SIASとは?評価方法や評価項目は?【分かりやすく解説します】

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 国家試験の勉強をしている方へ。SAISを勉強しているけど断片的な情報しかない・・・、ちゃんとSIASについて勉強したい。あと、できれば簡単に知りたいと考えていませんか?本記事では、SIASについて解説します。この記事を書いている僕は、H27年から理学療法士として病院や施設で働いた経験があります。また現在は、施設の設立から運営をすべて行っています。そのため、ある程度の信頼性は確保できると思います。

SIASとは?評価方法や評価項目は?【分かりやすく解説します】

 SIASは、9種の機能障害に分類される22項目からなり、各項目とも3あるいは5点満点で評価されます。麻痺側運動機能項目として簡単なテストとなっています。つまり、日常の臨床場面で誰でも使っているような標準的な診察方法の中から、必要なものを取り出して、スケーリングしたものとなっているのです。したがって、リハビリテーションを専門とする医師だけでなく、脳外科医、神経内科医など脳卒中を扱う医師すべて、さらに理学療法士、作業療法士などの医療職も簡単に評価している方法となっています。

 

SIASの評価項目

〈運動機能〉
1)上肢近位(knee-mouth test)
座位において患肢の手部を対側膝(大腿)上より挙上し、手部を口まで運ぶ。この際、肩は90°まで外転させる。そして膝上まで戻す。これを3回繰り返す。肩、肘関節に拘縮が存在する場合は可動域内での運動をもって課題可能と判断する。
0:全く動かない。
1: 肩のわずかな動きがあるが手部が乳頭に届かない。
2:肩肘の共同運動があるが手部が口に届かない。
3: 課題可能。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり。
4:課題可能。軽度のぎこちなさあり。
5:健側と変わらず、正常。

 

2)上肢遠位(finger-function test)
手指の分離運動を、母指~小指の順に屈曲、小指~母指の順に伸展することにより行う。
0:全く動かない。
1:
1A:わずかな動きがある。または集団屈曲可能。
1B:集団伸展が可能。
1C:分離運動が一部可能。
2: 全指の分離運動可能なるも屈曲伸展が不十分である。
3: 課題可能(全指の分離運動が十分な屈曲伸展を伴って可能)。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり。
4:課題可能。軽度のぎこちなさあり。
5:健側と変わらず、正常。

 

3)下肢近位(股)(hip-flexion test)
座位にて股関節を90°より最大屈曲させる。3回行う。必要ならば座位保持のための介助をして構わない。
0:全く動かない。
1: 大腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない。
2: 股関節の屈曲運動あり、足部は床より離れるが十分ではない。
3 ~ 5:knee-mouth testの定義と同一。

 

4)下肢近位(膝)(knee-extension test)
座位にて膝関節を90°屈曲位から十分伸展(-10°程度まで)させる。3回行う。必要ならば座位保持のための介助をして構わない。
0:全く動かない。
1: 下腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない。
2: 膝関節の伸展運動あり、足部は床より離れるが、十分ではない。
3 ~ 5:knee-mouth testの定義と同一。

 

 

5)下肢遠位(foot-pat test)
座位または臥位、座位は介助しても可。踵部を床につけたまま、足部の背屈運動を協調しながら背屈・底屈を3回繰り返し、その後なるべく早く背屈を繰り返す。
0:全く動かない。
1:わずかな背屈運動があるが前足部は床から離れない。
2:背屈運動あり、足部は床より離れるが十分ではない。
3 ~ 5:knee-mouth testの定義と同一。

 

 

〈筋緊張〉
6)上肢筋緊張 U/E muscle tone
肘関節を他動的に伸展屈曲させ、筋緊張の状態を評価する。
0:上肢の筋緊張が著明に亢進している。
1:1A:上肢の筋緊張が中等度(はっきりと)亢進している。
1B:他動的筋緊張の低下。
2:上肢の筋緊張が軽度(わずかに)亢進している。
3:正常、健側と対称的。

 

7)下肢筋緊張 L/E muscle tone
膝関節の他動的伸展屈曲により評価する。
6の「上肢」を「下肢」に読み替える。

 

8)上肢腱反射 U/E DTR(biceps or triceps)
0: bicepsあるいはtriceps反射が著明に亢進している。あるいは容易にclonus(肘、手関節)が誘発される。
1:1A: bicepsあるいはtriceps反射が中等度(はっきりと)に亢進している。
1B: bicepsあるいはtriceps反射がほぼ消失している。
2: bicepsあるいはtriceps反射が軽度(わずかに)亢進。
3: bicepsあるいはtriceps反射とも正常。健側と対称的。

 

9)下肢腱反射 L/E DTR(PTR or ATR)
0、1B、2、3: biceps、tricepsをPTR、ATRと 読み替える。
1:1A: PTRあるいはATR反射が中等度(はっきりと)に亢進している。unsustained clonusを認める。

 

 

〈感覚〉
10)上肢触覚 U/E light touch(手掌)
0:強い皮膚刺激もわからない。
1:重度あるいは中等度低下。
2: 軽度低下、あるいは主観的低下、または異常感覚あり。
3:正常。

 

11)下肢触覚 L/E light touch(足底)
0 ~ 3:上肢触覚の定義と同一。

 

12)上肢位置覚 U/E position(母指or示指)
指を他動的に運動させる。
0:全可動域の動きもわからない。
1:全可動域の運動なら方向がわかる。
2:ROMの1割以上の動きなら方向がわかる。
3:ROMの1割未満の動きでも方向がわかる。

 

13)下肢位置覚 L/E position(母趾)
  趾を他動的に運動させる。
0:全可動域の動きもわからない。
1:全可動域の運動なら方向がわかる。
2:ROMの5割以上の動きなら方向がわかる。
3:ROMの5割未満の動きでも方向がわかる。

 

 

〈関節可動域、疼痛〉
14)上肢関節可動域 U/E ROM
他動的肩関節外転を行う。
0:60°以下。
1:90°以下。
2:150°以下。
3:150°以上。

 

15)下肢関節可動域 L/E ROM
膝伸展位にて他動域足関節背屈を行う。
0:-10°以下。
1:0°以下。
2:10°以下。
3:10°以上。

 

16)疼痛 pain
脳卒中に由来する疼痛の評価を行う。既往としての整形外科的(腰痛など)、内科的(胆石など)疼痛は含めない。また過度でない拘縮伸長時のみの痛みも含めない。
0:睡眠を妨げるほどの著しい疼痛。
1:中等度の疼痛。
2:加療を要しない程度の軽度の疼痛。
3:疼痛の問題がない。

 

 

〈体幹機能〉
17)垂直性 verticality test
0:座位がとれない。
1: 静的座位にて側方性の姿勢異常があり、指摘・指示にても修正されず、介助を要する。
2: 静的座位にて側方性の姿勢異常(傾で15°以上)があるが、指示にてほぼ垂直位に修正・維持可能である。
3:静的座位は正常。

 

18)腹筋 abdominal MMT
車椅子または椅子に座り、臀部を前にずらし、体幹を45度後方へ傾け、背もたれによりかかる。大腿部が水平になるように検者が押さえ、体幹を垂直位まで起き上がらせる。検者が抵抗を加える場合には、胸骨上部を押さえること。
0:垂直位まで起き上がれない。
1:抵抗を加えなければ起き上がれる。
2:軽度の抵抗に抗して起き上がれる。
3:強い抵抗に抗して起き上がれる。

 

〈高次脳機能〉
19)視空間認知 visuo-spatial deficit
50cmのテープを眼前約50cmに提示し、中央を健側指で示させる。2回行い、中央よりのずれの大きい値を採用する。
0:15cm以上。
1:5cm以上。
2:3cm以上。
3:3cm未満。

 

20)言語 speech
失語症に関して評価する。構音障害はこの項目には含めない。
0:全失語症。まったくコミュニケーションがとれない。
1:1A: 重度感覚性失語症(重度混合性失語症も含
む)。
1B:重度運動性失語症。
2:軽度失語症。
3:失語症なし。

 

 

〈健側機能〉
21)握力 gripstrength
座位で握力計の握り幅を約5cmにして計測する。健側の具体的kg数を記載すること。参考として。
0:握力0kg。
1:握力10kg以下。
2:握力10~20kg。
3:握力25kg以上。

 

22)健側大腿四頭筋力 quadriceps MMT
座位における健側膝伸展筋力を評価する。
0:重力に抗しない。
1:中等度に筋力低下。
2:わずかな筋力低下。
3:正常。

 

まとめ

・SIASは、脳卒中の機能障害を定量化するための評価である。

・項目は、9種の機能障害に分類される22項目からなる。

・各項目とも3あるいは5点満点で評価される。

 

(里宇明元, 園田茂, 道免和久;千野直一編著. 脳卒中患者の機能評価-SIASとFIMの実際. Springer;1997)

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