃物である。通常、尿素窒素は、腎臓で濾過、尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると、うまく排泄されずに血液中の量が増える。基準値:8mg/dl~20mg/dlである。
4.〇 正しい。クレアチンキナーゼ(血清クレアチンキナーゼ、血清CK))は、筋障害により高値を示すため、多発性筋炎発症後のリハビリテーションにおいて運動負荷を調節する際に指標となる。血清クレアチンキナーゼ(血清CK)は、筋肉に多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしている。したがって、筋肉に障害があると、血液中のクレアチンキナーゼは高値になる。 他にも、急性心筋梗塞や進行性筋ジストロフィーで高い値になる。基準値:男性:59~248、女性:41~153 (U/L)である。 
5.× アルカリフォスファターゼは、肝機能(肝汁の通り道である胆道の異常の原因や種類)の指標となり、高値で閉塞性黄疸あるいは閉塞性胆道疾患などが疑われる。アルカリフォスファターゼは、リン酸化合物を分解する働きを持つ酵素で、肝臓や小腸、腎臓、骨などの多くの臓器や器官に存在している。これらの組織に異常があるとアルカリフォスファターゼが血液のなかに漏れ出てくる。基準値:38〜113U/L(成人男女)である。

 

 

57回 午前34

34 皮膚筋炎について正しいのはどれか。

1.男性に多い。
2.胸腺腫を合併する。
3.赤沈は亢進しない。
4.嚥下障害はきたさない。
5.近位筋優位の筋力低下をきたす。

解答

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 男性ではなく「女性」に多い。40~60歳の女性に多い(男女比1:2~3)。
2.× 胸腺腫ではなく「悪性腫瘍・間質性肺炎」を合併することが多い。ちなみに、胸腺腫とは、胸腺の上皮から発生する腫瘍で、30歳以上に発生することが多く、男女同程度の発症頻度である。人口10万人あたり0.5%前後の発症頻度と、比較的稀な疾患である。
3.× 赤沈は亢進する。またCRPの上昇もみられる。赤血球沈降速度(赤沈)は、炎症反応の指標として、CRPと共に用いられる。赤沈が亢進する病態としては、炎症性疾患・悪性腫瘍・貧血・心筋梗塞・肝硬変・膠原病などが挙げられる。
4.× 嚥下障害をきたす。症状として、筋症状があげられ、筋萎縮、筋圧痛、嚥下障害、構音障害、呼吸困難を伴う。
5.〇 正しい。近位筋優位の筋力低下をきたす。下肢を初発とする筋力低下があり、近位筋が対称性に侵される。

 

共通問題

46回 午後91

91.皮膚筋炎で誤っているのはどれか。

1.女性に多い。
2.四肢近位筋の筋力が低下する。
3.赤沈が亢進する。
4.血中CK値が低下する。
5.悪性腫瘍を高率に合併する。

解答4

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.〇 女性に多い。中高年の女性に発症しやすい(男女比1:2~3)が、小児では性差ない。
2.〇 四肢近位筋の筋力が低下する。そのほかにも、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。
3.〇 赤沈が亢進する。またCRPの上昇もみられる。
4.× 血中CK値は、「低下」ではなく上昇する。血中CK値とは、筋肉にエネルギーを貯めるときに働く酵素で、全身の運動をつかさどる筋肉(骨格筋)や心臓の筋肉(心筋)に多く含まれる。したがって、それらの筋肉が傷害されたときに、血液中で高値となる。
5.〇 悪性腫瘍を高率に合併する。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍は、胃癌・肺癌・子宮癌・悪性リンパ腫などを合併することが多い。

 

 

 

 

53回 午後89

89.皮膚筋炎について正しいのはどれか。

1.先行感染を伴う。
2.悪性腫瘍を伴う。
3.胸腺腫を合併する。
4.嚥下障害はきたさない。
5.遠位筋優位の筋力低下をきたす。

解答:2


解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 先行感染を伴いやすいのは、Guillain-Barré症候群である。皮膚筋炎は、膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患である。
2.〇 正しい。悪性腫瘍を伴う。胃癌、肺癌、子宮癌、悪性リンパ腫などを合併することが多い。皮膚筋炎は診断されたらすぐに、徹底的に悪性腫瘍の検査を行うことが重要である。
3.× 胸腺腫を合併しやすいのは、重症筋無力症である。合併しやすいのは、間質性肺炎である。
4.× 嚥下障害はきたす。下肢を初発とする筋力低下があり、その後、嚥下障害、構音障害、呼吸困難を伴う。
5.× 「遠位筋優位」ではなく、近位筋優位の対称性の筋力低下をきたす。筋力低下・筋萎縮・筋圧痛を伴う。

”Guillain-Barré症候群とは?”

Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。

(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)

 

 

57回 午後84

84 多発性筋炎にみられる所見はどれか。

1.蝶形紅斑
2.深部腱反射亢進
3.手袋靴下型感覚障害
4.筋電図での高振幅電位波形
5.血清クレアチンキナーゼ上昇

解答

解説

多発性筋炎(皮膚筋炎)とは?

多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。

(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)

1.× 蝶形紅斑は、頬の両側に蝶が羽を開いたような赤い発疹が出ている状態である。全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)でみられる。
2.× 深部腱反射の亢進がみられる病気としては、痙直型四肢麻痺などにみられやすい。深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。
3.× 手袋靴下型感覚障害は、糖尿病にみられやすい。糖尿病性神経障害の症状のひとつである。
4.× 筋電図での高振幅電位波形は、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。ちなみに、筋萎縮性側索硬化症でみられるのは、針筋電図にて随意収縮時に高振幅電位、安静時に線維束性収縮電位、筋生検にて筋線維の群集萎縮がみられる。
5.〇 正しい。血清クレアチンキナーゼ(血清CK値)上昇は、多発性筋炎にみられる所見である。なぜなら、多発性筋炎は、膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患であるため。ちなみに、血清クレアチンキナーゼ(血清CK)は、筋肉に多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしている。したがって、筋肉に障害があると、血液中のクレアチンキナーゼは高値になる。 他にも、急性心筋梗塞や進行性筋ジストロフィーで高い値になる。

全身性エリテマトーデス(SLE)とは?

全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。

 

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