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※問題の引用:厚生労働省より
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【OT】多発性硬化症についての問題「まとめ・解説」
45回 午後11
11. 30歳の女性。多発性硬化症によるL1レベル以下の対麻痺の増悪を認め、Danielsらの徒手筋力テストで下肢筋力は2となったが、ステロイドバルス療法でようやく症状の進行が止まった。
この時期における理学療法で適切なのはどれか。
1.上肢筋力増強訓練
2.下肢筋力増強訓練
3.関節可動域訓練
4.座位持久性訓練
5.立位訓練
解答3
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1~2.4~5.× 上肢筋力増強訓練/下肢筋力増強訓練/座位持久性訓練/立位訓練は優先度が低い。なぜなら、運動によりユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)が考えられる。また、過用性の能力低下になる恐れもある。
3.〇 正しい。関節可動域訓練を優先する項目である。痙性の抑制、可動域の維持のために早期から行う。
ステロイドパルス療法とは、ステロイドを短期間で大量に用いることにより作用を強め「劇的な効果を得る」ことを目的とした治療法である。治療全体でのステロイドの用量を減少させることができ、短期間の大量投与は副作用も少ないことが知られている。急性期治療後のステロイド内服は長期にならないよう漸減中止することが望ましい。なぜなら、ステロイドの長期内服による合併症を予防するため。
46回 午前11
11. 50歳の男性。多発性硬化症の再燃で入院加療中。四肢の痙性麻痺と運動失調とがみられる。立位保持は可能だが、Romberg徴候は陽性。神経症状が安定したため理学療法が開始された。
この患者への理学療法で適切なのはどれか。
1.筋のストレッチングを行う。
2.早期に歩行補助具を作製する。
3.痙縮に対して温熱療法を行う。
4.運動失調に対して重錘を負荷する。
5.筋力低下に対して1RMで筋力増強を行う。
解答1
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1.〇 正しい。筋のストレッチングを行う。なぜなら、痙縮の抑制のため。ただし、有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などに注意する。
2.× 早期に歩行補助具を作製する優先度は低い。なぜなら、神経症状が安定した時期(症状の再燃がようやく落ち着いた時期)であるため。ゆくゆくは歩行補助具が必要になると考えられるが、「多発性硬化症発症後15年を経過した時点で補助具なしで歩行できる確率は50%程度である」という研究報告がある。早期には必要ではない。
3.× 痙縮に対して、「温熱療法」ではなく寒冷療法を行う。なぜなら、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)があげられるため。温浴、シャワーなども含めた温熱療法は禁忌である。
4.× 運動失調に対して重錘を負荷する優先度は低い。なぜなら、寛解期にはおいても、運動を処方する際は易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で行う必要があるため。重り負荷法(重錘負荷法)とは、上下肢に重りを着用させることで運動学習を進め、運動・動作の改善を図る方法である。脊髄小脳変性症(運動失調)に適応となり、上肢では 200g~400g、下肢では 300g~600g 程度のおもりや重錘バンドを巻く。ほかのアプローチとして、弾性緊縛帯を装着することもあるため、負荷量を増やすことなく行える「弾性緊縛帯」が第一選択肢となる。もし、負荷量など考慮しなくてよければ、重錘の負荷も適応となる。ちなみに、運動失調は、障害部位によって①小脳性、②脊髄(後索)性、③迷路(前庭)性、④大脳性に分けられる。脊髄後索病変により深部感覚が障害されて四肢・体幹の運動失調が生ずるもので、閉眼により立位保持ができなくなる(Romberg徴候)など、視覚の代償がなくなると運動失調が悪化するという特徴がある。
5.× 筋力低下に対して1RMで筋力増強を行う優先度は低い。なぜなら、筋力増強訓練は低負荷で行うため。むしろ、過度の運動は過用性筋力低下を来すため禁忌である。ちなみに、1RM (repetition maximum) とは、休みなしでは1回しか発揮できない筋力である。
Romberg test(ロンベルグ テスト)は、深部感覚の検査である。被験者に足をそろえ、目を閉じて直立する検査で、陽性(閉眼時)では、脊髄性障害(脊髄癆)では動揺が大きくなる。ちなみに、開眼時・閉眼時ともに動揺がみられる場合は小脳障害を考える。
48回 午前12
12 48歳の女性。2年前に多発性硬化症と診断された。これまで日常生活はおおむね自立していたが、1週前から視力の低下、両側下肢の脱力が増悪し入院となった。薬物治療後に理学療法が開始されたが、視力の低下、両側下肢の筋力低下および軽度のしびれが残存している。
この時点の深部感覚障害の程度を適切に検査できるのはどれか。
1.運動覚試験
2.Romberg試験
3.内果での振動覚試験
4.自動運動による再現試験
5.非検査側を用いた模倣試験
解答1?
解説
・48歳の女性(2年前:多発性硬化症)
・日常生活:おおむね自立。
・1週前:視力の低下、両側下肢の脱力が増悪し入院。
・薬物治療後:視力の低下、両側下肢の筋力低下および軽度のしびれが残存。
→本症例は、①視力の低下、②両側下肢の筋力低下、③軽度のしびれが残存している。それらがありながらも正確な評価ができるものを選択する。
1.〇 運動覚試験は、患者の患肢関節を動かすと同時に①口頭試問に答えさせるか、②他側肢で模倣させるか、③母指探し試験(親指を反対側の手掌で握るという検査)がある。①口頭試問に答えさせるもの(他動運動感覚:位置覚)は、この試験は検者が他動的に動かして「上か下か」を答える検査である。患者側が動かす検査ではなく答えるだけで、上か下かを検者側が確認して障害があるのか確認することが出来、また視力低下でも口頭で説明出来れば可能であるため、本症例に適切に検査できると考えられる。
2.× Romberg試験は、深部感覚障害を評価する。Romberg徴候(ロンベルグ徴候)は、被験者に足をそろえ、目を閉じて直立する検査で、陽性(閉眼時)では、脊髄性障害(脊髄癆)では動揺が大きくなる。ちなみに、開眼時・閉眼時ともに動揺がみられる場合は小脳障害を考える。本症例は両側下肢の筋力低下、軽度のしびれが残存しているため不適切である。
3.× 内果での振動覚試験は、骨突出部へ音叉を当てる。自動運動は必要なく、筋力低下でも適切な判断が可能である。ただし、本症例は「軽度の痺れが残存」している。したがって、振動が加えられているか分からず検査は困難である。
4~5.× 自動運動による再現試験/非検査側を用いた模倣試験は、筋力低下があり自動運動が困難であるため不適切である。深部感覚障害のためか、筋力低下のせいかであるかの適切な判断が困難である。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
49回 午後27
27 再燃を繰り返している多発性硬化症患者において、ステロイドパルス療法後に介助での座位が可能となり、理学療法が開始された。
適切なのはどれか。
1. スクワット運動を行う。
2. 座位バランスの安定化を促す。
3. 自主練習として伝い歩きを指導する。
4. 疼痛を伴うときには温熱療法を行う。
5. 重錘を用いた筋力トレーニングを行う。
解答2
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
ステロイドパルス療法とは、ステロイドを短期間で大量に用いることにより作用を強め「劇的な効果を得る」ことを目的とした治療法である。治療全体でのステロイドの用量を減少させることができ、短期間の大量投与は副作用も少ないことが知られている。本症例は、ステロイドパルス療法後であること、理学療法が開始されたことからも急性期であることが考えられる。
1.3.5.× スクワット運動を行う/自主練習として伝い歩きを指導する/重錘を用いた筋力トレーニングを行うのは、優先度が低い。なぜなら、本症例に限らず、多発性硬化症患者においての理学療法は、負荷が小さいものから取り入れ、本疾患特有の熱非耐性(Uhthoff現象)や易疲労性に留意することが必要であるため。現在、介助での座位が可能になったことからも、上記選択肢を行うのは過負荷であると考えられる。
2.〇 正しい。座位バランスの安定化を促す。本症例は、現在、介助での座位が可能である。したがって、座位自立を目指して疲労が蓄積しない程度に座位バランス安定性向上を目指した訓練を行う。
4.× 疼痛を伴うときには温熱療法を行うのは、Uhthoff現象の観点から優先度は低い。Uhthoff現象(ウートフ徴候)とは、長時間の入浴や炎天下の外出などで、あるいは感冒や運動など体温上昇が起こる状態で、視力低下や筋力低下、疲労感、しびれなどの症状が発現または増悪することである。
50回 午前24
24 脊髄小脳変性症に比べて多発性硬化症に特徴的なのはどれか。
1. 痙縮
2. 運動失調
3. 嚥下障害
4. 構音障害
5. 有痛性けいれん
解答5
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
よって、選択肢5有痛性けいれんである。
1.× 痙縮は、どちらでも起こりうる。脊髄小脳変性症は、小脳症状のみが目立つ純粋小脳型と、小脳以外の症状が目立つ非純粋小脳型に大別され、後者では脳幹の症状をしばしば合併するため痙縮が起こる。多発性硬化症は、大脳白質病変や脊髄病変による錐体路障害で痙縮が起こる。
2.× 運動失調は、どちらでも起こりうる。運動失調は脊髄小脳変性症の主症状であり、多発性硬化症は頻度は少ないが小脳に病変が及べば起こる。
3.4.× 嚥下障害/構音障害は、どちらでも起こりうる。脊髄小脳変性症の非純粋小脳型は、脳幹(特に延髄)に変性が及ぶため、しばしば球麻痺を来し、嚥下障害を起こす。多発性硬化症は、脳幹病変による球麻痺や大脳の多発病変による仮性球麻痺によって嚥下障害を起こす。
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)
多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)
51回 午後17
17 37歳の女性。5年前に多発性硬化症と診断。発症当初は再発寛解型であったが、2年前に二次進行型に移行し右痙性片麻痺がある。2週前から右内反尖足位の痙縮が増悪し、MAS(modified Ashworth scale)で段階2である。
右足の痙縮に対する治療で適切なのはどれか。
1. 赤外線療法
2. ホットパック
3. 電気刺激療法
4. アキレス腱延長術
5. 経頭蓋磁気刺激法
解答3
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1~2.× 赤外線療法/ホットパックなどの温熱療法は禁忌である。なぜなら、多発性硬化症は、Uhthoff現象(ウートフ現象)があり、体温上昇により症状が一過性に悪化するため。
3.〇 正しい。電気刺激療法は、右足の痙縮に対する治療に有効である。電気刺激療法は、筋肉や腱・靭帯を刺激し、痙性の減弱や筋再教育、疼痛緩和などを期待する治療法である。他にも、痙縮には寒冷療法が有効である。
4.× アキレス腱延長術とは、足関節尖足位拘縮などに対する手術療法である。適応疾患は、脳性麻痺の二次障害などである。
5.× 経頭蓋磁気刺激法(TMS)は、大脳を局所的に磁気刺激するものである。目的は、脳の機能代償能力を発揮させることである。適応疾患は、脳卒中後遺症やParkinson病などである。
0:筋緊張の亢進がない
1:軽度の筋緊張亢進があり、ひっかかりや可動域の終末でわずかな抵抗がある
1+:軽度の筋緊張亢進があり、ひっかかりと引き続く抵抗感が残りの可動域(1/2以内)にある
2:さらに亢進した筋緊張が可動域ほぼ全域にあるが、他動運動は可能
3:顕著な筋緊張亢進があり、他動運動は困難
4:他動運動では動かない。
53回 午前34
34.多発性硬化症において、頸部を前屈すると項部から下肢まで電撃痛が放散する微候はどれか。
1.Gowers微候
2.Lhermitte徴候
3.Patrick徴候
4.Tinel徵候
5.Uhthoff徴候
解答:2
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1.× Gowers微候(ガワーズ徴候:登はん性起立)とは、筋ジストロフィーで認められる。床から起きるときに、床→膝→大腿と手をついて支えながら立ち上がる。
2.〇 正しい。Lhermitte徴候(レルミット徴候)とは、多発性硬化症で認められる。頸部を前屈すると項部から下肢まで電撃痛が放散する微候である。
3.× Patrick徴候(パトリック徴候)は、仙腸関節・股関節の変形性疾患や炎症性反応を示す。背臥位で患側側部を反対側の膝の上に置き、股関節屈曲・外転・外旋の肢位をとらせ、患側膝の内側部を背側に圧迫した時に、仙腸関節・股関節に痛みが出る所見である。
4.× Tinel徵候(チネル徴候)は、末梢神経の再生の程度を見る検査である。末梢神経が損傷されている際、軸索再生の先端部付近を軽く叩くと「ビーン」と激しい放散痛が生じる現象である。主に、手根管症候群で認められる。
5.× Uhthoff徴候(ウートフ徴候)は、多発性硬化症患者の入浴・温熱などで体温が上昇すると既存の症状(視力障害・麻痺症状など)が一過性に悪くなることである。そのため、過度な運動は避けた方がいい。
55回 午前17
17 55歳の女性。8年前に多発性硬化症と診断され、再発や寛解を繰り返し、2回の入院歴がある。現在は症状が落ち着いており、訪問理学療法で屋外歩行練習が実施されている。その際、理学療法士は運動強度を軽度から中等度とし、かつ、外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。
この理由として関係するのはどれか。
1.Barré徴候
2.Horner徴候
3.Lhermitte徴候
4.Tinel徴候
5.Uhthoff 徴候
解答5
解説
・55歳の女性(8年前:多発性硬化症)。
・現在:症状が落ち着いている。
・訪問理学療法:屋外歩行練習では、運動強度を軽度から中等度とし、かつ、外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。
→多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
1.× Barré 徴候(バレー徴候)とは、上肢や下肢に軽度の運動麻痺がある場合に現れる徴候のこと。両腕を、手掌を上にして肘を伸ばしたまま前方に挙上し閉眼させると、麻痺側上皮は回内し、次第に下りてくる。
2.× Horner 徴候(ホルナーもしくは、ホルネル徴候)とは、ホルネル(ホルナー)症候群の交感神経遠心路の障害によって生じる。中等度縮瞳、眼瞼下垂(眼裂狭小)、眼球陥凹(眼球後退)を三大徴候とする。
3.× Lhermitte 徴候(レルミット徴候)とは、首を前に曲げたときに感電したような痛みや刺すような痛みが背中から両脚、片方の腕、体の片側へ走ることをいう。多発性硬化症の特徴的な徴候であるが、「外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。」理由には該当しないため不適当である。
4.× Tinel徴候(チネル徴候)とは、末梢神経の損傷部位をたたいたときに、神経の支配領域にチクチク感や蟻走感が生じることをいう。これにより神経の損傷部位が特定でき、また、神経の回復状況も把握できる。
5.〇 正しい。Uhthoff 徴候(ウートフ徴候)とは、入浴・温熱などで体温が上昇する(運動をすることでも含まれる)と視覚障害や麻痺症状が一過性に悪くなることをいう。本症例の「外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。」理由と一致する。過度な運動負荷は避けることが必要である。
57回 午後8
8 47歳の女性。多発性硬化症。30歳で発症し、寛解と増悪を繰り返した後、完全寛解していた。1週前に視力低下と小脳症状が出現し、入院となった。視神経と右小脳半球に脱髄を認める。過回内テストで図のような動きが観察された。
この患者にみられる所見はどれか。
1.振戦
2.運動分解
3.測定異常
4.協働収縮異常
5.反復拮抗運動不能
解答3
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
過回内試験は、協調運動障害(測定過大)の検査である。両上肢水平挙上位で手掌を上向きにさせ、次に検者の合図で両手掌を下向きにする。患側で過度の回内・内旋が生じれば陽性となる。運動開始の遅れも観察すれば、時間測定障害を評価できる。
1.× 振戦はみられていない。振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえのこと。 振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こる。ちなみに、パーキンソン病には安静時振戦が特徴である。
2.× 運動分解はみられていない。運動分解とは、運動軸道が円滑でなく、何段階かに分かれたり、運動軸道から行きつ戻りつする状態を指す。指耳試験などで評価する。
3.〇 正しい。測定異常がこの患者にみられる所見である。測定障害とは、目標物の距離を正確にとらえられない状態である。過回内試験は、協調運動障害(測定過大)の検査である。
4.× 協働収縮異常はみられていない。協働収縮不能(異常)とは、複雑な動きを段階的かつ協調的に働かせることができない症状のことを指す。例えば、「後ろへ反り返る」という指示があった場合、同時に膝を曲げてバランスをとるという動作が障害され、後方へ転倒しそうになる。また、背臥位で腕を組んだまま起き上がることができない。
5.× 反復拮抗運動不能はみられていない。反復拮抗運動障害とは、拮抗筋の動きの切り替えがスムーズにできないことを指す。小脳性運動失調において、リズムが不規則で遅くなる。前腕の回内外運動を反復させることで検査する。
①測定障害:目標物の距離を正確にとらえられない。
②反復拮抗運動障害:拮抗筋の動きの切り替えがスムーズにできない。
③運動分解:運動軌道が円滑ではない。
④協働収縮不能:複雑な動きを段階的かつ協調的に働かせることができない症状のことを指す。例えば、「後ろへ反り返る」という指示があった場合、同時に膝を曲げてバランスをとるという動作が障害され、後方へ転倒しそうになる。また、背臥位で腕を組んだまま起き上がることができない。
⑤企図振戦:随意運動しようとすると粗大な振戦が出現する。
⑥時間測定異常:動作が遅れる。
59回 午後39
39 寛解期にある多発性硬化症に対する理学療法の禁忌はどれか。
1.他動的な関節可動域練習
2.中等度強度の有酸素運動
3.低強度の筋力増強練習
4.電気刺激療法
5.温熱療法
解答5
解説
1~3.× 他動的な関節可動域練習/中等度強度の有酸素運動/低強度の筋力増強練習は、理学療法として実施できる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。「多発性硬化症に対して心身機能・活動・社会参加・環境因子・個人因子を考慮した包括的なリハビリテーションが必要である。障害に応じて、運動耐容能・筋力・バランス能力・易疲労性・歩行能力などの維持・改善を目的に、中等度の強度までの運動療法を行う」と記載されている(※引用:「第15章リハビリテーション」一般社団法人日本神経学会様HPより)。
4.× 電気刺激療法は理学療法として実施できる。電気刺激療法の主な種類として、①TENS(経皮的電気刺激療法)や②NMES(神経筋電気刺激法)などがあげられる。①経皮的電気刺激療法<TENS>の治療目的は鎮痛である。温熱を出さず、慢性疼痛の緩和や痙縮改善に効果がある。疼痛部位の支配神経などに電極を配置し、経皮的に低周波による電気刺激を加える方法である。
5.〇 正しい。温熱療法は、寛解期にある多発性硬化症に対する理学療法の禁忌である。なぜなら、多発性硬化症のユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)に配慮しなければならないため。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
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