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56 下垂体後葉から分泌されるホルモンはどれか。2つ選べ。
1.グレリン
2.エストロゲン
3.オキシトシン
4.バソプレンン
5.アルドステロン
解答3・4
解説
下垂体後葉から分泌されるホルモンは、オキシトシンとバソプレシンである。
1.× グレリンは、【産生場所】胃腸管(胃内分泌細胞)、【分泌場所】胃、【作用】下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促し、また視床下部に働き、摂食行動を亢進する。
2.× エストロゲン(卵胞ホルモン)は、【産生・分泌場所】卵巣および副腎と末梢(主に脂肪組織)である。ちなみに、エストロゲンとは、女性らしさを形成するホルモンであり、成長に伴って分泌量が増加し、生殖器官の発育および維持に寄与する。また、女性らしい丸みのある体形や美肌の形成にも関与している。分泌量は、月経周期の変動を伴いながら、20代でピークに達し、45~55歳の更年期に急激に減少する。エストロゲンの減少により、骨吸収を抑制する効果が低下し、その結果、骨吸収が亢進して骨粗鬆症のリスクが高まる。
3.〇 正しい。オキシトシンは、下垂体後葉から分泌される。オキシトシンは、【産生場所】視床下部の視策上核と室傍核、【分泌場所】下垂体後葉で、【作用】射乳の促し、分娩の促進である。
4.〇 正しい。バソプレンンは、下垂体後葉から分泌される。バソプレシンは、【産生場所】背側視床下部、【分泌場所】下垂体後葉、【作用】水の再吸収を促進である。
5.× アルドステロンは、【合成・産生場所】副腎皮質で、【作用】Naの再吸収である。ちなみに、副腎皮質で産生されるのは、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲンである。
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57 視覚器で正しいのはどれか。
1.杆体は色を感知する。
2.網膜の黄斑には錐体が多い。
3.角膜には神経は分布していない。
4.網膜の中心窩は視野に盲点を生じる。
5.硝子体は屈折率の変化により焦点距離を調整する。
解答2
解説
(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)
1.× 色を感知するのは、「杆体」ではなく錐体である。杆体は、視野・暗所視に関与し、黄斑周辺部に多い。一方、錐体は、色覚を支配し、明所視に関与し黄斑部の中心(網膜中心窩)に多い。
2.〇 正しい。網膜の黄斑には錐体が多い。網膜中心窩には、杆体よりも錐体の方が多い。なぜなら、高い視力や色彩の識別が可能にするため。
3.× 角膜には神経は分布「している」。特に、感覚神経が豊富に分布しているため、角膜反射が働く。角膜反射とは、角膜にものが触れると眼を閉じる反射で、【求心性神経】三叉神経、【遠心性神経】顔面神経である。ちなみに、血管がないのは、①角膜、②水晶体、③硝子体である。なぜなら、光が通るため。
4.× 「網膜の中心窩」ではなく視神経乳頭は、視野に盲点を生じる。なぜなら、視神経乳頭は、視神経が網膜を貫通する部分で、視覚受容器(錐体細胞と桿体細胞)が存在しないため。一方、網膜の中心窩(黄斑の中央部)は、視細胞が集中し非常に高い解像度を提供する領域である。
5.× 「硝子体」ではなく水晶体は、屈折率の変化により焦点距離を調整する。ものを見るとき光は、①角膜→②前房→③房水→④瞳孔→⑤水晶体→⑥硝子体→⑦網膜→⑧視神経→⑨視交叉→⑩視索→⑪外側膝状体→⑪視放線→⑫後頭葉視覚領域へと伝わる。水晶体とは、凸レンズの形をしており、外から入ってくる光を屈折させることで、網膜にピントの合った像を映すという役割をもつ。
ちなみに、硝子体とは、眼球内の大部分を占める透明なゼリー状の組織で、眼球の形態を保ち、角膜や水晶体で屈折された光を網膜まで透過させる働きがある。
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58 動脈とその触診部位の組合せで誤っているのはどれか。
1.内頚動脈:鎖骨内側1/3
2.上腕動脈:上腕二頭筋腱内側
3.橈骨動脈:橈側手根屈筋腱外側
4.大腿動脈:上前腸骨棘と恥骨結節を結ぶ中点
5.足背動脈:長母指伸筋腱外側
解答1
解説
1.× 鎖骨内側1/3は、「内頚動脈」ではなく鎖骨下動脈である。ちなみに、内頚動脈は、体の深部を走行しているため触診困難である。
2.〇 上腕動脈は、上腕二頭筋腱内側で触診可能である。「肘関節の肘窩」など変わっても答えられるようにしよう。
3.〇 橈骨動脈は、橈側手根屈筋腱外側で触診可能である。「前腕遠位側の橈側」など変わっても答えられるようにしよう。
4.〇 大腿動脈は、上前腸骨棘と恥骨結節を結ぶ中点で触診可能である。なぜなら、大腿動脈が通る大腿三角(スカルパ三角)の中心部であるため。スカルパ三角(大腿三角)とは、①鼠径靭帯、②縫工筋内側縁、③長内転筋外側縁によって囲まれる領域のこと。外側から、大腿神経→大腿動脈→大腿静脈→リンパ節の順に走行する。
5.〇 足背動脈は、長母指伸筋腱外側で触診可能である。「長母指伸筋腱と長指伸筋腱との間」など変わっても答えられるようにしよう。
59 脊髄で運動神経の細胞体が主に存在する部位はどれか。
1.後角
2.後索
3.前角
4.前索
5.側索
解答3
解説
1.× 後角は、主に感覚神経の細胞体が存在する部位である。体性感覚情報(触覚、温度、痛覚など)を中継する一次感覚ニューロンの細胞体が集中する。したがって、運動神経の細胞体は存在しない。
2.× 後索は、振動覚:深部感覚(振動覚、位置覚)を伝える。したがって、運動神経の細胞体は存在しない。ちなみに、深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路は、【後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野】である。
3.〇 前角は、脊髄で運動神経の細胞体が主に存在する。脊髄前角は錐体路のひとつである。錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
4.× 前索は、前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)の経路である。したがって、運動神経の細胞体は存在しない。前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)の伝導路は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
5.× 側索は、温痛覚・粗大触圧覚の伝導路である。したがって、運動神経の細胞体は存在しない。
外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)の伝導路は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
体性感覚性神経系には、触覚・固有覚(位置覚と振動覚)を伝える後索・内側毛帯路と、温痛覚(温度覚と痛覚)を伝える脊髄視床路の二つの伝導路がある。どちらの伝導路も、感覚受容器から大脳皮質に情報が伝わるまでに3種類のニューロンがかかわっている。このニューロンを末梢から順に一次・二次・三次ニューロンという。
①一次ニューロンは、侵害受容器から、細胞体がある脊髄後根神経節を経由し、二次ニューロンとシナプスする後角の手前までのことをいう。
②二次ニューロンは、二次ニューロンの細胞体が主に存在する後角から脊髄を経由し、三次ニューロンとシナプスする視床の手前までのことをいう。
③三次ニューロンは、視床から頭頂葉の中心後回(ブロードマンの脳地図の3,1,2野)にある感覚野までをいう。(参考:Wikiより)。
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60 被殻の支配動脈を分枝するのはどれか。
1.前大脳動脈
2.中大脳動脈
3.後大脳動脈
4.脳底動脈
5.椎骨動脈
解答2
解説
中大脳動脈の領域は、①側頭葉、②前頭葉、③頭頂葉の一部を灌流している。
1.× 前大脳動脈は、前頭葉・頭頂葉の内側面を支配する。
2.〇 中大脳動脈は、被殻の支配動脈を分枝する。中大脳動脈は、前頭葉・側頭葉・頭頂葉の外側面を支配する。被殻・尾状核・淡蒼球は、中大脳動脈(レンズ核線条体動脈)から分枝する。内頚動脈は、前大脳動脈・中大脳動脈・レンズ核線条体動脈に分岐する。
3.× 後大脳動脈は、後頭葉・側頭葉の内側面と下面を支配する。
4.× 脳底動脈は、前下小脳動脈・上小脳動脈に分岐して小脳を還流し、直接穿通枝を出して、橋・視床、視床下部を支配する。さらに、後大脳動脈に分岐して、後頭葉を支配する。
5.× 椎骨動脈は、後下小脳動脈に分岐して小脳下部に還流した後、左右が合流して脳底動脈となる。つまり、延髄を支配する。
【第52回(H29) 理学療法士国家試験 午前問題56~60】
※黒質は、後交通動脈・後大脳動脈が支配する。
※海馬は、内頚動脈からの穿通枝である前脈絡叢動脈が支配する。
※視床は、後交通動脈・後大脳動脈の穿通枝が支配する。