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76.胃全摘出術後の巨赤芽球性貧血で欠乏する栄養素はどれか。
1.ニコチン酸
2.ビタミンA
3.ビタミンB1
4.ビタミンB12
5.ビタミンC
解答4
解説
巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。また、ビタミンB12欠乏症において、手足のしびれ、思考力の低下、性格変化などの神経症状もみられる。
1.× ニコチン酸(ビタミンB3)の欠乏により、ペラグラ脳症が起こる。ペラグラ脳症とは、皮膚・消化管・脳に影響を及ぼし、光線過敏症や皮膚の変色、下痢、錯乱・幻覚といった精神症状をきたす。
2.× ビタミンAの欠乏により、眼球乾燥症・夜盲症が起こる。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。
3.× ビタミンB1の欠乏により、Korsakoff<コルサコフ>症候群・Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症が起こる。Korsakoff<コルサコフ>症候群は、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話が特徴的な症状である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症は、アルコールを多飲する人によくみられ、意識障害、眼球運動障害(童顔神経麻痺)および歩行障害(失調性歩行)を特徴とする。アルコール大量摂取が原因となることが多い。
4.〇 正しい。ビタミンB12は、胃全摘出術後の巨赤芽球性貧血で欠乏する栄養素である。ビタミンB12欠乏(胃全摘後)は巨赤芽球性貧血の原因となる。また、他にも葉酸欠乏により巨赤芽球性貧血がみられる。
5.× ビタミンCの欠乏により、壊血病が起こる。壊血病とは、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる病気である。
77.末梢神経の脱髄がみられるのはどれか。
1.多発性硬化症
2.De Quervain病
3.進行性核上性麻痺
4.腰部脊柱管狭窄症
5.Guillain-Barre症候群
解答5
解説
1.× 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)。
2.× De Quervain病(ドケルバン病)は、狭窄性の腱鞘炎である。長母指外転筋腱と短母指伸筋腱は同じ腱鞘を走行しているために、腱鞘内に炎症が起こり、橈骨茎状突起部を中心に、疼痛や腫脹がみられる疾患である。中年女性に多くみられる。アイヒホッフテスト(フィンケルシュタインテストとも)で陽性となる。ちなみに、アイヒホッフテスト(フィンケルシュタインテスト)とは、母指を握り込ませて手関節尺屈すると、陽性の場合手関節橈側の疼痛が増強する。
3.× 進行性核上性麻痺は、淡蒼球、視床下核、中脳、小脳にある神経細胞が脱落することに起因する疾患である。中年期以降の男性(特に50~70歳)に多く発症し、易転倒性、注視麻痺、パーキンソニズム、認知症(前頭側頭型認知症)などの特徴的な症状を有する。診断にはパーキンソン病、多系統萎縮症、末梢神経障害、大脳基底核変性症など他疾患の除外が必要である。ちなみに、核上性とは、眼球運動を直接支配する神経細胞群(脳神経核)より上位ということを意味している。
4.× 腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が腰部で狭くなる(圧迫する)病気である。そのため、腰から下の神経に関連する症状(しびれや疼痛、脱力など)が出現する。歩行時には腰痛があまり強くならない事が多く、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行が特徴である。
5.〇 正しい。Guillain-Barre症候群は、末梢神経の脱髄がみられる。Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)。
78.性的な欲動をコントロールするために、性的なことを理論的に分析しようとする防衛機制はどれか。
1.抑圧
2.行動化
3.知性化
4.反動形成
5.スプリッティング
解答3
解説
防衛機制とは、人間の持つ心理メカニズムであり、自分にとって受け入れがたい状況や実現困難な目標に対して、自我を保つために無意識で発動する心理的な機構である。防衛機制には、短期的には精神状態を安定させる作用があるが、長期的にみればかえって精神を不安定にさせてしまうものもある。
1.× 抑圧とは、容認し難い自分の欲求を無意識のうちに抑えつけてしまうことである。例えば、性的欲求、攻撃性などを無意識のうちに抑えることである。
2.× 行動化とは、情緒的葛藤やストレス因子に対して内省することによってではなく、行為によって対処するもので、不適切な形で現れた防衛機制の1つである。具体例として、診察室から出ていってしまったり、診察の場で沈黙を続けたりするなどである。
3.〇 正しい。知性化は、性的な欲動をコントロールするために、性的なことを理論的に分析しようとする防衛機制である。知性化とは、欲動や感情を論理的あるいは抽象的に考えたり、それらに関する知識を得たりなどしてコントロールすることで、例えば、性衝動を、性に関する知識で統制する態度がそれにあたる。
4.× 反動形成とは、防衛機制のひとつで、意識の中に抑圧されている強い感情や衝動が、意識できる側面で正反対の傾向となって行動などにあらわれることをさす。例として、好きな人をいじめてしまうことなどがあげられる。
5.× スプリッティング(分裂)とは、自己や対象(相手)の悪い面が良い面を滅ぼしてしまうという非現実的な恐れから、良い面と悪い面を別のものとして分けて考えることである。満たされない欲求と出会ったときに、自分の願いを満たしてくれる相手や状況のみを善、自分の願いに反するものを悪として、多角的に物事を判断しようとせずに単純化することで対処しようとする防衛機制である。さらに、自己の悪い面を対象のものとして投げてしまうことを「投影(投射)」という。投射の例として、「父が嫌っている」という自分の感情を抑えて、「父が自分を嫌っている」と思い込むことである。
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【OT/共通】防衛機制についての問題「まとめ・解説」
79.Freudの発達論において1~3歳ころはどれか。
1.口唇期
2.肛門期
3.性器期
4.潜在期
5.男根期
解答2
解説
・乳児期:口唇期(生後から1歳半ころまで)
授乳により母親から栄養を得ようとする時期。
・幼児期前期:肛門期(1歳半~3歳ころまで)
一定期間我慢し、適切なタイミングで放つ(トイレ獲得)の時期。
・幼児期後期:性器期(エディプス期:3~5歳ころまで)
性を意識し始めた子どもは異性親に関心をもち、同性親を敵視する時期。
・児童期:潜在期(6歳~12歳ころまで)
勉強や交友関係などに集中する時期。
・思春期:男根期(12歳以降ころまで)
第2次性徴を迎え、成熟した性器に関心を持つようになる時期。
1.× 口唇期は、乳児期(生後から1歳半ころまで)である。
2.〇 正しい。肛門期は、1~3歳ころである。
3.× 性器期は、幼児期後期(3~5歳ころまで)である。
4.× 潜在期は、児童期(6歳~12歳ころまで)である。
5.× 男根期は、思春期(12歳以降ころまで)である。
80.障害受容に至る5つの過程において2番目に現れるのはどれか。
1.解決への努力期
2.ショック期
3.混乱期
4.受容期
5.否認期
解答5
解説
障害受容の過程は、「ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期(再起)→受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
①ショック期:感情が鈍磨した状態
②否認期:現実に起こった障害を否認する
③混乱期:攻撃的あるいは自責的な時期
④解決への努力期(再起):自己の努力を始める時期
⑤受容期:新しい価値観や生きがいを感じる時期
1.× 解決への努力期は、4番目である。
2.× ショック期は、1番目である。
3.× 混乱期は、3番目である。
4.× 受容期は、5番目である。
5.〇 正しい。否認期は、2番目である。
79の12歳は男根期ではなく、性器期ですよ。3-6歳が男根期です。
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。