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41 ある評価法で用いられる図を示す。この評価法はどれか。
1. BPRS
2. Rehab
3. LASMI
4. PANSS
5. HRS-D(Hamilton rating scale for depression)
解答3
解説
1.× BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale:簡易精神症状評価尺度)は、記載された事項についての質問を行い、精神障害者全体を対象とした18の項目を7段階で評価する。
2.× Rehab(Rehabilitation Evaluation Hall and Baker:精神科リハビリテーション行動評価尺度)は、病院や施設で生活する人を対象に、逸脱行動、全般的行動の2領域について質問を行い評価する。
3.〇 正しい。LASMI(Life Assessment Scale for the Mentally ill:精神障害者社会生活評価尺度)は、統合失調症患者に対して実施され、5領域(日常生活、対人関係、労働または課題遂行能力、持続性・安定性、自己認識)、40項目について質問し、各項目5段階で評価する。
4.× PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale:陽性・陰性症状評価尺度)は、統合失調症を対象に、30項目について陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度を医師が評定するものである。
5.× HRS-D(Hamilton rating scale for depression:ハミルトンうつ病評価尺度)といい、うつ病にみられる17の項目についてその重症度を医療者が評価するものである。
42 依存性薬物で重篤な離脱症状がみられるのはどれか。2つ選べ。
1. 大麻
2. 覚醒剤
3. コカイン
4. モルヒネ
5. ベンゾジアゼピン系薬剤
解答4.5
解説
離脱症状とは、生体が薬物に適応して、薬物の存在下で生理的平衡が保たれる状態になったあと、急に薬をやめることにより、生理的平衡が乱れて身体症状が生じるようになることをいう。
1.3 × 大麻、マリファナ、ハシッシ、コカインは離脱症状がない。
2.× 覚醒剤は、交感神経興奮作用が強く、疲労回復・気分高揚・眠気消失をもたらすため、精神依存が強く生じる。精神依存は強いが、離脱症状(身体依存につながる症状)はみられない。
4.〇 正しい。モルヒネは離脱症状が生じる。身体依存を形成し、禁断後、数時間で自律神経の嵐とよばれる激しい症状が出現する。症状としては、精神症状 (被刺激性、苦悶、不安、興奮など)、痙攣発作、あくび、流涙、鼻汁、発汗、不眠、食欲不振などがある。
5.〇 正しい。ベンゾジアゼピン系薬剤は離脱症状が生じる。 抗不安薬であり、身体依存を形成し、モルヒネ型の離脱症状に似た症状がみられる。
43 統合失調症患者。会話の内容がずれ、自分の考えに偏った一方的な発言ばかりで、相手の立場になって考えることができない。障害が疑われるのはどれか。
1. 遂行機能
2. 行動制御
3. 社会的認知
4. 注意の選択性
5. プライミング
解答3
解説
1.× 遂行機能とは、感覚情報や経験を活用して、日標設定・目標達成のための計画立案、実行、行動の修正を行う機能をいう。問題文の症状とは当てはまらない。
2.× 行動制御とは、生理的欲求、欲動、意志により生じた運動を適正に制御することをいう。問題文の症状とは当てはまらない。
3.〇 正しい。問題文の症状は、社会的認知である。社会的認知とは、対人関係の基礎となる他者の意図や感情を理解する能力である。
4.× 注意の選択性とは、脳の機能である情報の入力、処理、出力のプロセスにおいて、必要な方向や内容に着目する機能をいう。例えば、人ごみでは人が歩く流れにうまく乗れなかったり疲れやすくなるといったことや、商品がたくさん並んでいる棚から欲しいものを探して選ぶことができない、などといったことである。問題文の症状とは関係ない。
5.× プライミングとは、先行する刺激の処理が、無意識下で、後の刺激の処理に関して促進または抑制する効果をいう。例えば、「コ◌ア」という文字列を見せたとき、無意識化で「ココア」や「コアラ」などの単語が出てくることである。問題文の症状とは関係ない。
44 統合失調症の認知機能障害の改善に焦点を当てたプログラムとして、パソコン上の教育用ソフトウェア課題を用いるのはどれか。
1. IPS
2. NEAR
3. WRAP
4. MCT(Metacognitive Training)
5. SCIT(Social Cognition and Interaction Training)
解答2
解説
1.× IPS(Individual Placement and Support:個別就労支援プログラム)は、米国で開発された就労支援モデルである。 患者への信頼と可能性を信じることをベースとして、症状の安定度や職業準備性よりも就労意欲を重視し、仕事の中で自分を高め(ストレングス)、最終目的を疾患からの回復(リカバリー)とするものである。つまり、精神障害者の就労を支援するものである。
2.〇 正しい。NEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation:認知矯正療法)は、統合失調症患者を対象とし、記憶力・集中力・物事の段取りを考えて実行する能力などの認知機能障害の改善を図るためのリハビリテーションである。
3.× WRAP(Wellness Recovery Action Plan:元気回復行動プラン)は、重篤な精神科患者であっても元気になって回復できる方法があり、そのためのブランについて、自分や同じような悩みをもつ人の体験やアイデアについて語り合うものである。
4.× MCT(Metacognitive Training:メタ認知トレーニング)は、統合失調症の認知的な偏りを改善するトレーニングである。メタ認知とは、自分自身を客観的に評価し、考え方を修正・改善する能力をいう。
5.× SCIT(Social Cognition and Interaction Training:社会認知と対人関係のトレーニング)は、統合失調症患者の社会認知の障害を治療ターゲットとする、対人関係改善のためのグループワークトレーニングである。
IPSとは、個別の就労活動支援と職場定着支援を中心とした就労支援モデルです。正式名称は「Individual Placement and Support」といい、日本語に訳すと「個別職業紹介とサポート」になります。IPSモデルの理念は、「どんなに重い精神障害を持つ人であっても、本人に働きたいという希望さえあれば、本人の興味、技能、経験に適合する職場で働くことが出来る」「就労そのものが治療的であり、リカバリーの重要な要素となる」という信念に基づいています。
IPSモデルの基本原則
IPSには下記7つの基本原則があります
① 就労支援対象についての除外基準なし
② 短期間、短時間でも企業への就労を目指す
③ 施設内でのトレーニングやアセスメントは最小限とし、迅速に職場開拓(就職活動など)を実施する
④ 就労支援と医療保健の専門家でチームを作る
⑤ 職探しは本人の技能や興味に基づく
⑥ 就労後のサポートは継続的に行う
⑦ 生保や年金など経済的側面の相談、支援も行う
(引用:「IPSモデルとは?」多摩地域IPS就労支援センター様HPより)
45 うつ病の回復期の作業療法で適切なのはどれか。
1. 適度な運動を活動に取り入れる。
2. メモは使わず記憶するよう促す。
3. 休憩は最小限にして持久力をつける。
4. あらかじめ決めた活動は全て行うようにする。
5. 自信を取り戻すため高めの負荷量を設定する。
解答1
解説
1.〇 正しい。適度な運動を活動に取り入れる。うつ病は意欲低下・精神運動抑制などで、自己評価が低く、疲労感が強い。そのため、①工程がはっきりしたもの、②短期間で完成できるもの、③安全で受身的で非競争的なもの、④軽い運動などの要素があると良い。
2.× メモは使わず記憶するよう促すのは、焦りや無力感を引き起こすことになるため不適切である。
3.× 疲労感を強く感じていることが多い。そのため、休憩は「最小限」ではなくこまめに休憩をとり、短時間の作業を行うようにする。
4~5.× あらかじめ決めた活動が仮に完遂できなかった場合、自信をなくしてしまい、自分を責めてしまう可能性がある。「全て行うようにする」のではなく、短時間の作業をこまめに行ってもらうと良い。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。