第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午前問題11~15】

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11 図のような移動(シャフリング)をする乳児に促す姿勢や運動で最も適切なのはどれか。

1.椅子座位
2.起き上がり
3.寝返り
4.背臥位
5.腹這い

解答
解説

シャフリング移動とは?

 シャフリング移動とは、お座り姿勢のまま移動することである。脚の動かし方、手の使い方のバリエーションが少なかったり、下半身の筋肉の張りが弱く、筋肉量も少ないために行うことがある。生後9~10ヶ月になると、赤ちゃんによっていろいろな発達が見られるようになる。生後10ヶ月の赤ちゃんの半数以上がつたい歩きができるようになる。シャフリングベビーは、歩き始める時期が遅れることがあるものの、たいていは普通に歩けるようになる。また、その後は成長発達が問題なく追いつくことがほとんどである。Down症候群の子供では、立位歩行の獲得が遅れるため、シャフリング移動がみられる。

【シャフリングに対する理学療法】
1.椅子座位練習(足底感覚の促通)
2.バランス練習(不安定なベッドでの立位姿勢の保持)
3.下肢筋力の増強(キッキングや室内用バイクの使用)
 いずれにしても、足底感覚の促通が大切になる。

1.〇 正しい。椅子座位は、シャフリングをする乳児に促す姿勢で最も優先度が高い。なぜなら、椅子座位練習は、足底感覚の促通につながるため。足底感覚を促通することにより、起立・立位・歩行とつなげるステップとなる。
2~3.× 起き上がり/寝返りは獲得済みと考えられる。
4.× 背臥位は、シャフリングをする乳児に促す姿勢には結びつかない。背臥位は安定しているため、四肢の動きの誘導は可能である。
5.× 腹這いは、シャフリングをする乳児に促す姿勢には結びつかない。腹這いは、抗重力伸展活動を促す基本の姿勢である。

 

 

 

 

12 66歳の女性。左中大脳動脈領域のアテローム血栓性脳梗塞でBroca失語と重度の片麻痺を認める。
 理学療法実施の際、コミュニケーションに対する配慮で正しいのはどれか。

1.使用頻度の低い単語を用いる。
2.出にくい言葉は先回りして言う。
3.できるだけ長い文章で話しかける。
4.意思伝達には易しい漢字を用いる。
5.ジェスチャーは可能な限り用いない。

解答
解説

ブローカ失語とは?

 ブローカ失語とは、①復唱困難、②言語理解良好、③非流暢を特徴として言語障害である。

1.× あえて使用頻度の「低い単語」を用いる必要はない。なぜなら、ブローカ失語の言語の理解は、おおむね良好(軽度~中等度の障害)であるため。むしろ、慣れ親しんだ言葉(使用頻度の高い単語)を使用することにより、臨床では運動指示が伝わりやすい。
2.× 出にくい言葉を「先回り」して言う必要はない。なぜなら、出にくい言葉は先回りして言うことは、理学療法実施の際の視点から上達の機会損失とも考えられる。いきなり先回りして言うのではなく、出にくい言葉が出るまで待ってみたり、少しずつ促していく必要がある。また、「はい」「いいえ」で答えられる質問に置き換えることも重要である。
3.× あえてできるだけ「長い文章」で話しかける必要はない。むしろ、理学療法実施の際は、分かりやすい言葉具体的で簡略な言葉で運動を指示することで正しい運動や代償ができにくい運動を提供できる。
4.〇 正しい。意思伝達には易しい漢字を用いる。なぜなら、表音文字であるひらがなやカタカナに比べて表意文字(一字一字が一定の意味を表すもの)である感じの方が読みやすいということがあるため。
5.× ジェスチャーは可能な限り「用いない」のではなく、必要な時は使っていく。

 

 

13 60歳の女性。転倒して右肩関節痛を訴えた。エックス線写真(下図)を別に示す。
 まず患部に行うべき治療はどれか。

1.ギプス固定
2.極超短波治療
3.三角巾固定
4.髄内釘固定
5.超音波治療

解答
解説

本症例のポイント

・60歳の女性。
・転倒して右肩関節痛を訴えた。
・エックス線写真から「上腕骨近位端骨折」が疑われる。
→高齢者では転倒などの軽い外力で生じることが多く、特に女性が多い傾向である。転位(骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にある)のない骨折は、保存的治療の適応であり、三角巾などで固定し、臥床、起床動作時に肩関節を安定させるため、バストバンドなどで上肢を体幹に固定する。転位があれば、髄内釘固定法やプレート固定法が行われる。脱臼骨折の場合には、人工骨頭置換術が行われる場合もある。また受傷後、外傷を受けたときなどの緊急処置は、RICE処置が基本となる。患部の出血や腫脹、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)が基本である。

1.× ギプス(Gips:独語)とは、もともと石膏(硫酸カルシウムの粉末)のことで固めることをいう。ギプスは、骨折・靭帯損傷などの治療において患部が動かないよう外から固定・保護し安静を保つ為に用いられる包帯材料もしくは包帯法である。適応は、中等度以上の捻挫や、脱臼に用いられるため不適当である。
2.5× 極超短波治療,超音波治療は、温熱療法であるため不適当である。非温熱にて超音波治療も治療過程にある骨折部(急性炎症部位)は禁忌である。
3.〇 正しい。三角巾固定が正しい。転位(骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にある)のない上腕骨近位端骨折は、保存的治療の適応であり、三角巾などで固定するのが正しい。
4.× 転位があれば、髄内釘固定法やプレート固定法が行われることもある。

 

 

 

 

 

14 65歳の男性。変形性頚椎症。2年前から肩こりがあり、2か月前から頚部伸展時に右手の母指にしびれが出現し、右上肢のだるさと脱力感を自覚するようになった。下肢の症状やバランス不良はみられない。
 右上肢において筋力低下が最も生じやすいのはどれか。

1.三角筋
2.上腕三頭筋
3.上腕二頭筋
4.尺側手根屈筋
5.長橈側手根伸筋

解答
解説

本症例のポイント

・65歳の男性(変形性頚椎症)
・2年前:肩こり
・2か月前:頚部伸展時に右手の母指にしびれ(C6)が出現し、右上肢のだるさと脱力感を自覚。
・下肢の症状やバランス不良はみられない。
→本症例の特徴として、2か月前から頚部伸展時に右手の母指にしびれが出現し、右上肢のだるさと脱力感を自覚するようになった。デルマトームで支配領域を確認するとC6であることが分かる。この領域に当たる筋肉は、選択肢5.長橈側手根伸筋である。

1.× 三角筋は、主にC5神経根の支配である。 
2.× 上腕三頭筋は、主にC7神経根の支配である。 
3.× 上腕二頭筋は、主にC5.6神経根の支配である。 
4.× 尺側手根屈筋は、主にC7.8神経根の支配である。 

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

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15 75歳の女性。Parkinson病。Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅣ。歩行時に小刻み歩行、突進現象、すくみ足が出現する。
 歩行練習として適切なのはどれか。

1.速く歩く。
2.広いところで歩く。
3.床に引いた一本線上を歩く。
4.目標地点の手前を注視して歩く。
5.お盆に載せたコップを運びながら歩く。

解答
解説

本症例のポイント

・75歳の女性(Parkinson病)
・Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅣ(日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能
・歩行時に小刻み歩行、突進現象、すくみ足が出現する。
→Parkinson病の歩行障害(小刻み歩行、突進現象、すくみ足など)の誘発因子は、狭路障害物精神的緊張などである。対応策として、①視覚(障害物を跨ぐ、床に目印をつける)、②聴覚(メトロノームなどのリズムや歩行に合わせてのかけ声)、③逆説的運動(階段昇降)である。

1.× 速く歩く必要はない。むしろ、突進現象を誘発させてしまう可能性が高い。
2.〇 正しい。広いところで歩く歩行練習を実施する。なぜなら、すくみ足などの歩行障害が起こる誘発因子は、狭路、障害物、精神的緊張などであるため。
3.× 床に引いた「一本線上」を歩くのではなく、はしご状の目印をつけ一本線の上を跨ぐように歩く練習を行う。4.× 目標地点の「手前」ではなくその奥を注視して歩く。
5.× お盆に載せたコップを運びながら歩く必要はない。むしろ、精神的緊張にもつながり小刻み歩行などが生じやすくなる。お盆に載せたコップを運びながら歩くことは、二重課題練習として有用である。二重課題法では、練習課題とそれ以外の課題とを同時に遂行してもらう。練習課題に加えて注意力を分散させる課題を同時遂行してもらう方法である。例えば、歩行中に計算やしりとりなどをすることである。

Hoehn&Yahr の重症度分類ステージ

ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。

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