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6 脳卒中機能評価法〈SIAS〉の麻痺側運動機能テストの様子を図に示す。
関節拘縮がない場合、3つのテストの合計点はどれか。
1.5点
2.6点
3.7点
4.8点
5.9点
解答1
解説
本症例は、関節拘縮がないことを前提としている。つまり、関節拘縮がない場合(正常)であれば、アクティブ(自動運動)での各関節の最終可動域と読み取れるかがポイントとなる。
①膝・口テスト:「肩のわずかな動きがあるが手部が乳頭に届いていない」1点
②股屈曲テスト:「股関節の屈曲運動あり、足部は床より離れるが十分ではない」2点
③膝伸展テスト:「膝関節の伸展運動あり、足部は床より離れるが、十分ではない」2点
SIASは、9種の機能障害に分類される22項目からなり、各項目とも3あるいは5点満点で評価される。麻痺側運動機能項目として使用される。
1)上肢近位(knee-mouth test)
座位において患肢の手部を対側膝(大腿)上より挙上し、手部を口まで運ぶ。この際、肩は90°まで外転させる。そして膝上まで戻す。これを3回繰り返す。肩、肘関節に拘縮が存在する場合は可動域内での運動をもって課題可能と判断する。
図を見ると「肩のわずかな動きがあるが手部が乳頭に届いていない」ため1点である。
2)下肢近位(股)(hip-flexion test)
座位にて股関節を90°より最大屈曲させる。3回行う。必要ならば座位保持のための介助をして構わない。
図を見ると、「股関節の屈曲運動あり、足部は床より離れるが十分ではない」ため、2点である。
3)下肢近位(膝)(knee-extension test)
座位にて膝関節を90°屈曲位から十分伸展(-10°程度まで)させる。3回行う。必要ならば座位保持のための介助をして構わない。
図を見ると、「膝関節の伸展運動あり、足部は床より離れるが、十分ではない」ため、2点である。
よって、選択肢1.5点が正しい。
SIASについて詳しいことはこちら↓↓
SIASとは?評価方法や評価項目は?【分かりやすく解説します】
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【PT/OT/共通】SIASについての問題「まとめ・解説」
次の文を読み7、 8の問いに答えよ。
75歳の男性。身長170cm、体重48kg、BMI16.6。約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた。徐々に呼吸困難感が増悪してきており、50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である。動脈血ガス分析PaO2 65 Torr、PaCO2 48Torr、肺機能検査%VC 81%、FEV1% 31%であった。患者の胸部エックス線写真(下図)を別に示す。
7 予測されるフローボリューム曲線として最も適切なのはどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答5
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
・75歳の男性(身長170cm、体重48kg、BMI16.6)。
・約10年前:呼吸困難が出現。
・現在:50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要。
・【動脈血ガス分析】PaO2:65Torr、PaCO2:48Torr、
・【肺機能検査】%VC:81%、FEV1%:31%
→閉塞性換気障害をきたしていることが分かる。FEV1%(1秒率)とは、全肺気量に対する1秒間に排出する肺気量の割合である。したがって、1秒率が低下すると、肺気量の減少カーブが緩やかになる。慢性閉塞性肺疾患(COPD)のエックス線像では、①肺の透過性亢進、②滴状心、③横隔膜低位などの所見で診断されることが多い。
フローボリューム曲線とは、完全呼出から最大吸入する間、および完全吸入から最大呼出する間の肺気量との関係で表示する。
基準値は以下の通りである。
・肺気量は、一般男性 3500ml ※求め方・・・成人男性(27.63 - 0.122 × 年齢)× 身長(cm)
したがって、3500ml×0.8(本症例の%VC)=2800ml
よって、選択肢③or⑤に絞ることができる。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
閉塞性換気障害では、中枢(主に気管・主気管支)にある空気が一気に出されるため、最初の呼出スピードがあるが、その後は末梢の気管支の空気が出にくく、ピークフローが下がっていく(下に凸型)のが特徴的である。したがって、選択肢5.⑤が正しい。
1.①は、正常の波形である。
2.②は、拘束性換気障害の波形である。
3.③は、中等度の閉塞性換気障害の波形である。
4.④は、上気道閉塞の波形である。
5.⑤は、重度の閉塞性換気障害の波形である。呼出できる空気が少なく、ピークフローが著しく低下し、ピーク以降の気流速度が急激に低下し、下に凸となる曲線となる。
次の文を読み7、 8の問いに答えよ。
75歳の男性。身長170cm、体重48kg、BMI16.6。約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた。徐々に呼吸困難感が増悪してきており、50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である。動脈血ガス分析PaO2 65 Torr、PaCO2 48Torr、肺機能検査%VC 81%、FEV1% 31%であった。患者の胸部エックス線写真(下図)を別に示す。
8 この患者の運動療法を中止すべき状態として最も適切なのはどれか。
1.SpO2 82%
2.呼吸数22/分
3.心拍数105/分
4.修正Borg指数5
5.収縮期血圧が安静時より20mmHg上昇
解答1
解説
1. 〇 正しい。安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下に当てはまる。
2.× 呼吸数22/分は、問題ない。途中でリハビリテーションを中止する場合の項目に、頻呼吸(30/回)がある。また、リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合は行わない。
3.× 心拍数105/分は、問題ない。安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上の場合行わない
4.× 修正Borg指数5(自覚的運動強度)は、5で「つよい」であり運動の目安である。7~9の「とても強い」が運動の中止基準となっている。
5.× 収縮期血圧が安静時より20mmHg上昇は問題ない。血圧に関しては、安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上で運動の中止基準に該当する。
1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
9 74歳の男性。肺尖部がんによる腕神経叢への直接浸潤により環指・小指~前腕中央・内側にかけて痛覚過敏を訴えている。
腕神経叢への浸潤部位はどれか。
1. C7神経根
2. C8神経根
3.下神経幹
4.外側神経束
5.後神経束
解答3
解説
1. × C7神経根は、示指~中指にかけての知覚障害が生じる。
2. × C8神経根は、環指~小指にかけての知覚障害が生じる。
3.〇 正しい。下神経幹とは、第8頚神経と第1胸神経の前枝が合流したものをいう。C8神経根は、環指~小指にかけての知覚障害が、第1胸神経の前枝は、前腕中央・内側の知覚障害が生じるため正しい。
4.× 外側神経束は、C5~7の走行からなっている。C5神経根は上腕外側、C6は母指~示指、C7神経根は示指~中指にかけての知覚障害が生じる。
5.× 後神経束は、C6~C8の走行からなっている。C6は母指~示指、C7神経根は示指~中指、C8神経根は環指~小指にかけての知覚障害が生じる。
(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)
10 27歳の男性。脊髄完全損傷(第5胸髄節まで機能残存)。日常生活は車椅子使用にて自立している。設計事務所に勤務しており、長時間のデスクワークを行うことが多い。多忙のため除圧を行う機会が少なくなっている。
この状況が続いた場合、褥瘡が生じる可能性が最も高い部位はどれか。
1.肩甲部
2.膝窩部
3.仙骨部
4.肘頭部
5.腸骨部
解答3
解説
(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)
・27歳の男性
・脊髄完全損傷(第5胸髄節まで機能残存)。
・日常生活:車椅子使用自立。
・長時間デスクワークが多い。
・除圧を行う機会減少。
→C5残存レベルの主な動作筋は、三角筋、上腕二頭筋で、肩関節:屈伸・外転・内外旋、肘関節:屈曲、回外が可能となる。移動はハンドリムに工夫は必要だが、平地での車椅子駆動が可能となる。自立度としては、重度介助(①自助具による食事動作可能、②スリング使用により体位変換可能)レベルである。本症例は、長時間デスクワークが多いため、長時間座位で、褥瘡の好発部位を選択する。よって、選択肢3.仙骨部が正しい。
1.× 肩甲部は、背臥位で起こりやすい。
2.× 膝窩部は、褥瘡自体起こりにくい。
4.× 肘頭部は、背臥位で起こりやすい。本症例の場合、上肢が機能するため褥瘡は起こりにくい。
5.× 腸骨部は、側臥位で起こりやすい。
・仙骨部
・坐骨部
・尾骨部
・足底
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【PT専門のみ】脊髄損傷についての問題「まとめ・解説」