第60回(R7) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題51~55】

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51 左大腿中央部の横断面を図に示す。
 aの筋はどれか。

1.薄筋
2.縫工筋
3.大内転筋
4.短内転筋
5.長内転筋

解答

解説

1.〇 正しい。a(矢印)が示すのは薄筋である。薄筋の【起始】恥骨結合の外側、【停止】脛骨の内側面。停止腱は鵞足に加わる、【作用】股関節内転、膝関節屈曲と内旋、【支配神経】閉鎖神経前枝である。

2.× 縫工筋の【起始】上前腸骨棘、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋、【神経】大腿神経である。

3.× 大内転筋の【起始】恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節、【停止】恥骨筋線、大腿骨粗線の内側唇全長、内側上顆、【作用】股関節内転、前部:屈曲、後部:伸展、【神経】前部:閉鎖神経後枝、後部:坐骨神経(脛骨神経部)である。

4.× 短内転筋の【起始】恥骨下枝の下部、【停止】恥骨筋線の下半、大腿骨粗線の内側唇上部1/3、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】閉鎖神経前枝である。

5.× 長内転筋の【起始】恥骨結節の下方、【停止】大腿骨粗線内側唇の中部1/3、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】閉鎖神経前枝である。

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52 関節唇を有するのはどれか。2つ選べ。

1.肩関節
2.肘関節
3.股関節
4.膝関節
5.足関節

解答1・3

解説
1.〇 正しい。肩関節/股関節は、関節唇を有する。関節唇とは、関節窩の縁にあり、肩・股関節の安定性を高めると同時に、さまざまな衝撃から守るクッションの役割を果たしている。

2.4~5.× 肘関節/膝関節/足関節には、関節唇は存在しない。

MEMO

関節円板は、①顎関節、②胸鎖関節、③肩鎖関節、④下橈尺関節、⑤橈骨手根関節である。
関節円板とは、帽子のように下顎頭にぶらさがっていて、顎が動くときに、骨と骨がこすれないように、クッションの役割をはたす組織である。

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53 運動神経線維のみの脳神経はどれか。

1.動眼神経
2.三叉神経
3.顔面神経
4.舌咽神経
5.副神経

解答

解説
1.× 動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。

2.× 三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。

3.× 顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。

4.× 舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。

5.〇 正しい。副神経は、運動神経線維のみである。副神経とは、胸鎖乳突筋・僧帽筋を支配している運動神経である。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

54 尺骨神経の支配を受けるのはどれか。

1.長母指屈筋
2.母指内転筋
3.第1虫様筋
4.短母指外転筋
5.短母指屈筋浅頭

解答

解説
1.× 長母指屈筋の【起始】橈骨前面、前腕骨間膜、【停止】母指末節骨底、【作用】母指の中手指節関節と指節間関節の屈曲、【支配神経】正中神経である。

2.〇 正しい。母指内転筋は、尺骨神経の支配を受ける。母指内転筋の【起始】横頭:第3中手骨掌面の全長、斜頭:有頭骨を中心とした手根骨、第2~3中手骨底の掌側面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜、【作用】母指内転、【支配神経】尺骨神経深枝である。

3.× 虫様筋の【起始】4個ある。それぞれ深指屈筋腱から起こる。第1,2指:第2,3指に至る腱の橈側。第3,4指(それぞれ2頭をもつ):第3~5指に至る腱の相対する側、【停止】指背腱膜、【作用】第2~5指の基節骨の屈曲、中節骨、末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】第1,2筋は正中神経第3,4筋は尺骨神経である。

4.× 短母指外転筋の【起始】舟状骨結節、屈筋支帯の橈側端前面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜、【作用】母指外転、屈曲、【神経】正中神経である。

5.× 短母指屈筋の【起始】浅頭:屈筋支帯の橈側部、深頭:大小菱形骨、有頭骨、第2中手骨底、【停止】種子骨、母指基節骨である。ちなみに、【作用】母指基節骨屈曲、【神経】浅頭:正中神経深頭:尺骨神経である。

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55 食道で正しいのはどれか。

1.長さは約35cmである。
2.甲状軟骨下縁から始まる。
3.生理的狭窄部は4か所ある。
4.左主気管支により圧迫される。
5.下部の60%は横紋筋からなる。

解答

解説

(※図引用:「illustAC様」)

1.× 長さは、「約35cm」ではなく約25cmである。

2.× 「甲状軟骨下縁」ではなく咽頭(輪状軟骨下縁)から始まる。食道とは、咽頭(輪状軟骨下縁)と胃の間をつなぐ管状の臓器である。ちなみに、甲状軟骨とは、喉頭部の前面の軟骨で最大の部分を指す。

3.× 生理的狭窄部は、「4か所」ではなく3か所である。①咽頭との接合部、②気管支の後ろを通る部位、③横隔膜を抜ける部位である。また、噴門付近(胃との接続部分)と共に、この3箇所の狭窄部は、食道ガンの好発部位である(※下図参照)。

4.〇 正しい。左主気管支により圧迫される。これは、第2狭窄部の特徴である。
【4.食道の生理的狭窄部位(※引用:「食道の解剖」著:井上 鐡三より)】
第1狭窄部位:食道入口部であり、輪状咽頭筋によるpinchcock mechanismが観察され、食道中最も狭い部位である。
第2狭窄部位:左主気管支が食道の前面を確横断する部位で、食道を後方に圧迫している。
第3狭窄部位:食道最下部に位置し、食道胃接合部に近い横隔膜食道裂孔部であり、いわゆる機能的括約部の存在する部位である。

5.× 下部の60%は、「横紋筋」ではなく平滑筋からなる。なぜなら、平滑筋は自律神経による持続的かつ調整された収縮が可能となり、食物を効率的に胃へ運ぶ蠕動運動を実現できるため。
【1.食道の構造(※引用:「食道の解剖」著:井上 鐡三より)】食道壁の厚さは4.0~5.0mmで、内面は重層扁平上皮からなる粘膜で被われ、外方に向かって粘膜下組織、内側輪状筋層(内輪筋)、外側縦走筋層(外縦筋)、外膜で構成されている。漿膜はなく、周囲器官とは結合組織で疎に結合している。食道上部1/3は横紋筋よりなり、次第に平滑筋が多くなって、下部1/3は平滑筋よりなる。

(※図引用:「食道の解剖」著:井上 鐡三より)

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