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91.糖尿病性神経障害に特徴的な所見はどれか。
1.急激な発症
2.自律神経過反射
3.深部腱反射の亢進
4.下肢の靴下型感覚障害
5.近位筋優位の筋力低下
解答4
解説
糖尿病に合併する末梢神経障害である。糖尿病性神経障害には、感覚神経障害(靴下型感覚障害)、運動神経障害(足がつる)、自律神経障害(瞳孔異常、便秘、立ちくらみなど)の3つのタイプがある。症状は、①眼筋・眼瞼挙筋麻痺、③下肢の腱反射低下、④振動覚障害、しびれなどが特徴である。上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすい。感覚障害は、手部や足部に左右対称におこることが多い。
1.× 「急激」ではなく徐々に発症する。初期の感覚神経障害の症状は、主に足の先から現れる。足の裏がジンジンし、砂利を踏んでいるような感覚や、足の裏に薄皮が1枚張っているような感覚が生じる。
2.× 自律神経過反射は、「糖尿病」ではなく脊髄損傷に起こりやすい。自律神経過反射とは、T5~6以上の脊髄損傷患者において、損傷部以下の臓器からの刺激によって起こる自律神経の異常反射である。内臓神経の抑制が解除されるため、主に骨盤内臓器が緊張する促通刺激が原因となり誘発される。原因は①膀胱刺激、②直腸刺激、③内臓刺激、④皮膚刺激などが挙げられる。生命の危険を伴い合併症を伴う。自律神経過反射の症状は、高血圧、ガンガンする頭痛、顔面紅潮、損傷レベルより上部での発汗、鼻詰まり、吐き気、脈拍60以下の徐脈、損傷レベルより下部の鳥肌である。
3.× 深部腱反射は、「亢進」ではなく低下する。深部腱反射は、骨格筋につながる腱をハンマーなどでたたいた時、筋が不随意に収縮する反射である。筋紡錘が腱の伸びを筋の伸びとして感知したことにより、筋の収縮(緊張)を生み出すことが原因である。単収縮は単一の刺激によって引き起こされる筋収縮である。ちなみに、腱反射亢進は、上位運動ニューロン障害で起こる。
4.〇 正しい。下肢の靴下型感覚障害は、糖尿病性神経障害に特徴的な所見である。手袋靴下型感覚障害は、両手両足(左右対称性)に手袋をつけ、靴下をはいたような異常感覚である。
5.× 近位筋優位の筋力低下は、「糖尿病」ではなく皮膚筋炎である。多発性筋炎(皮膚筋炎)とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
92.肝不全でみられるのはどれか。
1.脳炎
2.裂肛
3.腹水貯留
4.血小板増加
5.高アルブミン血症
解答3
解説
肝不全とは、肝臓が機能不全を起こしている状態を指す。肝不全のタイプとして、①急性肝不全と②慢性肝不全がある。①急性肝不全は、急激な肝臓の機能低下が原因で、②慢性肝不全は、長期間にわたって肝臓が損傷を受けたことが原因で発生する。症状として、食欲不振や体重減少、消化器症状(悪心や嘔吐、下痢など)、肝臓の腫れによる腹部の膨満感や痛み、重篤な症状(発熱や意識障害、昏睡など)があげられる。治療として、薬物療法、食事療法、肝移植などがあげられる。予防には、アルコールや薬物の乱用を避け、肝臓の健康を維持する生活習慣を心がけることが大切である。
(※図引用:「肝不全」全国健康保険協会HPより)
1.× 脳炎の原因として、ウイルスが最も多い。具体的には単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、またはウエストナイルウイルスなどが原因で起こる。脳炎発症の順番として、ウイルスが脳に直接感染し、過去に感染したウイルスが再び活性化し、脳に直接損傷を与えるといった流れとなる。
2.× 裂肛とは、いわゆる「切れ痔」ともいい、肛門の出口付近の皮膚が切れた状態のことです。原因として、便秘が続いたり、下痢が悪化したりすることである。特に硬い便を出すときに肛門の皮膚が刺激されて切れてしまうことが多い。まれに下、痢回数が多い場合にも起こる。
3.〇 正しい。腹水貯留は、肝不全でみられる。なぜなら、肝臓の機能でもあるたんぱく質の生成が困難となり、血液の成分の割合が変化するため。血液の成分が血管外へ染み出しお腹や手足に水分が溜まり、浮腫・腹水に繋がる
4.× 血小板は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、肝不全が進行することで脾臓が大きくなり、脾臓内で血小板が破壊されるため。肝臓に流入する門脈という血管の圧力が上昇し、上流の脾臓が大きくなる。ちなみに、血小板増加症の原因は、①一次性増加症(血小板が作られる骨髄機能自体の異常)と骨髄以外に原因のある②二次性増加症、③家族性(遺伝性)血小板血症の3つに大別される。
5.× 「高アルブミン血症」ではなく低アルブミン血症となる。低アルブミン血症の原因として、肝臓の異常によるアルブミン産生の低下や、腎臓の異常によるアルブミン喪失などにより起こる。低アルブミン血症では、全身のむくみや腹水、胸水、尿量の減少、血圧の低下などが生じる。
浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
93.ビタミンと欠乏時の症候との組合せで正しいのはどれか。
1.ビタミンA:舌炎
2.ビタミンB1:皮下出血
3.ビタミンC:末梢神経障害
4.ビタミンD:骨粗鬆症
5.ビタミンK:壊血病
解答4
解説
1.× ビタミンA欠乏は、「舌炎」ではなく眼球乾燥症・夜盲症である。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。ちなみに、舌炎はビタミンB群の不足で貧血になると生じやすい。その中でも、ハンター舌炎は、ビタミンB12欠乏によっておきる。これは、舌の炎症で、舌が平らに赤くなる。
2.× ビタミンB1欠乏は、「皮下出血」ではなく主に脚気である。ビタミンB1(チアミン)欠乏症では、①末梢神経の症状として脚気、②中枢神経の症状としてKorsakoff症候群(コルサコフ症候群)が生じる。Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)の特徴的な症状は、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。ちなみに、皮下出血はビタミンC欠乏で生じやすい。
3.× ビタミンC欠乏は、「末梢神経障害」ではなく壊血病である。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。ちなみに、末梢神経障害は、ビタミンB1欠乏で生じやすい。
4.〇 正しい。ビタミンD欠乏は、骨粗鬆症を呈する。ビタミンDの働きは、腸管からのカルシウムの吸収や骨・筋の同化作用などである。したがって、ビタミンD欠乏は、小児ではくる病、成人では骨軟化症や骨粗鬆症をきたす。ちなみに、くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。
5.× ビタミンK欠乏は、「壊血病」ではなく出血傾向である。ビタミンKは、血液凝固因子の生合成に必須のビタミンである。新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患である。出血斑や注射・採血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められ、重度の場合は頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もある。特に第2~4生日に起こることが多いものの出生後24時間以内に発症することもある。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、リスクが高くなる。また、新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、①母乳中のビタミンK含量が少ないこと、②ビタミンKは経胎盤移行性が悪いこと、③出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えている。
骨軟化症は、骨化の過程における石灰化障害が生じた結果、石灰化していない骨基質が増加し、骨強度が減弱することにより生じる。骨端線閉鎖前の小児期に発症したものをくる病という。
94.肺塞栓症で誤っているのはどれか。
1.脱水が誘因となる。
2.Ⅰ型呼吸不全を呈する。
3.Dダイマーが上昇する。
4.下肢よりも上肢の術後に多い。
5.深部静脈血栓症との合併が多い。
解答4
解説
肺塞栓症とは、肺動脈に血栓が詰まる病気のこと。血栓の9割以上は脚の静脈内にでき、この血栓を「深部静脈血栓症」といい、それが血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれてきて、肺塞栓症の原因となる。肺塞栓症と深部静脈血栓症は、極めて関係が深い病気で、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる。深部静脈血栓症患者の約50%は潜在性の肺塞栓症を有し、肺塞栓症患者の30%以上は証明可能な深部静脈血栓症患者を有すると報告されている。
1.〇 正しい。脱水が誘因となる。なぜなら、脱水状態(血液中の水分量が減少)すると、血液の粘度が高く、血流が悪くなる。したがって、血栓ができやすく血管が詰まりやすい状態となる。他にも、先天性凝固異常、手術、出産、外傷、癌、長期臥床などが誘因となる。
2.〇 正しい。Ⅰ型呼吸不全を呈する。呼吸困難や胸痛が起こる機序として、血栓で肺の動脈が根元で完全につまり、それに伴い、肺に血液が流れなくなり、血液中の酸素濃度が急激に低下するためである。他にも、Ⅰ型呼吸不全の原因となる疾患には、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性経過の間質性肺炎、急性心不全などがあげられる。
3.〇 正しい。Dダイマーが上昇する。Dダイマーとは、フィブリンがプラスミンによって分解される際の生成物である。つまり、血液検査において血栓症の判定に用いられる。
4.× 逆である。「上肢」よりも「下肢」の術後に多い。血栓の9割以上は脚の静脈内にできる。
5.〇 正しい。深部静脈血栓症との合併が多い。肺塞栓症とは、肺動脈に血栓が詰まる病気のこと。血栓の9割以上は脚の静脈内にでき、この血栓を「深部静脈血栓症」といい、それが血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれてきて、肺塞栓症の原因となる。したがって、肺塞栓症と深部静脈血栓症は、極めて関係が深い病気で、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる。
【呼吸不全の定義】PaO2≦60Torrである。
ここから、Ⅰ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全か決定する。
【Ⅰ型呼吸不全の場合】PaCO2≦45Torr
つまり、ガス交換障害:肺胞に空気(外気)が入ってきても、血液中に酸素をうまく取り込めていない状態である。肺胞内では拡散障害や換気血流比不均等などが生じている可能性がある。原因となる疾患には、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性経過の間質性肺炎、急性心不全、肺血栓塞栓症など。
【Ⅱ型呼吸不全の場合】PaCO2>45Torr
つまり、換気障害:肺胞内に出入りするガスの量が少なく、血液中の二酸化炭素の排出・血液中に酸素を取り込むことが難しい状態。(肺胞低換気)である。原因となる疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性呼吸不全の急性増悪、気管支喘息の重症発作など。
①高齢(特に60歳以上)
②血液凝固障害
③がん
④薬剤または栄養を投与するためのカテーテルが太い静脈に挿入されている(静脈内カテーテル留置)
⑤心不全
⑥体を動かせない状態
⑦骨盤、股関節、または脚のけが
⑧ネフローゼ症候群と呼ばれる腎疾患
⑨過去3カ月以内の大きな手術
⑩血液の粘り気を高める骨髄の病気(過粘稠度症候群)
⑪肥満
⑫妊娠中または出産後の一定期間
⑬血栓の既往歴
⑭鎌状赤血球症
⑮喫煙
⑯脳卒中
⑰エストロゲン製剤の使用(例えば、更年期症状の治療として使用したり、避妊のために使用したりする場合で、35歳以上の女性や喫煙習慣のある女性では特にリスクが高くなる)
⑱エストロゲン受容体モジュレータの使用(ラロキシフェンやタモキシフェンなど)
⑲テストステロン補充療法の使用
(引用:「肺塞栓症」MSDマニュアル家庭版様HPより)
95.介護保険制度で正しいのはどれか。
1.都道府県の窓口で申請する。
2.特定疾病に慢性腎不全がある。
3.第1号被保険者は75歳以上である。
4.介護認定審査会で要介護度を判定する。
5.審査結果に対する再審査請求はできない。
解答4
解説
(※画像引用:「要介護認定の流れ」厚生労働省様HPより)
1.× 申請する窓口は、「都道府県」ではなく市区町村である。
2.× 特定疾病に慢性腎不全はない。厚生労働省での特定疾病の定義として①心身の病的加齢現象と医学的な関係があると考えられる疾病、②加齢とともに生じる心身の変化が原因で、要介護状態を引き起こすような心身の障害をもたらすと認められる疾病に該当するものとしている。つまり、加齢と関係があって、要介護状態の原因となる病気のことである。ちなみに、慢性腎不全とは、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。
3.× 第1号被保険者は、「75歳以上」ではなく65歳以上である。ちなみに、第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
4.〇 正しい。介護認定審査会で要介護度を判定する。介護認定審査会とは、市町村の附属機関として設置され、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される合議体である。介護保険の給付を受けるために必要な要介護認定の手続きのうち、二次判定を行うものである。保健・医療・福祉の学識経験者で構成される。
5.× 審査結果に対する再審査請求はできる。審査請求(不服申立て)は、区市町村が行った行政処分の取消しを求めることができる。介護保険審査会は、処分に違法または不当な点がないかを審査し、審査請求に理由があると認めたときは、裁決により処分の全部又は一部を取り消し、区市町村が改めて処分をやり直すことになる。
介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。
・第1号被保険者は、65歳以上の者である。
・第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
【基本理念】
自己決定の尊重
生活の継続
自己支援(残存能力の活用)
がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症